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仮面ライダーバトルロワイヤル Part7
- 1 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 17:55:17 ID:3ZpKl8Pu0
- このスレはお気に入りキャラが負けたり、死んだりする可能性があります。
また、スレの性質上ネタバレを多く含んでいます。
以上の点を承知の上で、このスレを覗いてください。
- 2 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 17:58:41 ID:3ZpKl8Pu0
- ある者は誰かの為の贖罪を。
ある者は不老不死の悲願を。
そしてある者は己の正義を。
互いの信念、願いを賭けて争うライダー、怪人、そして何の力も持たない人間達―――
―――その結末は、遥かに遠い霧の中。
まとめサイト
http://home.att.ne.jp/kiwi/verde/brindex.htm
ライダーロワ用したらば掲示板
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9061/
前スレ:仮面ライダーバトルロワイヤル Part6
http://tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1185888320/
過去スレ
仮面ライダーバトルロワイヤル3
http://tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1173979663
仮面ライダーバトルロワイヤル4
http://tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1178709916/
仮面ライダーバトルロワイヤル5
http://tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1181223834/
- 3 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 18:00:40 ID:3ZpKl8Pu0
- ―――不幸にして幸運なる参加者達をここに記す。
【555】3/5
○乾巧/○草加雅人/●園田真理/○影山冴子/●北崎
【カブト】2/5
●天道総司/●加賀美新/○日下部ひより/○矢車想/●神代剣
【ブレイド】2/5
●剣崎一真/●橘朔也/○上条睦月/○キング/●伊坂
【龍騎】1/5
●城戸真司/○秋山蓮/●北岡秀一/●浅倉威/●佐野満
【アギト】2/5
●津上翔一/○氷川誠/○小沢澄子/●木野薫/●水のエル
【RX】3/5
○南光太郎/●霞のジョー/●シャドームーン/●グランザイラス/○ジャーク将軍
【響鬼】0/5
●日高仁志/●佐伯栄/●財津原蔵王丸/●安達明日夢/●天美あきら
【ZO&J】2?/5
●麻生勝?/●瀬川耕司/●望月博士/○ガライ/○ドラス
【ストロンガー】2/5
○城茂/●岬ユリ子/●立花藤兵衛/○ジェネラルシャドウ/●マシーン大元帥
【V3】1/5
●風見志郎/○結城丈二/●珠純子/●ドクトルG/●ヨロイ元帥
【ジョーカー】
○相川始/○リュウガ
残り―――19名(?)
- 4 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 18:01:13 ID:3ZpKl8Pu0
- 避難所:試験投下、修正など書き手がメインに使う場所
http://yy47.60.kg/test/read.cgi/sfxjirou/1168665692/
仮面ライダーバトルロワイアル総合スレ
感想、毒吐き、キャラ紹介、荒れそう(叩かれそう)な話題等、書き手読み手の総合交流所
http://yy47.60.kg/test/read.cgi/sfxjirou/1169859703/
2chパロロワ事典@wiki
http://www11.atwiki.jp/row/
―― 誤字や矛盾以外の意見はこちら ――
仮面ライダーバトルロワイヤル毒吐きスレ・別館
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/8882/1182007206/
- 5 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 18:01:57 ID:3ZpKl8Pu0
- ルールは唯一にして絶対―――自分以外は全て敵である。皆殺しにしろ。
【能力の制限について】
超人的なプレイヤーは能力を制限される。 また、超技術の武器についても同様である。
※体術や技術、身体的な能力について:原作でどんなに強くても、現実のスペシャリストレベルまで能力を落とす。
※魔法や超能力等の超常的な能力と超技術の武器について:効果や破壊力を対個人兵器のレベルまで落とす。
不死身もしくはそれに類する能力について:不死身→致命傷を受けにくい、超回復→高い治癒能力
変身制限時間は10分。解除後2時間変身不可。(オルフェノク・上級アンデッドを含む)
トレーラー以外の乗り物は全て使用不可。一般の車などは可。
リモートによる復活は10分のみ。その後カードに戻る。
ディスクアニマルの活動範囲は半径100mまで。
契約モンスターの活動時間は1分。その後2時間は使用不可。
神崎の目的は優勝者の命を捧げての妹の復活(描写あると良いかも)
首輪により能力が制限(別記参照)されている。
変身アイテムの支給は本人以外不可。物理的に可能ならば、一般人が既存の変身アイテムを使うことは可能
(例/明日夢がカイザ等)
原作での設定が曖昧な場合、書き手の裁量で決める。
- 6 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 18:02:42 ID:3ZpKl8Pu0
- 【首輪と禁止エリア】
参加者は全員、神崎によって首輪を取り付けられている。
首輪の爆弾が発動すると、その参加者は死ぬ。
この首輪は参加者の生死を常に判断し、神崎に参加者の生死と現在位置のデータを送っている。
また、参加者には説明されないが、実は盗聴機能があり音声・会話は全て筒抜けである。
首輪が爆発するのは、以下の条件の時である。
・定期放送で指定した禁止エリア内に、参加者が入ったとき。(首輪が自動で爆発)
・首輪を無理やり取り外そうとしたとき。(〃)
・一週間で、一人も死者が出なかったとき。(一週間で空間が崩壊する為)
・参加者が、神崎に不利益な行動をとろうとしたとき(ただの脅し。実際には不可能)
・神崎士郎、リュウガなどミラーモンスター勢は首輪をつけることで異空間に半永久的に存在することが可能。
つけない場合、存在できる時間は1分。
【放送】
放送は6時間ごとに行われる。放送内容は「禁止エリアの場所と指定される時間」「過去6時間に死んだキャラ名」「残りの人数」 禁止エリアは一度の放送で3区画ずつ(2時間ごとに1区画ずつ)増えていく。
- 7 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 18:03:15 ID:3ZpKl8Pu0
- ―――これは、物語を記す者の為のルールである。
・予約
キャラ被りを防ぐため、自分の書きたいキャラクターを予約することができます。
期間:予約当日から1週間。予約期間後は、他の人が投下してもOKです。
途中報告:2〜3日目に1回と、5〜6日目にもう1回、進行を報告してください。
延長期間:3日。それ以降は他の書き手が予約可能になります。
予約しなくても投下することはできますが、その際は他に予約している人がいないか十分に確認してから投下しましょう。
また、ひとりリレーを防ぐため、投下した書き手は投下終了から二十四時間一切予約禁止、
投下作品に出たキャラは更に百二十時間禁止
・トリップ
投下後、作品に対しての議論や修正要求等が起こる場合があります。
書き手は必ずトリップをつけてください。
・投下宣言
投稿段階で被るのを防ぐため、投稿する前には必ず議論スレで 「投下します」 と宣言をして下さい。
いったんリロードし、誰かと被っていないか確認することも忘れずに。
・キャラクターの参加時間軸
このロワでは登場キャラクターがいつの時点から召集されたかは「そのキャラクターを最初に書いた人」にゆだねられます。
最初に書く人は必ず時間軸をステータスにて明言してください。ステータスについては下記。
・ステータス
投下の最後にその話しに登場したキャラクターの状態・持ち物・行動指針などを表すステータスを書いてください。
テンプレは↓
【キャラクター名】
【○○日目 現時刻】
【現在地】
[時間軸]:ここはキャラの登場時間軸。できるだけわかりやすく
[状態]:(ダメージの具合・動揺、激怒等精神的なこともここ)
[装備]:(武器・あるいは防具として扱えるものはここ)
[道具]:(ランタンやパソコン、治療道具・食料といった武器ではないが便利なものはここ)
[思考・状況](ゲームを脱出・ゲームに乗る・○○を殺す・○○を探す・○○と合流など。
複数可、書くときは優先順位の高い順に)
- 8 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 18:04:50 ID:mhgZkmZLP
- 最後に、このスレについての基本的なルールを告げる。
第1条/キャラの死、扱いは皆平等
第2条/リアルタイムで書きながら投下しない
第3条/これまでの流れをしっかり頭に叩き込んでから続きを書く
第4条/日本語は正しく使う。文法や用法がひどすぎる場合NG。
第5条/前後と矛盾した話をかかない
第6条/他人の名を騙らない
第7条/レッテル貼り、決め付けはほどほどに(問題作の擁護=作者)など
第8条/総ツッコミには耳をかたむける。
第9条/上記を持ち出し大暴れしない。ネタスレではこれを参考にしない。
第10条/ガイドラインを悪用しないこと。
(第1条を盾に空気の読めない無意味な殺しをしたり、第7条を盾に自作自演をしないこと)
―――以上だ。さあ、語るべき言葉を持つ者は書き連ね、持たぬ者は読み進めるがいい。
―――それのみが、この冷酷な世界を動かす力なのだから。
- 9 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 18:06:58 ID:3ZpKl8Pu0
- 一カ所テンプレの順序(>>3と>>4)が逆になってしまいました。すみません。
- 10 : ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:09:31 ID:iAqnsGt/0
- 新スレ立て乙です!!
投下させてもらいます。
- 11 :宿敵2 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:10:09 ID:iAqnsGt/0
- 風が吹いて、砂埃を撒き散らす。黒い大理石の壁は激闘の跡を刻んでいる。
万年の時を過ごしたように壁は朽ちており、ガラガラと寂しく小石が落ちていく。
その悠久の時を感じる朽ちた壁に囲まれた空間の中、四人の男が対峙する。
一人は、髪を金髪に染めた若者。ただし、若いのは外見だけだ。
一万年……いや、それ以上の時を過ごしたカブト虫の王。
コーカサスビートルアンデッドことキングであった。
対峙するのは三人の男たち。
一人、まさに異形としかいいようのない男がいた。血管が剥き出しになった顔を透明のフードで覆い、白い焦げたタイツにマントを羽織っている怪人。
その名はジェネラルシャドウ。この面子の指導者的立場だ。
こちらもまた異形。しかし、その元の姿は精悍な男だ。今はコブラの怪人の姿をとっているが、目の前に現れたキングを警戒してのこと。
彼はガライ。フォッグの王子だ。
最後の一人はキングと繋がりのある少年、上城睦月。
仮面ライダーレンゲルへと姿を変えているが、その身は未熟。ガライを倒すほどの成長を見せたが、まだ甘いところが見て取れた。
事実、キングとの再会に心が揺れている。
だが、それは弱さゆえの動揺ではない。今ここでキングを倒すのが正しいかどうか、正義の迷いである。
そして、キングのデイバックにはドラスも潜んでいる。世にも奇妙な邂逅は、全員を沈黙の世界へと導いた。
四回目の放送を耳に、シャドウは内容を脳内へと書き留める。またも城茂は無事だった。
そのことに笑みを浮かべて、目の前に立つキングへと厳しい視線を送る。
並の人間ならその威圧感に圧倒されただろう。しかし、目の前の軟弱そうな少年はヘラヘラしているだけだ。
もっとも、シャドウはそうなるであろうことは予想していた。嶋との出会いがいい経験になった。
見た目がどうであれ、強大な力を隠している事をシャドウは知っている。
睦月は立派に成長しているが、対抗できるか怪しい。ガライはまだまだといったところだ。
- 12 :宿敵2 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:11:03 ID:iAqnsGt/0
- 二人に共通することは感情による実力のムラが大きいこと。それぞれ確固たる信念があれば大きく見違えるのに、もったいないとも思う。
目の前のキングの登場で、睦月は己の中の信念を見出せず迷い、ガライは見た目で判断し、相手を侮っている。
キングは禁止エリアだけ簡単にメモに取り、やがてレンゲルに変身している睦月に話しかけようとする。
シャドウはそれを遮った。
「このメンバーの責任は俺にある。話したいことがあるなら、まず俺を通せ。スペードのキング」
「ちぇっ、せっかくレンゲルとのゲームの最中だったのに、邪魔するの?
まあいいや。おっさんもゲームに参加するってことで、特別に許してあげる」
「それは光栄だな。用件なら手短に言え」
「うん、レンゲルに見せたいものがあるんだ。じゃーん」
「そ、それは!!」
レンゲルが驚愕の声を発して、シャドウは片目を少し吊り上げただけの反応を示す。
キングが取り出したのはラウズカードとスペードの意匠が施されたバックル。あれはシャドウと睦月が探していたブレイバックルだろうとあたりをつける。
レンゲルの反応がいい証拠だ。探していたジョーカーに対する切り札は一つ見つかった。
いまだにクラブの8を示すものは分からないが、睦月とあれがあるだけでジョーカーに対抗できそうだとも思う。
しかし、手にしている相手はおそらく敵になる男。シャドウは油断なく剣のように鋭い視線を向けたままだ。
「ブレイバックルとラウズカード、キサマが手に入れていたのか」
「レンゲルから聞いたんだ。そう、僕が手に入れた。欲しい?」
頷きそうになっているレンゲルにシャドウは視線で制し、目をますます鋭くさせる。
「だとしたら、何をして欲しいんだ?」
「話が早いね。レンゲルが手に入れた支給品と交換したい。最初からそれが僕とレンゲルのルールだしね。
何なら、君たちに手を貸そうか? 戦力が増えることって、とても得だと思うけどな〜」
「キサマのような軟弱な生物の手など……」
「ガライ、落ち着け。言ったはずだ、クールになれと」
「クッ……」
ガライは不満そうにこちらを睨むが、構わずシャドウは交渉を続ける。
- 13 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 18:12:29 ID:3ZpKl8Pu0
-
- 14 :宿敵2 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:12:31 ID:iAqnsGt/0
- キングの瞳には、自分の要求を絶対呑んでくれるという自信が表れていた。
「たしかにキサマの戦力とブレイバックルは魅力的だ。ぜひとも欲しい」
「でしょ。それじゃあ交渉は成立って…………」
「だが断る」
シャドウは地の底から響くように低く言う。出鼻をくじかれ不機嫌なキング。
そのキングに構わず、シャドウはこれで話は終わりだと踵を返す。
「睦月、ガライ、話は終わりだ。戻るぞ」
「待てよ、何で断るんだよ」
「……キサマ、切り札を隠しているな?」
キングが息を飲み込む。シャドウにはその反応だけで充分だった。
「ブレイバックルにラウズカードを睦月に渡して、この場で襲われればいかにスペードのキングでもひとたまりあるまい。
キサマはその程度想定できないほど愚かではない。その状況を想定しても、なおブレイバックルを渡してもいいという態度、何か隠していると考えるのが自然だ。
切り札を隠して仲間にしろなどとふざけた事をほざくキサマの力など、いらぬ。手は足りているのだからな」
切り込む言葉の刃は、キングの目論見を無駄にしていく。レンゲルは感心したようなため息を吐いている。
シャドウはこの程度気づけと言いたくなったが、後回しにする。この手の相手に弱みを見せてはいけない。駆け引きの基本だ。
ブレイバックルとラウズカードの持ち主は分かった。なら、後で奪えばいい。
シャドウは遺跡を出るまで変身しておくように二人に告げる。その三人の背中を、苛立たしげに見つめる視線を無視しながら。
□
砂浜で、城は氷川と共に放送の内容を思い出していた。
二人の共通の知り合い、木野薫は死んだ。さらに、氷川が決闘の約束をしていた神代剣も亡くなってしまったらしい。
唯一、浅倉威という殺人者が死んだのは幸いだった。これ以上、風見志郎のように犠牲者は出ない。
「木野さん、津上さん……」
「……しばらく休むか?」
- 15 :宿敵2 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:14:21 ID:iAqnsGt/0
- 「いいえ、休んでなんかいられません。
木野さんも、津上さんもきっと最後まで頑張ったんです。僕だけが、落ち込んでいられない。
それに、捕らわれている仲間がいる。僕は小沢さんとリュウガさんを助けたい!」
「よく言った。じゃあ、行くぜ!」
「はい!!」
城は氷川の目の輝きを確かめ、いささかの曇りもないことに安堵する。
自分の知らなかった仮面ライダーは強い。城はその事実に喜びながら、タイヤの跡を追う。
その跡は目の前の遺跡まで続いていた。たしかに、あの遺跡なら大型の車が通れるスペースはある。
城はこの中に入ったのか、確かめようと遺跡の入り口に近付く。だが、中より足音が聞こえてくる。
氷川と目を合わせ、頷いて身を構える。やがて遺跡の闇から人影が浮かび上がる。
現れたのは、城の宿敵にして、最強の敵、トランプの魔人、ジェネラルシャドウだった。
後ろにいるのはコブラの怪人と仮面ライダーらしき男。氷川から闇に落ちた仮面ライダーの話は聞いていたため、驚きは無い。
後ろの二人が身構えるが、シャドウが手で制し、こちらに視線を向ける。
「久しいな……と言えるほど長く離れていたわけではないか。
あの時のように、正義を捨てたわけではないようだな」
「お前のおかげでな。今度は手下を引き連れて、お山の大将気どりか?」
言葉は険悪だが、不思議と城の表情に悪意は出てこなかった。むしろ、喜びすら感じる自分をおかしいとも思う。
こちらの瞳を見つめ、シャドウは納得のいったように頷く。城は何でもお見通しだと言う表情にムカつくが、シャドウに認められるのは悪くない気分だった。
そこに、氷川が割り込む。
「小沢さんとリュウガさんはどうしているんだ! 酷い事をしていないだろうな!!」
「リュウガとかいう男は逃げた。そこにいる睦月とガライのミスでな。
小沢は、なんと言うか、凄い女だな。人質なのに物怖じもせずに俺たちに接してくる。
まあ無事だ。そこまで愚かな女でもないしな」
そのシャドウの言葉に、氷川は納得しつつ、ホッとしている。城はシャドウにそこまで言われる小沢が少し気になった。
普通の女じゃない事だけは、充分に理解できたが。
「小沢さんを返せッ! シャドウ!!」
- 16 :宿敵2 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:15:43 ID:iAqnsGt/0
- 「フム……。いいだろう、条件次第では返してやる」
その言葉に、氷川が驚く。しかし、城は少しだけ予想していた。
おそらく、次の言葉は……
「城茂、今日の六時の決着の予定だったが、少し早めるとしよう。
二時間後、I3エリアで小沢を賭けて決着をつける。お前が勝てば、返してやる」
「望むところだ。しかし、なぜ二時間後だ?」
「後ろの二人とは違って、俺は力を使っていないからここで決着をつけるのもありだ。
だが、どうせキサマは誰かを助けるためにしか変身せず、制限を確かめていないのだろ?
二時間くれてやる。己の出来る事を確かめ、あらためて俺の前に姿を現せ」
「随分余裕だな。いいのか?」
「俺は負けん。それにこいつらの面倒を見る義務もあるしな」
そういい、シャドウは後ろの二人を変身を解かせ、海のある方向に去っていった。
城の顔には笑顔が浮かんでいる。早速氷川に振り向き、構えをとる。
「氷川、早速で悪いが、シャドウの言っていた制限を確かめさせてくれ」
「はい。城さん、絶対に勝ってください」
「当たり前だ」
城が両腕を右方向に向ける。
氷川はガタックゼクターを呼び出し、目の前に突き出す。
「「変身!!」」
―― HENSHIN ――
二人のライダーが姿を変える。
- 17 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 18:16:18 ID:3ZpKl8Pu0
-
- 18 :宿敵2 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:17:33 ID:iAqnsGt/0
- 勝利のため、訓練が始まる。その瞳はただ正義を見つめていた。
その一部始終を、キングは見ていた。
いたずらを思いついたような子供の顔をして、キングは呟く。
「いい事思いついちゃった」
王は余興のため、その場を離れた。
ただ、悪意の行為の準備をするために。
□
燃え盛るGトレーラーを前に放送を聞き終え、ジャーク将軍は疑問を持つ。
いざという時は研究に必要な機材だけを持って移動する事を考えていたが、放送の内容で杞憂に終わった。
しかし、隣のエリアが禁止エリアになったのは、明らかな脅しだ。次はないぞ、陳腐だが、効果のある脅しだろう。
(もしくは、神崎側には首輪の解除をものともしない切り札があるか。余裕だな。
だが、そこに余たちの付け入る隙はある!!)
ライドロン、ハイパーゼクターと脱出のための手段は手の内にある。神崎士郎を倒さねば、自分たちに栄光はない。
ジャーク将軍は気合を入れる。そこに、小沢が地上に上がってきた。
「ああー!! あんた、私のGトレーラーに何しているのよ!!」
「そろそろガタがきていたので処分した。拠点を手に入れた以上、必要もなかろう」
「あんたの都合を聞いてないわ!! あれは私のなの! 勝手に壊すなんて、泥棒と一緒じゃない!!」
「クライシス帝国の将軍を愚弄するか!?」
「だったら愚弄されない行動をとりなさいよ! 普段は中間管理職みたいに苦労しているのに、こんな時だけ少年のようにはしゃいで何考えているのよ!
大体、理由は何?」
「ふむ、それがな」
- 19 :宿敵2 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:20:34 ID:iAqnsGt/0
- ジャークは声を抑え、小沢に近寄る。小沢は秘め事である事を察して、耳を向ける。
冴子が地下に降りている事をジャークは視線だけで確認し、言葉を続ける。
「冴子がガライをけしかけて、シャドウと睦月を襲わせようとしたのだ」
「何ですっ……」
「大きな声を出すな。あやつを黙らせるために、Gトレーラーは犠牲になってもらった。
もう妙な考えは起こさないだろう」
「そう。…………って、それはノリで壊したってことじゃない!!」
「そうか? 相手を黙らせるためには力の差を見せるのが一番いいぞ」
「あんた基本的に頭脳労働派なのに、何で肝心なところが脳筋なのよ!」
「むぅ」
ジャークは顎に手を当て、思考にふける。たしかに短絡的だったかもしれない。
せめて装備はとっておくべきだったか? ジャークがちょっとだけ後悔する。
「はあ、津上くんは亡くなっちゃうし、Gトレーラーは炎上しちゃうし、最悪だわ……」
「知り合いが死んだのか?」
「ええ、そうよ。私たちの世界では『アギト』と呼ばれていた子よ。
まあ、私は知らなかったけど、未来から来た氷川くんが教えてくれたわ」
「妙な因果だな。未来から真実を知らされるのは。シャドウも、余に未来の真実を教えられていたな。
未来を知ることは幸か不幸か。余なら、ゲドリアンたちの死を事前に知っていれば、防げに向かえたのに」
「誰よ、ゲドリアンたちって」
「余の部下だ。共に労苦を味わい、最期はそれぞれ己の信念にかけて散っていった」
「……後悔しているの?」
「大切な者が死んで、後悔しない者などこにいる。余が相手を殺す時は、その全ての恨みをかう『覚悟』を決めて殺している。
おぬしは違うのか?」
「もし、アンノウンに感情があるなら、私は奴らに殺されるのも『覚悟』している」
ジャークは小沢の瞳をジッと見つめた。その目に嘘はない。
- 20 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 18:22:13 ID:3ZpKl8Pu0
-
- 21 :宿敵2 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:22:38 ID:iAqnsGt/0
- ジャークは少しだけ微笑んで、外に視線を向ける。
「ちょっと、話はまだ終わっていないわよ。Gトレーラーの……」
「小沢、シャドウたちが戻ってきた。それと、これは侘びだ」
その手に壊れたザビーゼクターを掴み、ジャークは小沢に投げつける。
小沢は慣れた手つきで危なげもなくザビーゼクターを受け取った。
「……まあ、いいか。チャラには遠いけど、貸しにしておくわ。取立ては厳しいわよ」
ジャークは鼻で笑い、三人を迎える。
ジャークたちは地下に戻り、お互い変わったことがないか報告しあう。その場に冴子がいたのは、豪胆だとジャークは思った。
帰ってきた三人は起こった事を簡単に報告した。キングとの邂逅が主であり、ガライが襲ってきたことは伏せていた。
おそらく、何らかの決着がついたのだろう。睦月の表情がここを発つ前に比べて引き締まっている。
(男の顔……には少し遠いが、多少はマシになったようだ)
続けて、ガライを見る。その顔には不満そうな色が見て取れる。こちらはまだまだのようだ。
そして、一番気になったのがシャドウである。なぜか機嫌がいい。
ジャークが彼と出会って、初めて見る表情である。ちょっと不気味だった。
「シャドウ、嬉しそうだな」
「フフ……一番重要な事を話そう。ジャーク、二時間後I3エリアでストロンガーと決着をつけることにした。
小沢を賭けてな」
「なるほど、通りで機嫌がいいわけか」
「ちょっと、勝手に人を賭けの対象にしないでくれる?」
「決闘に賭けるのは、美女が相場と決まっている。不満なのか?」
「美女……?」
睦月が疑問を示し、小沢を見る。
見る見る小沢が不機嫌になっていく。
「睦月、こういう時はお世辞でも美人だと言っておけ」
- 22 :宿敵2 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:23:38 ID:iAqnsGt/0
- 「ちょっと、ジャーク。お世辞って何よ。変身した時といい、少し話し合う必要があるわね」
「まあ、少しくらい化粧に気を使うのね。何なら、教えましょうか?」
「余計なお世話。腹黒女は黙っていなさい」
「あなたがさばさばし過ぎなのよ。それにしても、勝手に人質の解放を賭けていいのかしら?」
冴子がジャークに視線を送る。ジャークはそのまま、視線をシャドウに向けた。
「シャドウ、絶対に勝つのだ」
「無論」
これで話は終わった。ジャークはこの決闘を見届けるための準備に入る。
と、言ってもすることは少ない。せいぜいライドロン以外の荷物を簡単にまとめておくだけだ。
冴子が不満げな視線を向けるが、無視する。これが睦月やガライなら叱責するが、シャドウなら任せたほうがいい。
もともとストロンガーとの決着を条件にチームを組んだ。それに、ジャークはシャドウの実力を高く評価している。
ただで負ける男ではない。
ジャークはクライシス帝国における部下と同じように、シャドウたちを信頼していることに気づき、苦笑した。
シャドウはトランプをいじくり、決闘へと思いを馳せた。
ブラックサタンにいたころから何度も望み、夢に見た決着の日。
シャドウは城の事を不思議に思う。敵と言うには心が熱くなり、張り合い甲斐のある相手だ。
幾度も死闘を繰り広げたのに、シャドウの心にストロンガーに対する恨みは少ない。
不思議なことだと笑うシャドウの表情は、柔らかかった。本人はそのことに気づかない。
やがて、人の気配を感じ、シャドウはそこに視線を向ける。現れたのは睦月だ。
「何をしているんですか?」
「トランプで占っていた」
「そういえばシャドウさんって、占いが趣味なんですか?」
「俺はもともとジプシーだった。その時は占いも商売にしていたこともある」
- 23 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 18:24:10 ID:3ZpKl8Pu0
-
- 24 :宿敵2 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:25:50 ID:iAqnsGt/0
- 「そうなんですか。今占っているのは決闘の結果ですか?」
「いや、お前とガライの今後だ」
「え?」
告げた後、シャドウが手に取ったのはクラブの6。その結果を見て、シャドウはほう、とため息を吐いた。
シャドウは少し嬉しそうに、睦月を見る。
「喜べ、睦月。お前とガライは近いうちに、勝利を得ることが出来る」
「本当ですか!?」
「俺の占いは当たる」
どこぞの占いをするライダーのようにシャドウは答える。
事実、シャドウの占いの的中率は高い。
シャドウは無邪気に喜ぶ睦月を見つめ、やはりまだまだだと笑った。
腰にあるサタンサーベルを見つめる。決闘はもうすぐだ。シャドウの心は喜びに踊った。
見張りを任せられたガライは夜空を見つめる。
おぼろげに輝く月に見入り、手に持つ二振りの剣を弄ぶ。
シャドウは自分にクールになれと言った。しかし、自分はもともと感情など持ち合わせていなかった。
苛立ちや嫉妬を覚えたのはいつだろうか? ガライはもう覚えていない。
「……またお前か」
現れた影は、冴子。本来なら怒りに任せて壊そうかと考えるが、今はそんな気が起きない。
相手にするのも億劫で、無視をするが、冴子はそんな事をお構いなしに話しかける。
「負けたのね」
ガライは沈黙を返す。これではかえって肯定しているのは分かっているが、ガライは他の手段を知らない。
「ねえ、あなたはあいつらに不満はないかしら?」
「どういうことだ?」
- 25 :宿敵2 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:26:55 ID:iAqnsGt/0
- 「あの剣を欲しいそうだけど、私と組んで手に入れない?」
「馬鹿な事を……」
ガライはそう言い、背を向ける。自分自身、それは魅力的な提案に思えている。
「強がらなくていいわ。今回の決闘の最中に奪いなさい」
「……お前とはもう話さん。それに、そろそろ時間だ」
ガライは踵を返し、地下に降りる。後ろでは冴子が月の女神のごとく、微笑を浮かべていた。
ガライは不覚にも、その姿に『美しい』と思う感情を学んだ。
□
「チャージアップ!!」
ストロンガーの胸のS字マークが回転し、その姿を進化させる。
赤い角は銀色に姿を変え、赤いプロテクターに白いラインが入る。
ストロンガーは黙って己の手を見つめた。爆発は起きない。
「やりましたね! 城さん……いえ、ストロンガー!!」
「ああ、そうみたいだ。早速だが、行くぞ! ガタック!!」
「はい!!」
月光の下、二人の仮面ライダーの影が交差する。
お互いの力を試すためとはいえ、手は抜かない。
ストロンガーの拳をガタックが受け止め、地面がへこむ。さすがに、チャージアップされたストロンガーの力は、制限下でも段違いだ。
その力に満足し、技を放った。
「トウゥー!!」
ストロンガーは跳躍し、空中で回転する。
「超電稲妻キィィィック!!」
その蹴りはガタックの後方を蹴りつけ、電気を放電させ、クレーターを作った。
- 26 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 18:27:48 ID:3ZpKl8Pu0
-
- 27 :宿敵2 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:27:52 ID:iAqnsGt/0
- 己の技に曇りがない事を確認して、ストロンガーは変身を解く。
「……絶好調だ」
「これで、シャドウに勝てますね!」
「ああ」
城は氷川に笑顔で返し、岩に腰を下ろす。すると、氷川は質問をしてきた。
「城さん、ジェネラルシャドウってどういう相手なんですか?」
「見たまんま。トランプ使って、剣を使う奴。敵としては強い。
あいつは俺を倒すのは自分だって言ってばかりで、いつもつけ回していた。
正直鬱陶しくてしょうがなかった。トランプ占いなんて、結構女々しいことするしな」
「は、はあ……」
「でもな、いつか卑怯な奴の罠にかかった時、俺とユリ子を助けてくれたな。俺を倒すのは自分だって言ってな。
ここにきた時もそうだ。氷川、俺は一度仮面ライダーを捨てて、怪人になる決心をしたんだ」
「ええ!!」
「ユリ子が再び死んで、俺はあいつを蘇らせることに魅力を感じてしまったんだ。その俺を止めたのは、よりにもよって敵のシャドウだったな。
俺の宿敵はブラックサタンの奇械人ではない。『仮面ライダー』ストロンガーだってな……」
そう言って城は夜空の星を見つめる。この戦いで新たに仮面ライダーの決意が出来たのは、シャドウのおかげだ。
だから、奴には全力をかけて勝つ。それこそが、シャドウに対する一番の礼儀だと思ったから。
「湿っぽいこと話してしまったな。少し、昔の話をするか」
「はい……」
それには満天の星が瞬き、城とシャドウの決闘を祝福しているように見えた。
城は、尊敬できる敵と戦うため、力を蓄える。
氷川はシャドウを語る城の表情に、浄や不浄を乗り越えた関係を感じ取った。
その関係を少し羨ましく思う。形は違うが、小沢と北条の関係が近いと感じた。
- 28 :宿敵2 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:29:25 ID:iAqnsGt/0
- 実は氷川は、シャドウが約束を反故にするのではないかと心配していたが、シャドウを信じる城を見て、馬鹿な考えだったと反省する。
城はブラックサタンやデルザー軍団との戦いを語り始めた。
氷川には、城が死を覚悟しているように見える。
事実、そうだろう。シャドウは強敵だ。
過去を語っているのは、自分に戦い方を教えるために思えた。
城の戦いの記録に氷川は感心する。その強さを学ぼうと、一言一句聞き逃さない。
「さて、そろそろ行くか」
「はい」
城の言葉を、氷川は揺らがぬ信念で答える。
決闘の時間は、もうすぐだ。
□
- 29 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 18:30:02 ID:3ZpKl8Pu0
-
- 30 :漢に響け戦神の歌 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:30:20 ID:iAqnsGt/0
- 風が吹き上げ、砂を舞い上げる。
月を背中に立つのは城茂、仮面ライダーストロンガー。
電気を操り、敵を討つ正義の戦士だ。
海を背に立つのはジェネラルシャドウ。
剣とトランプを操り、敵を討つ誇り高き魔人だ。
宿敵と言う名の星を背負う二人が対峙し、ただ風になぶられるままに任せた。
それぞれ、決闘の立会人の仲間が見守っている。先に口を開いたのは、城茂だった。
「気になるのか? 俺の剣が。
そういや、お前は自分の宿敵は素手と電気でしか闘わないって、言っていたっけな」
「正義を捨てようとしたお前が悪い。
俺としては、お前が正義に燃えているなら、剣を使おうが銃を使おうが、一向に構わん」
「言ってくれるぜ」
「この時を待ち望んだのだ。愚痴くらい聞け」
「へっ、丸くなっているんじゃねえ」
二人は笑顔を交わす。このような時が来るなど、さすがの二人も予想していなかった。
決闘にはいい風だ。どちらともなしに思うと、互いに構える。
シャドウは剣の柄に手を置き、城は両腕を右方向に突き出す。
二人は瞳を逸らさずに、全身に力を込めた。
「変身ッ!!! ストロンガァー!!」
「行くぞッ!! ストロンガァー!!」
ストロンガーは電気をほとばしらせ、シャドウはサタンサーベルを抜く際に衝撃波を放った。
電気と風が激突し、砂を舞い上げる。
だが、金属の激突音と共に、舞い上がった砂も吹き飛ぶ。
- 31 :漢に響け戦神の歌 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:31:09 ID:iAqnsGt/0
- 中央にはパーフェクトゼクターとサタンサーベルの鍔迫り合いを続ける戦士の姿。
「「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」
電気と風が命の研磨の儀式で発生する。
二人の戦士の戦いは、星に祝福されながら始まった。
パーフェクトゼクターは、目の前の紅い剣がただの剣でない事を悟る。
自分とストロンガーの力を持ってしても、下すことが出来ない。
使い手も一流なら、剣も一流。
ますます対抗心は燃え上がる。黄金の刀身に、紅の刀身がぶつかる。パーフェクトゼクターは己が身にエネルギーを僅かに纏いながら、対抗する。
(我は負けぬ。正義に燃える、ストロンガーがいる限り!!)
もう、本来の使い手、天道には会えない。しかし、その天道に負けないくらい正義に燃える使い手がいる。
パーフェクトゼクターは己が心を燃え上がらせていく。
サタンサーベルは、目の前の黄金の剣がただの剣でない事を悟る。
ゴルゴムに存在する至高の自分に迫る剣に、ひたすら対抗心を燃やす。
幸い、自分の使い手は本来の使い手、シャドームーンに負けないくらい剣技に優れている。
自分が勝つ確率は高い。王の剣である自分に、負けは許されない。
(余は負けぬ!! 勝ちこそが、余の栄光!! この度の勝利も、この使い手にくれてやる!!)
もう、本来の使い手、シャドームーンはいない。しかし、今の持ち主は自分に勝利をくれる。
サタンサーベルはただ貪欲に勝利を求め続ける。
雄たけびをあげながら、二人はぶつかる。
- 32 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 18:31:24 ID:3ZpKl8Pu0
-
- 33 :漢に響け戦神の歌 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:32:26 ID:iAqnsGt/0
- ストロンガーの力に、シャドウは僅かに呻いた。しかし、それは喜びの声でもある。
やはり、ストロンガーを宿敵と定めた自分の目に狂いはない。生涯最大の敵、それが目の前のストロンガー。
シャドウのテンションはこの上ないくらい上がっていく。サタンサーベルを振るう手は最早風をも越えた。
シャドウは十メートルの距離を一跳びで詰めて、ストロンガーの脇腹を狙って剣を横一文字に振るう。
しかし、その剣はストロンガーの黄金の剣に阻まれる。シャドウは力比べは分が悪いと判断して、素早く後方に跳ぶ。
もちろん、ストロンガーはシャドウを見逃すほど甘くはなかった。ストロンガーの手で剣が折りたたまれ、たちまち銃へと姿を変える。
ストロンガーの手より銃弾が放たれる。だがシャドウは冷静に銃弾を剣で叩き落す。
弾幕が一瞬途切れた隙にサタンサーベルから衝撃波を放った。飛び道具が使えるのは、お互い様だ。条件は五分。
ストロンガーは横にステップして衝撃波を避ける。さすがに速い。
「エレクトロファイヤー!!」
ストロンガーが地面を殴り、砂が爆ぜながらシャドウを襲う。
対処法を知っているシャドウは、なぜまた自分にこの技を使うのか疑問を持った。
しかし、シャドウは結局宙に跳び、電撃を避ける。空中で身動きの取れないシャドウを、ストロンガーが銃を構えて狙っている。
どんなに銃弾がこようとも、シャドウには叩き落す自信があった。だからサタンサーベルを構える。
―― KABUTO POWER ――
―― HYPER CANNON ――
電子音がストロンガーの持つ銃から聞こえてくる。エネルギーが銃口に集まる姿を見て、シャドウはストロンガーの狙いに気づいた。
「くっ!」
とっさにサタンサーベルの衝撃波をエネルギーの弾にぶつける。
ハイパーカノンのエネルギー弾は一回り小さくなるが、シャドウの腹へと当たった。
「ぬぅおおおぉぉ!!」
シャドウの身体が勢いよく後方に吹き飛ぶ。ストロンガーはこの好機を見逃さず、追撃をしてくる。
シャドウはトランプを引っつかみ、投げ散らかせる。
- 34 :漢に響け戦神の歌 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:33:33 ID:iAqnsGt/0
- 「トランプフェード!」
「ム! どこへ行った!? シャドウ!!」
「ここだ、ストロンガー」
シャドウはストロンガーを囲むように、五枚のトランプへと姿を変える。
一度破られた切り札はもう一度切り札となりえる。その確信があって、シャドウはこの技を再び仕掛けたのだ。
「言ったはずだ! 二度も同じ手は食わないと!! トゥ!!」
「どうかな?」
ストロンガーは宙へと飛び、腕を構える。
「電気マグネット!!」
やはり、カブトキャッチャーではなくその技で来た。こちらにはサタンサーベルのおかげで威力のある射程の長い技がある。
どの方向から衝撃波がくるか分からない現状、こちらの体制を崩そうと敵は思考する。
その結果、ひきつけて決着をつけるのだろうとストロンガーの心理をシャドウは読んだのだ。シャドウは身体が引っ張られていく。
だが、好都合。シャドウは引っ張られるまま、更に加速した。
「フハハッ! その技を待っていた!」
「!? しまった!!」
電気マグネットで引っ張られる速さと、自身の地面を蹴る速さが合わさり、ストロンガーにも捉えられない速さで迫ることが出来た。
シャドウはストロンガーを逆袈裟に斬る。先ほどのお返しだ。
「グワァァッ!!」
ストロンガーの胸から、血が吹き出る。しかし、あの僅かな時間で後方に身を引かれ、シャドウの剣の傷は浅くなった。
シャドウはサタンサーベルを振るって血を払い落とし、ストロンガーに話しかける。
ストロンガーは黄金の剣を、銃形態から剣へと変形させている。
「やはり、お前は俺の心を躍らせてくれる」
「へっ、俺をここまで肝を冷やさせる奴は、やっぱりお前ぐらいだ」
シャドウはストロンガーが仮面の下で微笑んだ気がした。
剣を握る手に力を込める。お楽しみはまだまだこれからだ。
- 35 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 18:34:17 ID:3ZpKl8Pu0
-
- 36 :漢に響け戦神の歌 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:34:55 ID:iAqnsGt/0
- 「「いくぞッ!!」」
二人を中心に衝撃波の嵐が巻き起こった。
ガライは目の前の戦いに、ただただ圧倒されるだけだった。
シャドウと仮面ライダーストロンガーと言う男が戦うと聞いて、ジャークに言われるまま流されてここまで来た。
ジャークには何か意図があるのかもしれないが、正直残っていたほうがよかった気がしていた。
しかし、その考えは間違えだったと、ガライは思う。
目の前で繰り広げられる戦いは、とてもじゃないがガライで演じれるような、生易しい戦いじゃない。
ストロンガーとシャドウ、超一流と呼ばれる戦士が揃って、初めて成立する戦いだということは理解できる。
同時に、ガライは羨望の眼差しを二人に向ける。
(なぜ俺じゃない! あそこで激闘を繰り広げれるのが俺じゃない!!
……いや、分かっている。俺じゃ役者不足なのだ。シャドウ、ストロンガー、お前たちの戦いを見て胸に宿る、この熱さは何だ!!
誰か、教えてくれ!!)
ガライは目の前の戦いを見逃さないよう、凝視し続ける。
彼を満足そうに見つめる、ジャークの姿に気づかずに。
睦月は、目の前の戦いの激しさに、ただただ驚くのみだけだった。
シャドウの実力は知っているつもりだった。一切手加減無しに手合わせをしていると思っていたが、それは睦月の勘違いだったことに気づく。
シャドウはキチンと手加減をしていたのだ。睦月の戦力を全て理解して。
ストロンガーとシャドウの戦いを見て、初めて睦月は凄い相手に鍛えられていた事を知った。
拳を見つめると、汗を握っていたことに、初めて気づく。
目の前の戦いは、どちらが勝つのか分からなかった。
- 37 :漢に響け戦神の歌 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:37:17 ID:iAqnsGt/0
- (最後まで見届けたい! シャドウさんの戦いを!!
俺にあそこまで強くなれるのか分からない。けど、あの強さは決して、アンデッドの力や最強のライダーの力に頼ったものじゃない。
剣崎さんや橘さん、相川さんと一緒だ。自分の鍛えた力だけで、あの領域までいけたんだ。
俺もいつか、あの場に――)
睦月はただ、その戦いに集中する。
その姿を、満足そうに見つめる小沢に気づかずに。
氷川は、仮面ライダーと対峙する怪人の凄さに唾を飲み込んだ。
ストロンガーだからあそこまで迫れるのであろう。シャドウと互角に戦えそうなのは、他には天道や光太郎たちくらいだ。
自分にシャドウに対抗できる自信はない。しかし、戦うとすれば根性だけで食らいつくつもりではある。
氷川は目の前の戦いを、ストロンガーの勝利を祈って見つめる。
しかし、自身の心に、シャドウに対する尊敬の念も浮かんでいることに気づいている。
高潔なまで、正面から技術と剣術を駆使するその姿、まさに理想の敵と言える。
氷川は、目の前の戦闘を神聖な儀式を見つめる眼差しで見つめた。
「それにしても、退屈だわ」
「そう? 私は結構こういうの好きだけど」
つまらなさそうに呟く冴子に、興奮している小沢が返す。
その様子に、ジャークは本当に女かと呆れた。
「何よ、ジャーク。文句あるわけ?」
「いや。それにしても、睦月やガライは夢中だな」
「やっぱり男の子よね。あんたも結構、好きなんじゃない? ああいうの」
「……まあな」
- 38 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 18:37:50 ID:3ZpKl8Pu0
-
- 39 :漢に響け戦神の歌 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:38:13 ID:iAqnsGt/0
- ジャークは目の前の戦いを羨ましそうに見る。
自分の立場は将軍。RXとの一騎打ちなど、許されない立場にある。
ここに来ても同じだ。自分には、仲間になったガライやシャドウ、睦月を連れて神崎を倒す義務がある。
決して自分の命を賭けにして無駄死に出来るような立場ではない。
シャドウのように、雇われ幹部だったらいかに楽だっただろうか。ジャークは少し、シャドウに嫉妬する。
もちろん、同時に祝福もしている。己が全てを受け止めてくれる敵など、そうそう出会えない。
ジャークは頬を緩めながら、目の前の戦いを見つめ続けていた。
□
「おお、やってるやってる。て、言うことで、ドラス、一つ頼むよ」
岩陰に隠れて激闘を発見したキングが、取り出した球体に呟く。
直ちに球体は空に浮かんで、その姿を変形させていった。
くすんだ鋼色の姿を持つ、昆虫を模した怪人が姿を現せた。
「で、どっちをやる?」
「う〜ん、そうだな。ストロンガーは面白かったし……やっぱシャドウって奴!
あのおっさんに馬鹿にされたのがムカつく!!」
「まあ、僕も気に入らなかったけどね。それに、デルザー軍団の幹部か。警戒しておいて損は無いね」
冷酷さの混ざる声に、キングは相変わらずヘラヘラしながら同意する。
「じゃあ、ゴーゴー」
「フフ……」
ドラスの肌が赤くなり、左肩に光が集まる。その一撃は、シャドウへと向かって放たれた。
□
「ハァー、ハァー」
- 40 :漢に響け戦神の歌 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:38:53 ID:iAqnsGt/0
- お互いの荒い息が聞こえ、睨みつける。
一進一退の戦いは、二人を疲弊させていった。
次で決まる。お互いにそう考え、構えをとる。
ストロンガーはチャージアップの準備をし、シャドウはサタンサーベルに力を込める。
風と波の音が聞こえ、戦場は緊張感に包まれる。
「チャージ……?」
「おぉぉ……?」
急に、光が満ち、夜にもかかわらず場が明るくなる。
そう思った瞬間、シャドウの身体が光の束に飲み込まれる。
「シャドウォォォォ!!」
ストロンガーの叫びが砂丘に響く。光の束は細くなり、地面に湯気を漂わせる。
シャドウは、膝をついてサタンサーベルで身体を支えていた。生きていることにホッとし、ストロンガーは光の矛先を睨みつける。
「やあ、あれで生きてるなんて、凄いね」
「でも虫の息〜。おっさん、終わりだね」
「お前たちは……ドラスッ!!」
「キングッ!」
氷川と睦月がそれぞれの名を呼ぶ。ストロンガーは怒りに肩を震わせた。
「なに? その目は。君の敵なんでしょう? ジェネラルシャドウは。
僕が代わりに倒してあげたんだから、感謝してよ」
「ふざけ……」
「ふざけるな!!」
シャドウが鋭い叫びを上げ、サタンサーベルを掲げて立ち上がる。
- 41 :漢に響け戦神の歌 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:39:44 ID:iAqnsGt/0
- 身体からは湯気が出ており、熱でダメージを受け、フラフラしている。
それでもドラスたちを見据え、怒りに声を震わせていた。
「俺とストロンガーの戦いが、俺たちの決着が、こんな形で終わっていいはずがない! そうだろ? ストロンガー」
「ああ、続きはこいつらをぶっ潰してからだ」
ストロンガーは両拳をぶつけ、電撃を発生させる。
シャドウと肩を並べて戦うのは初めてだが、こんなにも頼もしい奴はいない。
もっとも、一度誘われたこともあったが、その時は断った。今はそのことに少しだけ、後悔する。
そして無粋なのは、一番許せないのは、目の前の敵。
「行くぞ、シャドウ! しくじるなよ!!」
「キサマこそな! ストロン…………ガハッ!!」
シャドウの血反吐を吐く音に驚き、ストロンガーは振り向く。
そこには、背中から剣を突き刺され、崩れるシャドウが見えた。背中で突き刺しているのは、海老の女怪人。
「シャドウォォォォォォォォォォォ!!」
ストロンガーの絶叫が、満天の星空の元、響き渡る。
「冴子ッ!! キサマァ!!」
「あら、ジャーク将軍。私はもともとドラスくんたちと一緒にいたのよ。彼らのもとに戻るのは自然でしょう」
「ふざけるな!! 天ムス!!」
ロブスターオルフェノクの影は冴子の形を作り、妖しく微笑む。
続けて、ロブスターオルフェノクはガライへと身体を向けた。
「あなた……今がチャンスよ。私たちと一緒に行かない?」
- 42 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 18:39:47 ID:3ZpKl8Pu0
-
- 43 :漢に響け戦神の歌 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:41:03 ID:iAqnsGt/0
- 「ガライ……まさかキサマッ!」
「誘っていたわ。さあ、あなたが欲しがっていた剣はここよ」
ガライは無言でロブスターオルフェノクへと歩いていった。ジャークが怒りを浮かべるのが分かる。
自分たちの勝ちだ。後はこの場にいる全員を始末すればいい。ロブスターオルフェノクがそう確信した。
やがて、ガライは目の前に来る。しかし、何もしない。
「どうしたの?」
ロブスターオルフェノクは不審に思っていると、ガライはコブラ怪人へ一瞬で姿を変えた。
その手でGS−03を起動させ、両手の剣で斬り付けてきた。
驚くロブスターオルフェノク。しかし、障壁がガライの二振りの剣を押しとどめる。
「間一髪」
駆けつけたコーカサスビートルアンデッドが障壁を展開させ、ロブスターオルフェノクを守ったのだ。
一瞬焦ったことに恥じ、ロブスターオルフェノクはガライへと話しかける。
「あなた、どういうつもり?」
「俺はただ、キサマを斬りやすい位置に移動しただけだ。
俺はッ!! あの戦いの結末を、あの戦いの終わりを見届けたかった!!
それをキサマは壊した!! 一つだけ感謝してやる。
これほど激しい怒りがあったのだと、理解できたのだからなッ!!」
ガライは更に剣を押し込む。障壁が火花を散らすが、まだ崩れない。
こちらから仕掛けるべきだ。ロブスターオルフェノクがそう思った時、電子音が響いた。
―― ONE ――
―― TWO ――
―― THREE ――
―― RIDER KICK ――
「ライダーキック!!」
- 44 :漢に響け戦神の歌 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:43:25 ID:iAqnsGt/0
- ガライの横を通り、青い仮面ライダーが蹴りを放ってくる。
電撃が迸り、ガライと共に力を込めていく。
「「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」
ピシピシと障壁に亀裂が入る。ロブスターオルフェノクは退く準備をするが、間に合わない。
ガラスが砕ける音が響いて障壁が割れる。だが、ドラスがその赤い装甲で攻撃を受け止めた。
轟音が轟き、砂が舞う。ドラスは腕を振るって、ガライとガタックを跳ね飛ばす。
「ぐぅ!」
「うわっ!」
「さすがね、ドラスくん」
「うん。でもちょっと不利だね。この人数相手じゃ、さすがにキツイよ。
一旦退くけど、いいかな?」
「残念ね。脱出アイテムを向こうは持っているんだけど」
「だったら後で奪うよ」
「問題な〜い」
「逃がすかッ!」
ジャークが電撃を放つが、ドラスは地面に向かって両拳を撃ちはなった。
もくもく砂塵が浮かび、三人は姿を隠す。
「アハハハハハハハ!!」
ドラスの笑い声が響く。
ロブスターオルフェノクは、やはり自分はここが居心地いいと感じている。
影には、冴子の笑みが浮かんでいた。
「ジャーク!! ライダーブレスを貸して!! あいつ、一回ぶっ飛ばさないと、私の気が晴れない!!」
- 45 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 18:44:17 ID:3ZpKl8Pu0
-
- 46 :漢に響け戦神の歌 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:44:21 ID:iAqnsGt/0
- 「もう…………遅い」
ジャークの悔しげな声に、小沢は無念の表情を浮かべる。
冴子は、ドラスは、キングは、おおよそ最悪な方法で決闘に横槍を入れた。
現代に生きている小沢だが、その事を生きがいにしている相手を馬鹿にするほど落ちぶれてはいない。
むしろ、拳で語り合うという化石に近い考えを持つシャドウは、好意を持てる対象だ。
小沢は怒りに身体を震わせる。睦月は真っ先に、シャドウに駆けつけている。
「シャドウさん!! しっかりしてください!!」
「睦月くん、揺らさないで! 今応急手当をするから」
小沢は砂を蹴ってシャドウの傍による。怪我の具合を確かめるが、これは酷い。
熱によって身体の表面が焼かれている。透明のフードが無事なのは、何か特殊な素材だからだろうか?
破れた白いタイツの下には、炭化している肌が覗いている。
腹に刺された傷も深く、臓器を傷つけている。
「どうだ? シャドウの状態は?」
ジャークの問いに、小沢は渋い表情で首を横に振るう。小沢の身体が持ち上がる。
ジャークが怒りを浮かべた表情で、小沢の襟首を掴んでいるのだ。
「そちは科学者なのだろう!? 改造人間の、シャドウの命を助けることは出来ないのか!?」
「私だって、この戦いを中途半端に終わらせてあげたくないわよ!!
でもね、シャドウの生身の部分がほとんど傷ついている。機械の部分だって、熱でやられて正常に動かない。
向こうにある研究施設でも機材が、部品が足りないのよ! 機械部分だけでも無理なのに、生身が……」
「構わん、ジャーク……」
シャドウが剣を杖に立ち上がり、睦月に支えられる。その瞳に、ストロンガーを映して。
「これで、火がついた。決着を……つけるぞ…………スト……ロンガー」
弱々しい声で呟くシャドウに、ストロンガーは構えない。ただ、拳を震わせているだけだ。
小沢から見てシャドウは重傷だ。もう、立つことも辛いはずだ。
それでも、剣を構えてストロンガーに対峙している。そのシャドウの姿に、どれほどこの戦いを望んでいたか汲み取れる。
- 47 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 18:45:40 ID:1Nzdm0yS0
-
- 48 :漢に響け戦神の歌 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:47:41 ID:iAqnsGt/0
- こちらに歩み寄ってくる、変身を解いたガライと氷川も悲痛な表情をしている。
シャドウを支えていた睦月が、前に出てベルトにカードをセットしている。
「睦月……?」
シャドウが呟く。ジャークと小沢も、同じく睦月の名を呼ぶ。
睦月はシャドウが倒れないように支え、ストロンガーを睨みつける。
「ストロンガー! 俺がシャドウさんの代理だ!
シャドウさんの代わりに、俺があなたを倒す!!」
睦月の宣言が、月光の下、告げられる。
小沢の目には、一人の漢の顔に成長した、元少年の姿が映っていた。
「何の冗談だ?」
冷ややかなストロンガーの言葉。それもそうだろう。
シャドウとストロンガーの戦いは凄まじかった。自分では、ストロンガーの相手は役者不足だ。
実際、威圧されているだけなのに、睦月の身体は震え、冷や汗が滝のように流れる。
だが、ここで屈してはいけない。シャドウを負けにして退けない。
たとえ身体が立つのがやっとでも、戦う事をやめないシャドウに、睦月は心が熱くなる。
シャドウの思いを無駄にしたくない。だから決着を自分が代理としてつける。睦月は頭ではなく、心でそう判断した。
「睦月……」
シャドウの言葉に、ビクッと震える。怒っているだろうか?
だが、自分はたとえシャドウの叱責があっても動かないつもりだった。
その睦月の背中からかけられた声色は、意外と優しい。
「自分の……力で切り…………開く。お前が……言ったこと…………だ。忘れ……るな」
- 49 :漢に響け戦神の歌 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:48:43 ID:iAqnsGt/0
- 睦月は目を見開き、泣きそうな表情で頷く。シャドウに見えていないのは幸いだ。きっと怒鳴られる。
不思議なことに、睦月はもうストロンガーが怖くない。
睦月の傍に、サタンサーベルが砂浜に突き刺さる。
「いいんですか?」
「せめて、剣だけ……でもお前と…………共に……」
シャドウが後ろに倒れる。驚いて振り向くと、ガライが受け止めていた。
ガライは無言で頷く。睦月は正面を向き、右手は仮面をかぶるように顔を覆い、左手は身体を抱くように腰へと当てる。
風が吹きぬけ、砂が足元に舞う。
「変身ッ!!」
睦月は腕を下ろし、バックルを開く。紫色のゲートが戦士の鎧を形成しながら通る。
蜘蛛の始祖、スパイダーアンデッドの力を引き出し、ライダーとしての最強スペックを誇るレンゲル。
だが睦月として、仮面ライダーとしての力はそんなことで形成されているものではない。
剣崎の、始の、橘の、嶋の、城光の、望美の、ジャークの、ガライの、小沢の、シャドウの支えを得て、光と闇を彷徨い手に入れた強さだ。
―― ストロンガーは強いぞ。手を貸そうか? ――
まだスパイダーアンデッドは諦めていないらしく、しつこく声をかけてくる。
だが、レンゲルはサタンサーベルを掴み、振り下ろすと同時にスパイダーアンデッドの気配が遠ざかるのを感じる。
もう、迷わない。光より、闇よりも輝くものが睦月の胸に宿ったからだ。
右手でレンゲルラウザーを回し、左手でサタンサーベルを握る。
レンゲルの瞳はただ、正面を向いていた。
□
「馬鹿なッ! こうもあっさり、奴が復活するなど……」
- 50 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 18:49:11 ID:3ZpKl8Pu0
-
- 51 :漢に響け戦神の歌 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:49:56 ID:iAqnsGt/0
- 「それが睦月の強さだ。カテゴリーA」
スパイダーアンデッドはカードに拘束されていく中、話しかけてくる男に向く。
忌々しいその男は、勝ち誇った顔をしていた。
「彼はもう迷わない。光より、闇より大事なものを見つけたから」
「何だ? それは?」
「絆さ。蜘蛛の糸のように睦月に絡みつく、その頑強さを彼自身があらためて気づいた。
君や、僕の声は届かない。やはり、君に任せてよかったよ。シャドウくん」
光に吸い込まれ、スパイダーアンデッドは足掻く。だが、それは無駄だ。
同時に、スパイダーアンデッドは光にしては闇も混じっているような気がした。
声にならない断末魔を上げ、スパイダーアンデッドは消えていく。
最後に、寂しそうながらも、嬉しそうな男の顔を見て。
□
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」
レンゲルは叫びながら、レンゲルラウザーを突き出す。
疾風のような突きを、ストロンガーは危なげもなく避けていく。しかし、レンゲルは予想していた。
もともと当てれるとは思ってもいない。続けて、左手のサタンサーベルを突き刺す。
もちろん、これもストロンガーは身体を捻って避ける。レンゲルは、心の中でガッツポーズをとり、衝撃を放つ。
「むっ!」
砂が舞い散り、視界を隠す。レンゲルは一瞬の間を得ている事を祈る。
カードを使う隙が欲しかったのだ。しかし、ストロンガーは甘くない。
「どこを見ている? 電パンチ!!」
「がぁぁぁッ!!」
レンゲルの身体が地面を転がり、数メートル吹き飛ぶ。血反吐を吐きながらも、脚が震えながらも、レンゲルは立ち上がる。
- 52 :漢に響け戦神の歌 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:51:02 ID:iAqnsGt/0
- ストロンガーは、ただ無言。レンゲルは痺れる身体に活を入れて、レンゲルラウザーとサタンサーベルを構える。
「即興の二刀流で、俺に勝てるとでも思っているのか?」
「勝つために……あえて不慣れな二刀流で戦っているんです!!」
「吠えているんだな」
ストロンガーが黄金の剣の赤いボタンを押す。エネルギーが電子音と共に発せられ、剣を包み込む。
―― KABUTO POWER ――
ストロンガーは地面を蹴り、レンゲルに迫る。
―― Hyper Blade ――
横一文字に振るわれる黄金の剣を、紅い剣で受け止める。
必死にくらいつくため、レンゲルはサタンサーベルの衝撃波を発生させる。
凄まじいエネルギーの衝突に、ただただレンゲルは身体を持っていかれないようにするので精一杯だった。
「ちょっと、逃げるわよ!」
「はい」
小沢の言葉に、氷川とジャークがシャドウを抱えて退く。
相手を斬り裂く衝撃波が、見守っている小沢たちにも届いているのだ。
やっと安全な位置へ移動した小沢が、一人足りないのに気づく。
「何をしている? ガライ。早くここへ……」
「行かん」
「なぜだ!?」
- 53 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 18:51:38 ID:3ZpKl8Pu0
-
- 54 :漢に響け戦神の歌 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:52:01 ID:iAqnsGt/0
- 「……あそこで、睦月はシャドウの手足の代わりに戦っている」
仁王立ちをし、戦いを見届けているガライの身体を、衝撃波が切り裂いた。
血が流れるが、ガライは微動だにしない。その顔に、決意が満ちている。
「だから、せめて俺はシャドウの眼の代わりとなる!
シャドウが見届けれない範囲を、シャドウが睦月に声をかけれない範囲を、俺が代わりに行う!!」
電撃が、ガライの身体にかかって火花を散らす。
それでも、ガライはひたすら正面を睨みつけているだけだった。
「俺は退かん! ここで、奴の戦いを見届ける!!」
ガライの決意の声は、どこまでも響いた。小沢は驚きながらも、シャドウの手当てをやめない。
せめて、この戦いが終わるまでは持たせてやりたい。
「見ているか? シャドウ。睦月が、ガライがお前の代わりにストロンガーと戦っている。
あの二人が、お前の代わりに……」
ジャークが、震える声でシャドウに話しかける。シャドウはただ、静かに頷くだけだった。
(あなたたちは天道くんを死なせるきっかけになって、人間のことなんてなんとも思っていもいないくせに……)
小沢は目の前の男たちがやったことは許せそうにない。許してはいけない。
だが、それでも認めざるを得ないものがある。
(なんで、魂はそんなに熱いのよ)
歯を食いしばる小沢は、ストロンガーに翻弄されるレンゲルの姿を、熱を宿した視線を向ける。
彼女は、どちらを応援していいか判断できなくなっていた。
「ハァ、ハァ、ハァ」
レンゲルはレンゲルラウザーを杖代わりに、立つのもやっとの状態だった。
シャドウはやはり凄い。これだけの猛攻を捌き、耐えていたのだ。対峙してあらためて分かる、ストロンガーの強さ。
(やっぱり……俺じゃ……勝てないのか……?)
- 55 :漢に響け戦神の歌 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/19(水) 18:52:50 ID:iAqnsGt/0
- そう思考した瞬間、レンゲルの身体が崩れ落ち始める。目の前もぼやけ、視界がまともに働かない。
レンゲルの膝が、地面につきそうになる。
「倒れるのか!? 睦月!!」
レンゲルは身体が崩れる一歩手前で、自らを貫く怒声に動きを止める。
声の方向に振り向くと、全身に傷を負ったガライが仁王立ちで睨んでいる。
「ふざけるな! キサマは今、シャドウの代わりをしているのだぞ!
奴ならここで膝を屈しない!! おまえ自身も、俺に勝った男だ!!
こんなところで、俺以外に負けるなど、決して許さん!!」
「…………ああ、分かっているさ!!」
最早、レンゲルの脚は震えていなかった。
しっかりと正面を睨み、脚は大地を踏みしめている。レンゲルの瞳に、少し笑みを浮かべるガライが眼に入る。
ゆっくりと、ストロンガーはこちらに歩んでくる。
「闇に落ちた仮面ライダーの割りに、結構根性あるみたいだな。
だが、これで終わりだ! チャージアップ!!」
ストロンガーの角が銀に変わり、赤いプロテクターに白いラインが入る。
レンゲルは相手がこちらに止めを刺す気だと悟る。自分の作戦が上手くいくのか、不安になった。
すると、カードが一枚落ちる。クラブの6、シャドウが自分たちが勝利を得ると宣言したカード。
「トゥ!!」
ストロンガーが跳躍する。不思議と、カードを見た瞬間からレンゲルの身体は羽のように軽くなった。
レンゲルは地面に落ちたカードを拾い、構える。
「超電子ドリルキィィィィィィィック!!!」
回転を続けるストロンガーが、盛大な電気を右足に纏い、迫る。
レンゲルはカードを通し終えている。
―― Blizzard ――
レンゲルの身体から吹雪が放射され、ストロンガーの身体を固める。
- 56 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 18:54:21 ID:3ZpKl8Pu0
-
- 57 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 19:00:38 ID:IDJv2DOAO
-
- 58 :漢に響け戦神の歌 ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/09/19(水) 19:00:45 ID:3ZpKl8Pu0
- しかし、これは時間稼ぎにすぎない。レンゲルは素早く、もう一枚のカードをスラッシュする。
氷を砕いたストロンガーの蹴りが、レンゲルを直撃する。
レンゲルの身体は後方に、勢いよく吹き飛んだ。
「何だ? 今の妙な感触は……ぐぅ!!」
?? Gel ??
遅れて、レンゲルラウザーから電子音が響く。ストロンガーの肩には、サタンサーベルが刺さっている。
レンゲルはポーラーブリザードでストロンガー自身の電気をある程度放電させた。
続けて、ジェリーフィッシュゲルで身体を液状化させ、アースのように電気を逃がしながら、身体の弾性で蹴りの衝撃を和らげたのである。
ゆえに、レンゲルにも反撃する隙が出来たのだ。
今、ストロンガーの肩にサタンサーベルが刺さっているのがいい証拠。
そのまま空中で取り出した三枚のラウズカードのうち、一枚をスラッシュする。
今度は電子音が響かない。だが、レンゲルの身体が空中でストロンガーに向かって、勢いよく突進していく。
「これは……シャドウの使った戦法!?」
そう、レンゲルが使ったのはスペードの8、バッファローマグネット。
シャドウの戦法を真似て、最も効果のあるこの場で使ったのだ。続けて、最後のAPを使い切るように、二枚のカードをスラッシュする。
またも、電子音は響かない。
「電パンチッ!!」
これは賭けだ。レンゲルはあと一撃でもくらえば負ける。あの拳が当たるまでに、ストロンガーを倒すこの一撃を与えなければならない。
レンゲルの脚に炎が纏い、その身を回転させる。
(シャドウさん……)
最初出会った時は、人でないくせにうるさい相手だとしか思えなかった。
カードさえ手に入れれば、どうでもいい相手のはずだった。
(俺が、必ずあなたの勝ちを……)
- 59 :漢に響け戦神の歌 ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/09/19(水) 19:01:21 ID:3ZpKl8Pu0
- しかし、幾度も棒を打ち込まれ、生き残る術を教えようとしてくれる姿、今なら分かる。
シャドウは言葉はどうであれ、態度はどうであれ、嶋や光のように自分を見守ってくれていたのだ。
(決めて見せる!! 橘さんの……いや、俺のバーニングスマッシュで!!)
ここで漢を見せないで、いつ見せるのか。レンゲルは熱い想いから、この技を選択した。
胸の熱さを纏うように、炎のオーバーヘッドキックをストロンガーの身体へと叩きこまんと迫らせる
「シャドォォ゛ォ゛ォウヴウヴウウゥゥゥ゛ゥゥ゛ゥゥ!!!」
ストロンガーの拳とレンゲルの蹴り。
いずれかが激突するつんざくような音が砂浜に響く。
夜空には星が、静かに瞬いていた。
「ハア、ハア、ハア」
立っているのは、仮面ライダーレンゲル、上城睦月。
ストロンガーの肩から抜けたサタンサーベルを左手に握り、息も荒く立っている。
後ろで、変身の解けた城が氷川に介抱されている。
「すまねえ、氷川。負けて……しまった」
「いいえ、あなたは頑張りました。城さん」
「おい、仮面ライダーの兄弟」
城がレンゲルに話しかける。その顔は、負けたのに清清しさを残している。
「俺の完全な負けだ。シャドウも凄いぜ。こんなに強い仮面ライダーを育てたんだからな……」
「あ、ありがとうございます」
レンゲルは礼を言うと、緊張が解け、元の姿へと戻る。
ふらつき倒れそうになる睦月を、白いたくましい腕が抱きとめた。
その主を見ると、精悍な顔に笑みを浮かばせたガライがいた。
- 60 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 19:01:28 ID:IDJv2DOAO
-
- 61 :漢に響け戦神の歌 ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/09/19(水) 19:01:53 ID:3ZpKl8Pu0
- 「キサマは勝者だ。勝者は笑って、勝ちを宣言しろ」
そんな事を言うガライは、二時間前まで自分を脆弱だと見下した彼とは思えない。
睦月は頷き、サタンサーベルを掲げる。ガライはその手を支える。
これは、二人で得た勝利。
「ウオォォォォォォォォォォォォ!!」
睦月は腹の底から勝利の雄たけびをあげる。
睦月にもう、闇の幻影は見えない。
- 62 :仮面ライダーに勝った男 ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/09/19(水) 19:02:27 ID:3ZpKl8Pu0
- シャドウの前に、睦月はガライの肩を借りて立っている。シャドウの表情が暖かいことが、余計に彼らを悲しくさせているようだ。
「シャドウさん、俺勝ちました……。いえ、あなたの勝ちです」
「違う……おまえ自身の、勝利だ」
勝利を報告する睦月に、シャドウは弱々しく微笑む。
睦月はサタンサーベルをシャドウの手に握らせる。ジャークは悔しげに歯を食いしばっている。
睦月の顔は涙に濡れている。小沢も悲痛な顔をしている。ガライは、己の感情に戸惑いながらも、何と声をかけていいか分からないさそうにしている。
そんな一同を、シャドウは優しく見ているだけだ。
氷川の肩を借りる城が、身体をふらつかせながらも叫ぶ。
「シャドウ、二回も勝っておきながら、勝ち逃げするつもりか!?
今度は俺から戦いを挑むから……だからまだ死ぬな!!」
「もう……身体に感覚がない。小沢のおかげで、睦月の勝利を見れたが、最後だけが少し見えなかった」
「睦月の炎の蹴りが、ストロンガーの電気の拳より一瞬早く決まった」
「そうか。すまない、ガライ」
最早ガライの表情さえも、シャドウには見えなかった。
だが、悔しそうに呻くその声で充分だ。
「城茂……俺は初めて知った……。残している……何か……があると、死を……前にしてもこう……も穏やかにな……れるのだな」
シャドウはここに来て、出会った連中に思いを馳せる。
もともと、嶋のお節介から睦月の存在を知り、仮面ライダーなのに不完全さに苛立ったのがきっかけだ。
鍛えていく中、確実に教えを吸収していき、成長していく睦月。
感情を露にし、腕はありながらも惜しいと思えるガライ。
威圧感と威厳を持ちながら、情に厚いジャーク。
人質になりながらも、毅然とし対等に接しようとする小沢。
シャドウは、ヘビ女以外信頼できる仲間が出来た。
ここに来て、多くのものを得たようにも思う。
シャドウはゆっくりとサタンサーベルを月に向かって掲げる。
- 63 :仮面ライダーに勝った男 ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/09/19(水) 19:03:04 ID:3ZpKl8Pu0
- まずは、祝福の言葉を一番成長した男に、
「睦月に……」
そして、睦月と共に自分の代わりにストロンガーと戦った男に、
「ガライに……」
続けて、自分をこのチームに引き入れ、脱出を目指す男に、
「ジャークに……」
最後に、人質ながらも、自分たちと対等に接せる女に、
「小沢に……」
力を振り絞って剣の柄を握り、腹の底から叫ぶ。
「栄光ッ!! あれーーーーー!!!」
シャドウの叫びが、夜を切り裂いて仲間の心を貫く。
ゆっくりとゆっくりと、サタンサーベルを降ろしていく。今際に仲間を傷つけないようにだ。
自分の名が叫ばれている。誰が叫んでいるか一瞬だけ疑問に思うが、この声は忘れるわけがない。
「さらばだ……我が宿敵、城茂」
それは、永遠の別れの言葉だ。
「シャドウォォォォォォォ!!」
城の叫びが轟く。抱くのは、徐々に体温を失っていく宿敵の身体。
城は、ジェネラルシャドウの死に二度立ち会うことになった。
最初の死は、死闘の末ボロボロになった身体で、マシーン大元帥に捕まった。
だから、シャドウの死は悪を一人倒した。その程度の認識であった。
しかし、今は違う。二人の仮面ライダーを闇から引き上げ、全力で立ち向かえる尊敬できる宿敵。
- 64 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 19:03:30 ID:IDJv2DOAO
-
- 65 :仮面ライダーに勝った男 ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/09/19(水) 19:03:44 ID:3ZpKl8Pu0
- 城とシャドウの間には奇妙な友情が形成されていた。
シャドウの死から、いち早く立ちあがる者がいる。
ジャーク将軍、彼は悲しみを秘めながら、神崎士郎を倒す使命を頼りに脚に力を込めたのだ。
「……ストロンガー、我々が勝ったのだ。小沢は渡さん。文句はないな。
南光太郎に、ハイパーゼクターを持って待っていると伝えるがいい」
「……小沢さん」
「心配しないで、氷川くん。結構待遇いいのよ」
小沢が気丈にも仲間に答えている。やはり、自分の目に狂いはない。
小沢は脱出に必要なピースの一つだ。逃がすわけにはいかない。
睦月が何かを決意したように、ジャークに話しかけてくる。
「ジャーク将軍、少し待っ……」
「睦月、ここでお別れだ。そちは仮面ライダーとしていくがよい」
「そっ……!」
「二度は言わぬ!! そちがついてくることは許さん!!」
ジャークは杖を掲げて、睦月に決別の言葉を投げかける。
しかし恐れを見せない睦月に、ジャークはフッと表情を和らげる。
「それに、そちにはやはり仮面ライダーが似合っておる。さらばだ……」
ジャーク自身は気づかないが、それは独り立ちした息子を祝う、父親の表情に似ていた。
ジャークは小沢を連れて、踵を返す。小沢と目が合うと、彼女は微笑んでいた。
ジャークは急に気恥ずかしくなり、ガライを呼ぼうとあたりを見渡す。
ガライはサタンサーベルを睦月の目の前の地面に刺す。
「睦月、このサタンサーベルはお前に預ける。
お前にその気があるなら、再びここでサタンサーベルを賭けて一対一の決闘をしよう」
- 66 :仮面ライダーに勝った男 ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/09/19(水) 19:04:19 ID:3ZpKl8Pu0
- 「ガライ……」
睦月の言葉に、ガライは背を向けてジャークと並ぶ。
ジャークはため息を吐きながら、ガライに問う。
「シャドウに影響でも受けたか?」
「さあ?」
ガライは微笑みながら、ゆっくりと歩む。
その顔は、すがすがしい風が舞い降りている。
(まったく、こいつらは本当に……)
小沢は体育会系な二人に、苦笑する。こいつらのこういうノリは嫌いじゃない。
しばらくは人質生活だが、まあ、しょうがない。睦月が成長しただけ、よしとする。
(シャドウ、栄光を祈ってくれて、ありがとう。あなたの想い、きっと無駄にしないから)
小沢は正面を見つめる。この怪人たちをどうにか味方につけれないか思考しながら、首輪の解除への決意を固める。
彼女の笑みは、暖かかった。
□
ジャークたちが去った後、城たちはシャドウの墓を作り上げる。
盛り上がった砂にシャドウの作った練習用の棒を突き立てる。
睦月が思い入れのある、特訓道具らしい。
「城さん、氷川さん。俺、シャドウさんに何がしたいか、分からないと答えました」
睦月は一呼吸置いて、こちらに振り向く。
決意のこもった表情は、見ていて気持ちいい。
- 67 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 19:04:33 ID:IDJv2DOAO
-
- 68 :仮面ライダーに勝った男 ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/09/19(水) 19:04:52 ID:3ZpKl8Pu0
- 「でも俺自身のしたいことは、見つかりました。
俺は、シャドウさんの誇っていた宿敵、仮面ライダーになりたい。でも、ただの仮面ライダーじゃない。
怪人の、シャドウさんの力も受け継いだ、仮面ライダーに俺はなります!!」
「睦月さん……」
「言うじゃないか。睦月、これからもよろしくな」
「はい!」
差し出す城の右手を睦月が強く握り返した。シャドウが残したものはここにある。
城はそれを確かめ、ドラスたちが消えた場所を睨みつける。
シャドウ、睦月との連戦は城の身体に堪えている。
正直、その身体に構わず追いかけたいが、シャドウの残した睦月を無駄死にさせるわけにはいかない。
身体を休めながら、連中を追う。城の決意は決まった。
「一時間休んだら奴らを倒しに向かうぞ。残り一時間で奴を探し、制限が解けた瞬間に戦いを仕掛ける。いいな、睦月、氷川!」
二人は無言で頷く。城の闘志はどこまでも燃え上がった。
(ジャーク将軍、俺は諦めません。きっとあなたと俺たちは分かり合える。
だから、他のライダーに合流したら、手を組むように説得する。
シャドウさん、神崎士郎を必ず倒します。見ていてください!!)
睦月は右手に持つサタンサーベルに、心の内で話しかける。
サタンサーベルは血のように赤い刀身に、月の光を反射させ鈍く光っていた。
□
シャドウは暗い廊下を歩いていく。
ここがどこかは大体予測はついている。自分は死んだ。
- 69 :仮面ライダーに勝った男 ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/09/19(水) 19:05:27 ID:3ZpKl8Pu0
- ならここは冥府魔道なのだろう。シャドウは足を止める。
見覚えのある人影が、目の前で佇んでいたからだ。
「キサマは何でもありか? 嶋」
「ハハッ……そうでもないけどね。光くんはつれてこなかったよ。伝言を伝えなかったことに怒っているみたい」
「ふん、キサマらはいつでも伝えれるだろう」
嶋は苦い顔を浮かべて、こちらを見つめる。
おおよそ、こちらが死んだことに苦い思いをしているのだろう。しかし、シャドウには余計なお世話だ。
「気にするな。俺は俺の思うままに生きた。悔いはない」
「すまないね……」
「……睦月は強い。もう、俺がいなくても問題はないだろう。
それに、傍には城茂がいる。何も、問題はない」
「やはり、君に任せて正解だったよ。ありがとう」
シャドウと嶋は笑顔を互いに交わす。
シャドウは無言で、歩くのを再開した。
「シャドウくん、彼らは勝つと思うかい?」
「当たり前だ」
シャドウはここに来て、多くのものを手に入れた。
ストロンガーへの勝利、信頼できる仲間、自らの技を残す者たち。
地位も名誉も何もかも失い、利用されて消えていった本来の時間軸のジェネラルシャドウとは違う。
確固たる、誇り高いものを胸に、彼は地獄へと進む。
その目に、迷いはない。
「俺の名はジェネラルシャドウ!! ストロンガーの宿敵だ!!」
炎へと飛び込むシャドウは、自分が勝った男の名を叫んで、炎に消える。
魔人の笑い声が、地獄で響いた。
- 70 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 19:05:42 ID:IDJv2DOAO
-
- 71 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 19:06:40 ID:mhgZkmZLP
- 【ジェネラルシャドウ 死亡】
残り18人
【城茂@仮面ライダーストロンガー】
【2日目 現時刻:黎明】
【現在地:海岸I-3】
[時間軸]:デルザー軍団壊滅後
[状態]:全身に負傷大。疲労大。応急処置済み。二時間変身不可(ストロンガー)。真実を知り、守れなかったことによる後悔。
[装備]:V3ホッパー。パーフェクトゼクター。
[道具]:支給品一式(茂)
[思考・状況]
1:ドラスたちの探索。ジェネラルシャドウの仇を討つ。
2:殺し合いを阻止し、主催者を倒す。
3:殺された仲間たち、ひよりの仇討ち。
4:ジャークの伝言を光太郎に伝える。
※チャージアップが使用可能になりました。
※制限により、パーフェクトゼクターは自分で動くことが出来ません。
パーフェクトゼクターはザビー、ドレイク、サソードが変身中には、各ゼクターを呼び出せません。
また、ゼクターの優先順位が変身アイテム>パーフェクトゼクターになっています。
※真実を知りました。
※ひよりが記憶を失っていることを知っています。
[その他共通事項]
※1:破壊されたスマートバックル、果物ナイフ数本はE-4エリアの高層ビルのレストラン内部、瓦礫の下に放置されています。
※2:ドクターケイトの杖はE-4エリア内の高層ビル付近に落ちています。
※3:アクセルレイガンは樹海エリアC-4に放置されたままです。
- 72 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 19:07:12 ID:mhgZkmZLP
- 【氷川誠@仮面ライダーアギト】
【2日目 現時刻:黎明】
【現在地:海岸I-3】
[時間軸]:最終話近辺
[状態]:中程度の負傷。胸に大火傷。二時間変身不可(ガタック)
[装備]:拳銃(弾一つ消費)。手錠等の警察装備一式(但し無線は使えず、手錠はF-4のビル内に放置)。
ガタックゼクター&ベルト。GX−05ケルベロス(但し、GX弾、通常弾は全て消費)
[道具]:但し書きが書かれた名簿。デザートイーグル.357Magnum(4/9+1) 。
デイバック 。
[思考・状況]
1:城と睦月と共にドラスたちの探索。ジェネラルシャドウの仇を討つ。
2:小沢の救出。もしかして、ジャークたちと共闘できるのでは?
3:もうひよりに悲しい思いをさせたくない。
4:此処から脱出する。
[備考]
※1:時間軸にずれがあること、異世界から連れてこられたことは情報として得ました。
※2:仲間である人物と敵であろう人物の共通認識がされました。
※3:ひよりが記憶を失っていることを知っています。
- 73 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 19:07:48 ID:mhgZkmZLP
- 【上城睦月@仮面ライダー剣】
【2日目 現時刻:黎明】
【現在地:海岸I-3】
[時間軸]:本編後。
[状態]:全身に負傷大。疲労大。二時間変身不可(レンゲル)
[装備]レンゲルバックル+ラウズカード:クラブのA〜7、10〜K
ギャレンバックル+ラウズカード:ダイヤのA〜6・8・Q・K
ラウズカードのみ:スペードの4・7・8・J・Q ハートの3・4・7・10〜K
剣崎のブレスレット(単なるアクセサリー。特殊効果はありません)。サタンサーベル
[道具]:配給品一式(橘)。剣崎のペンダントと指輪(いずれもシルバー製アクセサリー)。
[思考・状況]
1:ジェネラルシャドウが誇る宿敵、仮面ライダーとして戦う。
2:キングたちを倒して、ジェネラルシャドウの仇を討つ。
3:ハートのラウズカードを集め、始を人間に戻す。無理なら封印もやむなし。
4:ジャーク将軍に共闘を持ちかける。ライダー側にも、共闘を持ちかける。
5:ガライとサタンサーベルを賭けて一騎打ちをする。
6:小沢澄子に、自分を支え続けた望美と同じ暖かさを感じる。
※1:劇場版の世界を知らないため、死んだ剣崎は自分の世界の過去から連れて来られたと考えています。
※2:睦月は始のマーダー化をジョーカーの本能に飲み込まれたと解釈し、ハートのスートを揃えて与えることで元に戻せると考えています。
- 74 :仮面ライダーに勝った男 ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/09/19(水) 19:08:44 ID:mhgZkmZLP
- 【ガライ@仮面ライダーJ】
【2日目 現時刻:黎明】
【現在地:海岸J-3】
[時間軸]:本編開始前。
[状態]:火傷(軽度。再生中)。 全身にに切り傷、打撲。二時間変身不可(コブラ男)
[装備]:ガライソード、GS−03
[道具]:なし
[思考・状況]
1:睦月とサタンサーベルを賭けて決闘する。正直、サタンサーベルはどうでもいい。
2:キング、ドラス、冴子を許しはしない。
3:ジャーク将軍と協力して、首輪を解除する。
5:神崎士郎を倒す。
6:小沢をある程度認めている。
※折れた烈斬はD-7に放置されています。
- 75 :仮面ライダーに勝った男 ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/09/19(水) 19:09:18 ID:mhgZkmZLP
- 【ジャーク将軍@仮面ライダーBLACK RX】
【2日目 現時刻:黎明】
【現在地:海岸J-3】
[時間軸]:ジャークミドラに改造後。
[状態]:頭部に軽度のダメージ。
[装備]:杖、変身後は大刀。
[道具]:支給品のデータブック(ハイパーゼクターを除く支給品のデータが記載されています)
ネタばれ地図。ライダーブレス(コーカサス)。変身鬼弦・音錠。精巧に出来たモデルガン。
ハイパーゼクター。ベルト(カブト)。
ディスクアニマル(ルリオオカミ、リョクオオザル、キハダガニ、ニビイロヘビ)
トランシーバー(現在地から3エリア分まで相互通信可能)。ライドロン。
配給品一式×8(ジャーク、グランザイラス、城戸、シャドウ、ドラス、立花藤兵衛、麻生勝、天道)
[思考・状況]
1:ライドロンを動かす方法を調査。
2:首輪の解析。
3:RXを待ち、殺す。睦月はガライに任せる。
4:神崎士郎を殺し、脱出する。
5:人質である小沢澄子に対し、有能な指揮官・技術者として相応の敬意。
※1:ジャーク将軍は睦月より、ブレイド世界の情報と剣崎、始、橘、キング、伊坂、北岡、リュウガの情報を得ました。
※2:ネタばれ地図には支給品以外のラウズカードの隠し場所も書かれています。
※3:支給品のデータブックには、支給されたアイテムの効果が記載されています。
余裕ができ、中身を確認したのはGトレーラー内が初めてです。
各参加者の初期支給品も記載されています。
※4:コーカサスゼクターの資格者が小沢澄子と判明したため、
ライダーブレスについては他のアイテムより注意深く管理しています。
※5:ライドロンは現時点では動かすことは出来ません。
※6:Gトレーラーはトレーラー内の装備(G3ユニット・GM-01・GG-02・GK-06)ごと、大破しました。
- 76 :仮面ライダーに勝った男 ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/09/19(水) 19:09:51 ID:mhgZkmZLP
- 【小沢澄子@仮面ライダーアギト】
【2日目 現時刻:黎明】
【現在地:研究所J-3】
[時間軸]:G3-X完成辺り。
[状態]:多少の打撲と火傷。自分のペースをとりもどして前向き。
[装備]:ガードアクセラー。壊れたザビーゼクター。
[道具]:麻生勝の首輪(但し、分解済)。首輪(園田真理)。首輪(ヨロイ)。
[思考・状況]
1:仲間達(大集団)の安全を祈願。必ず皆を連れて脱出する。
2:首輪の解析(道具と仕組みさえ分かれば分解出来ると考えています)
3:仲間のために、コーカサスブレスとハイパーゼクターを奪わなくては。
4:ザビーゼクターを修理する(パーツと設備、時間さえあればザビーゼクターを修理可能だと考えています)
5:ジャーク将軍たちと共闘できないか? 方法を探す。
6:相川始に疑問。ジャーク将軍には怒りと同時に一目おいています。
7:かならず仲間の元に戻ってみせる。そのための手段を探そう。
[備考]
※クライシスと神崎士郎が手を組んでいないことを、ジャーク将軍の発言より確信しました
※データブックから全員の支給アイテムの大まかな情報を手に入れました
※ハイパーゼクターを利用してこの空間を脱出する方法に思い至りました。
- 77 :仮面ライダーに勝った男 ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/09/19(水) 19:10:24 ID:mhgZkmZLP
-
【キング@仮面ライダー剣】
【2日目 現時刻:黎明】
【現在地:市街地G-4】
[時間軸]:キングフォーム登場時ぐらい。
[状態]:全身に負傷中。わき腹に刺し傷。二時間変身不可(コーカサスビートルアンデッド)
[装備]:カードデッキ(ゾルダ)。ブレイバックル。
ラウズカード(スペードのA、2、3、5、6、9、10。ダイヤの7、9、J。クラブの8、9)
[道具]:デルタフォン、デルタドライバー。 カードデッキ(オルタナティブ・ゼロ)。怪魔稲妻剣。
ファイズブラスター。 グランザイラスの破片。サソードヤイバー(怪魔稲妻剣によるダメージ有)。
陰陽環(使い方は不明)。携帯電話。ラウズアブゾーバ。
剣崎の装備一式。二人分のデイバック(風見、北崎)。
[思考・状況]
1:ドラスと今の状況を楽しむ。
2:この戦いを長引かせる。そのため、支給品を取り上げる。
3:戦いに勝ち残る。まだまだ面白いものも見たい。
4:今は戦うつもりは無い。
※音撃金棒・烈凍はC-5エリアの森に放置されています。
※携帯電話にはシャドームーンの死骸が写されています。
- 78 :仮面ライダーに勝った男 ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/09/19(水) 19:10:59 ID:mhgZkmZLP
- 【ドラス@仮面ライダーZO】
【2日目 現時刻:黎明】
【現在地:市街地G-4】
[時間軸]:仮面ライダーZOとの戦闘で敗北し死亡した直後
[状態]:怪人状態。二時間戦闘不可?
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1:体力回復済。場合によってはキングの手助けに入る。
2:望月博士なしで神になる方法を考える。
3:首輪を外しこの世界を脱出する。
4:首輪の解除のため、冴子を利用する。
5:他の参加者は殺す。ただし、冴子とキングには興味あり。
[備考]
※1:ドラスの首輪は胴体内部のネオ生命体本体に巻かれています。(盗聴機能は生きています)
※2:ドラスはドクトルG、ヨロイ元帥、ジェネラルシャドウ、マシーン大元帥の情報を得ました。
※3:麻生は首輪が外れたため、死亡扱いになりましたが、ドラスの中で生きています。ただし、ドラスが死ぬと麻生も死にます。
※4:赤ドラス化は能力発揮中のみ使用可能です。通常時は普通のドラスに戻ってしまいます。
※5:制限が緩められ、戦闘時間、戦闘不能時間に影響があるかもしれません。
[備考]
※GM-01改4式(弾切れ)、拡声器はD6エリアに放置されてます。
- 79 :仮面ライダーに勝った男 ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/09/19(水) 19:11:33 ID:mhgZkmZLP
- 【影山冴子@仮面ライダー555】
【2日目 現時刻:黎明】
【現在地:市街地G-4】
[時間軸]:本編最終話あたり
[状態]:肩に深い裂傷。二時間変身不可(ロブスターオルフェノク)
[装備]:オーガドライバー(オーガストランザー付属)
[道具]:アドベントカード(SEAL)。配給品一式。
[思考・状況]
1:生への執着。
2:ジャーク将軍に畏怖。出来るだけ早めに殺したい。
3:巧に復讐。
4:ドラスに現状の報告。
5:小沢澄子に警戒心。首輪を解除させ情報を引き出したら殺したほうがよさそうね。
6:上城睦月の確変に警戒心。
※ハイパーゼクターを利用してこの空間を脱出する方法に思い至りました。
- 80 :仮面ライダーに勝った男 ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/09/19(水) 19:12:16 ID:mhgZkmZLP
- 投下終了。
今回は結構さるさん規制かからなかったほうですね。ウザイ事には変わりないですがorz
支援、代理投下ありがとうございます。
誤字や矛盾、指摘などがありましたら、お願いします。
----
以上で代理投稿終了です
一部名前欄入れ忘れすみませんorz
- 81 : ◆s.0z/S/80k :2007/09/19(水) 19:16:26 ID:3ZpKl8Pu0
- 乙でした。
あまりに体育会系な燃え展開が楽し過ぎる。
そこに持って来るとキングの憎々しさが引き立ちますな
燃えた勢いでジャーク将軍、小沢、ガライを予約します。
- 82 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 19:25:42 ID:rvSzTWZ+O
- 投下乙です。
睦月とガライの精神的な成長がみれたりして良かったです。
シャドウの「俺の占いは当たる」発言はヤバいなと思ってたら案の定・・・不意打ちってのが残念だけど、最期はとてもカッコよかったです。
冥福をお祈りします。
- 83 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 19:33:16 ID:y4j3Nnaz0
- GJ!
シャドウの生き様に燃えました。
ストロンガーとの決着、とても胸が躍ってしまったw
その決闘を邪魔したドラスとキングを皆は絶対に許さないだろうなぁ……。
何気にガライがいいキャラに。当初はヤラレ役だったのに……。
もう一度GJ!
- 84 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 21:57:55 ID:7RfGG5/30
- GJ!
シャドウかっこいい!
それに睦月とガライの成長とシャドウの死で泣けてきた
- 85 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 22:03:57 ID:g4Z257a+O
- GJ!
なんという涙腺直撃SS…
- 86 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 22:21:31 ID:/SrUq9290
- 睦月もそうだけどガライが男を上げたなあ・・・・・
ジャーク将軍と二人旅をしてたときはここまで活躍するとは思ってなかった。ジェネラルシャドウ、お疲れ様。
そして書き手さんGJ!!
- 87 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 23:04:47 ID:Eil3lO6tO
- GJ!!!!
密かにシャドウと嶋さんのやりとりが好きだったんで最期のあの演出はやられました。
睦月もここまで成長するとは思わなかったな〜
2人の師匠と嶋さんの言う『絆』のお陰か・・。
睦月にはこれからも活躍して欲しい!今の彼になら始を仮面ライダーに戻すことも出来るハズだ!!!
- 88 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 23:26:12 ID:Fr7IKYIz0
- GJです。
なんか、特撮板らしいロワの展開になってきて嬉しいです。
欝もいいけど、やっぱヒーローには「燃え」が似合う。
- 89 :名無しより愛をこめて:2007/09/19(水) 23:29:02 ID:1498n4GO0
- あまりの熱い展開に涙してしまいました。
書き手さんGJです!
- 90 :名無しより愛をこめて:2007/09/20(木) 01:37:48 ID:PQesFMT70
- >>27の部分に誤字発見。
>形は違うが、小沢と北条の関係が近いと感じた。
「北条」ではなく「北條」です。
- 91 : ◆vHOqGgdf1U :2007/09/20(木) 08:44:20 ID:09+xqcZh0
- GJ!
シャドウの思いを継ぐ睦月とガライ。まさに確変で、今後の活躍が楽しみになりました。
逆にキングたち3人の憎たらしいこと。
とにかく熱さが素晴らしい作品でした。
途中経過報告ですが、現在5割程度。
なんとか明日投下できるように頑張ります。。。
- 92 : ◆WXWUmT8KJE :2007/09/20(木) 22:16:53 ID:W9Qv0qgG0
- >>91
新作楽しみにしています。
あと、お手数ですが、>>90氏の指摘部分、まとめに乗る時に修正をお願いします。
- 93 :名無しより愛をこめて:2007/09/21(金) 03:28:06 ID:L7/PrIpq0
- なんとなくルールを再確認してみたらリュウガって首輪外したら存在できなくなるんだな
どんな結末になろうが滅びの道しかない男なんだなぁ、と思ったが真司の体吸収したから大丈夫なのかね
- 94 :名無しより愛をこめて:2007/09/21(金) 11:08:03 ID:E90ae81YO
- そもそも鏡の中の幻から現実の存在になる為に真司を狙ってた訳だから今は人間になったんだろ
- 95 : ◆4wyf44BgsE :2007/09/21(金) 12:13:17 ID:ihcjq3cKO
- 遅くなりましたが経過報告です。
投下予定は明日の夜です。
よろしくお願いします。
- 96 :名無しより愛をこめて:2007/09/21(金) 14:46:18 ID:tgyanEW+0
- 統計取ってみたが、
マーダーは蓮もいれて残り18人中8人
対主催・脱出派は18人中15人
優勝派は始、草加、蓮の3人だな。
- 97 :漢に響け戦神の歌 ◆WXWUmT8KJE :2007/09/21(金) 19:21:44 ID:h6QUVJhW0
- >>95
新作楽しみにしています。
>>96
マーダーまとめ乙。
こうしてみると、マーダー側不利かと思っていたが、そんなことなかったぜ!!
いまだ4割がマーダーかw
- 98 :名無しより愛をこめて:2007/09/21(金) 19:22:17 ID:h6QUVJhW0
- トリ消し忘れたorz
- 99 :名無しより愛をこめて:2007/09/21(金) 21:16:55 ID:Ycxty/vS0
- まとめサイトに掲載された地図
D5エリアの数字消し忘れかね
- 100 : ◆WXWUmT8KJE :2007/09/21(金) 21:23:04 ID:h6QUVJhW0
- >>99
ミスですね。
次の更新時に直しておきます。
- 101 : ◆vHOqGgdf1U :2007/09/21(金) 22:07:44 ID:uII+iRSV0
- >>92
了解しました。
次の更新時には修正しておきます。
それでは投下いたします。
- 102 :POISON ◆vHOqGgdf1U :2007/09/21(金) 22:08:16 ID:uII+iRSV0
- 鬱蒼と茂る森林の中、エンジン音が鳴り響く。
バイクに跨り、森の中を颯爽と走るその男の名は相川始。またの名をジョーカー。
主催者の命ずるがままに獲物を駆る狩猟者である。
始は唯一の友であった剣崎の仇を討ち、次なる獲物を求めて、彷徨っていた。
獲物がいくら身を隠そうとも彼には意味がない。彼の左手には獲物を探し出すレーダーが握られている。
レーダーには既に反応がひとつ映し出されている。始は途中でバイクを降りると、ゆっくりと反応の元へと向かった。
気付かれた様子はない。その証拠にレーダーの反応は一切動いていなかった。
時間は深夜。暗闇に包まれた森の中で気配を察知するのは、獣でもなければ難しいだろう。
始は獲物の姿を確認するため、木の陰からそっと顔を覗かせた。
(……ハズレか)
始はその光景にため息を吐く。
反応があった場所には、土を掘り返した後があるだけで、獲物の姿は見られない。
答えは簡単。土の下に死体となった獲物が埋められているのだ。
(さっきも反応があったのは誰かの墓だった。もうこの辺には誰もいそうにはないな)
樹海エリアは端から端まで見て回った。時折、反応があるものの、行って見れば墓ばかり。
最初は念のためと、墓をあばきもしたが、もはやその必要もないだろう。
(結局は無駄足か。バイクの燃料も残り少ない。……まあいい。剣崎はもういない。
俺に残された道はこのゲームの参加者を皆殺しにすることだけだ。急く必要はない)
既に始が神代を殺してから、2時間以上は経過している。カリスへの変身も、ジョーカーへの変身も可能だ。
(これからは徒党を組んだ相手との戦いも多くなるだろう。できるだけ、万全の状態で挑まなくてはならない。
……市街地を探してみるか。あそこなら誰かいる。給油所もあったはずだ)
今後の指針を決めると、ジョーカーは再びバイクに跨り、エンジンを吹かした。
▽
四回目の放送を前にして、秋山、乾、草加、矢車の4人はひとつの部屋に集まっていた。
放送の結果次第で動く。乾を除いた3人で決めていたことだ。
その場には得も知れぬ緊張感が漂い、秒針が時を刻む度に、それはよりいっそう高まっていく。
- 103 :POISON ◆vHOqGgdf1U :2007/09/21(金) 22:09:00 ID:uII+iRSV0
- やがて、時計の長針と短針が共に12の文字を刺す。それと同時に、1日の終わりを告げるかの如きチャイムが鳴り響いた。
ピ〜ン♪ポ〜ン♪パ〜ン♪ポ〜ン♪
チャイムの後、告げられる死亡者の名前と禁止エリア。それはその場にいた全員に少なからず衝撃を与える。
「神代はドラスに返り討ちにされたって、解釈でいいのかな?」
そんな中、誰よりも早く口を開いたのは草加だった。
「もう少し使える奴だと思ってたんだがな。まあ、いい厄介払いにはなったが」
「おい、そんな言い方!」
「やめろ、乾くん。草加もわざわざ挑発するような真似はするな」
矢車の制止の声に、草加はわずかに笑みを浮かべた。
その笑みは暗に「お前もそう思っているんだろう」と告げている。
矢車はそれに関しては、その通りと言わざるを得ない。神代剣は一時的に手を結んだが、いつか倒さなくてはいけなかった危険分子。
彼の脱落は矢車にとっても、秋山にとっても決して悪いニュースではなかった。
それどころか、今回の放送に限って言えば、事前に死亡を確認していた5人を除いて、死亡したのは敵ばかり。
正直、安堵したといっても過言ではない。
(唯一、悪いニュースといえるのは、ここが禁止エリアになることぐらいか)
「それでどうする、矢車。南たちは生きているとわかった。ギリギリまで待つか」
「いや、シャドームーンと戦ったにしても、いくらなんでも遅すぎる。何かアクシデントがあったと見るべきだろう」
「それじゃあ、探しに行くのかな?」
またも挑発的な態度をとる草加。
矢車はしばし黙考する。
南が来ないのは何かアクシデントがあったため。それは間違いないだろう。
パーフェクトハーモニーのためには南たちとの合流は必須。合流は早ければ早いほどいい。ここは探しに行くという選択をするべきだ。
だが、矢車は草加の態度が気になった。何かを企んでいる。そんな気がしてならない。
(……仕方ないか)
矢車は決断する。
(南たちに降りかかったアクシデントは急を要する可能性もある。
ここで足踏みしたがために南たちを失うようなことになれば、パーフェクトハーモニーは今度こそ本当に崩壊してしまう。
草加には常に注意を払っておけばいい)
「よし、南くんたちを……」
- 104 :名無しより愛をこめて:2007/09/21(金) 22:09:41 ID:h6QUVJhW0
-
- 105 :POISON ◆vHOqGgdf1U :2007/09/21(金) 22:10:08 ID:uII+iRSV0
- 「もしもし、聞こえてますか」
矢車が口を開くと同時に、それを阻害する声がどこからか聞こえてきた。
機械を通したようなくぐもった声。
「これは」
「トランシーバーか」
秋山はデスクの上に置きっ放しになっていたトランシーバーをとり、矢車へと渡した。
「矢車だ。南くん、無事なのか?」
「矢車さんですか!よかった繋がって」
トランシーバーから聞こえる南の声に、矢車は表情を緩めた。乾も、秋山も、多少、表情が柔らかくなる。
ただひとり、草加だけは表情を険しいものにした。
▽
「みなさん、こちらへ来てくれるそうです」
「そうか」
南は矢車に自分らの現状を簡単に伝え、合流場所を南たちが居る場所へ変更するように頼んだ。
ひよりのためだ。背負って、連れて行くことも可能だが、今のひよりを動かすのはしのびない。
そのことを告げると、矢車は快く場所の変更を了承した。早速、こちらへ向かうという。
後はただ待てばいい。
「隣のエリアからだったら、一時間ぐらいか。南、少しの間、ひよりさんを頼めるか」
「いいですけど、何処へ?」
「カセットアームを回収してくる。あれがないと、俺は戦えないからな」
結城は腰を上げると、ドアの方へと向かった。
もし、カセットアームを回収したとしても、現状では接合手術を行うことは無理だろう。
だが、自分の無力さを痛感し、老獪なやり口でドクトルG、シャドームーンを犠牲にしたことに罪悪感を感じている結城はなにかをせずにはいられなかった。
ノブに手を伸ばす結城。しかし、南がそれを遮る。
「駄目です。ひとりでは危険です」
「どいてくれ、南。大丈夫だ。ここからはそんなに離れてはいない。矢車たちが合流する頃には戻れる」
「どきません」
一向にどこうとしない南を、結城はにらみつけた。南は結城の非難の視線を真正面から受け止める。
先に眼を逸らしたのは結城だった。
- 106 :POISON ◆vHOqGgdf1U :2007/09/21(金) 22:11:16 ID:uII+iRSV0
- (まっすぐな眼だ。自分を信じるまっすぐな眼。風見さんや城のような、仮面ライダーの眼だ)
結城は自分への嫌悪感を深くする。
今の自分は南のようなまっすぐな眼を出来るのか。疑問に思ったからだ。
眼を逸らしたことがその答えだろう。
結城は回収を諦め、椅子へと座る。
「わかった。矢車たちと合流するまで、俺もここで待とう。動くのはその後だ」
「……はい!」
太陽のような笑顔。
(敵わないな。親友が死んでつらいはずなのに、南はそれを表に出そうとしない。
むしろ、他人の悲しみを和らげようと精一杯明るく振舞おうとしている。
……自棄になってどうする。死ぬのはいつでもできる。
ドクトルGやシャドームーンのことを想うのなら、彼らに恥じぬよう最後まで戦うべきだ)
結城は決意を新たにする。後悔は残っている。だが、自分にはやらなければならないことがある。
結城は南に感謝した。そして、同時に太陽が昇っている限り、この世界にも希望は失われないことを確信した。
太陽が昇っている限り。
▽
南から場所の変更の連絡を受け、矢車たち一行は彼らと合流するため、F4エリアにあるという喫茶店に向かっていた。
盗聴器の件もある。詳しいことは会って話す方がいいだろうと判断し、場所以外のことはほとんど何も聞かなかった。
だが、幸いにして、ここからその喫茶店までは1時間と掛からない距離にある。
情報を得るのは合流してからでも充分だろう。
ホテルを出て数分。歩みは順調だった。そんな中、ひとり足を止める男がいた。
「君たちは先に南たちの所へ行っててくれ。どうやら忘れ物をしたらしい」
草加はディパックをわざとらしく漁り、忘れ物をしたことを強調する。
「お前、逃げるつもりか?」
秋山が怪訝な顔をする。当然だろう。
草加が忘れ物などというドジをしでかすとは考えにくい。他に理由があると考えるのが妥当だ。
「俺が忘れ物なんてするはずはない。何か別の理由がある……って、考えてるのかな?」
見透かしたように矢車が考えていたことを草加は口にする。
- 107 :POISON ◆vHOqGgdf1U :2007/09/21(金) 22:12:01 ID:uII+iRSV0
- 「だとすると、それは誤解だ。俺だって、忘れ物ぐらいはする。他に理由があるならもっとマシな言い訳を考えるさ。
それに、ドラスはまだ生きている。動くにしても、それは奴を殺した後だ」
一瞬、草加の表情に修羅が宿った。その表情にわずかだが、矢車はたじろぐ。
その隙を見逃す草加ではない。
「君たちはさっさと南たちと合流しろ。俺もすぐに追いつく」
早口にそう言い放つと、草加は返事を待たず、来た道を戻っていった。
「おい、草加!」
「待て」
反射的に追おうとする乾を、矢車が制止する。
考えてみれば、草加のいない状況で南たちと合流できるのは好都合かも知れない。
矢車の見立てでは、結城はともかく、南は草加を信用し過ぎている節がある。
ここら辺で釘を刺しておくのも悪くはない。
「俺たちは先を急ごう。草加ならひとりでも大丈夫だろう」
矢車は背を向け、歩みを再会した。
▽
草加がわざわざ戻った目的はドクターケイトの杖を手に入れるためだ。
ディパックは全て持ち去られているというのに、杖の説明書は落ちていた。
ならば、ドクターケイトの杖はまだこの辺りに残っている可能性が高い。
よほどの馬鹿でもない限り、こんな優良な道具が存在している証拠を残しておくとは思えない。
おそらくここで死亡していた誰かの支給品だったのだろう。
霞のジョーの死因は毒殺によるものだった。疑心暗鬼を引き起こしたはいいが、収拾がつかず、自爆したといったところか。
自分ならもっと上手く使ってみせる。
毒ほど労力が少なく、強力な武器はない。特に南や氷川といったお人好しには効果覿面だ。
残り人数は19人。今は協力するしかないとはいえ、近いうちに矢車たちと対峙する機会は巡ってくる。
浅倉が死んだ今、デルタドライバーはあてにできない。せめてドクターケイトの杖は手に入れなければ。
もし、死んだ誰かが使っていたなら、ある場所は崩れたビルの周辺の可能性が高い。
5時には禁止エリアになる。手に入れるなら今しかない。
草加の読みは当たっていた。探し始めて10分と経たない内に、目的のものを眼にする。
それは無造作に、地面に転がっていた。
- 108 :POISON ◆vHOqGgdf1U :2007/09/21(金) 22:12:49 ID:uII+iRSV0
- まるで鶏の頭のような形をした花を頂にする真っ赤な杖。早速、草加はその杖を拾い上げる。
その杖は自分の身長ほどの高さがあり、こっそりと携帯するのは難しいだろう。
草加は毒だけを抽出することを考える。
それは草加にとって、幸運だったのか、不運だったのか。
―Change―
その音声は小さなものだったが、風に運ばれ、草加の耳へと届いた。
草加は誰かが近くにいることに気付き、反射的に振り返る。
故に草加の頭部に放たれたその一矢はわずかに外れることになる。
そして、その外れた一矢は――
「なに!」
その横にあった杖に命中し、破裂させた。
まるで水風船が破れたかのように、花弁に貯えられた大量の青黒い液体が草加に降りかかる。
「ぅぁぁぁっっ!!」
その液体は草加の肌に触れると、まるで一滴一滴が生きているかのように、毛穴から体内へと侵入していく。
液体を浴びてから数秒、端から見ている分には、既にその液体を浴びた痕跡は消えていた。
だが、それはその液体が一滴残らず、草加の身体に進入したことを示している。
その証拠に液体のかかった場所は熱を持ち、草加の身体から力を奪っていく。
「ぐっ、うっ、がっ」
それは過去に岬ユリ子の、霞のジョーの、津上翔一の命を奪った強力な毒液。
草加は苦しみに喘ぎながらも、草加は矢が放たれた方向へと視線を向けた。だが、そこには誰の姿もない。
「逃げたのか?それとも止めを刺す必要はないって、判断したのか?」
それも無理からぬことだ。
草加は説明書に書かれた内容を思い出す。
ドクターケイトの杖から吹き出る毒は肌が露出していれば、吹きかけるだけでも有効。
侵されれば最後、待っているのは確実な死。違うのは死に行くまでの時だけ。
矢を放った相手が、ドクターケイトの杖のことを知っているとは思えないが、毒液を浴びた様子を見て、そう判断しても不思議ではない。
(あと、俺はどれぐらいもつ。1日か?半日か?それとももっと短いのか)
- 109 :名無しより愛をこめて:2007/09/21(金) 22:13:34 ID:h6QUVJhW0
-
- 110 :POISON ◆vHOqGgdf1U :2007/09/21(金) 22:13:44 ID:uII+iRSV0
- 自然と息が荒くなる。身体は全力疾走を終えた後のようにだるい。
(どちらにせよ、あまり時間がないことは確かだ。それなら、残る時間で俺がすることは……)
「草加!」
自分を呼ぶ声。乾の声だ。お節介にも自分を追って来たのだろう。
だが、今の草加にとっては、救いの神のように思えた。
(どうやら、ツキはまだ見放していないらしい)
「どこだ、草加!」
「ここだ!」
草加は壊れた杖を投げ捨て、地べたに座り込む。丁度、ビルの陰に自分の身体が隠れ、足だけが乾に見えるように。
「どうした乾、矢車たちも一緒か」
「いや、俺だけだ。それよりお前、そんなところで何やってるんだ?」
足しか見えないことを訝しがる乾。
「何者かに襲われた。不意討ちだったんで、避けようがなくてな。たぶん、君が来たから逃げたんだろう。肩を貸してくれないか?」
「わかった」
乾は草加の下へと駆け寄る。一歩、二歩、三歩。
(今だ)
草加は物陰から飛び出すと、カイザフォンを変形させた銃、フォンブラスターを乾に向けて発射した。
しかし、乾はそれを予測していたのか、右に跳び、それを避けた。
「てめぇ、何しやがる」
「相変わらずしぶといな、君は。これならどうだ」
避けられた場合の対処も、草加にとっては想定内。すでに彼の左手にはGA−04アンタレスが装備されていた。
草加は持ち手のレバーを引く。すると、炭酸ガスによって、アンカーが発射され、たちまち乾の身体へと巻きついた。
それと同時に草加は走り、彼が手にしていたディパックを奪い取った。
そして、改めてフォンブラスターを乾に向ける。
「くらえ!」
「っ!」
乾の顔に、獣のシルエットが浮かぶ。その瞬間、乾は白い狼怪人、ウルフオルフェノクへと姿を変えた。
ウルフオルフェノクは巻きついたアンカーを身体を使って、引っ張る。
「しまっ……」
草加は左手のアンカーに引っ張られるがままに、空中へと投げ飛ばされた。
途中、持ち手を放すが、勢いは変わらず、壁に叩きつけられる。
- 111 :名無しより愛をこめて:2007/09/21(金) 22:14:05 ID:h6QUVJhW0
-
- 112 :POISON ◆vHOqGgdf1U :2007/09/21(金) 22:14:35 ID:uII+iRSV0
- 緩んだアンカーをウルフオルフェノクは外すと、よろけながらも立ち上がる草加を睨みつけた。
「一体、何のつもりだ!」
「……そういえば君はオルフェノクだったな。覚えているかい?君が真理を殺したことを」
「俺が真理を殺しただと、どういうことだ」
「君はオルフェノクになって記憶がないときがあるはずだ。そのとき、君は衝動の赴くまま、俺たち流星塾生を襲ったんだ。
そして、その場にいた真理や俺を殺した」
その言葉に乾が息を呑む。
(当たりだ)
乾と要所要所で会話していく内に、草加は乾が自分がいた時間よりも前の時間から来たことを確信するに至っていた。
(どの時点から来たかは賭けだったが、どうやら『事実』を知らない時間軸から来たようだな)
「教えてやるよ。ここに集められた人間はみんな別々の時間からやってきた。
真理はお前と同じか、それより前から来たみたいだが、俺はお前がいた時間より後から来た。
俺がいた時間では、お前はオルフェノクとしての本性を現し、ラッキークローバーの一員だ。
そして……ファイズは俺が受け継いだ」
草加は乾のディパックからファイズドライバーを取り出すと、腰へと装着させる。
そして、ファイズフォンにコードを入力した。
―5・5・5・Enter―
「変身」
ファイズドライバーに装填されるファイズフォン。たちまち、草加の身体に赤いラインが巡っていき、その姿をファイズへと変身させる。
「乾、真理と俺の仇、ここでとってやる」
ファイズは自分のディパックからディスカリバーを手にして、ウルフオルフェノクへ向かっていく。
「くっ」
草加の告発に、ウルフオルフェノクは動揺していた。だが、ファイズの動きも毒のため精彩を欠いている。
抱えているものは、心と身体の違いはあれど、結果的に戦いに与える条件は同じ。
薙ぎ払われる剣を、ウルフオルフェノクは軽やかなステップで避けると、跳び上がり、ファイズの右肩に一撃を与える。
条件が同じならば、速度はウルフオルフェノクの方が上。
横一文字に振るわれる剣を避け、ウルフオルフェノクはファイズの懐へと潜り込んだ。
だが、拳をファイズの腹へ打ち込もうとしたところで、ウルフオルフェノクの動きが止まる。
(これはあの時、夢で見た)
- 113 :POISON ◆vHOqGgdf1U :2007/09/21(金) 22:15:23 ID:uII+iRSV0
- 対峙するファイズとウルフオルフェノク。視点の違いはあれど、それは巧が見た夢の内容と一緒だった。
その事実が巧の心を強烈に蝕んでいく。
「……はっ!」
ファイズはその隙を逃さず、ウルフオルフェノクの腹へと蹴りを打ち込む。
続けて、剣でウルフオルフェノクの身体に次々に斬撃を加えていった。
――そうだよ。巧は……人類の敵、オルフェノクなんだから。
悪夢の一場面がウルフオルフェノクの脳裏に浮かぶ。
(そうなのかよ、真理。そういうことなのかよ。俺は草加の言う通り、お前を殺したのかよ)
ウルフオルフェノクは完全にファイズのなすがままになっていた。
ファイズの拳を、蹴りを、剣を、その身に受け続ける。
「どうやら観念したようだな」
しかし、一方的に事を進めておきながらも、ファイズの息は荒い。
(くっ、毒の効果か。動けば動くほど毒の周りは早くなる。もう止めを刺した方がよさそうだな)
ファイズは止めの一撃を見舞うため、剣を大きく、振り上げた。
だが、次の瞬間、ファイズの身体は宙に浮いていた。頬には殴られたような痛みが走る。
―CLOCK OVER―
機械的な声が鳴り響くと同時にウルフオルフェノクの前に現れる緑色のライダー。
「大丈夫か、乾くん」
「矢車か」
ウルフオルフェノクを守るようにファイズに対峙したのは仮面ライダーキックホッパー。
そして、ファイズが後ろを振り向くと、漆黒の仮面ライダー、仮面ライダーナイトの姿もあった。
「まったく、どいつもこいつも」
「お前ひとりなら、そのまま放っておいたんだが、乾くんが君と行動するために戻ったんでな。
心配になって、俺たちも戻ってきてみれば、案の定だ。やはり君は不協和音。ここで排除する」
キックホッパーは拳を上げ、ナイトはダークバイザーを構える。
「………」
- 114 :名無しより愛をこめて:2007/09/21(金) 22:17:05 ID:h6QUVJhW0
-
- 115 :POISON ◇vHOqGgdf1U (代理):2007/09/21(金) 22:42:35 ID:ECa3OLdd0
- ファイズは無言でベルトからミッションメモリーを取ると、代わりにファイズアクセルから取ったミッションメモリーを引き抜いた。
―Reformation―
展開するファイズの胸の装甲。赤から銀に変わるフォトンブラッド。
「秋山、乾くんを頼む」
一度、その姿を見たことのあるキックホッパーは、ファイズが次にするべきことを予想する。
素早く自分の腰に手を当てると、ベルトの脇を叩いた。
―START UP― ―CLOCK UP―
共に高速の移動を開始するふたり。
ファイズは踵を返すと、その場からの逃走を試みる。そして、それを追い、キックホッパーは走った。
超高速で移動するふたりはウルフオルフェノクとナイトを残し、その場から消えた。
▽
―TIME OUT―
高速の時を終え、アクセルフォームから元の姿へと戻るファイズ。
「まいたか」
―CLOCK OVER―
辺りを見回すファイズの耳に届く機械音。ファイズは自分が逃げ切れなかったことに気付く。
「お前は逃がさん」
「くっ」
ディスカリバーを手に、ファイズは懸命に抵抗するが、戦うには、既に身体は限界に近かった。
キックホッパーの体術に翻弄され、容赦のない拳を身体に浴びる。
意識が朦朧としてくる。
「死んでたまるかっ……」
- 116 :POISON ◇vHOqGgdf1U (代理):2007/09/21(金) 22:44:13 ID:ECa3OLdd0
- キックホッパーから何発目かの拳が打ち込まれたとき、突如、キックホッパーの後ろでバイクのエンジン音が轟いた。
「誰だ」
キックホッパーが振り向くと同時に打ち込まれる無数の矢。
「ぐわっ!」
堪らずキックホッパーはゆっくりと膝を着く。
崩れ落ちるその先に、ファイズが見たものはバイクに乗った仮面ライダーカリスの姿だった。
呆けるファイズをよそに、カリスはカリスアローにカードを通す。
―RECOVER―
ラクダが描かれたラウズカードから一筋の光がファイズに伸びる。
その光に貫かれれたファイズは、自分の身体にみるみる力が戻ってくるのを感じた。
「リカバー……回復の効果か。お前、何のつもりだ?」
キックホッパーに放たれた攻撃から、自分が毒を浴びるきっかけを作ったのはカリスだと、ファイズは気付いていた。
しかし、今は自分の体力を回復させた。一体、どういうつもりなのか。
「このカードに毒を治す効果はない。お前が死ぬことには変わりはない」
「なるほどな」
それを聞いただけで、予想はできた。
おそらく自分を撃った後、ずっと見ていたのだろう。
毒を受けた身で、自分の命を顧みず、人を襲っていれば、自分がマーダーであることを宣言しているようなものだ。
そして、マーダーである自分が生かされる理由は限られる。
(こいつも優勝を狙っているということか)
ゆらりとキックホッパーが立ち上がる。
流石にあれぐらいの攻撃では致命傷にはならない。
「ここは俺に任せろ。お前は目的を果たせ」
- 117 :POISON ◇vHOqGgdf1U (代理):2007/09/21(金) 22:45:54 ID:ECa3OLdd0
- バイクに乗り、キックホッパーに猛然と立ち向かっていくカリス。ファイズは一目散にその場から逃げていった。
▽
カリスは戦いながら、草加のことを思う。
草加が毒を浴びたのは予想外のこと。勿論、最初の一撃で始末するつもりだった。
だが、乾が現れ、様子を見ていると、草加は乾に襲い掛かっていった。
その一連の行動から、カリスは草加が優勝を目指していることに気付く。
毒を浴びながらも、修羅の如く、立ち向かう様はジョーカーだった頃の自分を激しく連想させる。
この男なら、死を迎える最後の一瞬まで戦うことを止めないだろう。
そして、カリスは草加を利用することを決める。
彼はそれこそ命を賭けて、残った参加者を殺していくだろう。彼を生かすことは優勝するための近道になる。
しかし、カリスは彼が死ぬまで、悠然と待つつもりはない。
自分も残った参加者を命を賭けて殺す。
(まずは眼の前のこいつからだ)
「ウォォォォッ!」
カリスは雄叫びを上げ、キックホッパーにカリスアローの一撃を浴びせた。
▽
ファイズは南に向けて走る。
(利用するならすればいい。望み通り、殺してやるさ。だが、俺は利用されたままで終わりはしない。最後はお前も殺してやる)
やがて、ファイズへの変身が解け、元の姿へと戻る。息は荒い。だが、これからやることを考えれば、今の状態が丁度いい。
草加は顔を上げて、辿り着いたその場所を見た。
その看板に記載された名前は『花鶏』。
(まずは南たちからだ)
草加は狂気を心の奥に隠し、そのドアを開けた。
- 118 :POISON ◇vHOqGgdf1U (代理):2007/09/21(金) 22:47:55 ID:ECa3OLdd0
- 【草加雅人@仮面ライダー555】
【2日目 現時刻:深夜】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:ファイズ終盤。
[状態]:背中に切り傷。全身に強度の打撲と極度の疲労。参加者全員、特にドラスへ強い憎悪。
毒に侵されています。その内死にます。2時間、ファイズに変身不能。
[装備]:カイザドライバー(カイザブレイガン、カイザポインター)。
[道具]:救急箱。精密ドライバー。バタル弾。配給品一式×5(北岡、木野、キング、睦月、草加)
ディスカリバー。 ウォッカの小瓶2本 。ドクターケイトの杖の説明書。
ファイズドライバー(ファイズポインター、ファイズショット、ファイズアクセル)
ミネラルウォーター×2(一本は半分消費) カレーの缶詰 乾パンの缶詰
アイロンを掛けた白いシャツ(抱き枕にされたせいで少し皺になりました)
リキュールの小瓶2本
[思考・状況]
1:毒が回る前にゲームの参加者の皆殺し。手始めに南、結城、日下部を狙う。
2:ドラス、冴子に復讐。
[備考]
※1:バタル弾は改造人間のみに効果あります。
※2:GA-04・アンタレスはE-4エリアに放置されています。
【乾巧@仮面ライダー555】
【2日目 現時刻:深夜】
【現在地:市街地E-4】
[時間軸]:中盤くらい
[状態]:ウルフオルフェノクに変身中。全身に打撲、切り傷など、極度の負傷。悪夢による精神消耗。 草加の言葉に動揺。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1:草加の言葉に動揺。本当に自分が真理を殺したのか?
2:自分にも主催者にも言いようのない怒り。神崎は絶対ぶっ飛ばす。
3:ドラスを倒す。
- 119 :POISON ◇vHOqGgdf1U (代理):2007/09/21(金) 22:50:05 ID:ECa3OLdd0
- 【秋山蓮@仮面ライダー龍騎】
【2日目 現時刻:深夜】
【現在地:市街地E-4】
[時間軸]:34話龍騎サバイブ戦闘前後。
[状態]:仮面ライダーナイトに変身中。中度の負傷。
[装備]:カードデッキ(ナイト+サバイブ)
[道具]:配給品一式。 コニャックの小瓶2本 ソムリエナイフ
[思考・状況]
1:草加に敵対心。乾を介抱。
2:戦いのために犠牲は問わない、その覚悟だったはずだ……。
3:リュウガに話がある。
4:矢車の様子がおかしい気がする。酔っているだけならいいが。
5:互いに信用できないとはいえ、仲間の存在に奇妙な脱力感と安心感。
【矢車想@仮面ライダーカブト】
【2日目 現時刻:深夜】
【現在地:市街地E-4】
[時間軸]:8話 ザビー資格者
[状態]:キックホッパーに変身中。
[装備]:ホッパーゼクター&ホッパー用ZECTバックル。ライダーブレス(ザビーゼクター破壊)
[道具]:ゼクトマイザー。3人分のデイバック(佐伯、純子、矢車)
トランシーバー(現在地から3エリア分まで相互通信可能)。 スコッチの小瓶2本。ドレイクグリップ(現在、資格者は存在しません)
[思考・状況]
1:カリスを倒し、草加を追う。
2:パーフェクトハーモニー実現に執念。
3:仲間たちと合流する。
4:仲間が刻々と減ってゆく現実に焦燥。
5:リュウガに僅かに不信感。
[備考]
※1:クライシスと神崎士郎が利害の一致で手を組んでいる可能性が高いと考えています。
※2:ゼクトマイザーは制限により弾数に限りがあります。現在、弾切れです。
- 120 :POISON ◇vHOqGgdf1U (代理):2007/09/21(金) 22:51:47 ID:ECa3OLdd0
- 【相川 始@仮面ライダー剣】
【2日目 現時刻:深夜】
【現在地:市街地E-4】
[時間軸]:本編後。
[状態]:胸部に傷。カリスに変身中。
[装備]:ラウズカード(ハートのA・2・5・6・8・9、ダイヤの10)、HONDA XR250(ガス欠間近)。首輪探知機(レーダー)。
[道具]:なし
[思考・状況]
1:目の前の敵(キックホッパー)を倒す。
2:草加を利用して、人数を減らす。
3:天音ちゃんを救う。
4:ブレイバックルとカードを取り返す。
5:睦月との決着はこの手で。それがどのような形になろうとも。
6:世界のすべてに絶望。
[備考]
※1:相川始は制限に拠り、ハートのA、2以外のラウズカードでは変身出来ません。
※2:HONDA XR250は制限により、あらゆる能力で変化することが出来ません
※3:死んだ剣崎が別のブレイド世界(劇場版)から来たという認識はありません。
- 121 :POISON ◇vHOqGgdf1U (代理):2007/09/21(金) 22:53:04 ID:ECa3OLdd0
- 【南光太郎@仮面ライダーBLACK RX】
【2日目 現時刻:深夜】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:第1話、RXへのパワーアップ直後
[状態]:今までに無い深い悲しみ。
[装備]:リボルケイン
[道具]:カラオケマイク(電池切れ)。トランシーバー(現在地から3エリア分まで相互通信可能)。首輪(ドクトルG)。 四人分(ひより、リュウガ、岬、明日夢)
[思考・状況]
1:矢車たちの合流を待つ。ひよりと結城の護衛。
2:シャドームーンの死に深い悲しみ。
3:打倒主催。その後、元の世界に戻ってクライシス帝国を倒す。
4:草加を始め、闇に落ちた仮面ライダーを救う。
[備考]
※1:黒幕はクライシス帝国、神崎はその手の者であると勝手に確信しています。
※2:ドラスをクライシスの怪人だと思っています。
※3:ひよりが記憶を失っていることを知っています。
- 122 :POISON ◇vHOqGgdf1U (代理):2007/09/21(金) 22:54:13 ID:ECa3OLdd0
- 【結城丈二@仮面ライダーV3】
【2日目 現時刻:深夜】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:仮面ライダーBLACLRX終了後。
[状態]:中度の負傷。貧血気味。右腕切断、腹に刺し傷(処置済)。ドクトルG、シャドームーンに罪悪感。
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×4(結城(名簿を除く)、霞のジョー、加賀美、影月)。サイ。オルゴール付懐中時計。鬼笛。
[思考・状況]
1:矢車たちの合流を待つ。
2:シャドームーンの死に深い後悔。
3:死んだらドクトルGに謝りたい。
4:ひよりが心配。
5:ドラスを倒す。
6:首輪の解析。首輪の解析のための施設を探す。
[備考]
※1:カセットアームと右腕はE5エリアに放置されています。
※2:ひよりが記憶を失っていることを知っています。
【日下部ひより@仮面ライダーカブト】
【2日目 現時刻:深夜】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:本編中盤 シシーラワーム覚醒後。
[状態]:睡眠中。右肩に重傷(処置済み)右脇腹に刺し傷(処置済み)打撲。記憶の混乱
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1:睡眠中
[備考]
※1:精神的なショックで目覚めた後も記憶の混乱、あるいは喪失しているかもしれません。
- 123 :POISON ◇vHOqGgdf1U (代理):2007/09/21(金) 22:56:01 ID:ECa3OLdd0
- 投下終了
- 124 :名無しより愛をこめて:2007/09/21(金) 23:10:42 ID:h6QUVJhW0
- 途中支援できなくてもうしわけない。
投下乙!!
草加に毒、そのタイミングで花鶏組みと合流……
次回に不吉な種をまきつつ、たっくんを追い詰め、非常に次回が気ななる話でした!!
矢車さんもどうなることやら。
GJ!!
- 125 :名無しより愛をこめて:2007/09/21(金) 23:51:30 ID:Ycxty/vS0
- まだバイオ覚醒フラグはないから毒への血清は作れないしな
- 126 :名無しより愛をこめて:2007/09/21(金) 23:56:06 ID:2r0unZZY0
- 乙です。
>125 草加がまた光太郎の怒りに触れたら・・・まだまだ先は読めないね。
- 127 :名無しより愛をこめて:2007/09/21(金) 23:57:02 ID:RdMiz2YjO
- GJ!
草加最悪のタイミングで毒にかかったなw
やばい匂いがプンプン
- 128 :名無しより愛をこめて:2007/09/22(土) 03:38:33 ID:ZOEeTV9X0
- >>19
ジャーク将軍のセリフに脱字発見。
>「大切な者が死んで、後悔しない者などこにいる。
どこにいるの部分で「ど」がひとつ抜けてます。
- 129 :名無しより愛をこめて:2007/09/22(土) 08:02:15 ID:scF4XH3W0
- 花鶏組大ピンチ!
でも光太郎の進化フラグもあるから草加も大ピンチ!
どっちが大ピンチなのかわかんねえwwwww
次回が楽しみですね
- 130 :名無しより愛をこめて:2007/09/22(土) 10:21:52 ID:jNIO7pFDO
- GJです!!
さすが草加!そのまま逝ってしまうかと思ったけどそんなことはなさそうですねw
矢車さんと始のバトルも気になりますが、1番気になるのはたっくん。
闇落ちしてぼっちゃまみたいにならないか不安・・・もしくは地獄弟フラグ?
- 131 : ◆WXWUmT8KJE :2007/09/22(土) 16:43:33 ID:i+4Y4DrC0
- >>128
了解。
と、おもったらまとめでは修正されていました。
◆vHOqGgdf1U氏、毎度の事ながら感謝します。
- 132 : ◆4wyf44BgsE :2007/09/22(土) 19:24:21 ID:VtVM+Ers0
- こんばんわ。投下します。
その前に……
>>123
超GJ!
どきどきしながら拝読しました。
追い詰められた草加の焦燥、狡猾さ、このままでは終わらない期待感!
流石です。
もう一度GJ!
>>131
今日また読み返しました。
少し泣きそうになりました。でもやっぱり読後感が凄く爽やかでした。
- 133 :『indestructibility』 ◆4wyf44BgsE :2007/09/22(土) 19:27:14 ID:VtVM+Ers0
- 「クシュッ!」
夜風が容赦なく体温を奪っていく。
ジーンズもダウンジャケットも滴るほど水を吸い込んでいた。
後を振り返れば、水跡が追いかけて来ている。
(目覚ましには調度良かったが、水遊びには気温が低すぎたな。
誰かに付けられるって事もあるし、少し乾かした方が良さそうだ)
間近な建物の入口を潜り抜ける。
硝子ブロックで装飾された階段を上り、外観とは対照的な愛想も何も無い鉄製のドアを開けると
散らかりまくったデスクと数台のMacintoshが出迎えてくれた。
通信会社か雑誌の編集社らしい。
デスクの上には、ニュースの資料が山積みされている。
着替えの類は期待できないが、夜風を凌げるだけ寒さが和らいだ。
肌に張り付く衣服を脱ぎ捨て、ロッカーからはみ出した古臭い毛布を引っ張り出し包る。
冷えた体が温もりを帯び、暖かさが心地良く、吐息を零した。
椅子の上に服を掛け、安っぽい電気ストーブのスイッチをONにする。
熱線の赤い光に照らされたジャケットから水蒸気が昇る。
水が粒子となって消えていくのを暫く見ていたが、手持無沙汰になり、何気無くパソコンを立ち上げた。
- 134 :『indestructibility』 ◆4wyf44BgsE :2007/09/22(土) 19:28:26 ID:VtVM+Ers0
- ファイルを幾つか眺めている内に、この会社のホームページが出てきた。
銘打たれた「報道による真実」とやらの割には、胡散臭い記事や都市伝説などもバックナンバーを連ねている。
(何が真実なんだ、くだらない)
時間を無駄にしたと後悔しつつ、ガセネタが詰まったMacintoshの電源を落とそうとした時、一つの記事を見つけた。
―― 異世界からのメッセージ
ある日、知らないアドレスから意味不明の文が送られてきたり、
いつも見ているサイトが、まったく数時間だけまったく知らないサイトに変わっていたり、
大抵の場合、恐怖心を煽るだけのスパムメールや悪質なサイトであることが多いのですが。
先日、実際に当方へ届いた1通の封書から真偽を考え、各所で話題を呼んだ記事をまとめてみると……
怪文書?それとも真実か、少なくとも、悪戯にしてはあまりにも具体的すぎると思いませんか――
馬鹿馬鹿しい、とは思う。
しかし、異なる世界は在る。
ホームページの向こうとは異なった世界が、此処にも存在している。
(俺がメッセージを送ったら……此処から発信されたメッセージが向こうに届くのだろうか?
届いたとして、都市伝説と笑い飛ばされるか、真実として受入れられるかは判らない。
だが、真実を書き記す事で、それが別の世界の現実になるとするなら……)
小沢、ひより、氷川、そして城戸や天道達、殺されてしまえば、何の足跡も痕跡も無く世界から抹消されていく。
それは、鏡の中で世界に焦れていた自分が消滅するよりも、重く耐え難い、そう思えた。
椅子に深く掛け直し、メールフォームを開く。
毛布がするすると床へ落ちたが、拾う間が惜しい気がして、構わずキーボードを叩き続けた。
- 135 :『indestructibility』 ◆4wyf44BgsE :2007/09/22(土) 19:31:03 ID:VtVM+Ers0
- この手で命を奪った男、命懸けで闇を切り裂く光となった少女、誰かを守る為に逝った男、すべての感情が自分の中に流れ込んで来る。
そして、その思いを言葉に変え、書き連ねて行く。
『消せはしない。此処で戦い死んで行った者達、そしてその想いと絆が確かに存在した事は……
決して否定することは出来ない。誰であろうと、俺達の存在を破壊する事は出来ない』
その、最後の文章を書き終え、送信ボタンをクリックする。
「送信完了」
と画面が表示された。
そのまま画面が切り替わらない。
一通り操作してみたがMacintoshはフリーズしたらしく動かなくなってしまった。
(まぁ、取り敢えず送る事は出来たし)
慣れないデスクワークで背中と肩にダメージを食らったが、何故かとても充実感に満たされていた。
椅子から立ち上がり、凝り固まった全身の為に体を伸ばした。
コーヒーカップに水を汲み、プリムローズの蕾を浮かべデスクに飾る。
誰に言う訳でも無く「頼んだぞ……」と一言呟いた。
無性に仲間の顔が見たかった。
電気ストーブでパリパリに乾いた服に袖を通し、焼け付いた匂いに包まれながらドアを開ける。
F5エリアまで歩いて1時間、走って30分。
高揚した気持ちと、夜の冷たい澄んだ空気のせいで、軽く走って行けそうだった。
暫く走り、エリアの外れに差し掛った時、ノイズが聴覚を震わせた。
――キィィン……キィ…ン…キィン……
闇の中から「何か」が動き出した。
- 136 :『indestructibility』 ◆4wyf44BgsE :2007/09/22(土) 19:32:34 ID:VtVM+Ers0
- ドラグブラッカーが捕食の為に、餌の在処を教えるノイズ。
今は、首輪で制御されている筈の感覚。
眼で、耳で捕える前に、直接頭に入り込んで来る。
(……スマートレディ、四回目の放送か)
コンマ一秒遅れて、両眼が映像を耳が放送を捕えた。
(こいつだけじゃない?何故だ。何で気配を感じる?まさか、少しだけ制限が弛んでるのか?)
甘ったるい声に混じり、微かに別の場所からもノイズが聞こえる。
放送より、その正体を探る事に集中した。
神崎士郎とも、秋山蓮のダークウイングとも違う。
禍々しい物では無く、弱く柔らかな光……
――キ……ン…キ……ィン……
放送が終わった後も、弱く柔らかな光の気配を僅かに感じる。
眼を閉じて音に集中した。
(だめか……)
女の子と母親らしき二人が横たわる姿。
それが脳裏に浮かんだのは、諦めて歩きかけたのと同時だった。
距離が遠すぎるのか、クレヨンで書きなぐった様なモザイクが掛かっていた。
一瞬で消えたが、この世界の何処かで囚われているのに間違い無い。
(人質ってやつか)
生き残っている者にとって大切な、命を懸けて助け出す必要のある存在。
すでに逝った者の人質を生かして置く程、神崎士郎やミラーワールドのモンスターは優しくは無い筈だ。
(生き残っている中で、それも戦いに参加している人物……)
記憶に在る残りの参加者を辿る、思い当たるのは一人だけ。
首輪が解除されれば、あの二人と、人質の為に戦う道を選ばざるを得なかった「誰か」
おそらく、相川始も救う事が出来る。
(対策は一人で練るより、相談した方が良い。早く合流して小沢を助け出す。そして、戦いを終わらせる)
希望を胸に、駆け出した足音は弾んでいた。
- 137 :名無しより愛をこめて:2007/09/22(土) 19:32:59 ID:i+4Y4DrC0
-
- 138 :名無しより愛をこめて:2007/09/22(土) 19:33:31 ID:i+4Y4DrC0
-
- 139 :『indestructibility』 ◆4wyf44BgsE :2007/09/22(土) 19:33:59 ID:VtVM+Ers0
- 【リュウガ@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:真夜中】
【現在地:市街地F-5】
[時間軸]:劇場版登場時期。龍騎との一騎打ちで敗れた後。
[状態]:体の所々に負傷。特に背中。応急処置済み。左手の骨にヒビ。額、腹部、右掌に傷。少し肩こり。
[装備]:カードデッキ(龍騎+サバイブ烈火)。カードデッキ(リュウガ+コンファイン)。装甲声刃。
[道具]:アドベントカード(ギガゼール)。
[思考・状況]
1:一刻も早く小沢を助ける。
2:必ず生き残り、バトルロワイアルを終わらせる。
3:F-5エリアの仲間と合流
4:天道の遺志を継ぎ、ひよりを守るために戦う。
5:神崎に反抗。
6:自分の今の感情の名を知りたい。
[備考]
※1:ドラグブラッカーの腹部には斬鬼の雷電斬震の傷があります。
※2:城戸真司の遺体はリュウガに吸収されました。本人の意思により、解放が可能です。
※3:四回目の放送はほとんど聞いていません。
- 140 :名無しより愛をこめて:2007/09/22(土) 19:34:30 ID:i+4Y4DrC0
-
- 141 :『indestructibility』 ◆4wyf44BgsE :2007/09/22(土) 19:36:37 ID:VtVM+Ers0
- 投下終了です。そして支援ありがとう。
誤字脱字、矛盾、その他、指摘して頂ければありがたいです。
- 142 :名無しより愛をこめて:2007/09/22(土) 19:48:42 ID:i+4Y4DrC0
- 投下乙!
まさかのOREジャーナルw
天音ちゃんたちが人質として捕らわれているのか。
これは救出作戦の匂い!! リュウガと始の邂逅が楽しみになる作品でした。
GJ!!
- 143 :名無しより愛をこめて:2007/09/22(土) 20:21:30 ID:EKjCN4l0O
- GJ!
神崎外道w香川教授の家族を人質に取ったことあるし、妥当だ。
始ピンチ!
- 144 :『indestructibility』 ◆4wyf44BgsE :2007/09/22(土) 20:57:27 ID:VtVM+Ers0
- 自己申告です。
状態表の時間の表記のことなんですが、放送を過ぎているので「真夜中」ではなく
「深夜」の方が良いですよね?
ごめんなさい。
- 145 :名無しより愛をこめて:2007/09/22(土) 23:44:40 ID:2mZvDpTs0
- GJ!
人質にしたことがハッタリではなく、実証されましたね。
リュウガがそれを知ったことで、カリスの対主催転換フラグとなりえるか、楽しみです。
昔のリュウガとは、本当に凄いギャップになってきました。
- 146 :名無しより愛をこめて:2007/09/23(日) 01:38:52 ID:guRRQbwU0
- 乙ー。
始改心フラグktkr
そしてリュウガの送ったメールはどこに行くのか…
しかしリュウガはなんかすごい変わったな。
睦月と同じくらい成長してるんじゃ?
- 147 : ◆s.0z/S/80k :2007/09/23(日) 04:15:13 ID:wh/kfadv0
- ttp://riders.suppa.jp/brtest/test6.html
例によって初稿を仮アップしました。
問題がなければ明日てか今日一日で推敲して夜には投下したいと思います。
>>141
乙です
アーバン・レジェンドktkr
- 148 :名無しより愛をこめて:2007/09/23(日) 10:47:01 ID:8sYu7d8+O
- >>146
虎太郎のパソコンだったりしてw
そして『仮面ライダーの真実』が出版されると。
- 149 :名無しより愛をこめて:2007/09/23(日) 11:20:13 ID:FRk4p6RI0
- >>147
ガライはまだ2時間変身不能なのか?
長くても1時間30分くらいでいいんじゃないか?
- 150 :名無しより愛をこめて:2007/09/23(日) 19:00:45 ID:tN5EcfXd0
- >>147
自分は指摘事項は特にないです。
本投下楽しみに待っています。
- 151 :名無しより愛をこめて:2007/09/23(日) 19:34:49 ID:QTYfEX3zO
- >>147
本投下楽しみにしてます。
- 152 :名無しより愛をこめて:2007/09/23(日) 19:54:41 ID:qdlZ+gpK0
- >>147
時間だけど、2時からになってるけど、前回ストロンガーたちは放送後に2回変身してるから、3時くらいからか、早くても2時30分からだと思う。
- 153 : ◆s.0z/S/80k :2007/09/23(日) 22:21:35 ID:wh/kfadv0
- それでは只今から投下します。
- 154 :望郷賦 ◆s.0z/S/80k :2007/09/23(日) 22:22:02 ID:wh/kfadv0
- 床前、明月の光
疑うらくは、是れ地上の霜かと
頭を挙げて明月を望み
頭を低れて故郷を思う
「静夜思」 李白
***
白装束の美丈夫、制服姿の女、潮風にマントをなびかせる黄金の怪人。後ろ姿だけでも不釣り合いなこときわまりない三つの人影が、海岸線に向かってゆっくりと歩を進めている。彼らの踏みしめる砂は月に照らされ、霜が降りたかのように白く輝いていた。
「……こうしてみると、なんか寂しいわねぇ」
不意に小沢がこぼした。「あんな脳天金魚鉢男でも賑やかしにはなってたってわけか」
「ふざけた口を叩くな」ガライが脅すように声を低める。
「嫌ってたんじゃなかったの?」
「貴様のような生き物に何がわかる」
相変わらず人を蔑む物言いは変わっていないが、ガライの調子にはどこか余裕らしきものが見え隠れする。戦士の品格、フォッグの王子としての品位といってもいいかも知れない。
睦月といいガライといい、豹変ぶりを内心おかしく思いながらも、小沢は特にあげつらおうとはしなかった。
と、沈黙を厭うかのように、ジャークが訊ねる。
「それで、首輪の解析はどこまで進んでおる」
「ほとんど終わったんだけど、気になる所があってね。あと一つ首輪があれば、本当に解除できるかどうか試せるのに」
「シャドウのものを使えば良い」
こともなげに答えるジャークに、小沢が思わず眉をひそめる。
「けっこう薄情ね、あなた」
「屍は生ける師なり。死せる将より学ばずして誰に戦いを学ぶというのだ」
「それ、なんかのドラマでしょ。飲み屋で見たわよ私」
ジャークのご高説を、小沢は簡単にあしらった。
- 155 :望郷賦 ◆s.0z/S/80k :2007/09/23(日) 22:22:23 ID:wh/kfadv0
- 「どうする、取りに戻るか」
「俺が行ってこよう」
当然のように名乗りを上げたガライに、小沢は二つの点で驚かざるを得ない。一つはこの男が些末な役目を自ら志願すること、もう一つはーーーー。
「またあのザリガニ女が首突っ込んで来たらどうするの」
「その心配はなかろう。睦月らもあれを追っておる。よほど愚かでなければ、一旦はその場を離れようと思うもの」
ジャークの回答はガライに承認を与えているも同じだった。それ以上言葉を口にせず、ガライが踵を返す。
小沢はその姿をしばし足を止めて見送ったが、その間にジャーク将軍は少し先まで去ってしまっていた。慌てて追いすがり、聞こえよがしに口にする。
「あ〜あ、早く帰って冷たいビールでも飲みたいわ。Gトレーラーが壊れてさえいなければ、戻るのだってすぐだし市街地まで買い出しにも行けたのに」
「飲酒運転でもするつもりか」
「人聞き悪いこと言わないでよ。警察の人間がそんなことするわけないでしょ」
「人間に、さような倫理観があるとはな」
ジャークの言葉には、どこか蔑むような響きがある。
小沢は改めて、この男が人類の敵であることを思い知らされた。クライシス帝国とやらは、人類を滅ぼすとか地球を征服するとか地球を巨大な花火にするとかいった類の、馬鹿げた考えの持ち主なのだ。
世界征服よりおとなしくスターバックスを経営していた方が儲かることぐらい、今時ドクター・イーヴルでも知っている。それもわからないこの男は、オースティン・パワーズを上回るアナクロの変態だ。
「あなたの来た世界って、さぞケバくてエグいんでしょうね」
蔑み返すように発した小沢に、ジャークは意外にも平然と応じた。
「見てみたいか?」
「そりゃもう。あなたの親の顔の次くらいには」
最大限の嫌みのつもりで言い放つと、ジャーク将軍が突如として足を止めた。
- 156 :望郷賦 ◆s.0z/S/80k :2007/09/23(日) 22:22:56 ID:wh/kfadv0
- 言い過ぎたか、と唇を噛む小沢に向かってなぜか居住まいを正し、その手を取る。
「警察将軍、小沢澄子よ」
「それなんか違う。っていうかなんなの改まって、気色悪い」
思わず及び腰になる小沢を前に、ジャークは腕を延ばして辺り一帯を示した。
「よくぞ参った、我らが怪魔界へ。滅びを待つほかない世界だがな」
「は?」
特に変わったものが見えるわけではない。あえて言えば月にうっすらと雲がかかり、足下の砂も鉛色に陰って見えることくらいか。
意図を汲めず絶句している彼女に対し、ジャークは言葉を継いだ。
「そちは今、我が帝国の版図に立っておるのだ」
「……私、これ地球かなんかだと思ってたんだけど」
「たしかに余にも見慣れぬものは多い。陽の光などは特にな……されど風の匂いでわかる。そちは、おのれの故郷の風もわからぬか」
冷たく静かなジャーク将軍の声音は、その言葉に偽りがないことを物語っている。小沢は心なしか首を傾げてその言葉を反芻した。
「ま、言われてみればあれだ。海外出張から帰って来て成田で降りると、なんかどぶの匂いがするなぁって思うわよね」
詩的とは言いがたい小沢の答えに、ジャーク将軍が呆れたような沈黙で答える。小沢は慌てて取り繕った。
「別に日本が特別汚れてるってわけじゃないのよ。湿気が多いのと、空港周辺は排気がひどいせい」
「排気というのは、やはり汚れであろう」
「ん……公害の原因ではあるかな。工業社会となると、それも仕方ないのよね。早いこと核融合炉あたりが実用化してくれれば世の中大分変わるんだけど」
あえて明るく続ける小沢の声が、辺りに空しく流れる。ジャーク将軍はしばし沈黙していたが、ややあって今一度口を開いた。
「ここが地球に思えるというそちの考えも、あながち的外れではない。クライシス帝国はいわばお前たちの住む世界の影。もう一つの地球と言ってもよい」
- 157 :望郷賦 ◆s.0z/S/80k :2007/09/23(日) 22:23:13 ID:wh/kfadv0
- ジャークの声の重々しさを、小沢は簡単に振り払った。
「それで、クライシス帝国とやらはどんな匂いがするの?私には潮の匂いしか感じられないけど」
「終末の匂いだ」
「縁起悪っ」
「この世界はもはや我らも満足に住めぬほど汚染されておる。神崎士郎とやらが手を出さずとて、滅ぶのは時間の問題であった」
低く響くその言葉に、小沢は昨日見た、遠い水平線が純粋な赤に染まる風景を思い出す。大気が汚染されていればいるほど朝焼けは美しい赤に染まることを、小沢澄子は知っていた。
鮮やかな血の色を思わせるあの空の色は、この世界が例えようもなく汚れていることを告げていたのだ。
「あんたたち、よっぽどやらかしたのね。自分の世界が住めなくなるまで汚すなんて」
「我らが、ではない。そちら人間どもがやったことだ」
「何よそれ。なんで人のせいにするのよ」
「事実なのだから仕方あるまい。地球と怪魔界は鏡に映った像のようなもの。一つが汚れれば、もう一つも清浄ではいられぬ」
鏡に映った像、という言葉が小沢の注意を引きつけた。神崎士郎が支配するという戦場、ミラーワールド。この世界もその一つの形なのか。
とすれば、この世界から抜け出す門の在処について、ジャーク将軍は何か手がかりを知っているのかも知れない。
打算じみた考えを巡らせる小沢の傍らで、ジャークはただ遠い地平に視線を投げ掛けていた。姿に似合わず憂いを含んだその姿に、彼女はつい口にしてしまう。
「しっかし人間がやったってねぇ……いくらなんでも全部ってわけじゃないでしょ」
「病人に毒を飲ませた者がいるとして、その者が犯した罪は軽くなると思うか」
「……だいたいこっちからはクライシスに侵略とかしないし」
「もし地球が滅びることになっても、我々と同じことをしないと言えるかな」
子供に問うような穏やかな口調がむしろ空恐ろしい。小沢は先刻、ジャークが自分を小娘とののしったことを思い出した。いま灰色の世界を見晴るかすジャークの面持ちには、どこか死者を悼む風情がある。
- 158 :望郷賦 ◆s.0z/S/80k :2007/09/23(日) 22:23:37 ID:wh/kfadv0
- おのれの胸に残る思いを切り捨てんばかりの冷たさで、ジャークは告げた。
「余に帰るべき故郷はない。皇帝陛下のため、我が帝国の臣民のために、故郷を手に入れねばならぬのだ」
額面通りに受け取るならば崇高というべき志であろう。だが、その裏に隠された意味を見逃すほど小沢もお人好しではなかった。
「でも、そのために人間を殺すんでしょう」
「放っておいてもお前たち人間は自らの手で地球を滅ぼすであろう。それならば、我らに飼われたほうが幸せではないか」
「言ってることがまるっきりマニフェスト・デスティニーよねぇ……」
「それに元はといえば、地球を汚染し我が祖国を崩壊に追いやったのは人間どもの仕業。当然の報いであろう」
殺す側の論理はそうだとしても、殺される側がそれを受け入れる筋合いはない。
「警察の仕事は市民を守ることよ。だから、どんな世界で出会っても、あなたとは戦わざるを得ないわけね」
「宿敵、というやつだな」
ジャークはあっさりとそう返した。僅かに流れた沈黙に、二人はジェネラルシャドウの生き様を思う。
「知ってる?なんかの漫画に出て来るらしいんだけど」
先に口を開いたのは小沢の方だった。
「宿敵って書いて、『とも』と読むんですって」
「詭弁だな」
切り捨てられて、小沢は苦笑する。自分がなぜこんな馬鹿げたことを言ったのか、彼女は薄々感づいていた。
「この場合、ストックホルム症候群とも言うんだけどね」
「なに?」
「気にしないで」
小沢は自らの考えを振り払おうと、心無しか足を速めた。
- 159 :望郷賦 ◆s.0z/S/80k :2007/09/23(日) 22:23:56 ID:wh/kfadv0
- 「さっさと戻って解析を済ませましょう。こんな首輪とは、早くおさらばしたいわ」
「同感だ」
答えるジャーク将軍は、何の苦もなく彼女と歩調を合わせている。始めから弱腰の女に合わせてやっていた、というのが本当の所だろう。
「ねえ、あなた本当に中の人いないの?背中にファスナーとかついてない?」
「あるか!」
あまりにも唐突な小沢の問いに、ジャークが思わず声を荒げる。
「じゃあ、脇の所に留め金とか。ボタン押したらヘルメットはずれるとか」
「ないと言ったらない!中の人などいない!だから余のマントをめくるな!」
「いいじゃないの、減るもんじゃなし。そんなにもったいぶるならパンチラぐらいサービスしなさいよ」
「怪人のパンチラを見て楽しいか?」
「正直見たくなんてないけど、土産話にはなるわ」
小沢の物言いは、どこまでが本気だか計り知れない。ジャーク将軍は一度ため息をつくと、改めて訊ねた。
「おまえこそ、改造されてみる気はないか?余はおまえの知性と勇気を高く評価しておるのだ。おまえにならば一軍を任せても構わぬが」
「冗談じゃないわよ、嫁入り前の身体を傷物にされるなんて」
「嫁入り前という柄ではなかろう、むしろ嫁き遅れ」
そう口にしたジャークの鼻面に、タイミングよく現れたコーカサスゼクターが小沢は俺の嫁、と言わんばかりの剣幕で突進する。
軽やかな激突音が冬の夜空に鳴り響いた。
- 160 :望郷賦 ◆s.0z/S/80k :2007/09/23(日) 22:24:18 ID:wh/kfadv0
- 思わず額を押さえたジャーク将軍の頭上を、コーカサスゼクターがやけに勝ち誇って旋回している。ジャークは小さく首を振った。
「まあそう食わず嫌いをせずとも良いではないか。ちくっとするだけだ」
「ちくっとするだけってどんな改造よ。だいたいね、私は注射からして嫌いなの」
「注射と電撃が好きな奴はおらぬだろうな」
「わかってるならやめて」
小沢は簡単に切り捨て、冷たい夜風に身を振るわせた。既に丑三つ時を過ぎ、これから夜明け前にかけてはいよいよ寒くなる。空を覆い始めた鈍色の雲を見る限り、今日は雨になるかも知れない。
と、不意に何かが風になびく音がした。
はっと辺りを見回した小沢の視界が不意に暗くなる。背中に物が落ちかかる感触に思わず身を縮こめた彼女に、ジャーク将軍が低く囁いた。
「なにを驚いておる。寒いのであろう」
よく見ると、ジャークが自らのマントを広げて彼女を庇ってくれている。
「……それはご親切に」
「おまえのことを思っておるのではない。首輪を外す前に風邪をひかれては困るからだ」
「照れてるの?」
「違う!」
「マントの中を見られるのがそんなに恥ずかしい?やーね変態って」
「くだらぬことを申すな!」
やけに頑なジャークの態度に、小沢は苦笑せざるを得なかった。促されるまま身を寄せると、何を怒っているのかコーカサスゼクターが間に割り込んで来る。彼女はゼクターを掴んで、反対側のポケットに押し込んだ。
人質に対してこうまで気を回すのはこの怪人が言葉通り自分を利用尽くそうとしているからか、それとも仲間に引き入れようという色気が出て来たからか。意外な所で、根は紳士なのかもしれない。
人類滅亡を企む紳士など、ありがたすぎて涙が出る。
- 161 :望郷賦 ◆s.0z/S/80k :2007/09/23(日) 22:24:44 ID:wh/kfadv0
-
***
砂で作られた小さな塚の上に、一本の棒が立てられている。物淋しさと同時に死者の孤高と矜持を思わせるその墓標の前で、ガライはしばしたたずんでいた。
そこには祈りの言葉も刻まれず、手向けの花もない。それでも残されたものの思いは死者と共にある。
少し前のガライであれば、脆弱な生き物達の戯れ事とすげなくあしらっていたことだろう。
フォッグの王子が知っていた思いはたった一つ。弱肉強食ーーーー力あるものが脆い存在を打ち倒し、食らい尽くすこと。それが自然の摂理であり、彼はそれだけを胸に生きて来た。
それが正しいということを、いまだに疑いはしない。
ジェネラルシャドウが食らわれぬままこうして残されているのは、彼が強かったからだ。死は敗北ではない。強さが……勝利が、戦いを生き抜くことだとしても。
「おまえの強さを、今一度貸してもらうぞ」
彼はそう告げて、墓標に手をかけた。
いつしか月は雲に隠され、冬の雨がまばらに打ち付け始めた。生きるものとてない風の砂漠を思わせる寒々とした光景に、潮騒だけがいつまでも響いている。
- 162 :トリビアル・パースート ◆s.0z/S/80k :2007/09/23(日) 22:25:58 ID:wh/kfadv0
- がらんとした広間に、何かのモーターだけがかすかにうなっている。
外の荒涼とした暗闇とは打って変わって人工的な閉鎖空間の光は、疲れた目には眩しかった。小沢は幾度か目をしばたたいた後、まっすぐに奥の小部屋へと向かった。
何かの研究室と見えたその場所は、ほんの数時間のうちに彼女の巣と化していた。棚の扉はことごとく開け放たれ、壁際には箱がずれたまま積み上げられた状態だ。中央の作業台にも様々な工具が散らばり、分解された首輪の部品や筆記具までもが入り乱れている。
「ひみつきち」だか「あくのアジト」だか知らないが、この場所は確かに首輪の解析には最適だった。各種の分析装置はもちろんのこと、手術にでも使うのか、超音波スキャナや高性能の内視鏡までが揃っている。
これがあれば、首輪の解除に求められる精密な作業も随分と楽になるはずだ。
小沢はそれまでの作業でわかった点を一つ一つを手元の紙に丁寧にメモしていた。細かい字でびっしりと書き込まれたメモは折り畳めばゼクターの腹部に貼付けてもそう邪魔にはなるまい、という魂胆がある。
彼女を追って室内に入って来たジャーク将軍が足を止めたのは、あまりに混沌とした様子に呆れたからかも知れない。
小沢はザビーゼクターを作業台の上に置き、メモの類をポケットにしまった。
「何か話してくれない?静かなままだと眠くなりそうだから」
スツールを引き寄せ、トルクドライバーに手を伸ばす。兄弟とも言えるザビーゼクターの様子が心配なのか、ポケットから這い出したコーカサスゼクターが横から彼女の手元を覗き込む。
「何が聞きたい」
「たとえば、あなたの故郷とやらの話」
「話すに値することなどない。死んだ土地だ」
ジャークの答えはにべもない。本心からなのか、それとも心理的な距離を保つためなのかは黄金の仮面に隠れて伺い知れなかったが。
「観光名所の一つくらいはあるんじゃないの。砂漠なら砂漠で、世の中にはわざわざそれを見に行く人もいるんだし」
「砂漠が好きか、おまえは」
「好きって訳でもないけどね。今の所嫌う理由はないから」
あまりにあっけらかんとした小沢の物言いである。
「なぜそのようなことを聞きたがる」
「暇だからよ。ただの気晴らし」
「それで余の弱みが見つかるとでも思うか?」
ジャークは突き放すように問うた。
- 163 :トリビアル・パースート ◆s.0z/S/80k :2007/09/23(日) 22:26:29 ID:wh/kfadv0
- 物理的にはほんの数メートルの距離なのに、互いの立場の間には超えようもない隔たりがある。その現実に、小沢は苦笑せざるを得ない。
「実を言うと、あなたの弱みはもうわかってるの」
「なんだと?」
「あなたの弱みはね……私の敵だってことよ」
おもむろに言い放つ彼女に、ジャーク将軍が肩をすくめた。
「大した自信だな」
「人のこと言えた義理じゃないでしょ」
ジャークは虚勢と捉えているかも知れないが、小沢にしてみれば立派に根拠はある。
彼女はこの世界を脱出するための鍵と首輪を解除する知識の両方を握っているのだ。生殺与奪とまでは言わないが、いずれ自分が協力しなければジャークに勝ち目はない、その確信が彼女の自信の裏付けである。
ジャークに自分は殺せない。
平然とゼクターの修理を始めた小沢を、ジャーク将軍はしばらく眺めていた。が、不意に側に積まれたままの箱に腰を下ろし、杖の先で床を叩く。
「余がおまえの質問に答える度におまえも余の質問に答える。それでどうだ」
「悪くないわね、ゲームみたいで」
小沢は視線だけを上げて答えた。
*
「……でね、これがまた嫌みな奴なんだ。やたらこっちに対抗してきてさ。ああいう虚栄心の強いタイプは、この仕事に向いてないと思うのよ」
質問に答えるというよりは愚痴に近い小沢の話を、ジャークは黙って聞いている。忍耐強いのは元来の気性なのか、それとも立場柄か。
「今度はそっちの番よ。お国自慢でもしてちょうだい」
「自慢するようなものではないと言ったであろう」
「なにか曰く付きの場所くらいないの?すごい伝説があるとか、行くと奇跡が起こるとか」
「奇跡の谷、と呼ばれる場所があるにはあるが」
「きれいな所?」
「滅ぶ世界だ、どのような姿であれ価値はない」
ジャークの答えはあくまで頑だった。
- 164 :トリビアル・パースート ◆s.0z/S/80k :2007/09/23(日) 22:26:56 ID:wh/kfadv0
- 「そこまで切り捨てるの、悲しくない?」
「おまえに何がわかる。それともおまえは、おのれの祖国が滅びゆく様を見せつけられたことがあるのか」
怒りとも諦観ともつかないよそよそしさでジャークは冷たく返す。
「そんな言われ方したら、歩み寄りようがないじゃない」
「歩み寄っているつもりだったのか?余には腹を探っているように思えたが」
図星をつかれ、小沢は話題を変えようと工具を置いた。
「さて、これで中身は多分直せたんじゃないかな。あとは内被膜を再生できればクチクラ層は勝手に形成されると思うんだけど、っていうか何を分泌すればこんなに堅いクチクラが出来るんだろ」
ねえ、と首を傾げて目の前のコーカサスゼクターをつつく。ゼクターは申し訳なさそうに角を下げた。
「誉めてんのよ」
小沢は飼い犬にでもするように角の脇を爪で掻いてやる。コーカサスゼクターはしばらくされるがままになっていたが、ふと思い出したように壁際の棚に飛んで行った。
大量の試薬の瓶が並ぶ中、何かを見つけて角で棚を叩く。
小沢は近づいて棚を開けた。
「フルフラールがどうかしたの?」
彼女が呟く側から、コーカサスゼクターが試薬の小瓶を角に引っ掛けて飛んでゆく。作業台の上で無造作に身震いすると、落ちた容器が割れて中の液体が思い切りザビーゼクターの上にぶちまけられ、ナッツに似た青臭い匂いが辺りに漂った。
「……ってあ、まずい!」
小沢が慌てて袖で口と鼻を覆う。
- 165 :トリビアル・パースート ◆s.0z/S/80k :2007/09/23(日) 22:27:15 ID:wh/kfadv0
- 「いかがした」
「その液体、吸ったら危ないっていうか毒だから!」
後ずさる小沢をよそに、コーカサスゼクターは作業台に飛び散ったアルデヒドを舐め始めた。ジャークがゆっくりと立ち上がる。
「おまえは外に出ておれ。余が片付ける」
「水は使わずに砂か何かに吸い込ませて密封して、後はエタノールで拭いて。それから換気ね!」
小沢はその言葉に甘えて部屋を飛び出した。
広間には光が満ちているばかりで誰もいない。その静けさに、ほんの少し安堵する。
この隙に逃げてやろうかとも思ったが、うっかりガライや他の殺戮者と鉢合わせした日にはどうなるか目に見えている。加えて、先ほど彼らが見せた侠気を裏切るような真似をするのは気が進まなかった。
彼女は戦士ではない。だからこそ、戦士達の矜持に敬意を抱かずにはいられない。たとえそれが時代錯誤の振る舞いであろうとも。
***
しばらくして、ジャーク将軍はケージを手に研究室から出て来た。コーカサスゼクターがその後に続く。
「ちゃんと手洗った?歯磨いた?」
小沢の問いにジャークは首をすくめ、彼女の前にケージを置いた。
「人間にとっては毒でも、この虫どもにとっては餌となるようだ」
密封されたケージの中で、フルフラールを吸い込ませたスポンジを枕にザビーゼクターが羽を休めている。まだ表皮のヒビが目につくが、時折思い出したように身動きする様子で、修理には成功したことが知れた。
「よくわからないわねえ、ゼクターって。生き物なの?それとも機械なの?」
目の前をのんびりと滑空するコーカサスゼクターに、小沢が訊ねる。彼女の声にゼクターは軽く舞いーーーーふらふらと落下しはじめた。
「……酔っぱらっているようだな」
「さてはエタノールまで舐めたわね、この悪食ゼクター」
- 166 :トリビアル・パースート ◆s.0z/S/80k :2007/09/23(日) 22:27:36 ID:wh/kfadv0
- 小沢が手を伸ばすと、コーカサスゼクターはその中に居心地良さそうに収まった。そのまま一向に動かないのは、どう見ても眠り上戸という奴だ。
「おまえも少し眠ってはどうだ。寝ぼけ眼で首輪を弄って爆発させてもつまらぬ」
重々しい声でありながら、ジャークの言葉はどこか冗談めかして聞こえる。
「寝てる間に人のこと改造とかしないでしょうね」
「それは余の仕事ではないのでな」
たった今ゼクターの不始末の後片付けをさせられた当人が厳かに宣言した所で、さして説得力はない。だが小沢は言われた通りおとなしく仮眠を取る事にした。
ジャークに自分は殺せない。ならば監視された状態のほうが、一人でいるより安全だ。
小沢はゼクターを側のコンソールに起き、広間を見渡した。目につく限りで最も座り心地の良さそうな椅子に腰を下ろす。背もたれに身を投げ出しておやすみの代わりに小さく手で合図すると、ジャークは杖を軽く掲げて答えた。
*
まったくこの女、人質の自覚は微塵もないのか。
ジャーク将軍はケージの中で動き回るザビーゼクターを眺めながら、内心でそう呟いた。
かつて彼の下で使えていた四大隊長に比べても、小沢澄子は遠慮というものに欠ける。とはいえダスマダーのように彼をないがしろにしているわけではない。あくまで自分と対等を任じて向かってくる。
そして自ら任じるだけの能力と人格も持ち合わせている。文人を称してはいるが、勇猛という点においては一流の武人にも劣らぬであろう。武人でないことが実に惜しまれる。
彼女が自分の部下であればーーーーいや、剣を交える事が出来れば、さぞ愉快だったろう。
死なせるには惜しい人材だと思う。おとなしく役目を果たしてくれるならば、命くらいは助けてやってもいい。とどのつまり、仮面ライダーの端くれとして戦力にはなるのだ。強さについては未知数だが。
- 167 :トリビアル・パースート ◆s.0z/S/80k :2007/09/23(日) 22:28:00 ID:wh/kfadv0
- 考えにふけっていたジャークの耳に、不意に破裂音が届いた。見ると、傍らのコンソールに置いたケージが割れ、隙間からザビーゼクターが這い出している。
ザビーゼクターは暢気に船を漕いでいるコーカサスゼクターを鼻先でつついたが、一向に反応がないのを見て軽く飛び退き、自らの針でしたたかに後頭部をどやしつけた。
手加減のないその一撃に、コーカサスゼクターが吹き飛ばされて床に落ちる。
ようやく目が覚めたのか、ふらふらと浮かんで来たコーカサスゼクターの周囲を、ザビーゼクターは幾度かすれ違うように滑空した。それを見守るジャーク将軍の目の前で、閃光のごとき軌跡を残して外へと飛び去る。
ジャークは身を屈めてケージを取り上げた。
「まったく、どやつも手間ばかりかけさせおって」
呟いて、研究室の奥へとそれを捨てに行く。
コーカサスゼクターは、ザビーゼクターを見送るようにしきりに戸口の辺りを飛び回っていた。
*
ガライがジェネラルシャドウの亡骸を背負って戻って来たのは、それからほどなくしての事だった。雨と血の染みと炭化した肌に擦れて、自慢の白装束は見る影もなく汚れている。
ジャークはシャドウの身体を研究室に運ばせ、辺りから適当な布をとって首以外を覆ってやった。死者すらも利用しようとするおのれの酷薄さを悔いるというよりは、小沢の気を散らさないための配慮である。
準備を済ませると、ジャークは広間に戻った。眠っている小沢の傍らに立ち、大げさに杖で椅子を叩く。
幾度か繰り返して、小沢はようやく目を開いた。
「どうしたの?」
「ガライが戻って来た」
寝ぼけているのか、小沢は一瞬眉をひそめた。が、少ししてその意味に気づき、身を起こす。
「ああ、そうだったわね」
あくびをかみ殺しながら立ち上がり、ジャークに付き添われて研究室へと向かう。
ガライに見守られて手術を待つ患者のように作業台に横たわる身体に、小沢はため息をついた。かすかな音だったが、それをジャークは聞きのがさなかった。
「では、始めてもらおうか」
ジャークに促され、小沢は頷いて手術用の内視鏡を取った。
- 168 :ステータス表 ◆s.0z/S/80k :2007/09/23(日) 22:28:36 ID:wh/kfadv0
- ■でこぼこトリオ@2日目 02:30-03:30
■移動+雑談+仮眠で1時間強消費
■現在時刻03:30 現在位置:J-3(地下アジト内)
【ジャーク将軍@仮面ライダーBLACK RX】
【2日目 現時刻:黎明】
【現在地:海岸J-3】
[時間軸]:ジャークミドラに改造後。
[状態]:健康
[装備]:杖、変身後は大刀。
[道具]:支給品のデータブック(ハイパーゼクターを除く支給品のデータが記載されています)
ネタばれ地図。ライダーブレス(コーカサス)。変身鬼弦・音錠。精巧に出来たモデルガン。
ハイパーゼクター。ベルト(カブト)。
ディスクアニマル(ルリオオカミ、リョクオオザル、キハダガニ、ニビイロヘビ)
トランシーバー(現在地から3エリア分まで相互通信可能)。ライドロン。
配給品一式×8(ジャーク、グランザイラス、城戸、シャドウ、ドラス、立花藤兵衛、麻生勝、天道)
[思考・状況]
1:ライドロンを動かす方法を調査
2:首輪の解析と解除
3:小沢澄子に対し、一武人としての好意。
4:RXを待ち、殺す。睦月はガライに任せる。
5:神崎士郎を殺し、脱出する。
※1:ジャーク将軍は睦月より、ブレイド世界の情報と剣崎、始、橘、キング、伊坂、北岡、リュウガの情報を得ました。
※3:支給品のデータブックには、支給されたアイテムの効果が記載されています。
各参加者の初期支給品も記載されています。
※4:コーカサスゼクターの資格者が小沢澄子と判明したため、
ライダーブレスについては他のアイテムより注意深く管理しています。
※5:ライドロンは現時点では動かすことは出来ません。
※6:Gトレーラーはトレーラー内の装備(G3ユニット・GM-01・GG-02・GK-06)ごと大破しました。
- 169 :ステータス表 ◆s.0z/S/80k :2007/09/23(日) 22:28:58 ID:wh/kfadv0
- 【小沢澄子@仮面ライダーアギト】
【2日目 現時刻:黎明】
【現在地:研究所J-3】
[時間軸]:G3-X完成辺り。
[状態]:多少の打撲と火傷。仮眠も取ってやる気十分。
[装備]:ガードアクセラー コーカサスゼクター(ブレスなし)
[道具]:分解済みの首輪x3(麻生勝・園田真理・ヨロイ)
デストロン謹製の手術用内視鏡(作動には電源が必要です)
首輪の解除方法と脱出手段に関する推論を記述したメモ
[思考・状況]
1:仲間達(大集団)の安全を祈願。必ず皆を連れて脱出する。
2:首輪の解析と解除。
3:2つのゼクターを奪い、ジャーク将軍からクライシス界・脱出経路に関する情報を得る。
4:ジャーク将軍に対する好意を自覚。ほだされるわけにはいかないが、出来れば共闘できないものか。
5:相川始に疑問。
[備考]
※クライシスと神崎士郎が手を組んでいないことを、ジャーク将軍の発言より確信しました
※データブックから全員の支給アイテムの大まかな情報を手に入れました
※ハイパーゼクターを利用してこの空間を脱出する方法に思い至りました。
※手術用内視鏡を用いて首輪を解除する方法を考案しました。
※修理を完了したザビーゼクターは、資格者(矢車想)の元へと移動中です。
- 170 :ステータス表 ◆s.0z/S/80k :2007/09/23(日) 22:29:13 ID:wh/kfadv0
- 【ガライ@仮面ライダーJ】
【2日目 現時刻:黎明】
【現在地:海岸J-3】
[時間軸]:本編開始前。
[状態]: 全身にに切り傷、打撲。1時間変身不可(コブラ男)
[装備]:ガライソード、GS−03
[道具]:なし
[思考・状況]
1:睦月とサタンサーベルを賭けて決闘する。正直、サタンサーベルはどうでもいい。
2:キング、ドラス、冴子を許しはしない。
3:ジャーク将軍と協力して、首輪を解除する。
4:神崎士郎を倒す。
5:小沢を自分とは異なる「強さ」の持ち主として認めている。
※折れた烈斬はD-7に放置されています。
- 171 :ステータス表 ◆s.0z/S/80k :2007/09/23(日) 22:29:32 ID:wh/kfadv0
- 以上です。
投下前にご指摘頂いた点は修正してありますが
まだ問題など残っていましたら斟酌せずご指摘ください。
- 172 :名無しより愛をこめて:2007/09/23(日) 22:38:58 ID:tN5EcfXd0
- 投下乙!
ジャーク将軍気づいていたか。言っていることが重いけど、小沢さんとの掛け合いは楽しませてもらいました。
ザビーゼクターも修理完了、パーフェクトな男に再び舞い戻るか。
ガライ……男前になって……。ジャーク将軍、何フラグ立ててるんだww
首輪解除目前、終盤戦に入った事を自覚しました。GJ!!
- 173 :名無しより愛をこめて:2007/09/23(日) 22:57:00 ID:UDDOMtsv0
- ザビーゼクターはうまくいけばあの男のピンチに間に合うかな・・・?
そこかしこで動きがあって楽しみです
- 174 :名無しより愛をこめて:2007/09/23(日) 23:03:49 ID:FRk4p6RI0
- >>173
3時30分だから限りなく無理だろ。
放送直後に戦闘している様なもんだから。
- 175 :名無しより愛をこめて:2007/09/23(日) 23:44:39 ID:5HRIppYE0
- いけるんじゃね?ゼクターはジョウントで空間を越えれるんだし。
ガタックゼクターのときはあくまでハイパーゼクターっていうお荷物があったからで。
- 176 :名無しより愛をこめて:2007/09/24(月) 00:08:47 ID:FQDflVRI0
- 投下乙です。
相変わらず小沢さんとジャーク将軍のやりとりが面白い。
ところどころちりばめられた小ネタにも吹かせてもらいましたw
中の人とか俺の嫁とかww
そうかジャークさんはツンデレだったのか…
- 177 :名無しより愛をこめて:2007/09/24(月) 07:58:27 ID:pcVRPB0RO
- GJ!
警察将軍に吹きました。
- 178 :名無しより愛をこめて:2007/09/24(月) 15:34:34 ID:tPXy48bO0
- GJ!
ジャークと小沢の見事な掛け合いと、そこに割ってはいるコーカサスゼクターがいい感じでした。
- 179 :♯はるまさん:2007/09/24(月) 19:23:18 ID:pcVRPB0RO
- 日下部ひより、草加雅人、南光太郎、結城丈二、予約します。
- 180 : ◆CbOjjnQoXQ :2007/09/24(月) 19:26:48 ID:pcVRPB0RO
- トリップもろばれorz
すごく恥ずかしい……
というわけで新たなトリップで改めて
日下部ひより、草加雅人、南光太郎、結城丈二、予約します。
- 181 :名無しより愛をこめて:2007/09/24(月) 20:15:17 ID:+ykuGfEN0
- 栗原親子が捕まってる場所ってやっぱ禁止エリアだよな?
F2の遺跡とか?
- 182 :名無しより愛をこめて:2007/09/24(月) 20:17:22 ID:cZMhOsUV0
- >>180
新作楽しみにしています。
あと、ドンマイ。
>>181
書き手任せでいいんでね。
- 183 :名無しより愛をこめて:2007/09/24(月) 22:26:49 ID:tPXy48bO0
- ふと思ったが、今回の話1時間って短くないかな。
テスト稿は1時間30分だし、それくらいが丁度いいんじゃないか。
- 184 : ◆s.0z/S/80k :2007/09/24(月) 22:38:46 ID:5RuKRhk+0
- 前の話と最後が多少被っているのと、あまり進めすぎると周囲のバランスが取りにくくなるので
しっぽだけそのままあわせる形にしてみたのですが、余裕もって取った方がよいですかね。
その辺は読み手の方の判断に従いますので、皆さんのご意見を頂ければ。
顔出しついでと言ってはなんですが、相川始・矢車想・秋山蓮・乾巧を予約します。
- 185 :名無しより愛をこめて:2007/09/25(火) 00:55:58 ID:fooz6Cx00
- またリュウガだけハブられてるwwwwwww
- 186 :名無しより愛をこめて:2007/09/25(火) 16:00:47 ID:SOql/K+i0
- こうなったらリュウガにコーヒーを飲まs(ry
- 187 :名無しより愛をこめて:2007/09/25(火) 17:02:15 ID:/P3u8EVN0
- >>186
すごい……空気化フラグです……
- 188 :名無しより愛をこめて:2007/09/25(火) 23:43:17 ID:Jv6CXRQyO
- >>180
>>184
新作、楽しみにしています!
- 189 :名無しより愛をこめて:2007/09/27(木) 00:21:33 ID:33Yu6UcF0
- まとめサイトの作品読んだけど、
よくよく見てみると「因果は巡る」と「疾走する王」の部分で
ドラスの制限について矛盾点があるような。
- 190 :名無しより愛をこめて:2007/09/27(木) 00:24:35 ID:sWxZG25O0
- >>189
どの部分?
それだけじゃ分からない。
- 191 :名無しより愛をこめて:2007/09/27(木) 00:29:07 ID:33Yu6UcF0
- 因果は巡るの部分でキングが
>「まあ、感謝するつもりはないけどね。……ところで、そろそろドラスの制限も解けたよね?
> いくつか、金属で出来た支給品もあるけど、これ吸収する?」
と発言しているのに「疾走する王」の初めが
>「よ〜し、2時間だっ!」
> キングは時計の長針が8を指したのを確認し、声を上げた。
> 午後7時40分。ドラスの制限が解ける時間だ。これでドラスは復活することができる。
となってる。
- 192 :名無しより愛をこめて:2007/09/27(木) 00:37:33 ID:sWxZG25O0
- >>191
「因果は巡る」と「疾走する王」の間に10分くらい間が空いているし、スコルピオワームに変身したのはドラスが能力発揮する前だから、その範囲内だとキングの勘違いで説明がつきそうでもある。
まあ、vHOqGgdf1U氏の見解待ちだね。
- 193 : ◆vHOqGgdf1U :2007/09/28(金) 04:59:29 ID:uulQr9qz0
- >>189-192
回答が遅くなり、申し訳ありません。
該当箇所の部位を修正して、アップいたしました。
具体的には『因果は巡る』の部分です。
- 194 :名無しより愛をこめて:2007/09/28(金) 18:40:04 ID:7G1SkPJ70
- >>193
修正乙です。
- 195 : ◆CbOjjnQoXQ :2007/09/28(金) 20:35:53 ID:/2xgCLLLO
- >>193
修正乙です。
そして経過報告ですが……
気ばかり焦ってなかなか進んでいませんorz
休みの間に何とか頑張ります。
- 196 :名無しより愛をこめて:2007/09/29(土) 15:08:06 ID:rAvTvbbJ0
- >>195
がんばってください!
- 197 :名無しより愛をこめて:2007/09/29(土) 17:39:13 ID:t0RJWPBd0
- 参加者状態表のジェネラルシャドウのコメント欄の
>カイザを適当にあしらい、Gトレーラーの運転も務めた。
の一文、カイザじゃなくて草加に修正した方がいいんじゃないかな?
- 198 : ◆vHOqGgdf1U :2007/09/29(土) 17:56:44 ID:9DIDhLTb0
- >>197
ご指摘感謝。修正しました。
ついで、ジャーク将軍、ガライ、小沢澄子を予約いたします。
- 199 :名無しより愛をこめて:2007/09/29(土) 18:39:26 ID:3riAD3xNO
- 楽しみにしてます!
- 200 :名無しより愛をこめて:2007/09/29(土) 22:33:04 ID:9cS6iSTH0
- >>185だがもう一度言おう。
またリュウガだけハブられてるwwwwwww
なんか真剣に空気化を心配するな。合流したらすべて終わった後だった…なんてことになりかねないぞ
- 201 :名無しより愛をこめて:2007/09/29(土) 22:49:46 ID:gG/1q/tnO
- 頭割られたり手や腹に穴あいてたり何気に重傷だがな
- 202 :名無しより愛をこめて:2007/09/30(日) 00:08:04 ID:IduZdEWHO
- こうして長い戦いは終わり、生き残った者たちはそれぞれの世界へと帰っていった。
【仮面ライダーバトルロワイヤル:完】
リュウガ「いったいみんなはどこにいるんだ?」
- 203 :名無しより愛をこめて:2007/09/30(日) 00:19:22 ID:u/J8yjPn0
- 未来のない怪魔界に取り残されるなんて・・・
それなんて死亡フラグ?
- 204 :名無しより愛をこめて:2007/09/30(日) 00:21:13 ID:bUJ53TIb0
- 吹いたw
- 205 : ◆s.0z/S/80k :2007/09/30(日) 06:29:11 ID:dwNJvSUF0
- そして置き去りにされた恨みを糧に次回バトロワを主催するんですな
冗談はともかく、いつものように仮稿を上げました
ttp://riders.suppa.jp/brtest/test8.html
問題がなければ推敲の後、今夜にも本投下します
- 206 :名無しより愛をこめて:2007/09/30(日) 10:45:38 ID:DFiYB2kN0
- 感想や動物のお医者さんネタは置いておいて…
2枚コンボはスピニングダンスではなくスピニングアタックでは?
- 207 :名無しより愛をこめて:2007/09/30(日) 11:12:20 ID:6TehKYdo0
- 蓮って確か犬が苦手じゃなかったっけ?
- 208 :名無しより愛をこめて:2007/09/30(日) 12:52:10 ID:PpRcDE7N0
- 苦手だね。さりげなく逃げてたくらいに。
- 209 :名無しより愛をこめて:2007/09/30(日) 14:05:38 ID:o6yheEBeO
- あの無様な避け方思い出してワロタw
- 210 :名無しより愛をこめて:2007/09/30(日) 19:50:30 ID:ZGADSAlb0
- ザビーは、ミツバチじゃなくスズメバチですね
- 211 : ◆s.0z/S/80k :2007/09/30(日) 22:53:44 ID:dwNJvSUF0
- あれ、ウルフ巧にやけくそで追い回されて本気で逃げ回る蓮の姿が脳裏に……
ここまでにご指摘頂いたあたりに手を加えてみましたが、
我ながら文章が結構グロッキーですね。
期限ギリギリの明日夜までお時間頂けますか。
追加で指摘があればその辺も組み込むようにします。
それから前回言い忘れましたが、
>>183-184の件は、>>198で予約が入っていますので
◆vHOqGgdf1Uさんの判断にお任せする、という事でよろしいでしょうか。
- 212 :名無しより愛をこめて:2007/09/30(日) 23:38:38 ID:EYK6/21n0
- 指摘事項です。
まず台詞回しに違和感。
巧は弱音を吐くタイプじゃない。
秋山ライダーバトルのことはゲームとは言わない。
共通項として、主観が多分にあると思うが、小ネタが大概ウザイ。シリアスな場面が色々と台無し。
次、リフレクト。これは議論向け。
キックホッパーのライダーキックは反射できてもおかしくないが、よくキックを反射しようと思ったな。
一回も見てない技なのに物理攻撃を反射しようと思うかな。
>「黙れ!」
> 始は無言のまま矢車に飛びかかり、肩をつかんで幾度となくアスファルトに叩き付けた。
文章が矛盾している。
あと時間経過。
ジョーカーになるのも忘れて、矢車を殴っているので、乾合流までそんなに時間は経っていないはず。
戦闘終了まで精々三十分。1時間消費はおかしい。
事後処理が三十分掛かったのなら、今度は状態表がおかしくなる。
曖昧なままの方がつなげやすいのに、わざわざ現在時刻入れるなら、もっとしっかりして欲しい。
- 213 : ◆s.0z/S/80k :2007/09/30(日) 23:51:12 ID:dwNJvSUF0
- >>212
ありがとうございます。
巧の台詞回しに関しては、正体ばれ付近のエピソードをもう一度確認して直しますね。
キックホッパーのライダーキックですが、始は話のスタート直後に一度辛うじて回避しています。
(技の効果を見ていると言う描写を少し増やしてみました)
リフレクトの扱いについては住人の方々の意見を伺いたいところですが、
議論になるなら場所を移した方がいいのかな。
とりあえず本編でモスはブレイドの物理攻撃も押さえ込んでいましたが……。
状態表と時間関係はもう一度見直しますね。
なお、日本語がおかしい部分は既に直してあります。
- 214 :名無しより愛をこめて:2007/10/01(月) 00:06:13 ID:yvTJmiBJ0
- >>210が既に指摘してるがザビーは蜜蜂じゃない
かなり直す必要があるが、違うものは違うので要修正
あと>>212も言ってるけど蓮が『ゲーム』って言うのは違和感ある
今読んで変わってないみたいなので書き
- 215 :名無しより愛をこめて:2007/10/01(月) 00:15:19 ID:/64uRaic0
- 記憶がおぼろげなんだがリモートで解放されてジョーカーと戦ったときは反射できてたかな?
- 216 :名無しより愛をこめて:2007/10/01(月) 00:15:32 ID:z08MpDIw0
- 蜜蜂ってのは皮肉じゃないの?本文中で突っ込み入ってるし
それを言うなら巧は犬じゃないw
- 217 :名無しより愛をこめて:2007/10/01(月) 00:16:11 ID:C4MvHXDYO
- 矢車さん…
ついに絶望の淵から立ち上がり過ぎて悟りを開きましたか
もはやオリキャラの域だな
- 218 :名無しより愛をこめて:2007/10/01(月) 00:48:13 ID:yvTJmiBJ0
- >>216
いや、始にボコられてる時のセリフが蜜蜂っぽいので
>働き蜂は兄弟達のために死ぬまで働く、ただそれだけのために生まれて来る
このへんとか。スズメ蜂もそうだったりする?
- 219 :名無しより愛をこめて:2007/10/01(月) 00:57:04 ID:okzVFNkN0
- >>217
それを言っちゃ明日夢とかどうするんだよ。
- 220 :名無しより愛をこめて:2007/10/01(月) 01:04:01 ID:uxxpMfg00
- >>219
構うな。放って置け。
オリキャラいえるの明日夢とガライくらいだし。
あと蜂蜜云々は比喩だと思うぞ。
ライダーのモチーフとかでなく、シャドウでの矢車さんの生き方に対しての。
指摘としてまともなのは>>212氏と>>206氏くらい。
二人の指摘さえ抑えれば、問題ないんじゃないか?
- 221 :名無しより愛をこめて:2007/10/01(月) 01:05:12 ID:uxxpMfg00
- 訂正
あと蜂蜜云々は比喩だと思うぞ→あと蜜蜂云々は比喩だと思うぞ。
- 222 :名無しより愛をこめて:2007/10/01(月) 01:14:07 ID:yvTJmiBJ0
- 要するに矢車は単純に『蜂』ということで言ってたということかな
それなら分かるけど
- 223 : ◆s.0z/S/80k :2007/10/01(月) 02:06:37 ID:y/bLg5GM0
- 朝8時までに一度、大まかに直した第3稿をアップしておきます。
その後さらに加筆しますので、直し足りないと言う部分があればご指摘をお願いします。
>>218
スズメバチはミツバチと同じく社会性昆虫です。
女王蜂・働き蜂・雄の役割分担も全く同じですね。
ザビーのイメージは本来リーダー=女王蜂なんでしょうけど
(むしろ要らなくなったら巣からポイされるあたりが被る……)
そう言う意味で、働き蜂とか兄弟という部分は220さんのおっしゃる通り完全に比喩ですが
初稿の時点からザビー=スズメバチとして書いています。
巧や蓮の台詞は216さんのおっしゃる通り、矢車をからかってるだけのつもりで入れました。
パロネタはともかく、こういう緊張感の崩しは非日常との対比で必要だと思っています。
なお、矢車の「悟り」の台詞はほとんど血縁選択説の翻案です。
社会生物学、面白いですよ。超おすすめ。
>>217
矢車・蓮・始あたりはTV本編より映画版やTVSP版に近い方向に進んでるかなと言う気はします。
やはり原作のキーキャラ不在やキーイベントがないというあたりが大きいんでしょうか。
- 224 : ◆CbOjjnQoXQ :2007/10/01(月) 09:09:47 ID:rex6FLjwO
- >>223
乙です。
第三稿楽しみしております。
そして、申し訳ありませんが三日間延長させて下さい。
水曜の夜に必ず投下しますのでよろしくお願い致します。
- 225 :名無しより愛をこめて:2007/10/01(月) 12:16:28 ID:O+RQ/jiVO
- 新作wktk保守
気になったんだが始って融合係数って概念あるの?
人間の剣崎が「桁外れに高い」融合係数なら、ジョーカーである始はさらに高そうに思うんだが。
剣キングフォームをまだ見れるのかと思ったり。
- 226 :名無しより愛をこめて:2007/10/01(月) 17:23:39 ID:8smwZ9P7O
- 矢車にザビーゼクターが絶好のタイミングで戻ってくるんだな。
- 227 :名無しより愛をこめて:2007/10/01(月) 17:59:33 ID:ipU7vbCh0
- >225
ブレイド本編で、伊坂の研究所でブレイドとカリスが対決したとき、
カリスの融合係数も出ていたぞ。
本気を出したブレイドよりやや低めくらいだったが。
- 228 : ◆s.0z/S/80k :2007/10/01(月) 20:48:12 ID:y/bLg5GM0
- 第四稿をアップしました。
リフレクトについては結論が出ていないので、修正はしていません。
本日が期限ですので、大きな問題がなければこれで一旦本投下して
あらためて修正意見などを仰ぎたいと思うのですがいかがでしょうか。
>>215
対ジョーカー戦のリモート後モスは瞬殺のため、能力については確認できませんでした。
>>225
単純な融合係数については227さんのおっしゃる通りですね。
ただ彼は元からジョーカーですので、キングフォームの副作用がないのでは。私見ですが。
- 229 :名無しより愛をこめて:2007/10/02(火) 15:47:18 ID:Z0PMUP2JO
- 本投下、楽しみにしてます〜
- 230 : ◆s.0z/S/80k :2007/10/02(火) 18:08:05 ID:ls27jwiY0
- それでは、ただいまより投下します。
- 231 :折れた翼を抱いて ◆s.0z/S/80k :2007/10/02(火) 18:08:40 ID:ls27jwiY0
- バイクのまま突進して来るカリスを睨み、キックホッパーは走りながら腰のゼクターに手をかけた。機を見計らってレバーを弾き、虚空へと跳躍する。
カリスが天を仰ぐのと、キックホッパーが鋭い蹴りを繰り出すのは同時だった。
タキオン粒子とアンカージャッキに強化されたライダーの蹴り。逃れるため、カリスはバランスを犠牲にせざるを得なかった。
受け身を取って立ち上がる漆黒のライダーの背後で、バイクが無惨に転倒する。代わりにライダーキックを受け止めた舗装道路が砕け散り、アスファルトの破片が舞い上がった。カリスの目の間に落ちた瓦礫が、チェレンコフ光を発して青白くまたたく。
矢車はカリスに体勢を立て直す間も与えない。一瞬で身体を返すと、駆け寄って左の膝を叩き込んだ。その足で着地するなり勢いを殺さずに右からの回し蹴りを見舞う。
カリスの武器は弓、つまり距離を詰めなければこちらが一方的に攻撃を浴びる事になる。そのことは巧者である矢車が一番よく理解していた。
蹴り足で踏み込みざまに先ほどまでの軸足で蹴りに入る素早い連撃は、カリスに弓を取り回す余裕すら与えない。一撃ごとの強さはないが、着実に相手を追い込み、追いつめる。
防戦一方のカリスは、それでも辛うじて距離を取るとカリスアローを構えて光の矢を放った。
矢車がとっさに右腕で身を庇ったのはザビーとして戦う時の癖だ。同時に左手は再びゼクターにかかっていた。
体勢を整えようとするカリスを見定めて腰を落とす。
ゼクターが発するライダージャンプの呼び声を聞き、カリスが一枚のカードを抜いた。
醒弓が静かにカードの名を読み上げる。
リフレクトの言葉が発せられるのと、キックホッパーの爪先が敵を捉えたのは同時だった。
タキオン粒子が逆流し、カリスを貫くはずだった衝撃すべてが全身を包み込む。炸裂、という表現が近いだろう。文字通り、足が砕け散ったかのような感覚に、矢車はたまらず喘いだ。
結果的に自らの蹴りによって弾き飛ばされ、数メートル離れた街路に叩き付けられたキックホッパーの身体が大きく跳ねる。カリスは間髪入れず二枚のカードをラウズした。
スピニングアタックの宣言とともに、黒いシルエットが闇に舞う。
痺れる足を庇いながら立ち上がったキックホッパーには、まともに身構える暇もなかった。
- 232 :折れた翼を抱いて ◆s.0z/S/80k :2007/10/02(火) 18:09:04 ID:ls27jwiY0
-
***
路上にわずかに轍が残って見えるのは気のせいだろうか。
文字通り稲妻と化して消えた二人を見送り、ナイトは振り返った。
ウルフオルフェノクは、夜の闇に何かを見失ったかのように呆然と立ち尽くしている。声を掛けようと身動きした瞬間、灰色の影がアスファルトを蹴った。
剣を横にして防ぎながら、ナイトが飛び退く。背後から現れたダークウィングが地表すれすれを滑空し、ウルフオルフェノクの足を払って転倒させる。
「どういうつもりだ」
蓮の問いに答えたのは、言葉ではなく再度の突進だった。
剣を左右に捌くだけで簡単に弾ける動きとはいえ、疲れは見えるがキレを欠くわけでもない。本気でないのは明らかだ。ナイトは外から素早く剣を一閃させて次の攻撃を防ぐと、がら空きの腹部に思い切り蹴りを叩き込んだ。
あまりにもあっけなくはじき飛ばされるオルフェノクの姿を、蓮は冷めた目で見守った。
変身の解けた巧が、瓦礫の上に座り込む。切れかけた街灯の明かりに照らされて、むき出しの腕に刻まれた傷が黒く浮かび上がった。
息をつくというより肩を落として膝を抱える青年に、ナイトが声をかける。
「立てるか」
返事はない。巧はただ俯いて自分の手を見つめるだけだ。
「どうした。喉を捌かれたなら、人間喋れなくなる前に死ぬもんだぞ」
「どうせ俺は人間じゃねえよ」
巧がぼそりと呟く声は、ひび割れたアスファルトに冷たく跳ねた。
「俺はオルフェノクなんだ。衝動のままに人間を殺す化け物なんだよ!」
しばしの間沈黙があり、続いて金属質の音が響いた。
「だから死にたいのか?」
胸元に鋭い剣先を突きつけられ、巧が顔を上げる。彼の前に立つナイトの表情は、漆黒の仮面に隠されて伺い知れなかった。
- 233 :折れた翼を抱いて ◆s.0z/S/80k :2007/10/02(火) 18:09:24 ID:ls27jwiY0
- 「人間だろうが化け物だろうが、犬死にされるのは迷惑だ。生き死にがわからんままほっつきあるかれるのはもっと迷惑だがな」
「ーーーー!!」
「どうしてもくたばりたいなら、御託はなしで黙ってくたばれ。俺としても、参加者は減ってくれた方が都合がいい」
乾き切った蓮の物言いが巧を突き放す。巧は抗う力も従う覚悟もなく、ただ唇を噛むだけだった。拳に力を込めると、傷に夜風が沁みて痛む。
やがてナイトはダークバイザーを腰に戻した。
「ダークウィング、そいつを食ってもいいぞ。黙って死にたいそうだからな」
言い捨てて背を向ける。背後に風を感じて巧が振り向くと、そこには闇の翼が悠々と仮を睨んでいた。
「せいぜい苦しまないよう、一口で食ってやれ」
蓮はそれきり踵を鳴らして歩み去ろうとする。うなじの毛が逆立つような感覚に、巧は思わず叫んだ。
「秋山ッ!」
ナイトが足を止め、振り向きもせずに訊ねる。
「どうした、遺言が決まったか」
「…………」
冷淡な言い様に、巧は声を失うほかなかった。
「まだなら決まるまで一緒に来い」
蓮が淡々と続ける。
「お前につきあってやる義理はない。だがお前を野放しにする気もないんでな。来ないならさっさとダークウィングに食われて死んでくれ」
「てめぇ……」
思わず身を起こした巧を、ダークウィングが追い立てる。たまらず傍らまで走って来た彼に、蓮は平然と声をかけた。
「どうした」
「どうしたもこうしたもあるかっての。こいつをなんとかしろ!」
ナイトがちらりと振り返ると、ダークウィングは一度大きく羽ばたいて夜風の狭間に姿を消した。
「じゃあ、ついて来るんだな」
巧が息をつく間もなくそう言い放ち、蓮はさっさと歩き出した。
- 234 :折れた翼を抱いて ◆s.0z/S/80k :2007/10/02(火) 18:09:39 ID:ls27jwiY0
-
***
まともに胸郭に蹴りを食らったキックホッパーがアスファルトに叩き付けられる。
タキオン粒子の逆流と合わせ、二重の衝撃にはさすがのマスクドライダーシステムも耐えきれなかったのだろう。痛む胸を手で押さえた矢車の身体から装甲が解除されてゆく。
一方、歩み寄って来るカリスの変身もやはり解けていた。時間切れだ。
始は矢車の顔を覗き込んだ。死者を思わせる淀んだ瞳の色に、矢車は本能的な恐怖を覚える。嫌悪感、というほうが近いかも知れない。初めてワームを目にした時の、背筋を冷たい風が吹き抜けるような感触と似ている。
この男は殺戮者だ。矢車が一瞬で理解したことを、始は自らの言葉で肯定した。
「お前を殺す。ほかの総ての参加者もだ」
自分に言い聞かせるように、始が呟く。「お前は無力な人間だ。殺す事など容易い」
寒風に冷えきった指が矢車の喉にかかる。感触を確かめる、あるいは恐れるかのごとくゆっくりと。
それを遮ろうと、矢車が腕を動かす。だが、まともに力が入らない。いつもなら存在を気にする事もない左腕のライダーブレスが、まるで手枷のように重かった。
喉を締め上げられる痛みより、息苦しさに気が遠くなる。
ーーーーライダーの名は、自分には過ぎた荷だったのだろうか。
悔恨の情とともに、無惨に破壊されたザビーゼクターの姿が脳裏に映る。と同時に、それを直すと約束した小沢の笑顔がよみがえって来る。
彼女はライダーですらなかった。
彼女だけではない。ワームであるひよりも、オルフェノクである巧も、本来ならば異界の住人であるリュウガも、ライダーであるかどうかに関わらず、たった一つの思いを分かち合って共に戦う事を誓った。
ライダーか否かが重要なのではない。自分が何者であり、何のために戦うかが重要なのだ。
「俺は、ザビー……仮面ライダーザビーだ」
矢車は掠れ声で呟き、血の混じった唾を始の目に吐きかけた。喉に食い込んだ始の指を握り、力を振り絞る。
「たとえゼクターがなくても……たとえ変身できなくても……俺がザビーに選ばれたことに違いはない!」
- 235 :折れた翼を抱いて ◆s.0z/S/80k :2007/10/02(火) 18:10:18 ID:ls27jwiY0
- *
矢車は自分がザビーに選ばれるのは当然だと思っていた。シャドウ生え抜きのエリートであり、兵士としても指揮官としても自分の右に出る者はいなかった。なにより、ゼクトのために戦える事を誇りにしていた。
初めてザビーゼクターを手にし、変身した時の高揚感は今も忘れられない。自らの拳でワームを打ち破ったときのあの喜びを、彼は単なる力への陶酔としか思って来なかった。
ゼクターを破壊された時に、その喜びも失われたと思い込んでいた。だがあの感情がその程度のものなら、ホッパーゼクターを手に入れた時に再び取り戻していたはずだ。
現実には、矢車の心はザビーであり続けた。
そして力のない今だからこそわかる。自分の心を支えていたのは、マスクドライダーシステムによって得た力ではない。部下達を守れるという安堵、組織を支えるという自覚、仲間と共に手を携えて戦っていくことが彼の喜びだった。
ザビーゼクターは、その喜びを彼に与えてくれた。いや、そのことに喜びを感じる男だからこそ、矢車を資格者として選んだのだ。
矢車想は、ザビーとして戦うために生まれた男だった。
「お前に……ザビーは倒せない!」
彼は渾身の力を込めて始の腕を引きはがし、突き飛ばした。拘束が緩んだ隙をついて身を起こす。
思いもかけぬ抵抗に、始は虚をつかれたようだった。
「働き蜂は兄弟達のために死ぬまで働く、ただそれだけのために生まれて来る。自分のためには何一つ残す事が出来ない惨めな生き物……そう思えるだろう?でも、そうじゃない」
息を荒げ、足を引きずりながらも矢車はジョーカーに向かって指を突きつけた。
「蜂は同じ血を分けた兄弟を生き残らせることで自分自身の血を未来へと伝えてゆく。自分だけなら弱くても、力を合わせれば強くなれるーーーーパーフェクト・ハーモニーをその遺伝子に刻み込まれているんだ」
胸を押さえながらそう告げる矢車の顔には笑顔すら浮かんでいる。血に酔った狂気の笑みではなく、頸城から解き放たれた者の穏やかな表情だ。
誰もが孤独に戦い続けるバトルファイトの為に生まれて来た始にとって、矢車の言葉は理解不能だった。
……いや、ほんのわずかに既視感がある。
- 236 :折れた翼を抱いて ◆s.0z/S/80k :2007/10/02(火) 18:10:40 ID:ls27jwiY0
- 我知らず瞬きした始の心を知ってか知らずか、矢車は続けた。
「たとえ翼が折れようと、身を引き裂かれようと、蜂に恐れるものはない。仲間が、友が、兄弟達が自分の思いを継いでくれると知っているからだ」
矢車の言葉に、別の声が重なる。
ーーーーこれからは、俺の代わりに皆を守ってくれ。
彼にそう求めたのは、思いを託したのは果たして誰だったか。
「孤独なお前に蜂は倒せない。たとえ俺が死んでも、誰かがザビーの座と共に俺の思いを継ぎ、立ちふさがる。だがお前が力つきたとき、お前の思いを継ぐものは誰もいない」
ジョーカーの孤独に、ザビーの言葉は針のように鋭く突き刺さる。
「遅かれ早かれ、お前は負けるんだ。俺の兄弟達にな」
「黙れ!」
始は矢車に飛びかかり、肩をつかんで幾度となくアスファルトに叩き付けた。
***
何度目かもわからないため息をついた巧に、蓮は呆れて振り向いた。既に変身は解けている。
「甘えるな、幼稚園児じゃあるまいし」
「別に甘えちゃいねぇ。痛ぇんだよ」
巧は応じながらも、腕の傷を背中に隠した。手ひどくやられているのは既に蓮にもばれているはずなのだが。
返って来たのは、いたわりにはほど遠い言葉だった。
「痛いのは大した傷じゃない証拠だ」
「ンだとぉ!」
「本当に酷い傷なら何も感じなくなる。死ぬのと同じでな」
さらりと放たれた言葉に、巧が驚いて眉をひそめる。
「それこそ眠るみたいなもんだ。本人は何も感じないが、残された者は辛いぞ」
蓮の表情はごく淡々としている。
「おまえ、それ……」
訊ねかけた巧の耳に、誰かの喘ぐ声が届いた。眉をひそめてそれに聞き入る巧の様子を、蓮が目を細めて見守る。
「こっちだ」
巧はそれだけ口にして走り出した。
- 237 :折れた翼を抱いて ◆s.0z/S/80k :2007/10/02(火) 18:10:59 ID:ls27jwiY0
- *
ベージュのコートを着た小柄な青年が、グレーのスーツに身を包んだ長身の男を街灯の柱に叩き付けている。遠目からでも、それが誰であるかは明らかだった。
このまま眺めていれば矢車は死に、ライバルが一人消えるーーーーそんな考えが蓮の脳裏に浮かぶ。だがその打算はすぐさま怒りと焦燥に取って代わった。
先ほど変身したばかりの自分たちでは、ライダーとして戦うことはできない。相手に隠し球がなければ三対一でどうにでもなるが……。
彼がそう考えている隙にも、巧は衝動的に駆け出していた。意味のない叫びを上げながら相川始に体当たりを食らわせる。
「お前の言う、『兄弟』か」
不意をつかれて後ずさりながら、始が呟く。その目は、巧に助け起こされた矢車を睨んでいた。矢車もまた始を睨み返す。
「今、こいつを嗤ったか?ならば俺も嗤ってもらおう」
間髪入れず、追いついた蓮に声をかける。
「秋山、お前のデッキを貸せ」
「何をするつもりだ」
「お前たちを守る。聞かなければわからないのか」
矢車の手が弱々しく巧の肩を叩く。その感触に、巧が顔を背けて吐き捨てた。
「俺にはあんたに守られる価値なんてないぜ」
「俺があるといったらあるんだよ、兄弟」
蓮が躊躇いながらもカードデッキを手にする。矢車はそれをもぎ取ると、胸の高さにかざした。蓮の首に下げた指輪が一瞬月明かりにきらめいたと思った瞬間、矢車の腰にはベルトが巻き付いている。
ザビーに選ばれた男は、足を引きずりながら相川始に向き直った。
「蜂は女王に強いられて戦うんじゃない。守りたいものがあるから戦うんだ。戦いこそが、俺の自由だーーーー変身!」
落ち着いた手つきでデッキをベルトに納める。その輪郭が闇に解けた刹那、そこには漆黒の騎士が立っていた。
- 238 :折れた翼を抱いて ◆s.0z/S/80k :2007/10/02(火) 18:11:26 ID:ls27jwiY0
- *
振り上げられた剣を避けて飛び退くのと同時に、始の姿は醜悪なジョーカーのそれに変わる。その姿を取らざるを得なかったことに憤るかのごとく、ジョーカーはナイトに襲いかかった。
対するナイトの身のこなしはお世辞にも鮮やかとは言えない。ジョーカーの猛攻を辛うじて受け流すダークバイザーの動きすら重そうに見える。
鋭い鎌の一撃を剣を立ててはじくと、矢車は一枚のカードを抜いた。
不意に辺りに激しい風が巻き起こる。路傍の立て看板が吹き飛ばされてショーウィンドウを打ち砕き、アラームの音が鳴り響いた。警告灯の光が薄暗い通りを赤く染める。
まっすぐにジョーカーを見つめたまま、矢車はそのカードをダークバイザー・ツヴァイに差し込んだ。
吹き荒れる疾風とともに、カードが矢車に命じる。生きろ、生き延びて戦えと。それこそが彼の望むところだった。
命ある限り兄弟たちを守るために戦う。ザビーに選ばれし者として。
夜の帳がその背に漆黒のマントを紡ぎ、月影がその胸に蒼い鎧を織り上げる。兜を彩る黄金は運命を告げる星々の雫。生きて戦う宿命を背負った戦士達を明日へと導く天の篝火。
ナイトサバイブは左腕の盾でジョーカーの爪を受け止め、押し返した。
手にした鎌で切り付けようとジョーカーが身構える。矢車は即座に左腕の盾に一枚のカードを読み込ませた。夜の闇よりも暗い翼が冷気を切り裂いて飛来する。
ダークレイダーの放つ衝撃波に街灯までもが次々と打ち砕かれ、通りは文字通り闇に沈んだ。
- 239 :折れた翼を抱いて ◆s.0z/S/80k :2007/10/02(火) 18:11:57 ID:ls27jwiY0
- *
成す術のない蓮が、我知らず拳を握りしめる。その傍らで、巧は傷と疲れに膝をついたまま矢車の言う『自由』を見つめていた。
自由になりたかった。死からではなく、自分の中に潜む暗闇から。自らの影を恐れるようにただ逃げ続け、街から街へと宛もなく渡り歩いて来た。振り向かずにいればきっと自由になれると思っていた。そうやって逃げ続ける事こそが、自分を縛る鎖だと気づかずに。
もし、自らの影と戦うことで自由を手に入れられるとしたら……。
矢車の荷物が歩道の脇に落ちている。巧はそこから覗くドレイクグリップを見た。あきらが使っていたものだ。彼女は自分を信じてくれていた。自分の事を守ろうとすらしてくれた。
矢車もまた、自分を守ろうと戦っている。
義務感でも、後ろめたさからでもなく、純粋に自らの意志で。
その姿に胃のあたりが締め付けられる。悲しいのか嬉しいのか、自分でもわからない。ただ、ひたすらに胸が熱かった。
吹き抜ける風とともに現れたドレイクゼクターが巧の耳元で舞う。その羽が夜気を鳴らす音は、あきらが奏でた鬼笛の響きにも似て呼びかける。
風になれ、胸に抱いた思いを羽にして。翼が折れたなら走ればいい。足が折れたって這って進むことはできる。必要なのはたった一つ、自分を導いてくれる道標。
「俺はまだ自分の事が信じられない。でも自分を信じてくれる人のために戦う事ならできる」
巧は立ち上がり、ガードレールを飛び越えて足下のドレイクグリップを掴んだ。
「俺に背負うべき罪があるなら、戦って、生き延びて償ってやる。きっと、それが俺の自由なんだ……変身!」
ドレイクグリップを握った腕を、風を求めるように遠く差し伸べる。風を愛するゼクターは、軽やかに青い枝に降り立った。
- 240 :折れた翼を抱いて ◆s.0z/S/80k :2007/10/02(火) 18:12:12 ID:ls27jwiY0
- *
横合いから銃撃を受けたジョーカーが思わずたじろぐ。その隙に距離を取ると、矢車はシュートベントのカードを召還機に投じた。
弓の形に展開した小盾から、ジョーカーに向けて鋭い矢を放つ。
いかにジョーカーが俊敏と言えど、二方向からの射撃を受けては分が悪かった。動きの悪いナイトサバイブとの間を詰めて白兵戦に持ち込もうとしてもドレイクが割り込んで来る。
奔放なドレイクの動きは、ライダーというよりバトルファイトの参加者を思わせる野性味を帯びていた。その事がジョーカーの闘争本能を刺激するとともに、脳裏に警鐘を鳴らす。
ドレイクを盾にした格好のナイトサバイブが、一枚のカードを抜く。
ジョーカーはとっさの判断で鎌を投じた。
緑色の残像とともに、鋭い刃がナイトサバイブの腕を打ち、カードを取り落とさせる。
「矢車!」
ドレイクが慌てて振り返った隙に、ジョーカーは道ばたに倒れたままのバイクに飛びついた。幸い右のミラーが壊れた程度で他に損傷の様子はない。
手早く車体を起こして乗り込み、アクセルを全開にする。
ドレイクはあわててそちらを見やったが、ナイトサバイブが背後で腕を押さえて倒れ込む音に足を止めざるを得ない。
エンジン音が消え失せた後は、巧が盛大にののしる声だけが灯りのない通りに響いた。
- 241 :折れた翼を抱いて ◆s.0z/S/80k :2007/10/02(火) 18:12:44 ID:ls27jwiY0
-
***
矢車は砕けたアスファルトに横になったまま、デッキを路上に滑らせた。蓮が身を屈めてそれを拾い上げる。
傍らに突っ立って自分を見下ろす巧に、矢車は小さく笑いかけた。
「シャツを貸してくれ。こんなみっともない格好で死んだら、あの世でかわいい部下達に笑われる」
鉛筆でも借りるかのような軽々しい物言いに、巧は愕然とせざるを得ない。死を覚悟した人間が、ここまで平静を保てるものか。
蓮の前でごねた自分がばかばかしく思えてくる。
「どうした、もう汚したのか」
「草加に取られちまった」
「そうか」
矢車は目を伏せてため息をついたが、さほど口惜しそうでもない。
「だから、取り返さないとな」
巧は矢車に向かって手を差し出した。が相手が目を伏せている事に気づき、その場に膝をついて抱き起こす。
矢車はつい先ほどのように巧の肩を軽く叩いた。
「じゃあ行くか、兄弟」
「……兄貴面かよ」
「相棒、の方がいいか?」
「別にどっちでも」
矢車は巧に寄りかかってどうにか立っている有様だ。鍛えられた長身は、自分自身も傷を負った巧の肩にはずっしりと重い。
どこか危なっかしい二人の様子を、蓮は少し離れた所から見守っていた。ふと手にしたデッキに目を落とし、自分の抱いた感情に怒りを覚える。
いずれ殺さなくてはならないはずなのだ。今ここで傷ついた二人の息の根を止めれば、総てのしがらみを断ち切る事が出来るだろうか。
- 242 :折れた翼を抱いて ◆s.0z/S/80k :2007/10/02(火) 18:13:12 ID:ls27jwiY0
- 「何してる、秋山。お前も来い」
矢車に平然と呼びつけられて、我に返る。
いずれにせよ、今は変身できない。蓮はそれを言い訳に、問題を先送りする事にした。
二人に歩み寄りながらデッキをしまい込み、思い出して荷物を探る。
暗闇のなかで目を細める矢車に、彼はコニャックの小瓶を差し出した。
「飲むか?少しは楽になるぞ」
「やめておこう。出血が酷くなる」
矢車は呼吸をする度に顔をしかめてはいるが、意識はもちろん判断力もしっかりしている。その様子からして、おそらく肋骨を折ったのだろう。
「そうか。まあ、派手にやったみたいだからな」
蓮は答えて自らコニャックを煽った。
矢車が今更思い出したように自分の傷を確かめる。
「この辺は固定しないと話にならないな。鎮痛剤も欲しい所だ。あとは念のために降圧剤か……どこかに病院か薬局でもあればいいんだが」
「その辺の家の救急箱じゃだめなのかよ」
「ないよりはマシだろうな」
蓮は矢車より先に答え、空瓶を投げ捨てた。
「まずは南たちと合流だ。向うについたらとっておきを飲ませてやる。ティソラ・キャリントンだ」
「俺は祁門のほうが好みなんだが」
「……お前らしいな。薔薇功夫か」
「東方美人でもいい」
「東方美人は祁門じゃない、そもそも紅茶ですらないだろ」
「あれだけ発酵度が高ければ似たようなものだ」
「あんたさ」
場をわきまえぬ紅茶談義に、巧があからさまに嫌な顔をしてみせた。
「バラとか美人とか、そういうカマ臭い趣味してるからミツバチのライダーなんて女々しいのになったんだろ」
「……カマ臭いか?」
矢車に問われ、蓮が無言で肩をすくめる。
「まあいい。それならお前はオカマの弟分だ。いや、オカマだけに妹だな」
- 243 :折れた翼を抱いて ◆s.0z/S/80k :2007/10/02(火) 18:14:00 ID:ls27jwiY0
- 「気持ちわりぃからやめろ」
何がおかしいのか、矢車が喉を鳴らして笑い出す。巧がいよいよ不機嫌になるのを見て、蓮が額を小突いた。
「すねるな、お前にも熱いのを入れてやるから。好みはあるか」
「どうでもいい。紅茶なんてどうせ牛乳いっぱい入れるんだし」
巧が口の中で呟いたのを聞いて、矢車が眉根を寄せる。
「……お前、猫舌か」
「ほっとけよ」
ぶっきらぼうな言葉に、蓮までもが意地悪な笑いを浮かべる。
「そうか、猫舌か。犬っころのくせに生意気だぞ」
「犬じゃねぇ!」
思わず叫んだ巧をよそに、蓮は意地悪を続けた。
「安心しろ。セイロンもいいのがある」
「いや、ミルクティならアッサムだろう」矢車が口を挟む。
「ヌワラエリヤの冬詰みには敵わんさ」
またしても紅茶談義をおっぱじめそうな年長者二名の気配に、巧が声を荒立てた。
「少し黙ってろ、怪我人」言いながら矢車の胸元を思い切り平手で叩く。矢車はたまらず悲鳴を上げた。
「こいつにはイエローラベルで十分って気もするがな」蓮が苦笑しつつ呟く。
「いっそレディ・グレイの冷たいのでも飲ませておけ……いやほんとに痛い」
「痛いのは大した傷じゃない証拠だってよ。よかったな!」
巧は足を止めると、矢車をその場に放り出して一人さっさと歩き始めた。
矢車の身体を受け止めた蓮が、仕方なく彼を支える。
「口の悪いガキだ。ま、蜂が格好悪いのは同意だが」
「なんだって?」
「蜂なんざ数だけが取り柄だろ。一匹見かけたら三十匹はいるってな」
「……違うものが混ざってるぞ」
「戸棚の裏はザビーの卵でいっぱいだ。蜂蜜が取れるな」
「だから混ざり過ぎだと。だいたいザビーはミツバチじゃない」
「雑魚の違いはわからん」
- 244 :折れた翼を抱いて ◆s.0z/S/80k :2007/10/02(火) 18:14:14 ID:ls27jwiY0
- 数十歩先で巧がこちらを振り返り、蓮を指差して叫ぶ。
「お前だって雑魚じゃねぇか、こンのコウモリ野郎!」
「チョビが言うな」
「チョビじゃねぇ!」
年甲斐もなく子供じみたやり取りに、矢車が苦笑とともに口を開く。
「おいポチ、俺の荷物を拾ってくれ」
「だからポチじゃねぇって言ってんだろ!」
巧は毒づきながら、ガードレールの方へと走って行った。
***
ただひたすらに、日の出ずる方角へ。
始が飛ばし続けたバイクは、十キロ弱を走った所でついに動かなくなった。ガス欠だ。
彼は辺りを見回し、そこが見慣れた風景であることに気づいた。
この道をもう少し進めば、彼の『家』がある。永劫に近い孤独の中で、初めて手に入れた彼の居場所が。
けれど、そこには誰もいない。誰もいない家になど、何の価値もない。
彼の居場所を取り戻すためには、このゲームの総ての参加者を倒して家族を救わねばならなかった。
かつてはあんなに簡単だった事が、心を得た今はこうも苦痛だとは。
ジョーカーの本能に身を任せれば楽になれる。だがジョーカーの姿を取る度、自分を力づけてくれる剣崎の声が、少しずつ遠ざかってゆく。
始は汚れた自分の手を見た。矢車が流した血が黒く指に絡み付き、刺草のように肌を刺す。
ーーーーいっそ封印されてしまえばいい。
そんな思いが、ふと彼の胸をよぎった。
封印されるべきなのは人間としての心か、それともジョーカーとしての器か。その二つが相容れないものであることを、始ははっきりと感じ始めていた。
- 245 :まとめ&ステータス表 ◆s.0z/S/80k :2007/10/02(火) 18:14:57 ID:ls27jwiY0
- ■相川始(単独行動) 行動開始時刻 2日目00:30@E-4
■戦闘→戦闘→離脱で約30分消費
■現在時刻 2日目01:00 現在位置E-6(ハカランダ近辺)
【相川 始@仮面ライダー剣】
【2日目 現時刻:黎明】
【現在地:市街地E-6】
[時間軸]:本編後。
[状態]:胸部に傷。右肩を強打。カリス、ジョーカーに2時間変身不可。
[装備]:ラウズカード(ハートのA・2・5・6・8・9、ダイヤの10)
HONDA XR250(右のサイドミラー破損・ガス欠中)
首輪探知機(レーダー)。
[道具]:なし
[思考・状況]
1:天音ちゃんを救う。
2:ブレイバックルとカードを取り返す。
3:睦月との決着はこの手で。それがどのような形になろうとも。
4:いっそ封印されてしまえば楽になれる……。
[備考]
※1:相川始は制限に拠り、ハートのA、2以外のラウズカードでは変身出来ません。
※2:HONDA XR250は制限により、あらゆる能力で変化することが出来ません
※3:死んだ剣崎が別のブレイド世界(劇場版)から来たという認識はありません。
- 246 :まとめ&ステータス表 ◆s.0z/S/80k :2007/10/02(火) 18:15:26 ID:ls27jwiY0
- ■矢車想・乾巧・秋山蓮@負け犬三兄弟 行動開始 2日目00:30
■戦闘(矢車)/移動→戦闘→事後処理で1時間消費
■現在時刻 2日目01:30 現在位置 市街地E-4
■この先、花鶏の仲間(F-4 南グループ)と合流する予定を立てています
【矢車想@仮面ライダーカブト】
【2日目 現時刻:黎明】
【現在地:市街地E-4】
[時間軸]:8話 ザビー資格者
[状態]:複数の肋骨を骨折(圧迫固定の必要があります)
後頭部に重度の打撲 右腕に裂傷
全身にタキオン粒子の逆流による負傷
キックホッパー、ナイトに90分変身不可
[装備]:ホッパーゼクター&ホッパー用ZECTバックル
ライダーブレス(ザビーゼクターは2日目03:30に修復完了しています)
[道具]:ゼクトマイザー。3人分のデイバック(佐伯、純子、矢車)
トランシーバー(現在地から3エリア分まで相互通信可能)。
スコッチの小瓶2本。
[思考・状況]
1:一刻も早く仲間と合流、草加を排除する
2:パーフェクトハーモニーの極意を悟り、無我の境地
[備考]
※1:クライシスと神崎士郎が利害の一致で手を組んでいる可能性が高いと考えています。
※2:ゼクトマイザーは制限により弾数に限りがあります。現在、弾切れです。
- 247 :まとめ&ステータス表 ◆s.0z/S/80k :2007/10/02(火) 18:15:55 ID:ls27jwiY0
- 【乾巧@仮面ライダー555】
【2日目 現時刻:黎明】
【現在地:市街地E-4】
[時間軸]:中盤くらい
[状態]:全身に打撲、切り傷など、極度の負傷。
ウルフオルフェノク、ドレイクに90分変身不可
[装備]:ドレイクグリップ
[道具]:なし
[思考・状況]
1:生きて自分の成すべき事を見極める。背負うべき罪があるなら償うことを恐れない。
2:主催者に言いようのない怒り。神崎は絶対ぶっ飛ばす。
3:ドラスを倒す。
【秋山蓮@仮面ライダー龍騎】
【2日目 現時刻:黎明】
【現在地:市街地E-4】
[時間軸]:34話龍騎サバイブ戦闘前後。
[状態]:仮面ライダーナイトに90分変身不可。中度の負傷。
[装備]:カードデッキ(ナイト+サバイブ)
[道具]:配給品一式。 コニャックの小瓶 ソムリエナイフ
[思考・状況]
1:乾と矢車を花鶏まで送り届ける。
2:他の者と力を合わせて草加を倒す。
3:リュウガに話がある。
4:いずれ倒すべき相手だとはいえ、仲間の存在に奇妙な脱力感と安心感。
5:言うに事欠いて兄弟かよ……(to矢車)
- 248 : ◆s.0z/S/80k :2007/10/02(火) 18:16:33 ID:ls27jwiY0
- 以上です。
ご指摘等、引き続きお伺いします。
- 249 :名無しより愛をこめて:2007/10/02(火) 18:34:18 ID:zKnZJ9Ne0
- GJ!!
矢車さん、何度も落ちては立ち、落ちては立って、ついに悟りを開いたか。
ザビー変身時にはどんな話が繰り広げられるのだろうか。
たっくん、立ち直ったように見えて、何気に危ういな……。
蓮、優勝無理くねww 始はどんどん死亡フラグを立てていく。
今後が気になる話でした。
- 250 :名無しより愛をこめて:2007/10/02(火) 19:05:53 ID:SUMnYwfF0
- GJです。
ファイズでの巧も、何度も傷つき挫折して最後には
「罪を背負い、戦う」という信念を揺るがないものに変えたのを思い返しました。
仮面ライダーしてるなぁ、と嬉しく思います。
- 251 :名無しより愛をこめて:2007/10/02(火) 20:07:41 ID:fOBeK4Qw0
- 乙ー
負け犬三兄弟ってw
矢車がかっけえええ。さすが兄貴。にしても巧はやけに年上のライダーに気に入られるなw
蓮も始も不安定だけど、そこはリュウガに期待だな!
- 252 :名無しより愛をこめて:2007/10/02(火) 21:16:28 ID:TxRBaHyrO
- 乙です。
三人のやりとりがほのぼのしていていいなぁ。
氏の書くSSは日だまりのように暖かみがありますね。
- 253 :名無しより愛をこめて:2007/10/02(火) 21:54:41 ID:Z0PMUP2JO
- 乙です!
始が切なすぎる…
ここはリュウガと睦月に期待したい所です。
せめて神崎に一撃食らわすまで頑張れ始!!
そして3兄弟結成……今後の動きが楽しみだw
- 254 : ◆vHOqGgdf1U :2007/10/03(水) 00:32:12 ID:PtipXAsb0
- GJ!
暗い雰囲気で始まった話が、いつの間にやら明るい雰囲気に。
特に矢車さんが本編の矢車+ヤサ車的な独自のキャラになっていて、秀逸でした。
始だけ、シリアスですが、彼が明るくなる日が来るのかどうなのか。。。
進行状況ですが、ほぼ完成しました。
添削と映像確認の上、明日(というか今日)の夜には投下できると思います。
- 255 :名無しより愛をこめて:2007/10/03(水) 18:14:31 ID:PYJPdtmRO
- >>254
楽しみにしてます!
- 256 : ◆vHOqGgdf1U :2007/10/03(水) 20:32:43 ID:PtipXAsb0
- 投下します。
- 257 :Quod Erat Demonstrandum ◆vHOqGgdf1U :2007/10/03(水) 20:33:30 ID:PtipXAsb0
- 作業台に横たわる白装束の死体。
顔には布が掛けられ、表情をうかがい知ることは出来ないが、その身体に付けられた傷痕が彼が殺されたことを示していた。
死体の傍らには三人の男女。彼の仲間であったジャーク将軍とガライ。そして、彼らに無理矢理連行された小沢澄子。
今から小沢は、彼らが連行した目的である首輪の解除のための最終実験に入ろうとしていた。
小沢は一歩前に出ると、内視鏡を死体に着けられた首輪の内側へと入れ、付属のモニターに映し出される映像を確認する。
「いくわよ」
そして、電子メスを手にすると、首輪の切断を始めた。
――ドン!!!
切り込みを入れると同時に、轟音と共に爆発する首輪。死体の首が一瞬にして破壊され、頭部が床へと転がる。
「シャドウ!」
転がった頭部を即座に拾い上げるガライ。小沢を非難のこもった眼で睨みつける。
「ガライ」
「わかっている」
怒りを堪えるガライを横目に、小沢は実験を続ける。
分解済みの首輪をひとつ取り出すと、それを死体の左腕へと無理矢理つける。
「ここからが本番よ。ライダーブレスを貸してちょうだい」
「ライダーブレス?何をするつもりだ」
「見てればわかるわ」
ジャークは小沢を訝しげに見詰める。
当然だろう。ライダーブレスがあれば小沢は変身が可能だ。加えて今のガライは変身できない。
ライダーブレスは小沢に逃亡のチャンスを与えることになる。
(考えすぎよな)
しかし、すぐにジャークは思いなおした。
わずか半日程度の付き合いであるが、小沢が今の状況でそういう一か八かの判断を下すとは考えられない。
ジャークは懐からライダーブレスを取り出すと、小沢に手渡した。
すると、ライダーブレスを受け取ると同時に、呼ばれもしないのにコーカサスゼクターが現れる。
変身してくれると思ったのか、小沢の周りを嬉しそうにぐるぐると回った。
- 258 :Quod Erat Demonstrandum ◆vHOqGgdf1U :2007/10/03(水) 20:34:07 ID:PtipXAsb0
- 「うん、あんたにも来て欲しかったのよね」
小沢はライダーブレスを死体の右手に着ける。
それを見て、何をするつもりか察したのか、コーカサスゼクターは動きを止めると、小沢に羽を向けた。
「逃げるな!」
コーカサスゼクターが逃げ出すより早く、その身体を掴んだ小沢はコーカサスゼクターの気持ちなどお構いなしに、有無を言わさずライダーブレスに挿し込んだ。
―HENSHIN―
機械音が響くと共に、死体へと装着されていくコーカサスの金色の装甲。右腕から順に身体へと広がっていく。
やがて、左腕に黄金の装甲が装着された頃、突如、着けられた首輪に異変が発生した。
――ドン!!!
再び起こる轟音。爆発した首輪は、今度は死体の左腕を破壊した。
「っ!!」
その有様を見て、ガライは声にならない叫びを上げた。
「ガライ」
「わかっている!」
「……ジェネラルシャドウには済まないことをしたわ。でも、彼のおかげでハッキリした」
小沢は静かに黙祷を捧げると、口を開いた。
▽
小沢から首輪の解析結果を聞くため、ジャークたちは研究室から、大広間へと移動した。
研究室は狭く、そして、死体がある状況ではガライが落ち着いて話を聞けないと、配慮してのためだ。
「さて、聞かせてもらおうか」
- 259 :Quod Erat Demonstrandum ◆vHOqGgdf1U :2007/10/03(水) 20:34:55 ID:PtipXAsb0
- 「その前にこれを首輪に巻いてちょうだい。ここに巻けば、盗聴を防げるわ」
小沢は見本を示すように布を首輪へと巻く。
今までは聞かれていようがいまいが関係ないと、気にしていなかったジャークだったが、今回は小沢に倣い、首輪に布を巻いた。
それほど重要な話なのだと、ガライも首輪に布を巻こうとする。
だが、小沢はその巻き方を見て、クレームをつけた。
「駄目よ、そんな巻き方じゃ。それじゃあ引っ張られたら、首輪まで引っ張られて爆発しちゃうでしょ。危なかっしぃ」
「話が終わったら取ればいいだろう」
「駄目駄目。人生何があるかわからないんだから。常在戦場ってやつよ」
ガライは仕方なく、言われた通りに巻きなおそうとする。だが、どうしても上手くいかない。
「ああ、もう不器用ね。仕方ないわ」
小沢はガライから布を奪い取ると、素早く首輪に布を巻きつけた。
あまりの手際の良さに、柄にもなく、ガライは感心した。
「これでいいわ。さて、何から話そうかしら」
「結論から話せ」
「結論から?うーーん、わかったわ。それじゃあ、結論から言うわね」
小沢は軽く深呼吸すると、言葉を紡いだ。
「……あなたたちの首輪を解除することはたぶん不可能よ」
ジャークたちが息を呑むのがわかる。小沢はそれを確認すると、次なる言葉を紡ぐ。
「順々に説明していきましょう。まず、この首輪だけど、大きく分けて、制御部、起爆部、盗聴部の3つで出来ているわ。
起爆部と盗聴部の機構は大したことないわね。
多少強化しているようだけど、起爆部は爆破、盗聴部は盗聴の機能しか持ってない、そこら辺の量販店にでもあるような単純なものよ。
問題は制御部。ここが能力の制限やら、禁止エリアの感知やら、起爆部への指令やら、何から何まで司っていて、しかもほとんどがブラックボックスと化しているわ。
これを完璧に解析するのは設計者じゃなきゃ不可能ね。
だから、考えを変えたの。制御部の機能を無効化するにはどうすればいいか。
あなた、ヨロイ元帥の首輪は、生きている彼の首を切断して手に入れたのよね」
- 260 :Quod Erat Demonstrandum ◆vHOqGgdf1U :2007/10/03(水) 20:35:27 ID:PtipXAsb0
- 「うむ」
「そのときは、首輪は爆発しなかった。でも、今回ジェネラルシャドウが着けていた首輪を外そうとしたら爆発したわ。
このことから、首輪は着けているものの生死なんて見ていないことがわかるわ。
生きていようが、死んでいようが、破壊しようとすると爆発するのよ」
「待て、それなら分解しようとすると爆発するのではないか?」
ガライが疑問の声を上げる。
「意外と頭が回るじゃない。確かに、外した首輪をすぐに分解していたら危なかったと思うわ。
でも、運が良かったのね。分解した首輪にはもうエネルギーなんて残っていなかった。だから、破壊しても爆破は起きなかったのよ。
この首輪の制御部を動かすためには、これだけ機能をつけているだけあって、多量のエネルギーが必要。
そのエネルギーを供給しないようにすれば、首輪の全機能は数時間もしない内に停止するわ。ここまではいい?」
ジャークは深々と頷く。
「つまり、エネルギーの供給元を断てば首輪は外せるのだな」
「それでなんなのだ、そのエネルギーの元というのは」
「……私たち自身よ」
その答えにガライは驚愕した。一方のジャークはその答えを予測していたのか涼しいものだ。
- 261 :Quod Erat Demonstrandum ◇vHOqGgdf1U(代理):2007/10/03(水) 20:39:55 ID:+/mvAsU10
- 「何度かあなたたちの戦いを見たけど、制限されているとは思えないほど、凄いものだったわ。
あれで制限されているっていうなら、そのエネルギーは莫大なものになる。
それほどのエネルギーを首輪に持たせるなんて、いくら未知のテクノロジーだからって、限度があるわ。
だから仮説を立てたのよ。抑え付けているんじゃなくて、吸収してるんじゃないかって。
この首輪は着けたものエネルギーを吸収して、首輪のエネルギー源として利用しているんじゃないかって。
統計調査というにはちょっと少ないけど、私が聞いた限り、制限がかかっている時は力が出せないというよりは、力が入らないんだそうよ。
そして、ジェネラルシャドウを変身させたのはそれを確かめるため。エネルギーが残っていなかったはずの首輪が爆発したのが何よりの証拠だわ。
だから、この首輪は私たちが生きている限り、半永久的にその役目を果たし続ける。
能力を抑えながら、首輪のエネルギーも得られる。しかもそれは私たちが生きている限りは外れない。
神崎にとっては一石三鳥。見事なものだわ」
「結局、解除は不可能ということか」
「慌てるな、ガライ。小沢よ、もったいぶるのはよせ。そちのことだ、何の打開策も見つけておらぬのに、話そうとはせぬだろう?」
「……一応、外す方法は2つあるわ。
他の首輪と比較して、ジェネラルシャドウの制御部には、わずかだけど、焼けたような後があった。
推測だけど、負荷がかかり過ぎているのね。しばらく経てば劣化して、勝手に壊れると思うわ。たぶんだけど」
「ふむ、もうひとつは?」
「………」
小沢は言うべきかどうか、迷いを見せる。
「はぁ」
だが、ため息をひとつ吐くと、やがて観念したかのように話し始めた。
「この首輪は着けたものエネルギーを吸収して、首輪のエネルギー源として利用しているって言ったけど、逆に言えば、制限のかからない状態であれば、エネルギーは吸収されないわ。
そうすれば、他の機能にもエネルギーは消費されるから、その内、制御部は機能しなくなる」
「要するに変身しなければいいのか」
「半分正解ね」
神妙な顔つきになる小沢とは対照的に、ジャークは笑い声を上げる。
- 262 :Quod Erat Demonstrandum ◇vHOqGgdf1U(代理):2007/10/03(水) 20:40:59 ID:+/mvAsU10
- 「フッハッハッ、なるほどな、余たちの首輪が解除できないとはそういうことか。
ガライよ、余たちは変身する前より人間たちを遥かに超えた力を持っておる。
つまり、常に制限が働いている状態ということだ。変身しない程度ではエネルギーを遮断することはできん。
そうだな、小沢?」
「そうよ」
「では、問おう。首輪が解除できない余たちが脱出するためにはどうしたらよい?」
「私の考えが正しければ、”ただの人間”なら制限はかからないはずよ。
睦月くんと一緒に行動している氷川くんがその条件に当てはまるわ。だから彼らと合流して……」
「ふふっ、違うであろう。お前の首輪を解除して、そちがハイパーゼクターを使い、我々を脱出させればいいのではないか。
何故ならコーカサスゼクターはハイパーゼクターを使えるのだからな!」
小沢へと杖を突きつけるジャーク将軍。だが、小沢は怯まない。いや、怯めない。
首輪の解析を終了したときから覚悟はしていた。
ジャーク将軍に言われるまでもなく、脱出できるのはカブトの有資格者が存在していない以上、今は小沢だけなのだ。
囚われの身である以上、他の皆を脱出させることができるかどうかは、今、この時にかかっているといっても過言ではない。
「いいわ、脱出させてあげる。ただし、氷川くんたち、残りの皆も一緒に脱出させることが条件よ!」
「そちを殺して、優勝を目指しても良いのだぞ?」
「なら、そうすればいいわ。でも、神崎が本当に約束を守ると思ってるの?
知っている?神崎の狙いは殺し合いで研磨された命を使って、自分の願いを叶えることよ。
優勝したところで生け贄にされてお終いよ。それに神崎には『オーディン』という切り札があるわ。
首輪を外しても私は戦闘に関しては素人。私一人で勝てる相手じゃないわ」
小沢は言えるだけのことは言った。今まで秘密にしていた情報も全てさらけ出した。
これでジャーク将軍を説得できなかったら、単なる愚か者だ。
- 263 :Quod Erat Demonstrandum ◇vHOqGgdf1U(代理):2007/10/03(水) 20:41:24 ID:+/mvAsU10
- 「そちが約束を守るという保証は?」
「私は警察将軍なんでしょ?将軍の名に賭けて保証するわ」
ジャーク将軍の緑眼と小沢のまっすぐな眼がぶつかり合う。
「ガライ、そちはどう思う?」
ジャークはガライに意見を求める。ガライはその問いに即答した。
「俺は人間などという脆弱な生き物は信用できん……だが、小沢も睦月もただの人間ではない。強き人間だ。
制限がない状況で思う存分戦い、壊すことが出来るなら、それもよかろう」
「決まったな。その条件飲もう。ただし、脱出した後は命の保証はせん」
- 264 :Quod Erat Demonstrandum ◇vHOqGgdf1U(代理):2007/10/03(水) 20:42:30 ID:+/mvAsU10
- その答えを聞いた小沢の顔に、思わず笑みが浮かんだ。
ーー修正が必要になった。
その男はいつの間にそこにいたのか。
広間の高台に立つ黄金の影。
無数の黄金の羽を舞い上がらせながら、腕を組み、悠然と佇む。
突如、響いたその声に、高台へと視線を向けた三人の瞳には同じ者の姿が映っていた。
「貴様、何者だ!」
黄金の鳥の姿を模したその男は厳かにその質問に答える。
「私は53人目の参加者。仮面ライダーオーディン」
「オーディン……奴が神崎の切り札か」
「丁度いい、ここで決着をつけてくれるわ。ふん!」
ジャーク将軍はマントを翻すと、一瞬にしてジャークミドラの姿へと変貌を遂げる。
そして、大地を蹴ると、高台にいるオーディンに斬りかかっていった。
「てぇい!」
振り下ろされる大刀。だが、切り裂いたと思った刹那、オーディンの姿は黄金の羽となって消えた。
「ぬぅ、高速移動か」
ジャークは高台から周りを見渡し、オーディンを捜索する。
- 265 :Quod Erat Demonstrandum ◇vHOqGgdf1U(代理):2007/10/03(水) 20:42:45 ID:+/mvAsU10
- その時、小沢の後ろで黄金の羽が舞った。
「小沢、後ろだ!」
反射的に振り返る小沢。そこにはゴルドセイバーを構えるオーディンの姿。
「伏せろ!」
ゴルドセイバーが突き刺ささるより早く、突進したガライが、ふたりの間に割って入る。
右手にはGS−03。唸りを上げる高周波ブレードがゴルドセイバーを受け止めた。
「お前とはまだ戦う時ではない」
「黙れ!」
GS−03のレバーを強く握り、高周波ブレードを振動させる。そして、ゴルドセイバーごとオーディンを切り裂こうと力を込めた。
だが、オーディンは身動ぎひとつしない。
それはゴルドセイバーの硬度がGS−03を持ってしても破壊できないほど硬いというのもあるが、ガライの力不足が一番の要因だった。
2時間の制限はまだ終わらず、ガライはコブラ男に戻れずに人の姿のままだ。圧倒的にパワーが足りない。
「生身で私に挑もうとは、なんと愚かな」
- 266 :Quod Erat Demonstrandum ◇vHOqGgdf1U(代理):2007/10/03(水) 20:43:07 ID:+/mvAsU10
- オーディンは、空いた左手の掌をガライの身体へと向け、力を込めた。
一瞬にして掌から生まれた不可視の力は、ガライを小沢ごと跳ね飛ばし、壁へと叩きつける。
「ぐっ」
蛙が踏み潰されたかのような声を上げる二人。
「おのれ」
再び攻撃を浴びせんとするジャーク。だが、オーディンはゴルドバイザーを出現させるとカードを装填した。
?ADVENT?
その声が鳴り響くと共に、鏡より飛び出してくるオーディンの契約モンスター、ゴルドフェニックス。
ゴルドフェニックスは翼を大きく広げると、ジャークミドラに体当たりを敢行した。
「ぬぉっ」
寸前のところでそれを避けるジャーク。だが、ゴルドフェニックスは諦めず、何度も何度も突進していく。
「くっ、小癪な鳥め」
「ふっ」
オーディンはゴルドフェニックスに翻弄されるジャークを一笑に付すと、ゴルドセイバーを握った。
ゴルドフェニックスは時間稼ぎに過ぎない。オーディンの目的はあくまで小沢だ。
「ううっ」
ガライはGS−03を杖代わりに使い、何とか立ち上がろうとする。直撃を受けただけあって、ガライのダメージは大きい。
「痛っ、あんたは無理しないで、寝てなさい。あいつの狙いは私なんだから、私がなんとかするわ」
「それはこっちの台詞だ。脆い身体で強がるな」
「ちょっとあんた、さっき私のこと強いって、言ったじゃない。それに強がってるのはそっちでしょ」
ガライは小沢が文句を言う様を見て、口元に笑みを浮かべた。
何故かはガライにもわからなかったが、小沢の叱咤激励を聞いていると、強がらないわけにはいかない気持ちになってくる。
「うぉぉぉっ!」
ガライは吠え、立ち上がる。そして、GS−03をオーディンに向け、振り上げた。
?STEAL VENT?
またもゴルドバイザーに装填されるカード。
GS−03が振り下ろされた瞬間、ガライの手からGS−03は消えていた。
- 267 :Quod Erat Demonstrandum ◇vHOqGgdf1U(代理):2007/10/03(水) 20:43:26 ID:+/mvAsU10
- ガライの腕のみが空しく空を切る。
GS−03はどこへ行ったのか。ガライはそれを頭で理解するより早く、身を持って知ることになった。
「っぁ!」
切り裂かれるガライの胸。赤き血の代わりに吹き上がる白い蒸気。
オーディンの左腕にはGS−03が握られていた。
「ガライ!」
崩れ落ちるガライ。確認するまでもなく、致命傷だ。
「ふっ、邪魔をしなければ、まだ死なずに済んだというのに」
「この、金ぴか!」
オーディンは小沢の抗議も意に介さず、次はお前だと言わんばかりに、二本の剣を構えた。
だが、間合いを詰めようとするオーディンの足を誰かが掴む。
「さ、させん」
ガライだ。息も絶え絶えながらも懸命に足に絡み付こうとする。
「しつこい奴だ」
オーディンはゴルドセイバーを振り下ろし、心臓と思わしき場所を貫いた。
今度こそ、止めを刺したとオーディンが確信したその時だった。
「ふん!」
突如、オーディンの背中に雷光が落ちる。
「な、何?」
振り向くと、ジャークがオーディンを睨みつけていた。
いつの間にやら、ゴルドフェニックスの姿はない。
オーディンは失念していた。ミラーモンスターはこの世界では活動に1分の制限があることを。
「小沢!」
ジャークは小沢にライダーブレスを投げた。小沢はそれを受け取ると、素早く右手に装着する。
すると、それを待っていたかのように、飛来したコーカサスゼクターがライダーブレスにその身を装着させた。
?HENSHIN?
ライダーブレスから鳴り響く、変身を告げる言葉。
- 268 :Quod Erat Demonstrandum ◇vHOqGgdf1U(代理):2007/10/03(水) 20:43:41 ID:+/mvAsU10
- 小沢の身体を黄金の装甲が包み込んでいく。
?Change Beetle?
そして、変身完了がライダーブレスから告げられる。
小沢澄子の姿は、ZECT最強のライダー、仮面ライダーコーカサスの姿へと変貌を遂げた。
変身が完了すると同時に、コーカサスは右腕に装着されたコーカサスゼクターを時計回りに回転させる。
?Rider Beat?
たちまちエネルギーがチャージされ、熱くなる右拳。
「くらいなさい、金ぴか鳥頭!!」
コーカサスはオーディンの胸へと力強く打ち込んだ。
「ぐぉ」
砕け散る胸の装甲。よろめくオーディンに、続けてジャークが背中から斬り付ける。
「がっ」
オーディンの背中の皮膚が裂け、多量の血液が溢れ出す。
「み、見事だ。やはり、この空間で戦う以上、勝ち抜くには、私も経験を積まなければなるまい」
「何をほざいておる。貴様はここで抹殺する!」
- 269 :Quod Erat Demonstrandum ◇vHOqGgdf1U(代理):2007/10/03(水) 20:43:59 ID:+/mvAsU10
- 怒れるジャークたちを尻目にオーディンはまたカードを装填した。
?TIME VENT?
▽
ガライは床に倒れ伏した状態で、小沢がゴルドセイバーに貫かれる様を見ていた。
胸から入った刃は、体内を貫通し、背中から飛び出ている。
小沢は口から真っ赤な血を吐き、自分に刺さった刃を見詰めている。
「修正は終わった」
オーディンが刃を引き抜くと、支えを失った小沢は、糸の切れた操り人形のようにその身を床へと沈ませた。
「貴様ァァァ!」
激昂したジャークがオーディンに向かっていく。だが、オーディンはもう戦うつもりはないのだろう。
踵を返すと、一瞬の内に地上へと繋がる通路へと移動した。
「さらばだ。残りの一人になるまで戦いを続けるがいい」
オーディンが手にしたライダーブレスを投げ捨てると、黄金の羽が舞い、その姿を隠していく。
やがて、黄金の羽が消えると同時に、オーディンの姿も完璧に消えていた。
「おのれぇぇぇ!」
ジャークの絶叫が響く。ガライはその様を呆然と見ていた。
一体、何が起こったのいうのだろうか。
(俺は壊れたはずだ。胸を切り裂かれ、背中から貫かれ、意識を失った。なのに何故、俺の身体には傷がない!?)
背中から貫かれたガライが意識を取り戻したとき、オーディンは眼前に存在していた。
ガライの手にはGS−03が握られ、振り上げていた。
何故?その疑問がガライの動きを止める。
オーディンはゴルドシールドを召喚すると、ガライを跳ね除け、続く、ジャークの雷光をそのシールドで防いだ。
そして、ジャークが小沢に渡そうとしたライダーブレスとスチールベントで奪うと、ゴルドセイバーで突き刺した。
ガライにとって、全ては一瞬の出来事。気付いた時には全てが終わっていた。
呆けるガライを余所に、将軍の姿に戻ったジャークは、小沢を抱き起こし、容態を確認する。
「……小沢は?」
ようやく声を絞り出したガライに、ジャークは無常なる言葉を紡いだ。
「死んでおる」
「…………そうか」
- 270 :Quod Erat Demonstrandum ◇vHOqGgdf1U(代理):2007/10/03(水) 20:45:48 ID:+/mvAsU10
- コーカサスゼクターが小沢の死を悲しむように、小沢の周りをくるくる回る。
ジャークは小沢のポケットからメモを取り出すと、そっと床に寝かせた。
その行為に抗議するように、コーカサスゼクターがジャークを威嚇する。
だが、ジャークはその抗議などどこ吹く風よ、杖を握り、左の掌をポンポンと叩きながら虚空を見詰め、何事か思いを馳せる。
ガライはその様子を見やり、ようやく身体を起こすと、床に座りこんだ。
(なんだこの気持ちは)
ガライは自分に起こった不思議な現象よりも、小沢を失ったことによって生じた感情の変化に気持ちを奪われていた。
ジェネラルシャドウが死んだときとはまったく違う。大きな虚無感と今までとは異なる怒りの感情。
激しく燃え上がるような怒りではなく、沸々と煮えたぎるような怒り。
それは時間が経つほどに強くなっていく。
「!」
ガライは立ち上がると、自らのディパックを手にした。
「何処へ行く?」
「睦月たちと合流する。ここから脱出して、神崎を壊すためにな」
「……待つがよい」
ジャークは掌を叩いていた杖を止めると、おもむろに自分の首輪に巻いた布を取り去った。
「余は今から神崎の仕掛けた殺し合いに乗る。仮面ライダーたちと組むなど真っ平だからな」
「!、突然、何を言い出す」
「考えてもみよ。小沢の死んだ今、誰が余たちの言うことを信じる。一笑に付されるだけだ。
それに小沢の言っていることも、余から逃げるための嘘だった可能性もあるのだぞ」
ジャークは悠然と移動すると、杖でディパックのひとつを取った。
「あのオーディンの口振りから察するに、優勝するためには奴を倒す必要があるようだ。
だが、既に奴の攻撃は見切った。今度、戦えば負けぬ。
どのみち、小沢の言っていることが本当だったとしても、余たちに脱出は無理なのだ。
小沢が死んだ今、誰が余たちの言うことを信じる?
ならば、優勝を目指すのみ。……とはいえ、そちには多少の義理も感じておる。
どうだガライ、引き続き、余と組んで、最後の五人になるまで共に戦わんか?」
- 271 :Quod Erat Demonstrandum ◇vHOqGgdf1U(代理):2007/10/03(水) 20:45:59 ID:+/mvAsU10
- ジャークが杖を突きつける。ガライはわずかに困惑の表情を浮かべたが、やがて決意したかのようにはっきりとひとつの言葉を発した。
「断る!」
「そうか。まったく人間になど毒されおって。ならば、即刻ここから離れるがよい。
今まで連れ添った情けだ。次に会ったときに決着をつけるとしよう。
ただし、ハイパーゼクターとライダーブレス、そして、カブトのベルトは余が持っておくがな」
「いいだろう。だが、必ずここに戻ってくる。それまで首を洗っておくがいい」
「その言葉、そちにそのまま返そう」
ガライは向けられた杖を除けると、ディパックを手にして、その場を去っていった。
▽
(あやつも成長したものだ)
最初会ったガライは、ジャークにとって、ただの道具に過ぎなかった。
実際、熱しやすく、思慮の浅い性格は非常に利用しやすかったといえる。
だが、ガライはこの戦いで大きく成長した。既にこの世界においては自分の片腕と言ってもいい。
信頼して、任務を任せるに値する。
ガライを見送った後、ジャークは残った支給品の全てをライドロンの助手席に詰め込んだ。
首輪を解除しての脱出が無理とわかった以上、ジャークはライドロンでの脱出方法を探ることにした。
ジャークはここが怪魔界の成れの果てとわかってから考えていたことがある。
- 272 :Quod Erat Demonstrandum ◇vHOqGgdf1U(代理):2007/10/03(水) 20:46:16 ID:+/mvAsU10
- この世界にいるRX、そして、この世界にあるライドロンは、この世界にあったものなのか。
ジャークが知る限り、怪魔界はまだここまで荒れ果ててはいなかった。
だが、ここは既に崩壊寸前といったところだ。
そこから導き出される答えはただひとつ。
(負けたのだな。ここの世界の我々は……)
多数のクライシス人の命を賭けた移民計画は失敗に終わり、怪魔界は滅びの運命から逃れることはできなかったのだ。
(おそらく余がただ戻っても結果は一緒であろうな)
ジャークがジャークミドラに改造されたとき、既に勝敗は決しようとしていた。
認めたくないが、あのまま戦っていても負けていたのだろう。
結果を変えるためには、何か切り札になる力を得る必要がある。だが、支給品の中に戦局を一変させるほどの目ぼしいものはない。
唯一、神崎が自分達に行使する未知の力を除いては。
(神崎、余は脱出を諦めん。必ず怪魔界復刻の未来を作りだしてみせる!)
小沢はやるべきことをやった。次は自分がやるべきことをやる番だ。
ジャークは小沢に心の中で別れを告げ、作業を開始した。
▽
オーディンはマンホールから出て、北へと向かうガライの姿を遠目に確認する。
「ジャークとガライは分かれたか」
――キィィィン
反響するような音がオーディンの耳に届く。
オーディンは神崎より受け取った余りのディパックから鏡を取り出す。
その鏡に映し出されたのは、オーディンの主である神崎士郎の姿。
「ジャークは戦いに乗る覚悟を決めた。ガライはまだ脱出を目指すようだが、放っておいていいだろう。
よくやった。首輪を外して戻ってくるがいい」
オーディンも場に存在し続けるために首輪を装着している。既に10分の制限時間は過ぎ、その能力は制限されていた。
帰るためには、制限を解除する必要がある。
ミラーモンスターと同様の制限を受けるオーディンは首輪を外した状態では1分しか存在できないが、戻るだけならそれだけあれば充分だ。
オーディンの首輪には起爆装置は元から付いていない。力ずくで外すだけで事足りる。
だが、オーディンは首輪に手を掛けようとはしなかった。
- 273 :Quod Erat Demonstrandum ◇vHOqGgdf1U(代理):2007/10/03(水) 20:46:34 ID:+/mvAsU10
- 「どうした?」
「お言葉ですが、私はここに残ります」
「なに?」
従順であるはずのオーディンに反論された神崎の顔がわずかに歪む。
「この空間で戦う以上、私も制限に慣れておかなければ、足元を救われるやも知れません」
それは傀儡に過ぎなかったオーディンが初めて自発的に決めたことであった。
ミラーモンスターとの戦いで遅れをとり、ジャークたちとの戦いにも思わぬ苦戦を強いられた。
そして、何より仮面ライダーカブトとの戦いがよぎる。
タイムベントは無敵の能力ではあるが、制限された状態で使えるのは一度限り。
使うべきタイミングを間違えば、敗北も充分にありえるのだ。
「どうかご検討を」
オーディンは神崎に頭を下げ、懇願する。
しばしの黙考の後、神崎は答えを返した。
「いいだろう。ただし、戦う相手は選べ。貴重なマーダーを殺しては、計画を阻害することにもなりかねん。
それに仲間がいる奴は指示しない限り相手にするな。お前の能力が知れても困る」
「それではリュウガなどいかがでしょうか?」
「任せよう。だが、くれぐれも気をつけろ。このペースではお前を再生している時間はない」
「心得ております」
――キィィィン
再び反響音が鳴る。神崎は消え去り、鏡はただの物を映す物質へと戻った。
オーディンは鏡をディパックに仕舞い込むと、リュウガがいる方角を見やり、制限が解けるのを待った。
▽
ガライは睦月たちと合流するために一路、北に向かって歩いていた。
威勢良く飛び出したのはいいが、当てがあるわけではない。ただの勘だ。
正直、前途は暗い。自分ひとりでは脱出は不可能。だが、だからといって人間と組むのはやはり抵抗がある。
ジャークと違い、お世辞にも交渉は上手いとはいえない。
ジャークに指摘された通り、自分の言うことを信じる者などいるのかどうか。
- 274 :Quod Erat Demonstrandum ◇vHOqGgdf1U(代理):2007/10/03(水) 20:46:55 ID:+/mvAsU10
- しかし、ガライも諦めるつもりはない。ガライは背負ったディパックを開き、中を見た。
中には、禁止エリアになったときのために予め準備をしていたのだろう。
ハイパーゼクターをはじめ、ありったけの道具が詰められていた。
最初こそ、ジャークの発言は自分への宣戦布告かと身構えたが実際は違う。
杖にぶら下げたディパックを突きつけられたとき、ジャークの真の考えをガライは理解した。
徹底抗戦。それに同調するなら、ディパックを取れ。
ガライは決意を持ってディパックを手にした。
(例えどんな状況に陥ろうとも、神崎士郎を壊す!)
そのとき、一陣の風がガライを追い越した。
ロケット噴射で空を飛ぶ黄金のカブトムシ、コーカサスゼクター。
「なんだ、貴様。小沢のところで泣いてたんじゃないのか」
ガライのその言葉に、コーカサスゼクターはガライの額へと角を叩きつける。
「っ!」
不意討ちにガライは頭を抱える。尖った三本角の頭突きはかなり痛い。
「なるほど、小沢の元へ行きたいのか。なら、すぐに壊してやろうか」
威嚇するガライに、コーカサスゼクターは旋回して、×の文字を書いた。
そして、くるりと回ると、何かを指し示すように前後に動く。
「こっちに行けと行ってるのか」
コーカサスゼクターは頷くように、今度は上下に動いた。
「お前には当てがあるようだな。いいだろう案内しろ」
コーカサスゼクターはその返事を聞くと、指し示した方へと移動を開始した。
ガライもその後を付いて、走り出した。
行く道は違えど、ジャークもガライも、神崎に与するつもりはない。
それは悪の誇りがそうさせたのか。小沢の性根に影響されたのか。それとも、また別の何かなのか。
ただ、ガライの首輪には小沢が結んだ布がマフラーのようにはためいていた。
【小沢澄子 死亡】
残り17人
- 275 :Quod Erat Demonstrandum ◇vHOqGgdf1U(代理):2007/10/03(水) 20:47:42 ID:+/mvAsU10
- 【ジャーク将軍@仮面ライダーBLACK RX】
【2日目 現時刻:黎明】
【現在地:海岸J-3】
[時間軸]:ジャークミドラに改造後。
[状態]:健康。2時間変身不可
[装備]:杖、変身後は大刀。
[道具]:ライドロン。トランシーバー(現在地から3エリア分まで相互通信可能)。分解済みの首輪x2(麻生勝・園田真理)。
ガードアクセラー。配給品一式×8(ガライ、グランザイラス、城戸、シャドウ、ドラス、立花藤兵衛、麻生勝、天道)
[思考・状況]
1:怪魔界を救う。
2:ライドロンを動かす方法を調査。
3:小沢澄子に対し、一武人としての好意。神崎士郎は必ず殺す。
4:ガライの働きに期待。
5:RXを殺す。
[備考]
※ライドロンは現時点では動かすことは出来ません。
※首輪(ヨロイ)は実験により破壊されました。
- 276 :Quod Erat Demonstrandum ◇vHOqGgdf1U(代理):2007/10/03(水) 20:47:56 ID:+/mvAsU10
- 【ガライ@仮面ライダーJ】
【2日目 現時刻:黎明】
【現在地:海岸J-3】
[時間軸]:本編開始前。
[状態]: 全身に切り傷、打撲。30分変身不可(コブラ男)
[装備]:ガライソード、GS−03
[道具]:配給品一式(ジャーク)支給品のデータブック(ハイパーゼクターを除く支給品のデータが記載されています)
ネタばれ地図。ライダーブレス(コーカサス)。ハイパーゼクター。ベルト(カブト)。精巧に出来たモデルガン。
変身鬼弦・音錠。ディスクアニマル(ルリオオカミ、リョクオオザル、キハダガニ、ニビイロヘビ)
首輪の解除方法と脱出手段に関する推論を記述したメモ。コーカサスゼクター
[思考・状況]
1:脱出派と合流する。
2:神崎、オーディン、キング、ドラス、冴子を許しはしない。
3:任務達成の後、ジャーク将軍と合流。
4:睦月との決闘は脱出の後で。
[備考]
※支給品のデータブックには、支給されたアイテムの効果が記載されています。各参加者の初期支給品も記載されています。
【オーディン@仮面ライダー龍騎】
【2日目 現時刻:黎明】
【現在地:海岸J-4】
[時間軸]:神崎士郎と同時間軸
[状態]:健康。2時間戦闘不可(オーディン)
[装備]:カードデッキ(オーディン)、爆破機能のない首輪
[道具]:佐野満のディパック
[思考・状況]
1:経験値を上げる。とりあえずの目標はリュウガ。
- 277 : ◆vHOqGgdf1U :2007/10/03(水) 20:51:21 ID:PtipXAsb0
- 投下終了。
代理投稿大変感謝しております。
誤字、脱字、指摘事項、ご感想があればよろしくお願いします。
差し当たり、首輪とオーディンの扱いに問題がないか。
特にオーディンは、文中では変身を解けないとしていますが、『誰か』に戻った方がいいのなら、修正するつもりです。
- 278 : ◆CbOjjnQoXQ :2007/10/03(水) 22:02:52 ID:yE5agekM0
- >>277
GJ!
首輪の解析シーン、眼に浮かぶようでした。
そして、小沢さん……逝ってしまいましたね。
オーディンVSリュウガも楽しみな展開ですね!
残念ながら、支援が間に合いませんでした。
何時もギリギリになりますが、もう一度推敲のして1時間後に投下予定です。
よろしくお願い致します。
- 279 :名無しより愛をこめて:2007/10/03(水) 22:09:17 ID:empoglDz0
- >>277
GJ!!
やばい、出ているキャラが全員カッコイイです。
ジャークも小沢さんもガライも、みんな素敵過ぎる!
小沢さんは本当に頑張った。あの世でシャドウと仲良くしてくれ。
オーディンとリュウガの戦いのきっかけ作ったのも、うまい!!
もう一度GJ!!
- 280 :名無しより愛をこめて:2007/10/03(水) 22:14:32 ID:empoglDz0
- >>278
忘れていた。
新作楽しみにしています。
>>277
首輪とオーディンについてですが、問題ないと思いますよ。
首輪はなんだか面白い展開ですし、
オーディンは原作で変身が解けてないので、問題ないと思います。
- 281 :名無しより愛をこめて:2007/10/03(水) 22:31:45 ID:w+y3Sbk+O
- >>277
最後のマフラーのところでゾクってきた。GJ!
- 282 :――散華―― ◆CbOjjnQoXQ :2007/10/03(水) 22:58:52 ID:yE5agekM0
- 投下します。
- 283 :――散華―― ◆CbOjjnQoXQ :2007/10/03(水) 23:01:19 ID:yE5agekM0
- ドアが軋んだ音を立てた。
両眼は警戒というフィルターを透して店内を見回す。
まだ来客に気付いた様子は無く、静寂が店内を包んでいた。
重いドアの手応えを掌に残したまま、暗がりの中デイパックを探る。
手に取ったカイザドライバーが何時に無く重い、まるで残された時間が少ない事を示唆するようだった。
荒い息を整え、これから考えられる可能性を列挙する。
どれも確実では無く危険を孕んでいる。
(動けば動く程毒の廻りは速くなる。俺はまだ死ねない!確実に残り17人殺すまでは)
二階から零れる微かな明かりを影が遮った。怪我人や女が駆け付ける筈は無い。
降りて来るのは南光太郎。
足音が近付く。
(今殺すか。それとも……)
一瞬、躊躇してからカイザドライバーをバックへ戻した。
「南!トランシーバーを貸してくれ!!」
突然荒々しく発せられた声に、南は慌てた様子で引き返し、すぐにトランシーバーを手に駆け降りて来た。
「草加さん、どうしたんですか!矢車さん達は?」
「事態が急変した。先にそちらの状況を教えてくれないかな」
言葉を遮り、矢継ぎ早に質問を重ねる。
考える時間など与えない。
南の話では都合が良い具合に、結城丈二と日下部ひよりは休息を取っている。
その上、数時間前のシャドームーンの死により皆の心中は悲しみに囚われ、日下部ひよりはショックで記憶を失っている。
厄介な戦力になる者はいない。
願っても無い事態に草加は内心ほくそ笑んだ。
「来る途中ドラス達に襲撃された。秋山と乾が追っている。奴等の持っていたドクターケイトの杖で矢車が毒に侵された。
俺が奪う事が出来たのはこの説明書だけだ」
草加は説明書と引き換えにトランシーバーを受け取った。そして、南が説明書に眼を奪われている隙にトランシーバーの電源を切る。
通信可能を示すレッドライトが闇に吸い込まれる様に消えた。
「解毒方法に心当たりはあるかな?矢車を安心させてやりたい」
南は何度か読返した後、ゆっくり首を横に振った。
- 284 :――散華―― ◆CbOjjnQoXQ :2007/10/03(水) 23:02:08 ID:yE5agekM0
- 最初から南には期待などしていない筈だったが、否定の動作が草加の癇に障った。
乱暴に手から説明書を引っ手繰る。
それは侮蔑の意味を含んでいたが、南には通じてはいないようだ。
(後で充分この苛立ちの代償をさせてやる)
苛立ちを隠し、トランシーバーを耳に当てるとドア付近まで大股で歩いた。
「だめだ。少し聞こえにくいな。外に出て話して来る。矢車!聞こえるか?」
草加は無言のトランシーバーと話を続ける。
中からガラス越しに見守る南の視線を背に感じていた。
(南を騙すのは簡単だ。問題は結城だが……)
二階に微かに灯る明かりを仰ぐ、ふと明かりが消えた。
(様子に気がついたらしい、余計な口を挟まれても困る)
トランシーバーをバックにしまい、ドアノブに手を掛け少しドアを開く。
こちらから入って行かなければ、南が近付いて来るのは安易に想像出来た。
「矢車はこのエリアの外れの公園にいる。毒で動けないらしい。南すまないが行ってくれないかな?
襲われた時俺はカイザに変身している。あと二時間はまともには戦えない。」
予想通り南は言葉を真に受けてくれた。
「わかりました。すぐに矢車さんを連れて戻って来ます」
「俺にもっと力があれば。畜生!矢車までドラス達に……」
よろける体を支える為壁に拳を叩き付けた。南には悔しさがそうさせたのだと映ったらしい。
「草加さん、あなた仮面ライダーになったんですね。後は俺に任せてください!」
「仮面ライダーか……君と真理だけだったな。そう言ってくれたのは」
「人を信じるのは理屈じゃないんです。俺はそう思います。」
南はそう言うと闇の中へ駆けて行った。
(これで暫く時間を稼げる。結城を懐柔するには時間がいる。だが奴はもう若くも無く、強くも無い。
腐りかけた右腕でも引き合いに出せば正義など脆く崩れるだろう。
右腕を無くし戦力は皆無に等しいが、結城の科学者としての知力は有益な駒になる。
駒になる事を拒んでも、人質として使えば少なからず役に立つ。
どちらも無理なら殺せばいい。どの道、真理に一歩近づける。)
草加は見送りもせず、すぐ店内へ戻った。中に入ると待っていたように結城の声がした。
「南を何処へ行かせた?」
- 285 :――散華―― ◆CbOjjnQoXQ :2007/10/03(水) 23:03:31 ID:yE5agekM0
- 「大体の所は聞こえていたんだろう。エリアの外れまで矢車を迎えに行ったんだ。
ドクターケイトの杖の毒にやられた。これが説明書だ。解毒方法がわかるかな?」
草加はドクターケイトの杖の説明書をカウンターへ広げ結城の様子を探る。
僅かでも不信の色が走れば見逃しはしないと、一挙一動を監視する。
「作れない事は無い。だが設備も必要な薬も此所では手に入らない」
「どこでなら手に入る?」
結城の瞳に一瞬だが迷いが走った。言葉を選んでいる間が長い。
「病院のような施設ならあるいは……」
普通の薬などで直せる様な代物ではない。それは毒に侵された草加の体が一番良くわかっている。
おそらく嘘、もしくは草加に隠しているかのどちらかだ。
「なら、矢車は死ぬしかないんだな」
結城から視線を逸らさず、肩に掛けたバックの中身を右手で探る。
「残念だがそうなるだろう。南達が来るまでに対策を練って置きたい。ドラス達、と言ったようだが、他に誰がいたんだ?」
「随分な物の言い方だな、矢車がどうなってもお前はいいのか」
「矢車は心配だ。矢車はな……」
穏やかな口調のわりに鋭い目つきが結城の疑心を表していた。
「エリアのはずれと言っていたが、何故そんな遠回りをする必要があった?」
「逃げる途中はぐれた。その時身を隠すために迂回したんじゃないかな」
「毒で動けない人間とはぐれたのか」
結城の突き刺す視線がピリピリと草加の頬を焦がす。
「答えないのならば質問を変えよう。毒に侵されているのは本当に矢車か?走ってきただけの割には随分息が荒い様だが?」
質問の答えなど、もう結城には判っている筈だ。
馬鹿馬鹿しい問答に、草加は肩をすくめ薄ら笑いを浮かべ言った。
「そうだとしたらどうするのかな」
そして、次の瞬間大きく一歩踏み出した。
手首の動きに合わせ、ディスカリバーが撓る。
窓から差し込む月明かりを反射した刃は流れを描き、結城の喉元寸前で止まった。
- 286 :名無しより愛をこめて:2007/10/03(水) 23:04:24 ID:empoglDz0
-
- 287 :名無しより愛をこめて:2007/10/03(水) 23:05:24 ID:mP20aGiHO
-
- 288 :――散華―― ◆CbOjjnQoXQ :2007/10/03(水) 23:05:31 ID:yE5agekM0
- 「そのまま表に出ろ」
結城は階段へと続くドアの前から動こうしない。
「片腕で戦う気か?ここで戦えば……」
草加が顎を軽く上げ二階を指す。
「日下部ひよりが物音に気が付いて降りてくるかもしれないな。
ショックで記憶が無いらしいが、目の前でまた誰か死んだら今度は気が狂うんじゃないか?」
ひよりの名前が出た途端、結城の表情が曇った。
ディスカリバーを突きつけたまま結城を外へ促す。
結城はのろのろと足を進めたが、外へ出ると先に口を開いた。
「何を企んでいる?」
「企む?何のことかな。聞きたい事があるだけだ。
この先、右腕なしでどう戦う?
劣化さえしてなければ縫合できるだろうが、腕を切り落とされたのは何時だったかな。
まさか日下部ひよりの様に、守ってもらって貰えるなんて思ってないよな。
足手まといは、正義の名の元に見殺しにされる……そうならないといいな」
草加は結城の姿を舐めるように眺めた。
「此所を脱出した後の事を考えた事があるか?今、脱出したとしても俺は真理を永遠に失う。
自分に取ってだけの正義だろうが、今止めれば愛する者を永遠に失う。
願いを叶えて還れば影山冴子と北崎はいない。邪魔な乾もだ。主力を失ったオルフェノクを倒すのは容易い」
表情を確かめながら次の言葉を継ぐ。
「その右腕は脱出した所で治るのか?だが、右腕を治して帰ればどうなるかな?
他の奴らは一緒に戦った奴なんだろう。此処で皆死ねば、正義の使者はライダーマンだけだ」
黙って聞いていた結城の口元が吊り上る。
「フッ。一つ聞いていいか?」
一呼吸措き、言葉を重ねた。
「南はトランシーバーを持って行ったのか」
「お前が俺なら持たせないだろう?下手に連絡を取られても困る」
「それを聞いて安心した」
嗤っている……草加は確信した。
自分の身を守る為結城は陥落した。やはりこの男は正義でも何でも無い、過去にしがみついて生きる老兵だったと。
- 289 :名無しより愛をこめて:2007/10/03(水) 23:06:39 ID:mP20aGiHO
-
- 290 :――散華―― ◆CbOjjnQoXQ :2007/10/03(水) 23:06:42 ID:yE5agekM0
- 結城は草加の思案を他所に、突きつけられたディスカリバーの刃先を見つめながら喋るのをやめない。
「まあ、南の事だ。お前の言葉を鵜呑みにしてそのまま矢車の元へ行ったんだろう。正確な場所もろくに聞かずにだ。
唯、矢車の安否だけを思って……
だが、10分も走れば南も気付く。闇雲に走るより正確な位置を知ってから動いたほうがいい事に。もう戻って来る頃だろう」
結城の一言一言が、草加の眉間に深い皺を刻んだ。
「貴様、何が言いたい」
「残念だったな。お前の侵された毒を制する鍵は南が持っていた。まだ、南自身も知らないがな。
この状況を見ればもう誤魔化せはしない。南を味方に付ける事は出来ない。
手を組めとでも言いたかったのだろうが……」
結城の表情が険しい物に一転した。
「ふざけるな!たとえ殺されても悪には屈しない!!」
結城がディスカリバーの剣先を払いのける。
草加は剣を巻き上げるようにして受け、上がった刃先をそのまま突き下ろした。
サシュッ――そんな軽い音の後、結城の首筋から生温かい血が噴出した。
「……ぁ…ぁ……」
声に鳴らない声が結城の喉を通り過ぎて行く。
傷を押さえた指の隙間から血液が零れ落ちた。結城の視線がそれを辿った。
やがて、ゆっくりと顔をあげた。
瞳が大きく見開かれた。
膝が折れ、それを追うように体がバランスを崩す。
まだ眼は、眼だけは力を失っていなかった。
草加を通り越したその先を見ていた。
エールを送るように笑い、地に映る影へ体を重ねた。
笑顔の訳……それを後ろに迫る足音が教えた時、草加は思い切り舌打ちした。
「草加さん、トランシーバーを貸して下さい。ちゃんと位置を聞いたほうが……」
数メートル先から南が手を振っている。
草加はバックにファイズとカイザ、二つのドライバーが有るのを確かめる。
そして頭を切り替え、幾つかの予想を立てた。
(解毒法の鍵を握っているのが南だと言った。まだ、それを知らないとも……南はベルトが無くても変身できる。
まだ眠っている力がある。覚醒させるには生死の境目を彷徨うか、それとも感情を爆発させるか……)
- 291 :名無しより愛をこめて:2007/10/03(水) 23:08:00 ID:empoglDz0
-
- 292 :――散華―― ◆CbOjjnQoXQ :2007/10/03(水) 23:09:23 ID:yE5agekM0
- 一歩一歩、南に近づいて行く。
夜目にも赤鮮やかな返り血、そして倒れている結城を見たのだろう、南の顔から血の気が引いた。
結城の元へ、駆け寄ろうとする南の腕を掴んだ。
「……遅かったな、南」
言葉の意図が理解出来たらしい。掴んだ腕が怒りで震えている。
南は腕を振り解き、真正面に向き合った。
「お前が殺したのか?」
草加は質問に答えず、左手の返り血を拭う事を優先した。
目的の為には冷静でいる必要がある。
「お前が殺したのかと聞いているんだ!」
南の必死の形相と、答えるまでも無い質問に吹き出しそうになっていた。
変身させるため、挑発しようと考えていたがその必要は無い。
「怪我人と女を殺すのに時間は掛からない。解毒法も知らない、俺の駒にもならない奴は邪魔なんだよ」
「ひよりさんまで手に掛けたというのか!貴様どんな残酷な事をしているのかわかっているのか!」
「お前ら全員で、真理を見殺しにしておいて何が残酷だ」
「誰かを亡くす悲しみを知っていて、何故同じ過ちを繰り返す。こんなことをしても真理さんが悲しむだけだ!」
「わかったように真理の話をするな!」
言い放つと同時にディスカリバーを投げ付け、素早くベルトを腰に装着した。
南は月光受け、矢の如く迫るディスカリバーを、高い跳躍で避ける。
地より草加、空より南、二つの視線が虚空で火花を散らす。
短い電子音が響いた。鳴り終える前に、光太郎は叫んだ!
「変身!!」
手を振り上げた光太郎の瞳に、青き正義の光が炸裂する。
- 293 :名無しより愛をこめて:2007/10/03(水) 23:09:30 ID:VaUKFQ4r0
-
- 294 :名無しより愛をこめて:2007/10/03(水) 23:10:14 ID:+/mvAsU10
-
- 295 :名無しより愛をこめて:2007/10/03(水) 23:10:22 ID:empoglDz0
-
- 296 :――散華―― ◆CbOjjnQoXQ :2007/10/03(水) 23:10:33 ID:yE5agekM0
- 煌きと共にサンライザーが実体化し光太郎は仮面ライダーブラックRXへと変身した。
「俺は太陽の子!ブラックRX!!誇り高き戦士だと思っていたがお前は邪悪の塊だ!許さん!」
光太郎は戦いを挑むべく構えた。
……だが、草加はフォトンブラッドに身を包んではいなかった。
カイザではなく、草加雅人のまま、カイザフォンを手にジッと倒れた結城を見つめている。
結城を切り付けた時の感じたディスカリバーの手応えからして、すぐに死なない事は解っていた。
変身の最中、読み通り結城の体が動いた。
草加は開いた口から放つ一言一句を漏らさず聞くため、変身コードを押さなかったのだ。
結城は言った。
「み…なみ、怒りに……我を…忘れるな……」
多量の出血のため、意識も朦朧としているに違いない。
今もうわ言の様に繰り返している。
微動だにしない草加にRXは驚きを隠せずにいた。
「何故だ!変身しない!?」
草加の予想通り、RX、いや南光太郎は生身の人間には襲いかかれない。
悪である仮面ライダーカイザは殺せても、人間、草加雅人は殺せない。
RXが草加の視線に気付く。
そして、まだ息のある結城に駆け寄った。
草加は眉を顰め考えていた。
(怒りに身を任せるな、か……南は結城とひよりが死んだと思っていたが、変身した姿に変わりが無い。読みが違ったのか?……ならば)
草加は最初に考えた可能性の『一つ』を選択する。
カイザフォンを無造作にポケットにしまい、腰のベルトに手を掛けはずした。
「俺を、殺してくれ……南。今の結城の言葉で目が覚めた。君の言う通りだ。こんな事をしても真理は喜ばない」
その一言に、RXの戦意が失われて行くのが分かる。
「ひよりは眠ったままだ。何があったかも気が付いていない」
草加はRXを見つめ、自嘲気味に笑った。
「ドラスに受けた毒で、死ぬのだけは耐えられない。こんな事で、俺の汚れた手が……犯した罪が償えるとは思っていない。
せめて、俺を信じてくれた君が殺してくれ」
- 297 :名無しより愛をこめて:2007/10/03(水) 23:10:48 ID:mP20aGiHO
-
- 298 :名無しより愛をこめて:2007/10/03(水) 23:11:54 ID:empoglDz0
-
- 299 :名無しより愛をこめて:2007/10/03(水) 23:12:08 ID:VaUKFQ4r0
-
- 300 :――散華―― ◆CbOjjnQoXQ :2007/10/03(水) 23:12:37 ID:yE5agekM0
- RXは拳を握り締めていた。
「俺は、結城さんにこんな酷い傷を負わせたお前を許さん。だが、だからこそ、生きてドラス達と戦え!真理さんの為にもだ……」
南が変身を解き、結城の体を支えた。
草加も後を追い結城の側に付く。
「手当てが良ければ助ける」
安堵から南の表情が穏やかなものに変わった。
しかし、それは束の間だった。
結城を抱き起こした南の目の前に、草加の手が差し出された。
手には鮮血と見紛う、赤いファイズドライバーがしっかり握られていた。
「死なれては困る。大事な人質だからな」
「それは?」
南には信じられなかった。いや信じたくなかったのだろう。凍り付いた様に動けないままだった。
「これには、加速装置が付属されている。君が逃げても確実に仕留められる様に、カイザでは無くファイズに変身する事にしようかな?」
草加のはったりに過ぎない。
先程の乾との戦いで、あと二時間近くファイズには変身出来ない。
だが、南はそれを知らない。
此所に来て初めて南は自分が最大の失敗を犯したと知ったのだろう。
地に平伏し、怒りと悔しさに歯を食いしばっている。
この状況でRX変身出来ない、それは死を意味する。
計略と言う草加の網は、すでに南を確実に捕えた。
首輪の制限に加え、毒戦えば体力を消耗する、一日持つ命が半日となるだろう。
変身せずにすべてを手に入れる方法を、最初から草加は想定していたのだ。
「さあ、どうするのかな?このまま逃げ出して、三人一緒に死ぬか。君にチャンスを与えてやる。日下部ひよりの命を救いたければ……」
そして、狂喜に満ちた声で南に宣告した。
「殺し合え!真理を見殺しにしたお前達全員でだ!!
お前達の言う安っぽい正義と秤に掛けたら、日下部ひよりの命と残り17人の命どちらが重いかな?
結城の命は解毒薬と引き換えだ。次の放送までに出来なければ二人を殺す!!!」
闇に草加の高笑いが谺する。
- 301 :名無しより愛をこめて:2007/10/03(水) 23:13:56 ID:VaUKFQ4r0
-
- 302 :名無しより愛をこめて:2007/10/03(水) 23:14:31 ID:empoglDz0
-
- 303 :――散華―― ◆CbOjjnQoXQ :2007/10/03(水) 23:14:47 ID:yE5agekM0
-
§
南は正義のヒーローらしい言葉を投げつけて去っていった、どれも草加の心には届きはしなかったが。
草加は店まで運ぼうと結城を抱き起こしたが、すでに事切れていた。
首筋の出血だけでは失血死する筈がない、そう思ったが、右腕の切断のときの出血が祟ったのだろう。
青白い顔色が、それを物語っていた。
そのままずるずると中まで運び、テーブルクロスで遺体を覆った。
カウンターに周り、手を洗った。
どれだけ、洗っても綺麗になった気がしなかった。
二階へ上がり奥の部屋を覗くと、日下部ひよりは薄く白い夜具に包まれて眠っていた。
寝返りを打つ体躯が、白い芋虫に見えた。
(何故、真理が死んでお前は生き延びている?)
日常と何等変わりなく眠る顔を、死に顔に換える事など簡単に出来る。
細い首に視線を移す。
(どうせ結城も死んでいる。ひよりも生きていようが死んでいようが、姿さえ見られなければ放送までそれは判らない)
甘い誘惑を抑え、そっとひよりの肩を揺する。
二、三度瞬きした後、ひよりの瞼が開いた。
「お前?誰だ。さっきの人たちは?」
- 304 :名無しより愛をこめて:2007/10/03(水) 23:16:10 ID:mP20aGiHO
-
- 305 :名無しより愛をこめて:2007/10/03(水) 23:16:16 ID:VaUKFQ4r0
-
- 306 :――散華―― ◆CbOjjnQoXQ :2007/10/03(水) 23:16:19 ID:yE5agekM0
- 「心配ない。俺はひよりを助けに来たんだ」
「僕を助ける?」
「ああ、そうだ……君がこれを持っていてくれ。カイザドライバーとカイザフォンだ。
もし、誰かが来たらこれを使って変身ろ。死にたくなければな。
戦おうとしなくていい、変身して逃げろ」
ひよりはコクンと頷き、両手で胸に抱いた。
「此所に来るまでに俺も傷を負った。少し休ませてくれ」
「お前、まさか僕を助ける為に傷ついたのか?あの髪の長い男、アイツは?……」
草加はそれ以上話す気は無かった。
床に座ると壁に寄り掛かり眼を閉じた。
(カイザに変身させれば、自分の身代りになる。
どうせ二時間たてば、正義と言う大義名文に乗っ取り、ドラスと戦った時に習い全員で俺を殺しにくる。
だが、変身が解けたカイザは俺では無く、日下部ひよりだ。
殺されなくとも、真理を見殺しにしたアイツらの前で灰になればいい。
俺は奴等の変身が解けた時点でファイズに変身し、皆殺しにする。
カイザドライバーは、その後回収すればいい。他の奴らの装備も含めて……
そして、必ずドラスをこの世から消してやる。塵一つとして、残しはしない)
――真理、俺だけが……俺だけは、最後まで君の為に戦う……
【結城丈二 死亡】
残り16人
- 307 :――散華―― ◆CbOjjnQoXQ :2007/10/03(水) 23:20:09 ID:yE5agekM0
- 【草加雅人@仮面ライダー555】
【2日目 現時刻:深夜】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:ファイズ終盤。
[状態]:背中に切り傷。全身に強度の打撲と極度の疲労。参加者全員、特にドラスへ強い憎悪。
毒に侵されています。その内死にます。1時間、ファイズに変身不能。
[装備]:
[道具]:救急箱。精密ドライバー。バタル弾。配給品一式×13(草加、北岡、木野、キング、睦月、 結城(名簿を除く)、
霞のジョー、加賀美、影月、ひより、リュウガ、岬、明日夢)
サイ。オルゴール付懐中時計。鬼笛。
ディスカリバー。 ウォッカの小瓶2本 。ドクターケイトの杖の説明書。
ファイズドライバー(ファイズポインター、ファイズショット、ファイズアクセル)
ミネラルウォーター×2(一本は半分消費) カレーの缶詰 乾パンの缶詰
アイロンを掛けた白いシャツ(抱き枕にされたせいで少し皺になりました)
リキュールの小瓶2本。カラオケマイク(電池切れ)。トランシーバー(現在地から3エリア分まで相互通信可能)。首輪(ドクトルG)
[思考・状況]
1:毒が回る前にゲームの参加者の皆殺し。
2:ドラス、冴子に復讐。
[備考]
※1:バタル弾は改造人間のみに効果あります。
※2:GA-04・アンタレスはE-4エリアに放置されています。
※3:配給品×13は花鶏の二階リビングに放置しています。
- 308 :名無しより愛をこめて:2007/10/03(水) 23:20:20 ID:mP20aGiHO
-
- 309 :――散華―― ◆CbOjjnQoXQ :2007/10/03(水) 23:20:39 ID:yE5agekM0
- 【日下部ひより@仮面ライダーカブト】
【2日目 現時刻:深夜】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:本編中盤 シシーラワーム覚醒後。
[状態]:右肩に重傷(処置済み)右脇腹に刺し傷(処置済み)打撲。記憶喪失。
[装備]:カイザドライバー(カイザブレイガン、カイザポインター)
[道具]:なし
[思考・状況]
1:草加と何か話したい。
2:さっきの人たちはどこにいったんだろう。
[備考]
※1:精神的なショックで記憶を喪失しています。
- 310 :――散華―― ◆CbOjjnQoXQ :2007/10/03(水) 23:21:30 ID:yE5agekM0
- 【南光太郎@仮面ライダーBLACK RX】
【2日目 現時刻:深夜】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:第1話、RXへのパワーアップ直後
[状態]:今までに無い深い悲しみと草加に対する怒り。
[装備]:リボルケイン
[道具]:無し
[思考・状況]
1:殺し合いなどしない。ひより結城の救出。
2:草加の卑劣な行為を許しはしない。
3:シャドームーンの死に深い悲しみ。
4:打倒主催。その後、元の世界に戻ってクライシス帝国を倒す。
[備考]
※1:黒幕はクライシス帝国、神崎はその手の者であると勝手に確信しています。
※2:ドラスをクライシスの怪人だと思っています。
※3:ひよりが記憶を失っていることを知っています。
※4:草加が毒に侵されているのを知っています。
- 311 :――散華―― ◆CbOjjnQoXQ :2007/10/03(水) 23:24:59 ID:yE5agekM0
- 投下終了です。
支援ありがとうございます。
指摘よろしくお願い致します。
脱字修正申告します。
>>306
「ああ、そうだ……君がこれを持っていてくれ。カイザドライバーとカイザフォンだ。
もし、誰かが来たらこれを使って変身ろ。死にたくなければな。
戦おうとしなくていい、変身して逃げろ」
を
「ああ、そうだ……君がこれを持っていてくれ。カイザドライバーとカイザフォンだ。
もし、誰かが来たらこれを使って変身しろ。死にたくなければな。
戦おうとしなくていい、変身して逃げろ」
1文字抜けてました。
- 312 :名無しより愛をこめて:2007/10/03(水) 23:41:21 ID:empoglDz0
- GJ!!
こいつはくせえッー!
ゲロ以下の臭いがプンプンするぜッーーーーッ!!
こんな悪(ワル)なライダーには出会ったことがねえほどなァーーーッ
真理が死んだせいで悪人になっただと?
ちがうねッ!!
こいつは産まれついての悪(ワル)だッ!
光太郎さん、早えとこロボライダーにでもなって、正義の鉄槌をかましてやんな!
展開がド欝でめちゃくちゃ好みです。
ひよりが兄と同じ死に様になりつつあるのが皮肉が利いていたり。
光太郎さんもこのままでは終わらないだろうな。
結城さんが死んで、全滅作品2号はV3になりましたか。
もう一度GJ!!
- 313 :名無しより愛をこめて:2007/10/03(水) 23:52:23 ID:PtipXAsb0
- GJ!
同じ日に首輪を解析できる2人が死ぬとはなんというシンクロニティ。
内容も、死を前にしながらも冷静に狡猾に、変身せずにことを進めていく草加が凄くよかったです。
ひよりに草加の作戦が成功するか凄く楽しみ。。。
- 314 :名無しより愛をこめて:2007/10/04(木) 00:17:21 ID:rw3X6OhSO
- お二人ともGJです!!!
小沢姐さんに続き結城さんも逝ってしまったか・・・
オーディン本格参戦に草加籠城とここに来てかなりの急展開!!
対主催サイドにとってこれほど不利な状況はないですね。。
でも修羅場を乗り越えて光をもたらすのがライダー!!
序盤では見せ場の少なかった(?)光太郎の今後の活躍に期待が膨らみます。
- 315 :名無しより愛をこめて:2007/10/04(木) 00:45:42 ID:CseuSbfv0
- 乙で〜す
う〜む、さすがバトロワ。暗いぜ
気になったんだが、草加はひよりがワームって知ってるから
>殺されなくとも、真理を見殺しにしたアイツらの前で灰になればいい
カイザに耐えられないで死ぬ、とは考えないんじゃないかね?
草加からすればオルフェノクもワームも似たようなもんだろうし
- 316 :名無しより愛をこめて:2007/10/04(木) 00:48:56 ID:McJwrq/6O
- 草加このやろう
途中まで死んだら泣いてやるぜwww ぐらいの気持ちで読んでたのに…… まさか結城が……
- 317 : ◆CbOjjnQoXQ :2007/10/04(木) 00:49:43 ID:GAm007820
- 感想ありがとうございました。
まだ出てきました。誤字脱字修正です。
<<296
・結城を切り付けた時の感じたディスカリバーの手応えからして、すぐに死なない事は解っていた。
を、
・結城を切り付けた時に感じたディスカリバーの手応えからして、すぐに死なない事は解っていた。
に。
>>300の
・首輪の制限に加え、毒戦えば体力を消耗する、一日持つ命が半日となるだろう。
を、
・首輪の制限に加え毒、戦えば体力を消耗する、一日持つ命が半日となるだろう。
に。
よろしくお願いします。
- 318 : ◆CbOjjnQoXQ :2007/10/04(木) 01:05:39 ID:GAm007820
- >>315
すみません。リロードしていませんでした。
灰にればいいの部分よりも、身代わりにしようと思ってる描写を追加すれば違和感がなくなりますかね?
灰にはならないかも知れないけれど、そうなってしまえばいい。と言う感じで……
- 319 :名無しより愛をこめて:2007/10/04(木) 01:15:41 ID:SGQ8aFzRO
- 天道の時も思ったけど、脱出の鍵を握る奴等をこんな簡単にホイホイ殺すのどうよ?
後先考えようよ
ジャンプロワのアルジャーノン事件の二の舞にならん事を祈るわ
- 320 :名無しより愛をこめて:2007/10/04(木) 01:18:03 ID:hsp2ycWZ0
- >>319
>>4
>―― 誤字や矛盾以外の意見はこちら ――
>仮面ライダーバトルロワイヤル毒吐きスレ・別館
>http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/8882/1182007206/
スレ違い。
- 321 : ◆WXWUmT8KJE :2007/10/04(木) 02:03:54 ID:hsp2ycWZ0
- 眠る前に、リュウガ、矢車想、秋山蓮、乾巧、日下部ひより、草加雅人、南光太郎
予約します。
- 322 :名無しより愛をこめて:2007/10/04(木) 02:12:05 ID:t3VJlZMq0
- >>320
正直過保護過ぎるんじゃないか?
まあ本スレは議論禁止にするとしても
誘導先が議論しない事が前提の毒吐きしかないのは困るな
マンセーと陰口の択一かよと
- 323 :名無しより愛をこめて:2007/10/04(木) 02:37:23 ID:GzVLfpXJ0
- やっと…やっと…
リュウガキターーーーーーーーーーーY⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)!!!
ていうかこの面子だと、草加フルボッコしか考えられねえええええ
- 324 : ◆vHOqGgdf1U :2007/10/04(木) 02:40:39 ID:XPFVTVWC0
- まとめサイト更新。
>>317の修正も反映しております。
>>319,>>322
たぶん議論なら、したらばの雑談スレttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9061/1177088003/l50あたりが適切かと。
で、とりあえず自分の意見としては、後先考えてると思いますよ。小沢も、結城も、極論を言えば、いなくても転がりますしね。
明示されている脱出フラグが全てとも限りませんし。
それに脱出の鍵を握る奴は、見方を変えれば、主催者や優勝狙いにとっては最も邪魔な存在なわけで。
ギリギリまでどのエンドに転がるか、結果が分からないほうが面白いと思いませんか?
ただ、あんまり議論すると、今後のネタバレをしないとも限らないので、やはり議論はしたらばでするべきだと思います。
- 325 :名無しより愛をこめて:2007/10/04(木) 02:50:01 ID:XPFVTVWC0
- 言い忘れ。
>>318
自分は元の場合でも、修正案でも特に違和感ありません。
草加ならどっちの場合もありえそう。。。
>>321
新作楽しみにしています。
久々なんでやはりリュウガを気にしてしまいます。
- 326 :名無しより愛をこめて:2007/10/04(木) 02:51:03 ID:t3VJlZMq0
- >>324
更新乙
とりあえず次からそのスレをテンプレにいれて、誘導は毒吐きよりまずそっちにしたらどうだろう。
すぐ毒吐き逝け毒吐き逝けっていうのは、意見を一切禁止してるみたいで閉鎖的だ。
しかも今回みたいに毒吐き逝けって言ってるのが書き手仲間だと
書き手同士庇い合い馴れ合いみたいに見えてあんまりいい印象は受けないから。
- 327 :名無しより愛をこめて:2007/10/04(木) 05:53:42 ID:ntCK/VLp0
- >>319
第1条/キャラの死、扱いは皆平等
脱出フラグがあろうなかろうと関係ない。これが掟だ。
- 328 : ◆s.0z/S/80k :2007/10/04(木) 06:04:37 ID:MDWTtaEC0
- おはようございます。
対主催派と神崎含む優勝派、一進一退の攻防という感じで2作品とも手に汗握りながら読みました。
影山冴子・キング・ドラス・上城睦月・城茂・氷川誠・ガライの7名を予約します。
>>319,324
小沢さんに関しては、ほっといても私がいずれ似たようなことをしていたと思います。
そのために脱出フラグをアイテムに移動させた上で死b……恋愛フラグを立てたのですし。
生かしてもっと(心理的に)酷い事ってのも考えてましたが。
……小沢とジャークの悲恋とか、見たかったですか?
ある意味死亡ものより鬱グロになった気がしますよ。
今、「いやギャグだろ」って思った人は校庭十周。ーーーー私も行ってきます。
ただ、エンドについては仮面ライダーという原作の性質上、期待されているものがあると思います。
予定調和は必ずしも悪いものではない、というのが私の立場です。
物語は結末だけでなく経過にも、むしろ経過にこそ価値があるのですから。
- 329 :名無しより愛をこめて:2007/10/04(木) 06:34:36 ID:ntCK/VLp0
- 今回で首輪の事が判明したからには、ドラスが死ぬにはまだ早いよな。
- 330 :名無しより愛をこめて:2007/10/04(木) 06:39:45 ID:MDWTtaEC0
- そういう事言われたキャラは、たいてい死にますよw
- 331 :名無しより愛をこめて:2007/10/04(木) 07:09:58 ID:ntCK/VLp0
- そうなると禁止エリアにいるオーディンや
禁止エリアに囚われているであろう天音親子に
現在唯一対応できる麻生がいなくなる。
- 332 :名無しより愛をこめて:2007/10/04(木) 07:13:07 ID:MDWTtaEC0
- >>331
>>327
ご自分の発言には責任を持たれるべきかと。
そして天音ちゃん達が禁止エリアにいるとは誰も言っていません。
- 333 :名無しより愛をこめて:2007/10/04(木) 10:24:06 ID:kWfSM32PO
- クサカイザ好きとしてこの展開は美味しいです。
是非、テレビ版や小説版、映画版以上に悲惨な最後を…そのほうが彼らしいかな。
- 334 :名無しより愛をこめて:2007/10/04(木) 10:33:37 ID:zEFKk4oO0
- お二人ともGJです!!
光太郎はやっぱいい奴過ぎる・・草加にまた騙されちゃうし。
ただ、怒らせたら怖い彼の事だから今後が楽しみです。
是非「許さん!!」を聞いてみたいw
- 335 :名無しより愛をこめて:2007/10/04(木) 15:36:15 ID:0qezW7AN0
- 仮にも仮面ライダーであるところの草加より怪人ガライの方が頼もしく見えるとはw
カブトのベルトやハイパーゼクターの出番くるかな?
- 336 :名無しより愛をこめて:2007/10/04(木) 16:01:33 ID:EUd/WBVM0
- GJ!
光太郎がロボライダーになって、自分で草加をパンチでぶっ飛ばして壁を突き破らせときながら
「逃 が ざ ん !」
って言うネタを誰かにやってほしいなあwwww
- 337 :名無しより愛をこめて:2007/10/04(木) 16:35:48 ID:pMkaZSEm0
- とりあえず首輪についてまとめとこうか
(1)能力発揮すると劣化。その内壊れる。
(2)能力発揮しないとバッテリー切れ。首輪の機能が全てあぼーん。
(3)しかし、常時変身しているような奴の場合、バッテリー切れはなし。
(4)バッテリーが切れた状態でも再度充電すると使用可能。
この条件で首輪を解除できる可能性のある奴って、結構限定されるよな。
- 338 : ◆CbOjjnQoXQ :2007/10/04(木) 16:52:18 ID:9jJ8Jy0h0
- >>324
まとめサイト更新乙です!
先ほど一時投下・試験投下用スレッド に修正案を投下しました。
指摘のほどよろしくお願いします。
他に指摘がなく、修正案で良ければ管理人氏にはまたお手数をお掛けしますが
重ねてお願いします。
- 339 : ◆s.0z/S/80k :2007/10/04(木) 17:54:06 ID:MDWTtaEC0
- すみません、ジャーク将軍を追加予約します。
>>337
割と一般人(解除できるかも)
氷川誠(ただの人間)・秋山蓮(力はデッキ依存)・矢車想(力はゼクター依存)・上城睦月(普通の高校生)
改造人間(多分むりぽ)
南光太郎・城茂・草加雅人
怪人(あきらめれ)
ジャーク・ガライ・キング・ドラス・影山冴子・乾巧・日下部ひより・リュウガ・相川始
草加とリュウガは若干違うかも。
こうして見ると、たしかにかなりキツいですね。
- 340 :名無しより愛をこめて:2007/10/04(木) 20:24:22 ID:KHdcz9n4O
- >>339
リュウガはラッキーかもしれないな。
- 341 :名無しより愛をこめて:2007/10/04(木) 21:19:34 ID:XPFVTVWC0
- まとめサイト修正分更新しました。
>>328
メンバー的にバトルの予感。
楽しみにしております。
- 342 : ◆WXWUmT8KJE :2007/10/04(木) 21:25:39 ID:hsp2ycWZ0
- 予約に神崎、オーディン、スマートレディーを追加でお願いします。
プロット的に出番が出来てしまいました。
>>326
元ジャンロワ1st読み手だから、本スレ以外ならどこでもいいです。
- 343 :名無しより愛をこめて:2007/10/04(木) 23:34:40 ID:rw3X6OhSO
- まとめ乙です!
そして始以外の全パート予約入りましたね!
メンツ的にかなり熱いバトルが見られそうで楽しみです。
- 344 : ◆CbOjjnQoXQ :2007/10/04(木) 23:39:48 ID:kSsDMoCyO
- >>341
修正ありがとうございました。
>>339.>>342
お二人の新作とても楽しみにしてます!
- 345 :名無しより愛をこめて:2007/10/05(金) 06:49:16 ID:FYcksMhL0
- オーディンは禁止エリアのD-5エリアにある「ギガント」を回収できるんだな。
- 346 :名無しより愛をこめて:2007/10/05(金) 10:22:20 ID:Wy03dms8O
- パタル弾に意外な使い道が見えてきたな
- 347 :名無しより愛をこめて:2007/10/06(土) 21:12:44 ID:0LXU9Hck0
- 個人的にはカイザベルトで変身しようとするひよりを
助けるためにカブトゼクターが現れてベルト破壊・・・とか面白そう。
天道の意志を受け継いでるカブゼクなら違和感ないし。
- 348 :名無しより愛をこめて:2007/10/07(日) 00:28:55 ID:rAHbrRGP0
- 亀になったポルナレh(ry
- 349 :名無しより愛をこめて:2007/10/07(日) 00:33:08 ID:/gtsidgV0
- >>348
どこの誤爆だwてめえw
- 350 :名無しより愛をこめて:2007/10/07(日) 15:09:05 ID:ZuNsN3L/O
- 天道に後を託された矢車ザビーが打開してくれると信じてる。
- 351 :名無しより愛をこめて:2007/10/08(月) 06:36:56 ID:zfa450qiO
- いやストロンガーもいいかも
同じカブトムシがモチーフだし
超電子マキシマムハイパーウルトラサイクロン(仮)を無理矢理撃った余波でストロンガーに変身不能!
その後、紆余曲折あってカブトに変身とか
- 352 : ◆s.0z/S/80k :2007/10/08(月) 07:41:38 ID:I1l9g6km0
- いつも通り初稿を上げました。
ttp://riders.suppa.jp/brtest/test9.html
今回、かなりタイミングをタイトに組んでいるので、
「これ無理じゃね?」みたいな所があれば遠慮なくご意見下さい。
- 353 :名無しより愛をこめて:2007/10/08(月) 22:15:20 ID:VTAvX2Ie0
- >>352
特に問題ないかと。
本投下、お待ちしています。
- 354 :名無しより愛をこめて:2007/10/08(月) 23:17:41 ID:aHX3WToZ0
- カブトはリュウガが使ってほしいと思う俺少数派?
巧でもよかったがドレイクになったし・・・
- 355 :名無しより愛をこめて:2007/10/09(火) 00:32:48 ID:el4sz3Uw0
- >>354
大丈夫、自分もだ。
- 356 :名無しより愛をこめて:2007/10/09(火) 00:38:28 ID:V+nkltn5O
- カブトは天道以外は似合わない気がするなぁ
- 357 : ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:04:04 ID:C52/Cr3Q0
- 鯖の調子が戻っている隙に投下します
- 358 :手の鳴るほうへ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:04:30 ID:C52/Cr3Q0
- 波打ち際から遠く離れた桟橋の影で雨をやり過ごしつつ、氷川は聞こえもしない潮騒の音に耳を傾けた。
砂丘を彩る波紋は化石化した水の流れのように身じろぎもせず時の終わりを待っている。所々に埋まった流木や船の残骸が、そこもかつては海岸だったことを物語っていた。冷たい雨粒が、時折思い出したように海の名残に降り注ぐ。
この場所が波に洗われなくなって、どれほどの時間が経つのだろうか。
二度と満ちることのない潮を待って砂丘にたたずむ船は、待ち人の死を知らずに約束の場所にたたずむ人間に似ている。
不吉な考えに思い至り、氷川は首を振って時計を見た。約束の一時間はとうに過ぎている。
彼の側で、城と睦月が穏やかな寝息を立てていた。
先に寝入ったのは睦月のほうだった。興奮の醒めやらぬまま少し会話を交わしたものの、やはり疲れが先に立ってしまったのは彼がまだ少年だからだろう。城の場合はむしろ傷の深さが原因だった。
二人に時間が来たら起こすからと約束して眠らせたあと、氷川は警戒もかねて一人あたりの風景を眺めていた。時計と眠る二人を見比べつつ、あと五分と言い続けて既に三十分が経とうとしている。
さすがにそろそろか、と考え始めた氷川の頬を、強い風にあおられた水滴が打つ。思わず風上を振り返った彼の足下で、睦月が悲鳴を上げて飛び起きた。
その声に驚いたのか、城がけだるげに身動きする。
「……そろそろ、行きましょう」
氷川が躊躇いがちに口にすると、城も未だ疲れの残る表情ながら身を起こした。
「ああ、随分寝ちまったみたいだしな」
寝ている間にすっかり身体が冷えてしまったのか、睦月はその場で腕を組んで震えている。が、何かに気づいて口を開いた。
「氷川さん、靴ひもほどけてますよ」
「ああ、すみません」
氷川はその場にかがみ込んで紐を結び直した。
「縦結びじゃないですか」
「…………」
もう一度解いて結び直すものの、やはり縦結びが出来上がる。
- 359 :手の鳴るほうへ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:04:46 ID:C52/Cr3Q0
- 「ひょっとして、すごい不器用ですか?」
「そんなことはありません!」
睦月の素朴な疑問を力いっぱい否定し、幾度となく解いては結んでを繰り返すうちに、もはやどうやってもほどきようがない団子ができあがる。
やりきれない沈黙が辺りに満ちた。
と、その気まずさを突き崩すように青ざめた閃光が横切る。
ガタックゼクターは手早く絡んだ靴ひもを切り裂くと、氷川のこめかみを軽く小突いてまたどこかへと飛んで行った。
「ああ、切れちゃった……」
「こんなこともあろうかと!」
氷川はポケットから予備の靴ひもを取り出した。
「念入りっていうか、なんていうか……」
「ガキに絆創膏持たせんのと同じだぁな」
城が困ったように頭をかく。
しばしの格闘の後、出来上がったのはやはり縦結びだった。
見なかったふり、とばかりに顔を背ける城の脇で、ようやく立ち上がった睦月が訊ねる。
「あの、余った方の紐、貰えませんか?」
「構いませんが、何に使うんですか」
睦月はポケットから、剣崎のペンダントを取り出した。
「これを渡したい人がいるんです。でも途中でなくすと嫌だから、また会えるまでどこかに結んどこうと思って」
「首にかけるには短過ぎますよ」
言いながらも氷川は靴ひもを差し出す。
睦月は少し考え、紐を輪にして堅く結ぶと、ベルト通しにひっかけた。垂れ下がったヘッドをポケットに押し込む。少なくともそのまま押し込んでいるよりは安全なはずだ。
- 360 :手の鳴るほうへ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:05:01 ID:C52/Cr3Q0
- 「それじゃ、行くかい?」
城が声をかけたが、睦月は何かまだ手の中に握っている。
「その指輪は?」
「これは、別の人に届けようと思ってました。だけど、その人は死んだって……」
語尾がわずかに掠れたのは、寒さのせいばかりではあるまい。
「届かない思いは、どうしたらいいんでしょうね」
銀の指輪に目を落として呟く睦月の背中を、城は軽く叩いた。
「自分で背負って行くしかないさ。いつかまた、その思いを受け取ってくれる人が見つかる事を信じてな」
睦月は頷き、それを自分の指にはめた。
「俺、戦います。剣崎さんの分も、橘さんの分も……シャドウさんの分も」
西に傾いた月が雲の間から僅かに彼らを照らす。雨はほとんど止んでいた。
足を踏み出すと、湿った砂に革靴が沈み込む。ふと立ち止まった氷川に、追いついて来た睦月が話しかける。
「小沢さんはあなたのことを英雄だって言ってました」
「僕は英雄なんかじゃありません。ただの人間ですよ」
氷川ははにかむような笑いを浮かべると、時計に目を落とした。
制限の解ける前に追いつけばこちらには不利になる。かといって、出遅れて完全にまかれるわけにも行かない。おまけに相手の行方がはっきりとはわからないと来ている。
どうしたものかと考えを巡らせる氷川をよそに、城が睦月を小突いた。
「しかしなんだ、お前。あんな連中といて良くノイローゼにならなかったな」
「そんなでもないです。最初はちょっと怖かったけど」
「そんなでもないってことァないだろ。だってあれだぜ、悪の親玉が二人に宇宙人に海老怪人に小沢怪人」
- 361 :手の鳴るほうへ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:05:19 ID:C52/Cr3Q0
- 「小沢さんは怪人ではありませんよ」
氷川が慌てて抗弁する。
「やぁ、普通の人間であそこまでなじんでるのは立派に怪人の域だね。お前もだけどよ」
「僕が、ですか?」
「ああ、十分バケモンだ」
どう返したものか、生真面目な顔で黙り込む氷川を見て城は鼻を鳴らした。
「誉められたと思っときな。普通の人間に出来ることじゃない」
なおも言葉に詰まる氷川をよそに、睦月が思い出したように口を開く。
「そういえば俺、宇宙人見たのこれが初めてです」
「あったり前だろ。幼なじみに宇宙人がいたら怖いっての!」
城は普通に突っ込んでみたが、笑いが返って来ない。彼はぎょっとして二人を振り返った。
悪い予感がする(意思疎通的な意味で)。
- 362 :手の鳴るほうへ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:05:36 ID:C52/Cr3Q0
-
***
ガライは全力で走る自分をさらに急かすように後頭部をつつくコーカサスゼクターを振り返り、やや不機嫌に訊ねた。
「貴様、おれに力を貸すつもりはあるのか」
黄金のゼクターは彼をからかうようにくるりと一回転して遠ざかる。
「だろうな。貴様はかなりの悪趣味だからな」
吐き捨てる声ははっきりしている。必死に走っている割に息があまり上がっていないのは、やはり人外の力の一端だろうか。そのせいで首輪が解けないというのだから皮肉なものだ。
既に雨が止んでしばらく経つ。一歩ごとに翻る白い服はまだ湿って重いが、体温を奪われるような冷たさはもう感じない。むしろ身体が熱くなって行く感覚が、彼に取っては真新しい。
ガライは我知らず首筋に手を当てた。首輪に巻かれた布の感触。それを巻いた時に触れた、小沢の指の暖かい感触。
「貴様も、あいつの強さが気に入ったんだろう。違うか?」
コーカサスゼクターは応える代わりに彼の前を飛翔して激しく羽を鳴らす。暖かい手の鳴るほうへと導かれる子供のように、ガライは再びゼクターを追って走り出した。
「見ていろ、おれは必ず頂点に立つ。あの世で奴が歯ぎしりするくらいに強くなってやる」
自分の燃やす敵愾心が誰に向いているのか、今のガライには解っていなかった。ジャークか、シャドウか、小沢か、睦月か、それとも自分自身か。代わりに、目の前を飛翔する黄金色の輝きにその言葉を投げつける。
コーカサスゼクターは彼を挑発するかのように軽く尻を振った。
***
- 363 :手の鳴るほうへ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:06:05 ID:C52/Cr3Q0
- 歩きながら、話は自然と脱出策へと移る。彼らに取って小沢の身柄が拘束されていることはもちろん心配だが、同時に現実的な問題があった。
「ジャークの野郎、ちゃっかりカブトのベルトからハイパーゼクターから根こそぎかっさらいやがって。悪知恵ばっかり回りやがるぜ」
城が愚痴をたれると、睦月が少しばかり嫌な顔をする。心情的に、少年は随分と怪人たちに同調しているようだった。
氷川がその表情に気づいている様子はなかったが。
「せめて、ハイパーゼクターだけでもこちらで押さえてあれば交渉のしようもあったんですが。あれは重要な戦力でもありますし」
「え?でもあれって、天道って人しか使えないんじゃ……」
不思議そうに問う睦月に、氷川はさらに続けた。
「矢車さんに聞いたんですが、ゼクトのシステムは基本的に同じ構造で、ゼクターに合わせて変更を加えているんだそうです。だから、カブト以外でもハイパーゼクターを使える可能性があると」
すべてのゼクターで使えるかどうかまではわかりませんが、と付け加える氷川の声を、睦月は聞いていなかった。不意に踵を返して走り出そうとする。
「俺、戻ります!」
「鞍替えか?あのデカ物に来るなっていわれただろうがよ」
いぶかしむ城に向かって喚き返す。
「違います!小沢さんを助けに行くんです」
「それには、ジャーク将軍を倒さないと……」
今度は氷川が眉をひそめる番だった。
「そうじゃない!小沢さんは黄金のカブトムシのゼクターを使えるんです。だから、ひょっとしたらハイパーゼクターも使えるのかも……」
睦月の説明に、城がはっと目を見開く。
- 364 :手の鳴るほうへ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:06:15 ID:C52/Cr3Q0
- 「小沢一人で首輪も外せて脱出もできるとなると、神崎士郎は小沢を真っ先に消そうとするーーーーそういうことか!」
少年は唇の端を引いて頷いた。
ようやく状況を飲み込んだ氷川が早口に言う。
「おそらく小沢さん達はまだ研究所か、その近くにいるはずです。我々も行きましょう」
「だがよ、あのムカつく野郎どもは……」
「生きていればまた戦えます。ですが、死んだ人間は救えません」
「なるほどねぇ、警官根性ってやつか」
茶化した城に、氷川が厳しい表情を向けた。
「そうです。いけませんか」
「いや、それでいい。正義の味方はそうでなくちゃな」
言い終えるなり、城は先頭を切って走り出す。慌ててそれを追う二人を、砂に埋もれた櫂だけが見送った。
*
- 365 :手の鳴るほうへ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:06:30 ID:C52/Cr3Q0
- ほんの僅かとはいえ睡眠を取った身体は、鈍い痛みを抱えながらも十分に動く。方角を確かめようと城が歩を緩めると、残りの二人も足を止めた。氷川が時計に目を落とす。睦月は側に埋もれていたヨットの残骸にもたれて。少しでも身体を休めようとした。
その耳に、不意に涼やかな女の声が届く。
「あら奇遇ね、どちらに行くのかしら」
睦月が慌てて飛び退った。振り返った城と氷川の前に、どこからかキングの声が降って来る。
「鬼さんこちら、手の鳴るほうへ……ってね」
傾いたヨットの甲板に、三つの影が立っている。キングはご丁寧にもこちらに手を振ってみせた。
「お前ら、なぜここに!」城が叫ぶ。
「ジャーク将軍が結構面白いアイテムを持ってるって聞いたから、貰いに来ただけさ」
冴子が意味ありげな表情を作った。おそらく彼女が見た限りでの内情をすべて話したのだろう。状況、戦力、すべての情報はドラスやキングにも筒抜けということだ。
「貰うって……力づくでか!」
当然、と言うようにキングが肩をすくめる。
「てかさレンゲル、なにしてんの。仮面ライダーと一緒に出歩いちゃってさあ。君は怪人の仲間やってんじゃなかったの?それともそこの二人まで、負けてジャークの手下にされちゃったわけ?」
氷川は今一度腕時計を確かめた。制限が外れるまで、あと二十分弱。
その仕草に、冴子が冷たい笑みを浮かべた。
「今戦えるのはジャーク将軍と……君だけだったわね、睦月君。今ここで君とその二人を殺しておけば、この先が楽になるわ」
「それはこっちの台詞だ。鉄は熱いうちに打て、仇は早いうちに取れってな!」
胸を張って言い返した城を、冴子の静かな言葉があからさまに嘲笑う。
「威勢がよろしくて結構ね。でもどうやって戦うつもりかしら」
冴子はご丁寧に指先で手首を軽く叩く仕草までしてみせた。時計を見ろと言うわけだ。鼻白む城に変わって、氷川が拳銃を引き抜いた。
茶化すような口笛がなる。
- 366 :手の鳴るほうへ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:06:45 ID:C52/Cr3Q0
- 「へえ、いいもん持ってんじゃん」
キングがわざとらしく自分のデイパックを叩いた。
「実はこっちにも、おもちゃがいっぱいあってさーーーー変身できるおもちゃがね」
彼らの自信の元はこれか、とライダー達の背筋が凍る。ライダーだろうと怪人だろうと、変身できないものは変身できる者の前では赤子にすぎない。
わざとらしく音を立ててデイパックの蓋を開けるキングの傍らでドラスが手すりに腰をかけた。
「ぼくは見物させてもらうよ。ライダーなんて、二流の生物が造り出したものに頼る気はしないから」
「まーかせて」
キングは答え、何かを片手に砂の上へと飛び降りた。冴子がそれに続く。
城が忌々しげに舌打ちし、氷川が唇を噛みながら銃を構える。睦月はそれを庇うように腕を広げた。
「下がっててください。俺がやります」
「しかし、きみ一人では……」
「大丈夫です。俺には強い仲間がいます……なにかあったらこれ、使ってください」
少年はサタンサーベルを取って城に渡すと、ギャレンバックルを腰に当てた。いつもと違うベルトの感覚に少し眉をひそめながらも、ハンドルに手をかける。
「変身!」
*
- 367 :手の鳴るほうへ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:07:13 ID:C52/Cr3Q0
- 展開された光のゲートを、キングは素早くよけた。だがライダーシステムを見慣れていなかった冴子は軽く吹き飛ばされる。
キングは彼女の事を横目でちらりと見ただけだった。その目には、どこか蔑むような色がある。冴子は膝をついたままデルタフォンを口元に寄せた。
光の扉に飛び込んだ睦月の身体に、赤と銀のライダースーツがまといつく。その手には彼の師、橘が愛用していた銃が握られていた。
「ライダーシステムってさ、むかつくけどちょっとだけ興味あったんだよね」
キングがブレイバックルを手に性悪な笑顔を浮かべる。
「……変身」
今度はギャレンがオリハルコンエレメントをよける番だった。受け身を取って立ち上がった睦月に、ブレイドが剣を突きつける。背後からは、黒と銀で彩られたライダーが嘲るようにギャレンを見つめている。
「せいぜい楽しませてよ、レンゲル」
睦月は何も言わず、数枚のカードを抜いた。そのうち一枚を素早くラウザーに通す。
カードを空にかざすと、そこから放たれた光が残りのカードを打った。
闇がまばゆく弾けた次の瞬間、そこには三つの影が降り立っていた。
先頭の影がパナマ帽を軽く押さえたように見えたのは気のせいか。
「ああ、面倒くせえ」
「私たちを呼び出すとは、随分とご立派だな」
「睦月くん、風の声が聞こえるようになったんだね」
人とはほど遠いシルエットのそれらに向かい、睦月が呼びかける。
「俺と一緒に、戦ってください」
力に頼るのでも、力に溺れるのでもない。彼は仲間として、友として戦うことを願った。
「望む所だ。神聖なバトルファイトを汚す者など許してはおかない!」
「これで最後にしてくれよ。面倒な事は嫌いなんだ」
地上に生きる獣達の始祖は、爪に牙に怒りを込めてデルタに襲いかかった。
- 368 :手の鳴るほうへ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:08:31 ID:C52/Cr3Q0
- 数の不利を見て取ったのか、ドラスが何事か身構える。次の瞬間、動いたのはタランチュラアンデッドだった。
軽く手を振ると同時に放たれた網がドラスの身にまとわりつき、手すりに縛り付けて動きを封じる。
「君は見物するんだろう?」
至極穏やかな声だったが、その奥底には聞く者を畏怖させる力が潜んでいた。
ブレイドが舌打ちする。
「そうか、それがあるんだったね。ってことは、下手にカードは使えないな……」
キングはラウズアブゾーバーを取り出し、見せつけるように腕に装着した。
「レンゲルは今何枚カードを持ってるの?全部貰えば、これも使えるかな」
答える代わりにギャレンが銃弾を撃ち込み、距離を取ろうとする。ブレイドは剣を振り上げて襲いかかった。
***
ギャレンがカードを手にしたタイミングを見計らってブレイドが一枚のカードを抜き、素早くスラッシュする。途端、ブレイドが分裂し、それぞれに剣を掲げてギャレンに突進する。
睦月は一瞬迷ったが、急いで手にしていたカードを切った。バレットとファイア。そのまま銃口を右のブレイドに向けると、熱を帯びた弾丸が銀の胸甲に食らい込む、と思いきやその身体は掻き消えた。
本物のブレイドが振り下ろす剣を、ギャレンはラウザーを掲げて防ぐ。すぐさま重心を下げて足を払ったのは、睦月が大分戦いに慣れて来た証拠だろう。
すでにドラスはタランチュラの網から自由になっていたが、それ以上薮をつつくのもよろしくないと悟ったのかおとなしく見物を決め込んでいる。色あせたヨットの甲板から身を乗り出して戦いを眺めるその姿は、悪夢が獲物を求めて夜の淵を覗き込む姿にも見えた。
地上を照らしているのはもはや月明かりですらない。デルタの身体を流れるフォトンブラッドが、ぼんやりと辺りの光景を浮かび上がらせている。そのデルタは三体の上級アンデッドに囲まれ、辛うじてあしらうのが限界だった。
力負けしているのではなく、純粋に数の問題である。その証拠に、デルタの渾身の肘打ちにエレファントアンデッドの重厚な身体がよろめく。が、次の瞬間振り下ろされたタイガーアンデッドの爪が、デルタムーバーに延ばされた手を弾く。
- 369 :手の鳴るほうへ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:08:51 ID:C52/Cr3Q0
- 素早く踏み込んで見舞った回し蹴りに、タイガーアンデッドは地に伏した。息つくのも一瞬、今度はタランチュラアンデッドの腕の一振りにデルタが後ずさりを余儀なくされる。
相手はひとりと侮ってオーガのベルトを温存したことを、冴子は内心後悔した。元々素手での戦いは得意ではない。それに加えて数的有利を作られたのでは、いくらデルタの力を持ってしても持ちこたえるのがせいぜいだった。
と、不意に辺りが暗くなる。
冴子は自分の身体を包むライダースーツが解除されて行くのを感じた。時間切れだ。
横合いから何物かが飛びかかり、彼女を押し倒す。砂に爪を食い込ませてのしかかるその影が、弱い月明かりを受けて眼光鋭い女の姿に変わった。
「ここまでのようだね」
風に布がはためく音とともに、静かな声が響く。女がその声を振り返り、次の瞬間ーーーー一枚のカードと化して風に舞った。
- 370 :手の鳴るほうへ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:09:05 ID:C52/Cr3Q0
- *
三枚のカードを受け止めた睦月の目は、まっすぐにキングを睨んでいる。
「なんだ、もう終わりか。じゃ、次っと……」
キングは片手にブレイバックルを握ったまま、余裕の表情で別のアイテムを引き出そうとした。睦月が慌てて身構えると、銀の指輪が月明かりにきらめく。
「まだこーんなにあるんだよね。何で殺られたい?」
大量の変身アイテムを見せつけるようにあくどい笑みを浮かべたキングの前を、突如閃光のように何かが横切った。
キングは軽く身をかわし、バランスを取ろうと腕を広げる。
重く湿った大気に銃声が響き渡ったのはその時だった。
腕を押さえたキングの手から、道具がいくつか落ちて砂に埋もれる。
「睦月!」城が叫んでサタンサーベルを投げた。
睦月は傍らに突き立ったサタンサーベルを掴んで凪ぎ払った。後ずさるキングを前に、左手でブレイバックルをすくい上げる。
「剣崎さんの力は返してもらう……そしてお前を倒す!」
力強く叫んだ睦月の声に、場違いな高笑いが重なる。
「いいぞ睦月、それでこそおれの宿敵だ」
白装束の男の肩口で、コーカサスゼクターが宙返りした。
「ガライさん!なんであなたが……」
思いがけぬ姿に、冴子が婉然と微笑む。
「あら、来てくれたの。仲間になりたいというなら、まだ遅くはないわよ」
「黙れ」
ガライは彼女の誘いを短く切り捨てた。その朗々とした声に、冴子がはっと目を見開く。
- 371 :手の鳴るほうへ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:09:18 ID:C52/Cr3Q0
- 自分は恐るべき毒蛇を目覚めさせてしまったのかも知れない。唇を噛む彼女の前で、ガライはGS-03を引き抜こうと腕を上げた。
と、その手に、砂をかき分けて何かが飛び込んで来る。
「あれは……!」
見ていた氷川が、思わず驚いて漏らす。
ガライは手の中で踊る紫色のゼクターを見て、満足そうに笑った。
「ほう、貴様はおれの強さを認めるか」
悠然と身を屈め、砂に半ば埋もれたサソードヤイバーを拾い上げる彼を止めようと試みるものはいない。
「ならば見せてやろう。フォグの王子の誇りをな」
待機の声を上げたゼクターを、剣の柄に押し付ける。傍らから睦月がそっと耳打ちした。
「ガライさん、こういう時は『変身』って言うんですよ」
「ん?そうか。『へ・ん・し・ん』と……こうか?」
合成音声がガライの言葉を滑らかに復唱し、その身体を装甲で包んでゆく。
「面白い。これが仮面ライダーというものか」
高貴の色に身を包んだ新たなるライダーは、剣を掲げつつ独白した。
離れて様子を見ていた城が、思わず舌打ちする。
「あのやろ、怪人が仮面ライダーに変身すんな!」
「でも、それを言ったらあのキングという少年も、影山という女性も怪人ですからね。睦月君もずっと怪人の味方をしてたわけですし」
拳銃を握る氷川の手は、冷や汗でじっとりと濡れている。あと十分、ほんの十分持ちこたえてくれれば自分たちも再び戦える。
同じことを考えているのか、城も自分の時計に目を落とした。
「……仮面ライダーって、いったい何なんでしょうね」
思わず漏れた問いに、城は唖然として氷川を見つめた。
- 372 :手の鳴るほうへ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:09:33 ID:C52/Cr3Q0
- *
「変身」
冴子がオーガフォンを素早く腰に差すと、黄金の光がその細い身体を包んで黒と金のライダーを形作る。その向うで、キングが光のゲートを避けてトンボを切った。
ブレイバックルを腰に帯びた睦月が、彼を追うようにオリハルコンエレメントに飛び込んでゆく。ブレイドの手に握られた銀の剣のきらめきにデッキを向けると、キングはにやりと笑って呟いた。
「……変身」
デッキをベルトに収めるや、その姿は緑色の鎧に包まれる。
至近距離から放たれる銃弾を受けてよろめきながら、睦月は二枚のカードを引き抜いた。
「剣崎さん……橘さん……俺に、新しい強さをください!」
女王のカードをラウズアブゾーバーに収め、もう一枚を読み込ませる。
新たなアンデッドとの融合に、少年の身体が震えた。冷たく湿った泥の海に落ちて行くような感触に、快感と同時に恐れを覚える。心を奪われるわけにはいかない、その決意を込めて彼は拳を握りしめた。
それまでの戦いが胸をよぎる。怒りと、悲しみと、喜びと。よみがえる思いとともに、鷲の翼が黄金色の光の筋と化してブレイドの身を覆う。
隙を見て自分に有利な距離を取っていたゾルダに向き直ると、ブレイドはタックルのカードを切った。銃弾をもろともせず、身体ごとゾルダに突っ込んでゆく。
果敢な体当たりにゾルダが体勢を崩し、二人のライダーは砂の上に転がった。
- 373 :手の鳴るほうへ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:09:55 ID:C52/Cr3Q0
- *
鋭い金属音が耳を貫き、相手の剣を受け止めた衝撃が腕をしびれさせる。オーガとサソードは互いの動きを睨みつつ距離を取った。
と、サソードが剣を突き出したまま飛び込んで来た。一撃目でオーガの剣を振り払い、素早く逆手に持ち替えて牙の如く突き立てる。その飛び込みを避けるためにオーガが身体を開いていなければ、その一撃は確実に身体を捉えていただろう。
二の腕に痛みを覚えながらも、冴子はオーガストランザーを突き出した。二度、三度とサソードヤイバーを跳ね上げ、棒立ちのガライに向かって斬りつける。刃が閃いた瞬間、サソードは目覚めたかのように砂を蹴った。
オーガの一撃が虚しく空を切る。
ガライ=サソードの剣捌きは、冴子が見慣れた者とは全く違っていた。剣を構えたままじっと様子を伺っているかと思うと、一瞬の隙をついて素早い凪ぎ払いを繰り出す。強弱の激しいその動きには獲物を狩る蛇を思わせるものがあった。
再び相手を伺うように向かい合う二人の剣士。サソードの左手が、自らの剣を愛しむように滑る。
「脱皮」
キャストオフの音声とともに、装甲が弾け飛ぶ。その直撃を受けて、オーガはたじろがざるを得なかった。
*
「ああ、なんだってんだこの猛烈な違和感は……」城が頭を押さえつつ時計をみる。あと五分。
「いや、脱皮で間違っていませんよ、蛇ですし」
「そういう問題じゃなくてなぁ」
氷川の堅苦しい答えにため息を漏らし、彼はヨットの残骸を仰いだ。ドラスはそこにいるが、傍観というよりは機を伺っているように見える。
その視線の先には、攻め立てるブレイドの攻撃を走ってよけながら一枚のカードを抜くゾルダの姿があった。
アドベントの響きとともに、ブレイドの前に巨躯の怪物が立ちはだかる。
睦月は勢いのまま幾度かマグナギガに斬りつけると、一歩下がってカードを選ぼうとした。その隙にゾルダがシュートベントのカードを読み込む。
「ショーは終わりだよ、お客さん」
キングは呟いて照準を生身の二人に向けた。
- 374 :手の鳴るほうへ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:10:12 ID:C52/Cr3Q0
- 「危ない!」氷川が慌てて城をその場に押さえつけ、自らも身を伏せる。
それに気づいた睦月は、素早くロックのカードを切った。一瞬遅れてキングがトリガーを引く。
氷川達を庇うようにせり出して来た岩盤がミサイル弾を受け止める。爆発とともに粉々になった岩が、砂の上に鋭く突き刺さった。
腕で頭を覆いながら身を起こした氷川の肩を、熱い痛みが焼く。岩の破片が当たったわけではないのは、痛みの鋭さでわかった。辺りを見回すと、ヨットの上からドラスがこちらを向いて身構えている。
その胸に青白い光が宿るのを見て、氷川は迷わず引き金を引いた。レーザーの洗礼を覚悟したが、ドラスは弾丸の直撃を受けて軽くのけぞるきりだった。やはり首輪の影響を逃れ切ってはいないのだろう。
一方、ブレイドはマグナギガの体当たりを受けてその場に転倒していた。それでもすぐに身を起こし、背に負った翼をはためかせて空へと舞い上がる。
睦月は二枚のカードを抜き、高く掲げた。
「キング……お前を、封印する!」
ブレイラウザーがライトニングスラッシュの発動を告げる。
ガライは腰のギアに手を延ばす冴子に向かい、剣を構え直した。
「細切れにしてやる」
サソードヤイバーがその言葉をライダースラッシュと訳す。
二つの刃が月影とは別の閃光をまとった。
*
- 375 :手の鳴るほうへ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:10:24 ID:C52/Cr3Q0
- 冴子の傍らに、オーガのベルトが落ちる。彼女は手を伸ばしてそれを掴み、苦しげに息を吐き出した。
「ここは一旦引きましょう」
「そろそろタイムリミットだしね」
キングは答えて一枚のカードを抜いた。手早くそれをマグナバイザーに押し込み、今にも消えかけそうなミラーモンスターに駆け寄る。
「ドラス君、行くわよ!」
冴子の呼びかけに答えるように、ファイナルベントのコールが辺りに響いた。ドラスが甲板を蹴ってヨットから飛び降りる。
サソードはマグナギガが砲弾を放つより早く、冴子に向かって跳躍した。弾丸が白煙の帯を引きながらその脇をかすめる。
「危ない!」
ブレイドは隠れていた城と氷川に駆け寄ると、二人を両脇に抱え込んで地を蹴った。
先ほどまで彼らが潜んでいた場所に銃弾が降り注ぎ、砂が噴水のように舞い上がる。
空中から、城はドラスがキングとともに走り出すのを見た。続いて響いた轟音は、流れ弾を受けたヨットの残骸が爆発したものだった。
砂塵を含んだ熱風が辺りを吹き抜ける。
それが収まったとき、影山冴子の背後に処刑人のようにたたずむサソードの姿があった。燃え続けるヨットの炎に、その刃が一瞬きらめく。
「これはほんの挨拶代わりだ。せいぜいその身に刻んでおけ」
ガライが呟いて変身を解いた。
膝をついたまま、冴子が痛みの声を押し殺して右手で頭を抑える。指の間から漏れる鮮血は、弱い月影の下では黒くしか映らない。
「戦えない貴様など、おれの餌になる価値もない。次はすべての力を取り戻して向かって来るがいい。おれに食われるためにな」
蹴り倒され、必死に身を起こした冴子がこちらを睨む。その姿をガライは美しいと思う。上辺だけの美ではない。憎しみと、生への執着をむき出しにした、生きる命の美しさ。
およそオルフェノクである影山冴子に似合いの表情ではなかったが。
逃げてゆく三人の怪人と、近づいて来る三人のライダーをよそに、ガライは足下に落ちた何かを拾い上げた。少し月光に透かしてみた後で、無造作にそれを投げ捨てる。
目の前に落ちた人間の耳に、ライダー達は不意をつかれて思わず息をのんだ。
- 376 :手の鳴るほうへ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:10:51 ID:C52/Cr3Q0
-
***
コーカサスゼクターが、八つ当たりのように睦月に突進を繰り返す。
「だから、ちょ、やめてっ……やめ……」
先ほどまでのたくましさはどこへやら、頭を押さえて逃げ回る睦月の様子に、だが氷川は笑顔ひとつ浮かべなかった。
「これが金色のカブトムシの……じゃあ、小沢さんは……!」
彼の問いに、ガライは口を一文字に結んだまま開かない。
その無言が、すべてを物語っていた。
「おざ……小沢さんがどうかしたんですか」
ゼクター付きの軽いジョギングを終えて戻って来た睦月が、彼らの深刻な表情にあらためて訊ねる。
城が彼を見て小さく首を振った。
*
高ぶった感情に震える手で首輪にハンカチを巻き付けようとする氷川だったが、あまりのぎこちなさに今にも首輪を引きちぎってしまいそうに見える。
「氷川さん、じっとしててください。俺がやりますから」
睦月が震える声で呟き、氷川の手からハンカチを取った。その横で、城は血の染み付いたメモをに目を通す。
首輪の機能に関する考察、機能停止の方法、脱出に関する推論。小さな字とやや堅苦しい表現ではあるが、順序立ててまとめられている。一番最後のページには、首輪を安全に解除する方法の提案とともに、氷川に向けたメッセージが記されていた。
さらにその右下に、「1 Corinthians 13」と走り書きがある。
何か意味があるのか、それとも無関係なメモなのだろうか。今となっては確かめるすべもない。ただ、その文字の上にはほんの少し濡れた跡があった。水か試薬をこぼしたのか、それとも……。
小沢は自分がすべての鍵を握ったと気づいた時に覚悟していたのだろう。主催者であれ、優勝を願うものであれ、ゲームの継続を望む者は必ず自分の命を狙うであろう事を。そしてこのメモをしたためた。
たとえ自分が死んでも、希望が潰えないように。
なるほど、ジェネラルシャドウが認めただけはある。城は改めて心の中で彼女のために祈った。
*
- 377 :手の鳴るほうへ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:11:13 ID:C52/Cr3Q0
- ガライから話を聞き終わった頃には、睦月はすっかり涙目になっていた。
「俺がいたら、小沢さんを守れたかもしれないのに……」
掠れた声で漏らして瞬きすると、大粒の雫がその頬を伝う。
「貴様のせいではない。ジャーク将軍が決めたことだ。それに、奴は奇妙なカードを持っていた」
カードという言葉に睦月が過剰に反応する。ガライはおもむろに首を振り、それがラウズカードではない事を伝えた。
「俺は一度奴に壊され、小沢が奴を壊そうとしたーーーー少なくとも、俺はその光景を見た。だが実際には、俺の代わりに小沢が壊されていた」
「幻でも見たんじゃないのか」
城が訝しげに口を挟む。ガライは彼をちらりと睨んで続けた。
「俺は、自分が壊されるのをはっきりと感じた。すべてが凍ってゆく寒さをな。その中で、奴が一枚のカードを手にするのがわかった。『時』のカードを」
その意味がすぐには理解できず、ライダー達が顔を見合わせる。ややあって、睦月が遠慮がちに呟いた。
「まさか、SFみたいに時間を巻き戻したとか……」
「あのな、現実を特撮映画と一緒にすんな」城が納得できない様子で言い放つ。
「宇宙人がいるんだからもう立派に特撮とかアニメの世界ですよ」
自分たちが仮面ライダーであることを棚に上げて、睦月はガライに視線を向けた。ガライはさほど気にする様子はなかったが。
「とにかく、そのカードをどうにかしなければ話にならん」
「そんなことより、ジャーク将軍を助けないと……一人じゃ危険です」
睦月が話に夢中でまだ首輪に布を巻き終わっていないのを見て、ガライは改めて口を開いた。
「将軍は、殺し合いに乗り、おれと袂を分かった。お前たちが頼っていいのはおれだけだ」
言いながらもガライは笑っている。その表情にはいまだ血に飢えた怪物の気配が残っていたが、それ以上に戦士としての風格が漂い始めている。
城と氷川が顔を見合わせる。ガライに比べればまだ物わかりの良さそうだったジャークが、そうも簡単に殺し合いに乗るだろうか。
「どうする、信じるか?」
- 378 :手の鳴るほうへ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:11:27 ID:C52/Cr3Q0
- 城の言葉に、睦月が割って入った。
「ガライさんを信じないなら、俺の事も信じる理由はないですよね」
「お前はライダーじゃないか」
「ガライさんだってライダーになりましたよ、さっき」
至極真っ当ないい分である。お前は人間だろうと言いかけた城は、考え直して口を噤んだ。
改造人間と怪人、考えてみれば本質的にさほどの違いはない。そもそもライダーの名を得ても闇に落ちるものがいるのだ。一時の自分自身のように。
違いがあるならば、おのれの行いに誇りを持つか否か、その一点に尽きる。
「言葉だけでは信じないとは思っていた。これを見ろ」
城の考え事をよそに、ガライは持って来たデイパックを開けた。
「これが貴様達への生け贄だ」
「物騒な言い方すんな、おい」城が思わず突っ込む。
「ならばなんだ。餌か?」
「賄賂?」と氷川。
「差し入れ?」と睦月。
「手みやげでいいだろ手みやげで」
城が頭をかきながらぼやく。「袂を分かつとかいう気取った物言いが使えて、なんでそういう普通の単語がわからないんだよ」
何が不満なのか理解できないのだろう。ガライが無表情に言い返す。
「おれの辞書に不可能の文字はない」
「だからなんでそういう変な慣用句ばっか使えんだ。宇宙人なら直訳しろ直訳」
「文句があるなら、お前がフォグの言葉を話せ」
「無理っての。絶対無理」
城は大げさに手を振ってみせた。
- 379 :手の鳴るほうへ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:11:47 ID:C52/Cr3Q0
- ガライは少し首を傾げたが、おもむろに三つの道具を取り上げた。それを並べ、首輪に手を当てながら、はっきりと口にする。
「カブトのベルト、コーカサスのブレス、ハイパーゼクター。お前たちが必要する三つの道具は、ジャーク将軍が握ったままだ。いずれ奴は倒さねばならん」
あほか、といわんばかりにコーカサスゼクターが彼の額を小突く。ガライが並べたのは、まさに彼が今名を挙げた三つの道具だったからだ。
氷川が一緒になって口を開こうとするのを、城は慌てて押しとどめた。その場に広げられた道具の中から筆記用具をひったくり、一言殴り書きして氷川に突きつける。
『建前』。
きょとんとしている氷川をよそに、彼は紙を裏返して箇条書きにした。
・小沢は首輪の解析を終えたが、神崎に殺された。
・神崎の手先として、時間を巻き戻せるライダーが新たに参戦している。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
○ここから絶対口に出すな
・ジャーク将軍は俺たちと手を組むつもりがあるが、
神崎を油断させるため戦いにのった振りをしている。
・真意の証に、脱出に必要なハイパーゼクターと2つのゼクターは
俺たちに引き渡す。
・しかしそれらは表向き、ジャークがせしめたままということしてある。
俺たちがその気になれば脱出できると神崎に気づかせないため。
少し考えて、もう一行書き足す。
・氷川は?時間、変身してはならない。
- 380 :手の鳴るほうへ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:12:05 ID:C52/Cr3Q0
- その紙を見せると、ガライが頷いてペンを取った。なにやら指折り数え、?と書かれた所を、20と書き直す。
唖然としてそのやり取りを見つめる氷川に、城は小沢が残したメモの最後のページを見せた。慌てて首輪解除の方法を読んだ氷川の目が、最後の数行で止まる。
コーカサスゼクターが、なだめるようにその肩に舞い降りた。
氷川君
これがあなたの手元に届いているとすれば、
私はこの戦いを望む誰かに殺されているのだと思います。
そうだとしても、泣くのは禁止。
私のために泣く力があったら、他の人を助けるために使うように。
それが警官の仕事でしょう。
自分を信じて、恐れずにどこまでも進み続けなさい。
それが「ただの人間」であるあなたの、何よりの強さなのだから。
小沢が自分に与えた使命を、氷川ははっきりと理解した。
この戦いに幕を下ろすため、今から首輪が完全に機能停止するまで、彼は何の力も持たぬ人間として過ごさねばならない。
彼は人を守るために警官という仕事を選んだ。守られることには慣れていないし、そもそも本意ではない。だが、それが任務だというなら……彼の上官である小沢澄子が与えた最後の命令ならば、警官としてそれを全うする義務がある。
どれほど困難で、どれほど危険な任務であろうとも。
それはアギトでも、G3-Xでも、仮面ライダーですらないーーーーただの人間、氷川誠の戦いだった。
*
- 381 :手の鳴るほうへ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:12:22 ID:C52/Cr3Q0
- 睦月が首輪に布を巻き終わったのを見て、ガライは声を落として続けた。
「ジャーク将軍は携帯用無線通話機も持っている」
「急に直訳はじめんな。トランシーバーな」
「そうそう、それそれ。必要となれば、それを使って話ができる」
むろん今は無理であることは言うまでもない。そもそもジャークがすべてのアイテムをこちらに寄越して来たのは、彼自身何かを握っているからだろう。今直談判して、その策をぶちこわしにしては意味がない。
「……わかった。お前を信じよう」
「ほんとですか?」
睦月が自分のことのように顔をほころばせる。
「正直言ってどうにもケツの座りが悪いが、考えてみりゃおまえらはシャドウの弟子だからな。奴の顔を立てて、ってやつだ」
城は箇条書きの紙を畳んだ。仲間と合流したら話の前にまずこれを回せば、下手にボロを出すこともないだろう。
サソードヤイバーを荷物に押し込みながら、ガライが彼らを見る。
「さあ、他の人間どものところへ案内しろ」
「あのですね、人間『ども』って言うの、やめませんか」
おそるおそる提案した睦月に、ガライが大げさに考え込む。
「そうだな。ならば……脆弱な生き物ども」
「もっと悪いじゃねぇか」
城は軽い頭痛を感じて額に手を当てた。氷川が心配そうに訊ねる。
「どうしたんですか?」
「こんなとぼけた連中に一度は負けたかと思うと……なんだか虚しくてな」
「……す、すみません」睦月が小さくなって頭を下げる。
「おまえじゃねぇよ!ちゅうかボケ集団の中にまともなの俺一人か!」
思わず叫んだ城に、氷川が真面目な顔で眉をひそめる。
「え、僕もボケですか?心外ですね」
「お前が一番ボケだろうが!」
前途多難、とばかりに城がため息をついた。
救いを求めて辺りを見回すと、西の空に今にも月が沈もうとしているのが目に入った。東の空にまだ太陽は見えないが、地平線は心無しか色づいているように思える。まだ空の果てにある太陽は、大地を照らす約束を果たすため一歩ずつ彼らの元に近づいている。
運命が扉を叩き、去って行った者たちが導くように夜の彼方でその手を鳴らす。心に響くその音に耳を傾けながら、人は道を選び取り、進んでゆくのだろう。
今はまだ先の見えない暗闇の中を。
- 382 :亡き王女のためのパヴァーヌ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:13:01 ID:C52/Cr3Q0
-
***
怪魔界の住人にも悼む心はある。だからこそ、祖国を救うことを望んだのだ。しかしその代償は高くついた。結局は同志達を失い、祖国すらも失い、今また友を失った。
ーーーー宿敵って書いて、『とも』と読むんですって。
冗談めかした小沢の声がふと胸をよぎる。
生きていてもいずれは戦う事になったろう。手に掛けずに済んだのは、あるいは幸いだったのかもしれない。
ジャーク将軍は、彼女がなぜか知りたがった祖国に思いを馳せた。そこに住んでいた五十億の民に、そして彼らのために戦った同志たちに。
彼らは皆死んだ。その運命は変わらない。運命が変わらぬのなら、彼らの棺の上に新たなる未来を捧げよう。
死は人を思い出に変え、残された言葉は時とともに記憶の砂に埋もれてゆく。追憶は思い出の砂漠を旅するようなもの、歩む道を知らない旅人は追憶にその心を任せるうち、いつか命の水を枯らして力つきる。
死者を思いながらも死者と訣別できる者だけが、未来へと歩いてゆける。地図の代わりに死者達が贈る言葉をその胸に刻み、悔恨と哀悼の涙で嘆きの声に乾いた喉を潤しながら。
部屋の隅には目覚めることのない眠りを貪る小沢の姿がある。その穏やかな寝顔にふと、ジャークは陽の光を知ることなくして世を去ったガロニア姫の幻影を見る。
亡き王女たちが見ることのない未来をその目で見届ける責任を、ジャークは背負っていた。
*
- 383 :亡き王女のためのパヴァーヌ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:13:14 ID:C52/Cr3Q0
- ガライは少なくとも次の放送までは戻って来るまい。ライダーどもと合流する前に、できるだけ情報を集めておく必要がある。特にライドロンを起動させる方法だ。
首輪が解除できない限り、ライドロンは唯一の脱出策となる。もし人間達の中で首輪を外し、ハイパーゼクターを使える者が出て来たならば、ライドロンとの二面作戦を展開すれば良い。
資料をめくりながら、もう一つジャークの脳裏に引っかかっているものがある。
小沢が残したメモの端に走り書きされた、暗号のような文字列。何か伝えたい事があったのか、それともただ気紛れに記されただけだったのか。
何か手がかりはないかと研究室を確かめに戻ったジャークは、ふと壁際のゴミ箱に目をとめた。
ゴミ箱は引きちぎられ、あるいは血にまみれたボロきれで満たされている。おそらくかつての被験者達の遺品だろう。その一番上に、手の中に収まる大きさの本があった。
皮装丁に三方金。あまりに場違いなそのつくりを見て、ジャークはそれを手に取った。と、その下に丸めて隠されていた数枚の紙が目に入る。いかにも隠しましたと言わんばかりのその様子に、ジャークは迷わずそれらを拾い上げた。
くしゃくしゃの紙にはペンで大振りな文字が記され、所々線で消されたり書き加えられたりしている。明らかに小沢の手によるものだが恐ろしく読みづらい。
おそらくこれが下書きで、先ほどガライに預けたものは仲間に託すための清書だったのだろう。彼はそれを広げて畳み直した。
ゴミ箱に戻す前にと小さな本のページをさらさらと流したとき、栞代わりに挟まれた一枚の招待状が目に入った。
誰かの結婚式の招待状だ。持ち主がその招待に応えることはおそらくなかっただろう。あるいは招待に応じた帰りにこの場に連れ込まれたのか。いずれにせよ、持ち主の末路は表紙に染み付いた血痕が物語っている。
白いカードをページの間に戻そうとしたジャークの目に、あの文字列と似た単語が飛び込んで来た。
ジャークは下書きとカードを手にしたまま、そのページに目を通した。
- 384 :亡き王女のためのパヴァーヌ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:13:25 ID:C52/Cr3Q0
-
*
Nunc autem manet
fides, spes, caritas, tria haec;
maior autem his est carita.
すなわち、滅びぬものが三つあるのです。
信じることと、希望と、愛。
その中で、最も偉大なものは愛です。
(コリント人への第一の手紙 第13章13節)
- 385 :亡き王女のためのパヴァーヌ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:14:03 ID:C52/Cr3Q0
- ■キング・ドラス・影山冴子@悪玉トリオ
■行動開始 2日目02:30@G-4
■J-3に向け移動+戦闘+離脱で2時間強消費
【キング@仮面ライダー剣】
【2日目 現時刻:早朝】
【現在地:海岸H-3】
[時間軸]:キングフォーム登場時ぐらい。
[状態]:全身に負傷中。わき腹に刺し傷。右腕に銃創。二時間変身不可(ブレイド・ゾルダ)
[装備]:カードデッキ(ゾルダ)。
[道具]: カードデッキ(オルタナティブ・ゼロ)。怪魔稲妻剣。
ファイズブラスター。 グランザイラスの破片。
陰陽環(使い方は不明)。携帯電話。
剣崎の装備一式。二人分のデイバック(風見、北崎)。
[思考・状況]
1:ドラスと今の状況を楽しむ。
2:この戦いを長引かせる。そのため、支給品を取り上げる。
3:戦いに勝ち残る。まだまだ面白いものも見たい。
4:無理して戦うつもりは無い。
※音撃金棒・烈凍はC-5エリアの森に放置されています。
※携帯電話にはシャドームーンの死骸が写されています。
- 386 :亡き王女のためのパヴァーヌ ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:14:24 ID:C52/Cr3Q0
- 【ドラス@仮面ライダーZO】
【2日目 現時刻:早朝】
【現在地:海岸H-3】
[時間軸]:仮面ライダーZOとの戦闘で敗北し死亡した直後
[状態]:怪人状態。腹部に小口径の銃創。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1:望月博士なしで神になる方法を考える。
2:首輪を外しこの世界を脱出する。
3:首輪の解除のため、冴子を利用する。
4:他の参加者は殺す。ただし、冴子とキングには興味あり。
[備考]
※1:ドラスの首輪は胴体内部のネオ生命体本体に巻かれています。(盗聴機能は生きています)
※2:ドラスはドクトルG、ヨロイ元帥、ジェネラルシャドウ、マシーン大元帥の情報を得ました。
※3:麻生は首輪が外れたため、死亡扱いになりましたが、ドラスの中で生きています。ただし、ドラスが死ぬと麻生も死にます。
※4:赤ドラス化は能力発揮中のみ使用可能です。通常時は普通のドラスに戻ってしまいます。
※5:制限が緩められ、戦闘時間、戦闘不能時間に影響があるかもしれません。
[備考]
※GM-01改4式(弾切れ)、拡声器はD6エリアに放置されています。
- 387 :まとめ&ステータス表 ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:14:54 ID:C52/Cr3Q0
- 【影山冴子@仮面ライダー555】
【2日目 現時刻:早朝】
【現在地:海岸H-3】
[時間軸]:本編最終話あたり
[状態]:肩に深い裂傷。右外耳切断。左上腕に軽い裂傷。
2時間変身不可(オーガ・デルタ)
[装備]:オーガドライバー(オーガストランザー付属)
デルタフォン、デルタドライバー。
[道具]:アドベントカード(SEAL)。配給品一式。
[思考・状況]
1:生への執着。
2:ジャーク将軍に畏怖。出来るだけ早めに殺したい。
3:巧、ガライに復讐。
4:小沢澄子に警戒心。首輪を解除させ情報を引き出したら殺したほうがよさそうね。
5:上城睦月の確変に警戒心。
※ハイパーゼクターを利用してこの空間を脱出する方法に思い至りました。
- 388 :まとめ&ステータス表 ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:15:16 ID:C52/Cr3Q0
- ■城茂・氷川誠・上城睦月・ガライ@熱風ライダーズ
■行動開始02:30 休息90分→移動→戦闘→会議で2時間強消費
■ガライ:行動開始04:10 移動→戦闘→会議
■現在、F-4の仲間(南グループ)と合流しようとしています
【城茂@仮面ライダーストロンガー】
【2日目 現時刻:早朝】
【現在地:海岸I-3】
[時間軸]:デルザー軍団壊滅後
[状態]:全身に負傷大。やや疲労。応急処置済み。真実を知り、守れなかったことによる後悔。
[装備]:V3ホッパー。パーフェクトゼクター。
[道具]:支給品一式(茂)
[思考・状況]
1:ドラスたちの探索。ジェネラルシャドウの仇を討つ。
2:殺し合いを阻止し、主催者を倒す。
3:殺された仲間たち、ひよりの仇討ち。
4:ガライとともに仲間と合流し、ジャークの伝言を光太郎に伝える。
※チャージアップが使用可能になりました。
※制限により、パーフェクトゼクターは自分で動くことが出来ません。
パーフェクトゼクターはザビー、ドレイク、サソードが変身中には、各ゼクターを呼び出せません。
また、ゼクターの優先順位が変身アイテム>パーフェクトゼクターになっています。
※ひよりが記憶を失っていることを知っています。
※首輪の盗聴機能は制限されています。
- 389 :まとめ&ステータス表 ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:15:50 ID:C52/Cr3Q0
- 【氷川誠@仮面ライダーアギト】
【2日目 現時刻:早朝】
【現在地:海岸I-3】
[時間軸]:最終話近辺
[状態]:中程度の負傷。胸に大火傷。左肩にレーザーによる軽い負傷。
[装備]:拳銃(3発消費)。手錠等の警察装備一式(但し無線は使えず、手錠はF-4のビル内に放置)。
ガタックゼクター&ベルト。GX-05ケルベロス(但し、GX弾、通常弾は全て消費)
[道具]:但し書きが書かれた名簿。デザートイーグル.357Magnum(4/9+1) 。
デイバック 。コーカサスゼクター(資格者ではないので変身はできません)
[思考・状況]
1:小沢の死に深い悲しみ。遺志を継ぎ、怪人達と共闘を試みる。
2:城と睦月と共にドラスたちの探索。ジェネラルシャドウの仇を討つ。
3:もうひよりに悲しい思いをさせたくない。
4:此処から脱出する。そのために、変身を避ける。
[備考]
※ひよりが記憶を失っていることを知っています。
※首輪の盗聴機能は制限されています。
※氷川の首輪は、遅くとも2日目22:30に機能停止します。(最終変身:2日目午前2時過ぎ)
- 390 :名無しより愛をこめて:2007/10/09(火) 21:15:58 ID:UwGnGljP0
-
- 391 :まとめ&ステータス表 ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:16:08 ID:C52/Cr3Q0
- 【上城睦月@仮面ライダー剣】
【2日目 現時刻:早朝】
【現在地:海岸I-3】
[時間軸]:本編後。
[状態]:全身に負傷大。かなりの疲労。二時間変身不可(ギャレン・ブレイド)
[装備]レンゲルバックル+ラウズカード:クラブの全カード(13枚)
ギャレンバックル+ラウズカード:ダイヤの10を除くすべて
ブレイバックル+ラウズカード:スペードのKを除くすべて
ラウズカードのみ:ハートの3・4・7・10〜K
剣崎の指輪・ペンダント・ブレスレット(単なるアクセサリー)
サタンサーベル
[道具]:配給品一式(橘) ラウズアブゾーバー
[思考・状況]
1:ジェネラルシャドウが誇る宿敵、仮面ライダーとして戦う。
2:キングたちを倒して、ジェネラルシャドウの仇を討つ。
3:ハートのラウズカードを集め、始を人間に戻す。
4:怪人とライダーとは必ず共闘・共存できると確信。
5:いずれガライとサタンサーベルを賭けて一騎打ちをする。
6:小沢澄子の死に深い悲しみ。もっと話をしたかった。
※劇場版の世界を知らないため、死んだ剣崎は自分の世界の過去から連れて来られたと考えています。
※睦月は始のマーダー化をジョーカーの本能に飲み込まれたと解釈し、ハートのスートを揃えて与えることで元に戻せると考えています。
※首輪の盗聴機能は制限されています。
※睦月の首輪は、遅くとも3日目00:30に機能停止します(最終変身:2日目午前4時過ぎ)
- 392 :まとめ&ステータス表 ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:16:45 ID:C52/Cr3Q0
- 【ガライ@仮面ライダーJ】
【2日目 現時刻:早朝】
【現在地:海岸I-3】
[時間軸]:本編開始前。
[状態]: 全身に切り傷、打撲。サソードに2時間変身不可
[装備]:ガライソード、GS-03、サソードヤイバー(怪魔稲妻剣によるダメージ有)。
[道具]:配給品一式(ジャーク)支給品のデータブック(ハイパーゼクターを除く支給品のデータが記載されています)
ネタばれ地図。ライダーブレス(コーカサス)。ハイパーゼクター。ベルト(カブト)。精巧に出来たモデルガン。
変身鬼弦・音錠。ディスクアニマル(ルリオオカミ、リョクオオザル、キハダガニ、ニビイロヘビ)
首輪の解除方法と脱出手段に関する推論を記述したメモ。
[思考・状況]
1:脱出派と合流する。
2:神崎、オーディン、キング、ドラス、冴子を許しはしない。
3:任務達成の後、ジャーク将軍と合流。
4:睦月との決闘は脱出の後で。
[備考]
※支給品のデータブックには、支給されたアイテムの効果が記載されています。各参加者の初期支給品も記載されています。
※首輪の盗聴機能は制限されています。
- 393 :まとめ&ステータス表 ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:16:57 ID:C52/Cr3Q0
- ■ジャーク将軍@友情出演につき時間消費なし
【ジャーク将軍@仮面ライダーBLACK RX】
【2日目 現時刻:黎明】
【現在地:海岸J-3】
[時間軸]:ジャークミドラに改造後。
[状態]:健康。
[装備]:杖、変身後は大刀。
[道具]:ライドロン。トランシーバー(現在地から3エリア分まで相互通信可能)。分解済みの首輪x2(麻生勝・園田真理)。
ガードアクセラー。配給品一式×8(ガライ、グランザイラス、城戸、シャドウ、ドラス、立花藤兵衛、麻生勝、天道)
ポケットサイズの新約聖書 小沢メモの下書き
[思考・状況]
1:怪魔界を救う。
2:ライドロンを動かす方法を調査。
3:小沢澄子に対し、一武人としての好意。神崎士郎は必ず殺す。
4:ガライの働きに期待。
5:RXを殺す。
[備考]
※ライドロンは現時点では動かすことは出来ません。
※首輪(ヨロイ)は実験により破壊されました。
- 394 : ◆s.0z/S/80k :2007/10/09(火) 21:26:16 ID:eNJYnI2fP
- バーボン食らった気がするwwww
以上です。
ご指摘等ありましたら、引き続きお願いします。
特に首輪の機能停止時間については、実際にはこれより早いはずですので
住人の皆さんで議論して頂くか、次の書き手さんに明確な線を引いていただくのが
いいんじゃないかと思います。
- 395 :名無しより愛をこめて:2007/10/09(火) 21:42:10 ID:UwGnGljP0
- >>394
乙です
気づくのが遅くて支援できなくて申し訳ない
普通の人間として戦わなければいけない、脱出の命運を請け負ったのは氷川か…
脱出の新たな光もあり、しかしマーダーの脅威もありで盛りだくさんで楽しめました
ガライがそこまで反発されずに仲間入りできて一安心
サソードは高貴属性なのか?ぼっちゃまの次は王子、というか脱皮ww
ギャレンの戦いで出てきた人(?)たちがちょっと嬉しかった
そして神崎をどこまで騙せるか楽しみです
ライダーとは何かという疑問は凄い考えさせられた
- 396 :名無しより愛をこめて:2007/10/09(火) 22:34:22 ID:Xnk3/FJnO
- >>394 GJ!
ガライが坊ちゃまっぽいセリフを言ったかと思ったらサソードに変身。これはかなり燃えた。
「そうそう、それそれ」とも言っていたが、もしかしてこれも……
- 397 :名無しより愛をこめて:2007/10/09(火) 22:38:59 ID:xDZCPQbX0
- おつー。
ガライがついにライダー側に参戦か・・・。なんか感慨深いな。
それに考えてみればサソードとブレイドも序盤で戦ったライダー同士。
それがここにきて共闘とは。クライマックスも近いな
- 398 :名無しより愛をこめて:2007/10/09(火) 22:45:02 ID:aKyEfsXh0
- GJ!
ドラスたちと対峙した城が冷静すぎる気がします。
しかし、ガライの登場に燃え。
サソードで戦う台詞がいちいち変すぎw
- 399 : ◆WXWUmT8KJE :2007/10/10(水) 01:19:46 ID:YotTQTvX0
- ただいまより、投下を行います。
- 400 :愛しい君よ、微笑んで ◆WXWUmT8KJE :2007/10/10(水) 01:20:22 ID:YotTQTvX0
- リュウガは仲間が集まる高層ビルに向かう前に、見つけた薬局で薬と包帯を調達していた。
合流した先、仲間たちが傷ついている可能性もある。
リュウガはここまで誰かのことを心配するようになった自分に、自嘲する。
自分は人殺し。ここで二人も殺している。きっと、ろくな死に方はしない。
それが分かっていても、リュウガは仲間を救うため、脚を進める。
薬局のドアを開けると、満天の星空が視界に入った。
月は太陽の光を反射させ、淡い光で自らの光を放つ星を目立たせる。
闇にいた自分は、星のように自ら光を放ているか、疑問に持つ。
しかし、すぐにくだらないと一笑し、瓦礫を崩しながら道を歩く。
リュウガが道を歩き続け、二十分程経ったころ、気配を感じてビルの影へと身を隠す。
しかし、リュウガの警戒心はすぐに解けた。視界の先を走るのは、天道と同じく太陽を名乗る男、南光太郎だからだ。
リュウガはすぐに声をかけようとするが、光太郎の様子が尋常でないことに気づき、そのまま見送る。
(あの様子から察すると、仲間の誰かに何かあったのか? それがひよりだとしたら?)
リュウガは居ても立ってもいられず、光太郎が現れた方向へと必死に駆け出した。
街灯が淡く照らす道を通り抜け、すぐに自分が光太郎がどこから来たのか、分からないことに気づいた。
リュウガはあの時声をかけておくべきだったと後悔する。
そこに、聞き覚えのある声が響いた。
「何をしている? リュウガ?」
リュウガが振り返ると、花鶏という神崎にかかわりの深い店から、草加が顔を出していた。
仲間が居たことにリュウガは安堵し、質問をする。
「草加、ひよりはそこにいるのか?」
草加が片眉を上げ、疑問を浮かべている顔をしている。リュウガはそのことに、ひよりに何かあったのか不安になる。
やがて、決意したような草加の声が市街地に響いた。
「とりあえず、中に入れ。話はそれからだ」
- 401 :愛しい君よ、微笑んで ◆WXWUmT8KJE :2007/10/10(水) 01:21:03 ID:YotTQTvX0
- リュウガは頷き、草加の誘い通りに中へと入った。
時間は少しだけ遡る。
草加はひよりの問いかけに、適当に流しながら相槌を打つ。
毒が回って身体がだるい。遠からず自分が死ぬことを草加は悟りながらも、優勝を諦めずに次の仕込みを考える。
多人数に対抗できる武器が欲しい。自分が使える変身アイテムは多ければ多いほどいい。
もちろん、戦闘回数を増やすなど、自殺するようなものだが、その覚悟を持って人数を減らすことを優先させる。
真理を蘇らせる、草加はその一念でボロボロの身体を動かしていた。
やがて、窓際にいたため、誰かがこの店のそばにやってきたのが分かった。ひよりに隠れているようにいい、自分は影から誰かを確認する。
窓より見えるのは、リュウガだった。たしか、ジャーク将軍と名乗る連中に連れ去られたはずだと疑問に思うが、自力で抜け出してきたのだろうと考え直す。
この店へ入ってこないところをみると、光太郎や巧たちと接触している可能性は低い。
そして、リュウガは誰でも変身できるカードデッキを持つ。しかも、一分だけだが、戦闘をミラーモンスターへと任せられる。
ジャーク将軍の元から抜け出したというなら、カードデッキを奪い返した可能性が高い。
ひよりの惨状を聞かせ、無防備のところをディスカリバーで刺し殺し、カードデッキを奪う。
草加の作戦は決まり、リュウガへと声をかける。
「何をしている? リュウガ?」
□
草加はリュウガを招き入れ、一階で話を進める。まずはカードデッキを所持しているかどうか、確かめるためだ。
「そういえば、ジャーク将軍のところからどうやって抜け出したんだ」
「小沢さんが隙を作ってくれた。そして、龍騎とリュウガのカードデッキを奪い返して、逃げてきた。
それにしても草加、顔色が悪いぞ。どうした?」
「気にするな。少し疲れただけだ。ひよりなら二階に居る。
……記憶を失ってな」
- 402 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 01:22:29 ID:qOEq55XoO
- 紫炎
- 403 :愛しい君よ、微笑んで ◆WXWUmT8KJE :2007/10/10(水) 01:22:54 ID:YotTQTvX0
- 「何!!」
駆け出そうとするリュウガの肩を草加は掴み、押しとどめる。恨めしそうに見つめるリュウガに、草加は余裕を持って話しかける。
「今刺激したところで、逆効果だ。少しは落ち着け」
「……だが、天道が死んだ今、俺はひよりを守らなければならない。どけ!!」
草加の手が跳ね除けられ、リュウガは階段を上っていく。
その様子を見つめ、草加は微笑んだ。やはり、リュウガは冷静さを失っている。
好機だと考え、後を追い階段を上った。リュウガと違い、気配を殺し剣を手にして。
□
光太郎は、夜空の下で矢車たちを探して駆ける。
ひよりと結城を救わねばならない。そのためには、同じ仮面ライダーの三人の力が必要だ。
自分は二時間戦えない。光太郎は仲間の力になれないことに、悔しさを噛み締める。
破壊の跡が見える道筋を、光太郎はただ前を見つめて走り続ける。
元は住宅街なのだろうが、激戦と人の気配がないことにより、ゴーストタウンの様子を見せていた。
やがて、三人の人影が光太郎の視界に入る。
そのうち一人が、汚れたスーツを身にまとう青年を街灯に照らして現れる。
「どうした? 南くん」
「矢車さん! 結城さんとひよりさんが、草加に人質にとられてしまいました!!」
「……やはりか。もう少し急ぎたかったんだが……すまない。
相川始に襲われていた」
お互いの謝罪に、その場の空気が重くなる。
しかし、光太郎はここでへこたれている暇はない。
彼は仮面ライダーブラックRX、太陽の子だ。結城とひよりを救うべく、希望に満ちた眼差しをみんなに向ける。
「なら、今からでも俺に力を貸してください。四人で力を合わせれば、結城さんとひよりさんを助けることが出来るはずです!!」
- 404 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 01:23:41 ID:KYVwEQRs0
-
- 405 :愛しい君よ、微笑んで ◆WXWUmT8KJE :2007/10/10(水) 01:24:06 ID:YotTQTvX0
- 「……当然だ。俺たちの完全調和を草加に見せ付けるぞ、兄弟」
「兄弟言うな! だが、草加は俺がなんとかする。あいつと話したいことがあるしな」
「乾さん……では行きましょう! 結城さんたちを救いに!」
光太郎に続き、矢車と巧が頷く。光太郎が踵を返して、もと来た道を戻ろうとした時だった。
蓮が全員を呼び止める。
「少し待て」
「どうしてですか!? 早く助けに向かわないと……」
「南、お前は花鶏から来たといったな。あそこは俺のなじみの店だ」
蓮の言葉に、光太郎たちは顔を見合わせる。次の蓮の言葉を、待ち続けた。
□
二階へと駆け上がり、リュウガはひよりの姿を見つける。
夜具を身にまとい、手当てのされている彼女の姿に、リュウガは無事だったかと安堵する。
しかし、ひよりの瞳に警戒心が宿っている。カイザドライバーを手に、リュウガを睨み付けていた。
リュウガは戸惑いながらも、出来るだけ穏やかな声で話しかける。
「ひより、俺は敵じゃない」
「……草加はどこに行ったんだ?」
「草加ならまだ一階に居る。怪我は痛むか?」
「少しだけ。心配してくれているのか?」
彼女の言葉に、ああ、と答えて、ふとリュウガは思い出す。
リュウガが最初に殺そうとしたのは彼女だ。だが、何の因果かリュウガは彼女を守るために動いている。
そのことに不思議な縁を感じつつも、あの時に殺した男の感触が手に蘇った。
リュウガは人殺しだ。たとえ神崎を倒したとしても、その事実は一生消せない。
望月博士の恐怖に震える姿が脳裏に蘇る。罪人である事を強調し、ひよりへと伸ばした腕が力を失う。
- 406 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 01:24:17 ID:SV53s30x0
-
- 407 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 01:24:43 ID:KYVwEQRs0
-
- 408 :愛しい君よ、微笑んで ◆WXWUmT8KJE :2007/10/10(水) 01:24:58 ID:YotTQTvX0
- (俺は人殺し……ひよりを救いに来たなんて、そんな善人面を今更出来るのか?)
リュウガは自分がどうしようもなく薄汚れた存在である気がした。
ひよりは急に喋らなくなった自分を心配している。やはり、優しさというのは彼女たちのような人間にあるべき感情だ。
自分のような存在は、せいぜいドラスや神崎を倒すゴミ処理係にすぎない。
しかし、リュウガは忘れている。最初、彼がどういった過程で神崎への反抗を決めたのかを。
(それでも……俺はひよりを守りたい。たとえ、俺の命が消えても!!)
その想いは、仮面ライダーたちが持つもの。リュウガは再び決意して、ひよりの手を取ろうとする。
「危ない!!」
ひよりの叫びに振り返ると、草加が剣を振り下ろしてくる姿が眼に入った。
リュウガの瞳に、驚きの色が宿った。
草加は毒の影響で、リュウガに剣を避けられた。しかし、勢いそのままにひよりへと突進し、その首筋に剣を当てる。
「何の真似だ?」
「お前のカードデッキをよこせ。でないとこの女の……」
ひよりは恐怖で喋らない。当初の計画は無駄になったが、ひよりをカイザにする手はある。
まずは、カードデッキの入手からだ。
「命はない」
草加は陳腐な脅し文句を告げる。しかし、リュウガには効果覿面だ。
仮面ライダーというのは、どいつもこいつも騙しやすく、草加の思い通りに動いてくれる。
その事実に微笑み、刃を光に当て煌かせる。
ひよりの白い首筋に刃が軽く当たり、血が少量流れ落ちる。
「……分かった。カードデッキはここに置く。後ろにさがるから、カードデッキを受け取ったらひよりを開放しろ!」
「いいだろう。早くさがれ」
素直にさがっていくリュウガに、侮蔑の視線を送りながら草加はカードデッキを回収に向かう。
- 409 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 01:25:28 ID:KYVwEQRs0
-
- 410 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 01:25:35 ID:SV53s30x0
-
- 411 :愛しい君よ、微笑んで ◆WXWUmT8KJE :2007/10/10(水) 01:26:21 ID:YotTQTvX0
- リュウガは十メートルほどカードデッキと距離を開けている。
このまま、リュウガを追い込み、ひよりを変身させ、矢車たちと鉢合わせにさせる。計画は完璧だった。
しかし、草加は一つ失念している。リュウガが元は、殺人者である事を。ゆえに、リュウガに考えを悟られていることに、まだ気づかない。
草加の手がカードデッキに触れた瞬間、リュウガの手にアドベントのカードがあるのが見えた。
横に視線を移動させると、窓ガラスより漆黒の龍が現れ、草加の身体を跳ね飛ばす。
「ひよりッ!!」
「させ……るかぁ!!」
草加は痛みに軋む身体に力を込めてディスカリバーを投げる。
そのまま立ち上がり、床を強く蹴った。リュウガは腹に剣が刺さっている。
毒に侵されている草加と、重傷を負ったリュウガがカードデッキの上を交差し、離れる。
草加は龍騎のカードデッキを手にリュウガを睨む。リュウガはリュウガのカードデッキを手にして、ひよりを抱きかかえて睨み返してくる。
二人は息も荒く、互いにカードデッキを掲げる。
「「変身ッ!!」」
赤と黒の龍の力を借りた戦士が、花鶏で姿を見せる。
リュウガが駆け出し、窓から飛び降りる。龍騎は後を追いかけ、一枚のカードを取り出した。
「ほう、こいつは……」
出てきたカードに龍騎は笑い、そのまま炎が身体にまとう。
龍騎の左腕のドラグバイザーが、銃へと姿を変え、そのままカードをセットする。
―― SURVIVE ――
発せられた電子音と共に、炎が鎧となる。
銀の鎧を更に強固に、肩のパーツが増えた赤い鎧へと進化する。
鉄格子のような仮面は鋭くなり、金の触覚が追加され、仮面ライダーの面持ちの印象を僅かだが、強くする。
銃の形をしたバイザー、ドラグバイザーツバイをぶら下げ、草加雅人は優しき心の持ち主が使っていた力を、狂気を持って顕在させる。
- 412 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 01:26:44 ID:KYVwEQRs0
-
- 413 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 01:27:14 ID:SV53s30x0
-
- 414 :愛しい君よ、微笑んで ◆WXWUmT8KJE :2007/10/10(水) 01:27:31 ID:YotTQTvX0
- 「さあて、リュウガ。お前も終わりだ」
龍騎の酷薄な声が、戦いの合図だった。
「ひより、花鶏にいろ。必ず……迎えに行く!」
「でも……」
「いいから! 早く!!」
リュウガは叫び、龍騎サバイブへと向かって駆け出す。
腹の傷が痛み、動きに切れがないが、相対する龍騎も動きが悪い。
しかし、龍騎はサバイブ体。リュウガはノーマル。その差が、一発の拳に表れた。
リュウガの拳は龍騎にあっさりと避けられ、頬に赤い拳を受けてリュウガは吹き飛ぶ。
数度地面に叩きつけられたリュウガ。龍騎がドラグバイザーツバイの銃口を向けている。
後ろにドラグランザーが姿を現し、口に火を灯す。
「くっ!」
リュウガは転がって炎を避けるが、数発地面に当たり、翻弄される。身体を激しく動かすほど出血が激しくなるが、リュウガは構っていられない。
ひよりを守るという想いだけで、戦いを続けていた。だが、龍騎はその想いを嘲笑うかのように、銃口をひよりに向ける。
リュウガはカードをセットしながら、ひよりを庇うために走る。
―― GUARD VENT ――
龍騎の放つ炎が、リュウガの漆黒の盾を削る。だが、リュウガは動かない。
一発でも避けてしまえば、巨大な炎はひよりを吹き飛ばし、燃やし尽くすからだ。
リュウガに出来ることは、ひたすら耐えることだけだ。
「おい……お前ッ!!」
「気にするな、ひより。……くぅ!! 俺は……こうされても……仕方ない男だ……」
- 415 :愛しい君よ、微笑んで ◆WXWUmT8KJE :2007/10/10(水) 01:28:49 ID:YotTQTvX0
- 盾にドラグランザーの炎が直撃し、熱風が全身をなぶる。
リュウガの身体はすでに限界で、ふらついている。それでも両脚に力を込めて、一歩も退かない。
後ろに守るものがいるということは、限界以上に力が出せることをリュウガは初めて知った。
「どうした? みているだけか? 日下部ひより。
お前の…………」
龍騎の言葉が一旦止まる。リュウガはその言葉に嫌な予感を感じたが、身体が思い通りに動かない。
「兄、天道総司が死ぬのをなぁ!!」
「お兄……ちゃん?」
龍騎の叫びと共に攻撃が激しくなる。リュウガは龍騎の言葉の意図を疑う。なぜ記憶を失ったひよりに、自分が兄と偽るのかを。
だが、その疑いは次の龍騎の声によって最悪の形で晴れる。
「さあ、お前にやったカイザのベルトを使ってみろ! もしかしたら、兄を救えるかもしれないぞ!!」
(そういうことか!)
リュウガは、龍騎……いや、草加の意図を半分理解した。
カイザに変身していたのは、主に草加だ。何らかの原因でメンバーと対立することになり、ひよりをカイザへと変身させ、同士討ちを狙っているのだろう。
カードデッキを奪うことに執着したのも、一人で戦い続けるためなのだろう。
そこまでリュウガは突き止めるが、天道の死を見なかったため、カイザの呪いを知らない。
だから、その言葉はただ偶然に、そして必然的にリュウガの口が紡いだのだ。
「ひより……変身する必要はない」
「で……でも!!」
「俺は負けない。なぜなら……」
リュウガは自分の知っている天道の姿を思い出す。自分はひよりという月のような光に誘われ、天道という太陽のように強い光の下、仮面ライダーになれた。
だから、今だけは、分相応だとしても太陽であるために、天道の言葉を口にする。
「俺は天の道を行き……総てを司る男、天道総司だからだ!」
その言葉を口にしたとたん、リュウガの身体に力が宿った気がする。
- 416 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 01:29:49 ID:SV53s30x0
-
- 417 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 01:29:49 ID:qOEq55XoO
- 支援
- 418 :愛しい君よ、微笑んで ◆WXWUmT8KJE :2007/10/10(水) 01:30:10 ID:YotTQTvX0
- リュウガは盾を投げ捨て、カードを取り出しブラックドラグバイザーにセットする。
―― STRIKEVENT ――
「ハァァァァァッ、ハァァ!!」
ドラグランザーの炎とドラグブラッカーの炎がぶつかり、爆発が龍騎とリュウガの中心で起きる。
粉塵の中をリュウガは駆け、跳び上がりもう一枚カードを使う。
―― SWORDVENT ――
黒い青龍刀を手に、リュウガは龍騎の頭部めがけて、一直線に振り下ろす。
「どこにそんな力がッ!」
龍騎が驚愕の声をあげるが、リュウガ本人も不思議に思っている。
その一撃は防がれるが、充分に龍騎の態勢を崩している。
ドラグブラッガーは今は鏡に待機している。数十秒は外に居たため、次に呼び出せばタイムリミットは四十秒あまり。
その事をリュウガは頭の片隅に入れ、迫る龍騎のドラグブレードを黒い刃で受け止める。
だが、毒に侵された剣筋では、リュウガの想いを止めることは出来ない。
リュウガは龍騎の腹に蹴りを入れ、吹き飛ばす。
「くそ……お前ら、まとめて殺す!!」
龍騎の手に、サバイブの力を受けてパワーアップしたファイナルベントのカードが握られている。
たしかにあのカードの力なら、自分たちを始末できる。無慈悲な電子音が響く。
―― FINALVENT ――
「死ねぇぇ!!」
- 419 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 01:30:25 ID:KYVwEQRs0
-
- 420 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 01:32:07 ID:SV53s30x0
-
- 421 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 01:32:27 ID:KYVwEQRs0
-
- 422 :愛しい君よ、微笑んで ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/10/10(水) 01:33:07 ID:SV53s30x0
- リュウガはその龍騎の姿を見つめ、カードをセットする。
?? CONFINEVENT ??
「何っ!」
バイクへと変形するドラグランザーが途中で止め、元の龍の姿へと変わる。
背を振り落とされた龍騎はこちらを睨みつけている。
リュウガは止めを刺すため、ドラグセイバーを持ち、地面を蹴る。
「草加ぁぁぁぁ!!」
龍騎へと向かい、剣を振り下ろす。しかし、リュウガの視界は黒い盾に遮られた。
龍騎が落ちていたドラグシールドを投げ飛ばしたのだと理解した時には、リュウガの右胸に剣先が突き刺さっている。
これは、いつか自分がカリスに使った戦法。何の因果かと自嘲しながら、身体が崩れ落ちる。
「少し焦ったが、他愛もない。リュウガ……じゃなかった。天道、残念だったな」
「お兄ちゃん!!」
ひよりの声が耳に入る。リュウガは天道に謝りながら、地面に倒れ伏した。
「止めは後で刺してやるよ。そこでひよりが無残に死ぬのをみているんだな」
龍騎となった草加は敗者を嘲笑し、ひよりに近寄る。
化け物の癖に恐怖している彼女に苛立ちを覚える。だが、まだ殺せない。
早くカイザになってもらわなければ困る。同士討ちをさせて、ただ殺すだけでなく、後悔と絶望を刻み込んで殺さねば龍騎の気が晴れない。
歩みを進める龍騎の足を、リュウガが掴んだ。
「ひよりを……殺させない……」
むしろ好都合だと龍騎は笑って、リュウガの顎を蹴りつける。短い呻き声に構わず、続けて手を踏みにじる。
「やめ……ろ……」
- 423 :愛しい君よ、微笑んで ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/10/10(水) 01:33:25 ID:SV53s30x0
- 「何を言っているか聞こえないな?」
弱々しいひよりの声に、龍騎は挑発する。リュウガをいたぶるのもやめない。
ついに、ひよりが覚悟を決めた表情をこちらに向ける。龍騎の狙い通り。
「お兄ちゃんを……離せッ!!」
「やめろ……ひより……」
ついに、カイザドライバーを巻くひより。手にしたカイザフォンを打ち込む姿に龍騎はほくそ笑む。
(真理、見ていろ。お前を犠牲にして生き延びた罪人どもを、絶望に叩き込む様子をな!!)
龍騎は彼女の口から、変身の一言を聞くのを待つ。
「変……!!」
しかし、ひよりの言葉は最後まで紡がれない。蝙蝠のミラーモンスターが花鶏から飛び出し、ひよりを連れて飛び去る。
時間切れであることを龍騎は理解し、舌打ちをする。
「……少し遊びすぎたか」
「…………草加!!」
そこには、龍騎となった草加がくだらないと一笑した、正義に燃える仮面ライダーたちが現れた。
巧はひよりの手から、カイザドライバーを奪い取る。
「そいつはお前がつけるな。俺が……やる」
「巧さん……」
呟く光太郎に背を向け、巧はカイザドライバーを腰に巻く。まだ変身制限が解けるまで、二十分程度ある。
花鶏は蓮が構造を知るため、ダークウィングを使いひよりを救出したのだ。
カイザフォンのボタンを一つ押すたびに、真理の笑顔を思い出す。
- 424 :愛しい君よ、微笑んで ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/10/10(水) 01:33:46 ID:SV53s30x0
- 草加は真理に相応しくない。天にカイザフォンを掲げ、巧はその言葉を叫ぶ。
「変身ッ!!」
変身の完了を告げる電子音を耳に、黄色のフォトンブラッドが全身を駆け巡り、黒の強化スーツを形成する。
×状の仮面から紫の瞳を、このベルトの本来の所持者へとカイザは向ける。
「出来れば……そいつは君に使って欲しくないかな」
「草加、俺はもう迷わない。お前を……倒す!!」
「『殺す』じゃなく、『倒す』か。反吐が出る。俺たちを殺した、化け物の癖にな!!」
?? READY ??
カイザはカイザブレイガンにミッションメモリーをセットして、龍騎と斬り結ぶ。
しかし、毒に侵された龍騎ではカイザの剣に吹き飛ばされるだけだ。
「さすがに不利か。なら……」
龍騎がカードを取り出し、セットする。
?? STRANGEVENT ??
電子音が発せられるが、何も起きない。そのことに疑問を感じていると、蓮が叫んだ。
「乾、気をつけろ! そのカードは厄介だ!!」
「もう遅い」
再び、龍騎が同じカードをセットする。今度はカイザも知る電子音が響く。
?? TRICKVENT ??
龍騎の姿が増え、五人になった時点でカイザに襲い掛かってきた。
- 425 :愛しい君よ、微笑んで ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/10/10(水) 01:34:19 ID:SV53s30x0
- 龍騎の一撃をカイザは受け止めるが、後ろから分身体に斬りつけられる。
「くそッ! おい、矢車。ボサッとしてないでどっか逃げろ!!」
「……分かっている」
矢車がひよりを連れて逃げるのを確認する。しかし、見逃す龍騎ではない。
カイザの相手を三人の龍騎が勤め、残り二人が変身できない四人へと襲い掛かる。
「矢車さん。ここは俺が食い止めます。ひよりさんと秋山さんを連れて退いてください!!」
「南くん、無茶だ。ここは逃げに徹する」
「そうだ、南たちが戦う必要はない。俺が……何とかする!」
光太郎を庇うように、リュウガが再び立ち上がって龍騎を斬りつける。
手負いのリュウガだが、ちゃんと二人の龍騎をひきつけている姿をカイザは見つめ、安堵する。
そのカイザを、龍騎は上段から剣を振る。カイザは慌てて受け止める。
「乾、何仲良しごっこをやっているんだ? お前は化け物だろう?」
「だが、それでも俺は……」
「仲間を信じて、人間として生きようとしている……か? 変わらないな」
嘲笑する龍騎に、カイザは不安になる。乗り越えたはずの壁が、更に高さを増して迫ってくる錯覚に陥る。
「そんなお前を、菊池啓太郎は信じたさ。だが、お前は結局奴を殺したな」
「ッ……!!」
カイザは嘘だと叫ぶ代わりに、剣を振るって龍騎を跳ね除ける。しかし、後ろから切り裂かれ、膝が崩れ落ちた。
避けられるはずの一撃だった。だが、たった一言で心が揺らぎ、その攻撃をくらうことを許してしまったのだ。
「可哀想にな。啓太郎は最後までお前を信じていたのに。啓太郎だけじゃない。木場もお前が殺した」
「木場を……」
「ああ。お前がラッキークローバーに入るために殺したのは木場だ。
真理を殺し、木場を殺し、啓太郎を殺したお前が何で仲間を作っている?
結局、お前は自分を正当化したいだけなんだろ? 化け物である自分をな!」
言い切ると同時に、龍騎の刃がカイザの胸を刻む。何とか腕に力を込めて立ち上がろうとするカイザを、龍騎が踏みつけてきた。
- 426 :愛しい君よ、微笑んで ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/10/10(水) 01:34:48 ID:SV53s30x0
- 毒が回って力が入らないはずの龍騎の足が重い。
「自分勝手な奴だ。お前は生きているだけで罪深いんだよ」
「俺は……」
「死にたくなったか? それなら殺してやるよ。望み通りにな!!」
龍騎の腕が振り上がる。カイザはただそれを、力なく見つめていた。
しかし、龍騎の剣がカイザに突き刺さることはない。直前に、龍騎がもう一人の分身体にぶつかり、態勢を崩したのだ。
一人だけではない。五人に分かれた分身体が一つにまとまり、固まっている。
ーー ADVENT ーー
リュウガたちがいる方向から電子音が上がり、鏡よりレイヨウを模した鏡の怪物、ギガゼールが群れを成して現れる。
ギガゼールたちは龍騎を動かさないように捕まえ、固定させる。さすがに数が多く、龍騎ももがくことしか出来なかった。
「乾!」
矢車が声をかけ、カイザに肩を貸して立ち上がらせる。
カイザの紫の瞳を通して、巧は漆黒の龍が天に昇る姿を目撃した。
時を龍騎がトリックベントを使い、襲ってきたところまで戻る。
「矢車さん。ここは俺が食い止めます。ひよりさんと秋山さんを連れて退いてください!!」
「南くん、無茶だ。ここは逃げに徹する」
変身できなくても絶望を抱えない光太郎の声が、リュウガの耳に届く。
今彼らを守れるのは自分一人。リュウガは両足に力を入れ、龍騎と光太郎たちの間に割り込む。
「そうだ、南たちが戦う必要はない。俺が……何とかする!」
息も荒く、マスクから血反吐が吹き出る。それでも、リュウガの闘志は消えない。
むしろ、守るものを持ち、プロミネンスのごとく燃え上がる。リュウガは左右に分かれた二人の龍騎に突撃をする。
右から来る龍騎の刃をドラグセイバーで受け流し、返す刀で後ろに回ろうとする龍騎の進路を妨害する。
ここより先は行かせない。リュウガの想いのままに腕はひたすら剣を振るった。
- 427 :愛しい君よ、微笑んで ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/10/10(水) 01:35:19 ID:SV53s30x0
- だが、敵の龍騎も負けてはない。毒に侵され、機敏とはいえない動きだが、フェンシングで鍛えた技術でリュウガを翻弄する。
一撃、二撃とリュウガの身体が刻まれる。リュウガが膝をつく。もともと限界一杯まで戦っていたのだ。
龍騎が止めを刺すため、咽へと剣を横に振るう。しかし、龍騎は突進してくる影に吹き飛ばされた。
「リュウガさん、立ってください! 俺も一緒に戦います!!」
「無理だ、南。今のお前は変身できないのだろ?」
「変身出来るから仮面ライダーなんじゃない!!
心に……正義があるから仮面ライダーなんだ! 俺はたとえ変身できなくても、悪にだけは屈しない!
来い、草加!! 俺が相手だ!!」
「南……」
「それに、あなたのような立派な仮面ライダーを失うのは、もう二度とごめんです」
「俺が……仮面ライダー……」
リュウガはその一言が胸に沁みた。龍騎が一枚のカードをセットする。
リュウガは光太郎を庇うように前に出た。
ーー ADVENT ーー
ドラグランザーが火球を吐き、地面の土砂が大量に舞い上がる。熱風と衝撃から光太郎をリュウガは庇い、粉塵が晴れた先に、ひよりを狙う三人の龍騎を目撃する。
カイザと戦っていた一人がこちらに狙いを変えたらしい。
「草加ぁ!! キサマ、どこまで卑怯なんだ!! 許さん!!」
リュウガは光太郎の声を背に、地面を蹴った。出血が激しくなるが、構わない。
この命は捨てたものだ。リュウガは恐れることもなく、三つの剣先に身体を晒す。
- 428 :愛しい君よ、微笑んで ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/10/10(水) 01:35:47 ID:SV53s30x0
- リュウガの身体が貫かれ、熱い痛みが胸を襲う。意識を失いかけたリュウガの耳に、悲痛な叫び声が聞こえた。
「リュウガァァァァ!!」
ひよりが呼んでいる。リュウガの意識は天上の月の光に誘われ、再び覚醒する。
ひよりは目の前に貫かれた男の血が、顔にかかった。
体温が宿った血に、焦燥しながら兄の名を呼ぼうとして違和感を感じた。
(お兄ちゃん……。違う、この人はお兄ちゃんじゃない。あの時、私の手を握ろうとした、お兄ちゃんとは……)
隕石が落ち、廃墟と化した街中、自分の傍にいると言った少年の影を思い出す。
目の前の青年はその少年の面影はない。しかし、兄に負けないくらい、自分に対する暖かさを感じた。
これは、最近も感じた想い。それがなんだったか思い出そうと必死なひよりに、言葉が蘇る。
ーー ……なんでそんなに必死になるんだ。自分の怪我も痛むのに
その言葉を言ったのは、目の前の青年だったのではないのか?
最近の言葉でもあったはずだ。だが、目の前の青年は、いま自分のために必死に戦っている。
彼の名も思い出せない自分を。
ひよりは必死に名を叫ぶ。だが、怖い事を思い出しそうな、心の傷が記憶を封じている。
それでもひよりは戦う。目の前の彼を、助けたかった。龍騎の剣が、彼の胸を更に深く進み、またも血がひよりに降りかかる。
もう止まらない。ひよりは彼に何かしたくて、閉じた記憶をこじ開ける。ひよりの『献身』が、『恐怖心』に打ち勝った瞬間だ。
「リュウガァァァァ!!」
振り向いた漆黒の龍の仮面の下の素顔が、微笑んでいる錯覚をひよりはした。
- 429 :愛しい君よ、微笑んで ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/10/10(水) 01:36:22 ID:SV53s30x0
- ひよりの声を受け、リュウガは三人の龍騎を掴み、ジャイアントスウィングの要領で回す。
一回転、二回転と速さが増していき、カイザを囲む二人の龍騎へと投げ飛ばした。
カイザへは矢車が助けに行っている。リュウガは相川始より譲り受けたカードをセットする。
ーー ADVENT ーー
群れを成すギガゼールが龍騎を取り囲み、一所にまとめる。
これが狙いだ。リュウガは剣が突き刺さったままの身体で、切り札を切った。
ーー FINALVENT ーー
漆黒の龍が鏡より現れ、『城戸真司が変身した龍騎』の時のように舞いながら天へと昇る。
リュウガは『城戸真司が変身した龍騎』のように、腕を振って構えをとる。
「ハァァァァァ……」
そして、『城戸真司が変身した龍騎』のように天へと跳び、前方宙返りを加える。
狙いは、固められている『草加が変身した龍騎』だ。
「ハァッ!!」
ドラグブラッガーの黒炎を受けて、灼熱の蹴りを龍騎へと迫らせる。
身体がどんどん加速していき、隕石の落下を思わせる衝撃を市街地に轟かせた。
リュウガの蹴りを中心に轟音が轟き地面がクレーターを作る。
粉塵が晴れていくと同時に、リュウガは変身が解け、力を失って重力に引かれる。
- 430 :愛しい君よ、微笑んで ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/10/10(水) 01:36:46 ID:SV53s30x0
- 自分の名を呼ぶ仲間たちの声を聞きながらも、意識を闇へと沈ませた。
□
「リュウガ、リュウガッ!」
自分の名を呼ぶ声に、リュウガは目を覚ます。時計を確認すると、一、二時間は意識を失っていたようだ。
自分の息が荒く、リュウガに残された時間が少ないことを示していた。
「泣くな、ひより……」
「だって、天道に続いてお前まで……」
ひよりの声に、その場に悲痛な空気が流れる。月の光に照らされたリュウガの顔は蒼白だった。
「死なせはしない! 俺はこれ以上、仲間を失うわけにはいかないんだ!
リュウガ、お前は俺の仲間だ! 一人だけ地獄に落ちようなんて、ずうずうしいぞ!!」
「きついな……矢車は……」
力なく微笑み、リュウガは鏡を見る。そこには、ドラグブラッガーがただ佇んでいるだけだ。
一つ決意したように、リュウガは光太郎に顔を向ける。
「俺が……草加を闇から救おうとさえ考えなければッ!!」
「南、そう悲しいことを言うな。俺はおまえに仮面ライダーと言われて、救われた。
俺だけじゃない。きっと、お前の力で……仮面ライダーに戻る奴もいるはずだ。
事実、俺はひよりのおかげで、仮面ライダーと言う名を知った」
「リュウガ……」
リュウガは腕に力を込めて、立ち上がる。仲間は止めるが、これだけはやめてはいけない。
でなければ、闇に沈むライダーを一人生むことになる。
「南、頼みがある」
「何ですか?」
「神崎の本拠地に、捕らわれている親子がいる。神埼が人質をとって、殺し合いを強制されている参加者がいるはずだ。
そいつを救ってやってくれ。俺にしたように……」
- 431 :愛しい君よ、微笑んで ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/10/10(水) 01:37:08 ID:SV53s30x0
- 「任せてください! 一緒に、その人たちを救いましょう!!」
光太郎が叫ぶが、リュウガは弱々しく否定する。
「駄目だ。そのライダーが死ぬか、殺し合いをやめてしまえばその親子は殺されてしまう。
だから、俺の残り少ない命を持って、その親子を守る」
リュウガはアドベントのカードを引き千切る。
それは、ドラグブラッガーとの契約の証。それを自ら破いた。
ドラグブラッガーが、理解不能という反応を返す。リュウガはドラグブラッガーと目を合わせ、自分の願いを告げる。
「ドラグブラッガー、あそこに辿り着けるのは、今はミラーモンスターのお前たちだけだ。
俺を食ってその腹の傷を癒せ。その代わり、あの親子をみんなが辿り着くまでに守っていてくれ」
「お前……本気か? リュウガ!?」
巧の言葉を、決意を込めた視線で答える。リュウガが本気と理解したのだろう、巧は悔しげに退く。
視線を戻すと、ドラグブラッガーは戸惑っている。それもそうだろう。
リュウガはドラグブラッガーと常に共にいた。自分の半身、兄弟といってもいい存在。
だがリュウガは止めない。仮面ライダーの名に懸けて。
「早くしろ! あの親子を救うには、それしかないんだ!」
「リュウガッ!」
泣いているひよりの頬に、リュウガはそっと涙を拭う。
自分の顔には、微笑が浮かんでいた。
「決めたんだな……」
「ああ。だからひより、笑ってくれ」
「……天道が言っていた。死に際に微笑まない奴は、生まれ変わらないって。
だから、笑え! 生まれ変わって、また僕に会いに来い! そう約束してくれるなら、僕も笑うから……」
「……また会おう、ひより。氷川によろしくな」
「ああ、まただ」
ひよりは泣きながら、無理矢理笑みを形作った。不器用な笑顔を、リュウガは美しいと思う。
- 432 :愛しい君よ、微笑んで ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/10/10(水) 01:37:36 ID:SV53s30x0
- そのまま穏やかな気持ちで、ドラグブラッガーに引きずり込まれる。恐怖心はない。
(すまない、城戸。お前の命をこんなことに使って)
ーー かまわないさ ーー
リュウガの耳に、もう一人の自分の声が聞こえた。
仮面ライダーリュウガは、満足してこの世を消えていく。
漆黒の龍が、泣いているように鳴き、鏡の世界を揺らがせる。
□
草加は雑居ビルの壁に背を預け、苦しげに喘ぐ。
本格的に毒が回ってきたのだろう。あと半日も生きられはしない。
しかし、草加には死ぬ気はない。人質をとり、脅せば光太郎は毒を除去せざる得ないだろう。
問題は、光太郎の何が毒を除去するきっかけになるかだ。結城の言葉を信じるなら、『怒り』がキーワードなのだろう。
とりあえず、体力を回復させるために数時間身体を休めることを決める。
だがその考えも無駄になる。足音が草加の耳に入ったからだ。
漆黒のロングコートを翻し、蓮がゆっくりとこちらに歩いてきた。そういえば、変身制限は解けている。
「……よく分かったな。あの中に本体がいないって」
「トリックベントは俺のカードだ。あの中に本体がいないくらい、分裂した数で分かる。
それに、お前は毒に侵された状態で戦うほど短慮じゃない」
「評価しているわけか。ありがとう……最悪の気分だ」
「なまじ一日共にいたわけじゃないからな。龍騎のカードデッキとファイズのベルトを返してもらうぞ。
それは……お前には相応しくない。あいつらが持っていた、力はな」
「なら力尽くで奪えばいいんじゃないかな?」
- 433 :愛しい君よ、微笑んで ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/10/10(水) 01:38:03 ID:SV53s30x0
- 「元よりそのつもりだ。言ったはずだ。お前を殺すのに……躊躇いはない!!」
蓮がナイトのカードデッキを取り出す。草加は面倒臭そうにファイズドライバーを取り出し、蓮と対峙する。
ファイズへの変身制限も解けている。アクセルフォームで一気に片をつけよう。
そう草加が思考し、ベルトを巻こうとした瞬間だった。
「GUWAAAAAAAA!」
獣の唸り声と共に、鏡より漆黒の龍が現れ、草加の右腕を食いちぎったのは。
右腕ごと、ファイズドライバーとファイズフォンが落ちた瞬間、草加の身体に牙が食い込み、鏡へと引きずりこまれる。
草加が気がつくと、反転した世界へと連れてこられる。戸惑う暇もなく、身体を天へと向けられ、黒龍の牙が草加の両脚を噛み落とす。
「がぁあぁぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁあっ!!」
続けて牙が更に深く身体に食い込み、血が龍の口から滴り落ちる。身体が下半身から刻まれ、激痛が草加の全身を襲う。
(俺は死なない! 生き残って、真理を救うんだ! 真理、笑ってくれ! 君が笑ってくれるなら、俺は……)
草加は残った左手を鏡へと伸ばす。その手を握ってくれる者は、もういない。
粒子が草加の身体からあがる。しかし、全身が消えるより前に、龍の牙が首を落とす。
草加の血走った目を宿した首は、地面に落ちる前に完全に消え去る。
龍の鳴き声がミラーワールドで轟いた。まるで、リュウガの仇を討ったと言わんばかりに。
一部始終を、カードデッキを持っていた蓮は目撃していた。
ドラグブラッカーが現れたということは、リュウガは死んだのだろう。
奴に聞きたいことがあったが、あの出血ではしょうがない。草加の残したデイバックとファイズドライバーを手に取る。
城戸のカードデッキがあったことに安堵を覚えながら、踵を返す。
この世界、ミラーワールド自体はある。しかし、制限により自分たちはミラーワールドへと入れない。
草加を救う手段など、ないに決まっている。もっとも、救う価値のない男だが。
蓮は皮肉だと思う。最初に出会い、手を組んだ最悪の男の最期を目撃したのは、自分だ。
最初に草加を見つけたときと同じように、蓮は黙々と歩みを進め、仮初の仲間の元へと戻る。
- 434 :愛しい君よ、微笑んで ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/10/10(水) 01:38:27 ID:SV53s30x0
- 手にした城戸のカードデッキが、やたら重たかった。
□
「間に合わなかった……」
光太郎が呟き、その場に沈黙で包まれる。草加の最期は蓮が伝えてくれた。
ひよりは目の前の結城に感謝の祈りを捧げる。彼の優しい瞳は二度と開かない。
シャドームーン、リュウガ、結城と親しい者が続けて亡くなったが、ひよりの心は折れない。
リュウガが自分の道を示す光となった。自分はそれに応えなければならない。
リュウガのブランクのカードデッキを握り締め、結城の死体へとひよりは抱きつく。
「ひよりさん?」
光太郎の呟きを無視して、ひよりの身体が緑の光を放つ。
たちまち、水が崩れていくような現象を身体が起こして、その姿を目の前の死体と同じ姿へと変えていく。
「これは……擬態か」
「うん。僕もこれで……首輪を解除することが出来る」
結城への姿から、ひよりは元の姿に戻り、みんなに告げる。戦うのは仮面ライダーだけじゃない。
「僕も戦う。みんなと一緒に、元の世界へと帰りたいから……」
ひよりの決意に、光太郎と矢車が頷き返す。もう誰も死なせない。
それが新たな、ひよりの決意だった。
(天道、加賀美、リュウガ、僕を見守っていてくれ。必ずみんなの力になるから)
日下部ひよりの戦いは、今始まりのゴングを鳴らした。
「乾?」
蓮が見張りの様子がどうか尋ねようと巧を探すが、姿が見当たらない。
しばらく脚を進めると、蓮の目に放置されたファイズとカイザのベルト、及びドレイクグリップがあった。
- 435 :愛しい君よ、微笑んで ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/10/10(水) 01:38:52 ID:SV53s30x0
- 蓮は巧の意図を理解する。草加の言葉に、仮面ライダーでいられなかったのだ。
その場においてある変身道具を回収し、花鶏へと踵を返す。
龍騎のカードデッキ以外は矢車に預けてある。
(世話の焼ける奴だ)
蓮は不安を感じ、仲間の元へと戻った。
ドラスを倒すまでしか、面倒を見ないと内心呟きながら。
□
廃墟を進む巧は、崩れ落ちたビルを虚無の瞳で見つめる。
草加の話によると、オルフェノクの本能に負けた自分は啓太郎や木場さえ殺している。
いつ、あの場にいる仲間を殺してしまうか分からない。
巧は裏切られることより、裏切ることの方が恐ろしかった。
自分の刃が仲間を傷つける前に、
(ドラス……お前を殺す。オルフェノクとしてな……)
そして死のう。巧は当てもなく彷徨い続ける。
□
どことも特定できない空間、そこに神崎は佇んでいた。
目の前にあるのは、ガラスケースに入れられたカード。ガラスケースにはケーブルがついており、測定器がカードの波長を拾っている。
このカードは神崎の切り札の一つだ。早急に調整する必要があるため、手を加えている。
その神崎に、スマートレディの甘い声が報告をしてくる。
「たいへ〜ん。神崎さん、栗原親子を監禁している部屋のガルドミラージュちゃんたちが、全滅してしまいました〜」
「何……脱出を果たした参加者がいるのか?」
- 436 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 01:39:06 ID:KYVwEQRs0
-
- 437 :愛しい君よ、微笑んで ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/10/10(水) 01:39:32 ID:SV53s30x0
- 「いいえ、ドラグブラッガーちゃんが、急に現れてあの親子を守っているみたいなんですよ。
どうします? オーディンを呼び出します?」
「……オーディンへと連絡を繋いでくれ」
「その必要はありません」
何もない空間に、オーディンの姿が映る映像が浮かび上がる。
「始末に戻りましょうか? 出来れば、すぐに戻りたいのでもう一つ首輪を用意していただけるとありがたいのですが」
「いや、その必要はない。引き続きその場で殺し合いを進めろ。
そして、命令を変更する。リュウガは死んだ。今一番殺さねばならない者は……日下部ひよりだ」
オーディンは恭しく頷く。神崎は説明を続けながら、ガラスケースに収められたカードを見つめる。
「ドラグブラッガーはケルベロスのカードが調整終わり次第、始末する。
遅くとも昼の十二時には調整が終わる。試運転も兼ねて動かせるし、ちょうどいい」
「しかし、なぜ日下部ひよりを?」
「……結城丈二へと擬態した。日下部ひよりが首輪の構造を知れば……クロックアップとの併用でどの首輪でも解除が出来てしまう。
ハイパークロックアップなら、更に確実だ。連中の手に入る前に、始末しろ。
相川始にも手伝わせろ。どんな手を使ってでも……殺せ」
オーディンは御意と応えて、通信を切る。神崎はケルベロスのカードを見つめながら、ここまで抵抗を示すライダーたちに辟易していた。
- 438 :愛しい君よ、微笑んで ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/10/10(水) 01:39:43 ID:SV53s30x0
- 首輪は彼ら自身のエネルギーをバッテリーにして半永久的に動く。
人間である連中にはともかく、怪人たちには解除の見込みなどないはずだった。
しかし、首輪の盗聴に使っている小さな穴にある信管を一本切れば、首輪が外れて爆破するまで一秒ほどのタイムラグを作ってしまう。
もともとは意味のないタイムラグ。しかし、クロックアップをもつ日下部ひよりなら話は別だ。
その信管を切り、クロックアップを使って首輪を爆発までに投げ捨てることが可能。
もちろん、解析が進まねば気づかぬ首輪の欠点ではある。だが、小沢なら確実にそのことを突き止めているはずだ。
だから、全ての首輪を解除できる彼女を殺す。神崎の腹は決まる。
視線の先のケルベロスアンデッドのカードが、神崎を地獄に誘うように、唸り声を上げる。
(優衣、笑ってくれ。俺が必ず、お前を救う!!)
神崎の決意は、奇しくもリュウガと草加の二人と同じものだった。
- 439 :愛しい君よ、微笑んで ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/10/10(水) 01:39:57 ID:SV53s30x0
-
【リュウガ 死亡】
【草加雅人 死亡】
残り15人
【日下部ひより@仮面ライダーカブト】
【2日目 現時刻:黎明】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:本編中盤 シシーラワーム覚醒後。
[状態]:右肩に重傷(処置済み)右脇腹に刺し傷(処置済み)打撲。結城への擬態が可能に。
[装備]:カードデッキ(リュウガブランク+コンファイン)
[道具]:アドベントカード(ギガゼール)。
[思考・状況]
1:首輪を解除する戦いをする。
2:脱出をしてみんなで帰る。
[備考]
※1:記憶を取り戻しました。
※2:結城への擬態が可能になりました。ライダーマンへの変身は行えません。
- 440 :愛しい君よ、微笑んで ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/10/10(水) 01:40:15 ID:SV53s30x0
- 【南光太郎@仮面ライダーBLACK RX】
【2日目 現時刻:深夜】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:第1話、RXへのパワーアップ直後
[状態]:今までに無い深い悲しみ。
[装備]:リボルケイン
[道具]:無し
[思考・状況]
1:殺し合いなどしない。脱出を目指す。
2:リュウガの言う、闇に落ちた人々を救う。
3:シャドームーンの死に深い悲しみ。
4:打倒主催。その後、元の世界に戻ってクライシス帝国を倒す。
[備考]
※1:黒幕はクライシス帝国、神崎はその手の者であると勝手に確信しています。
※2:ドラスをクライシスの怪人だと思っています。
- 441 :愛しい君よ、微笑んで ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/10/10(水) 01:40:35 ID:SV53s30x0
- 【矢車想@仮面ライダーカブト】
【2日目 現時刻:黎明】
【現在地:市街地E-4】
[時間軸]:8話 ザビー資格者
[状態]:全身に負傷(応急処置済み)
キックホッパー、ナイトに90分変身不可
[装備]:ホッパーゼクター&ホッパー用ZECTバックル
ライダーブレス(ザビーゼクターは2日目03:30に修復完了しています)
[道具]:ゼクトマイザー。トランシーバー(現在地から3エリア分まで相互通信可能)。
スコッチの小瓶2本。装甲声刃。救急箱。精密ドライバー。
バタル弾。配給品一式×16(草加、北岡、木野、キング、睦月、 結城(名簿を除く)、
霞のジョー、加賀美、影月、ひより、リュウガ、岬、明日夢、佐伯、純子、矢車)
サイ。オルゴール付懐中時計。鬼笛。
ディスカリバー。 ウォッカの小瓶2本 。ドクターケイトの杖の説明書。
ミネラルウォーター×2(一本は半分消費) カレーの缶詰 乾パンの缶詰
アイロンを掛けた白いシャツ(抱き枕にされたせいで少し皺になりました)
リキュールの小瓶2本。カラオケマイク(電池切れ)。
トランシーバー(現在地から3エリア分まで相互通信可能)。首輪(ドクトルG)
[思考・状況]
1:脱出を目指す。
2:パーフェクトハーモニーの極意を悟り、無我の境地。
[備考]
※1:クライシスと神崎士郎が利害の一致で手を組んでいる可能性が高いと考えています。
※2:ゼクトマイザーは制限により弾数に限りがあります。現在、弾切れです。
- 442 :愛しい君よ、微笑んで ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/10/10(水) 01:40:53 ID:SV53s30x0
- 【乾巧@仮面ライダー555】
【2日目 現時刻:黎明】
【現在地:市街地E-4】
[時間軸]:中盤くらい
[状態]:全身に打撲、切り傷など、極度の負傷。
一時間変身不可(カイザ)
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1:死に場所を求めている。仲間の元には戻らない。
2:主催者に言いようのない怒り。神崎は絶対ぶっ飛ばす。
3:ドラスを倒す。
【秋山蓮@仮面ライダー龍騎】
【2日目 現時刻:黎明】
【現在地:市街地E-4】
[時間軸]:34話龍騎サバイブ戦闘前後。
[状態]:中度の負傷。
[装備]:カードデッキ(ナイト+サバイブ)
[道具]:配給品一式。 コニャックの小瓶 ソムリエナイフ
カードデッキ(龍騎+サバイブ烈火)。
カイザドライバー(カイザブレイガン、カイザポインター)。
ファイズドライバー(ファイズポインター、ファイズショット、ファイズアクセル)
ドレイクグリップ。
[思考・状況]
1:乾がいないことをみんなに伝える。
2:いずれ倒すべき相手だとはいえ、仲間の存在に奇妙な脱力感と安心感。
3:自分の現在の境遇に、僅かに疑問。
- 443 :愛しい君よ、微笑んで ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/10/10(水) 01:41:23 ID:SV53s30x0
-
【オーディン@仮面ライダー龍騎】
【2日目 現時刻:早朝】
【現在地:海岸J-4】
[時間軸]:神崎士郎と同時間軸
[状態]:健康。2時間戦闘不可(オーディン)
[装備]:カードデッキ(オーディン)、爆破機能のない首輪、ゴルトバイザー
[道具]:佐野満のディパック
[思考・状況]
1:経験値を上げる。日下部ひよりを優先的に殺す。
2:相川始を利用する。
- 444 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 01:42:25 ID:KYVwEQRs0
-
- 445 :愛しい君よ、微笑んで ◇WXWUmT8KJE(代理):2007/10/10(水) 01:43:07 ID:SV53s30x0
- 投下終了。最近さるさんが厳しくなっている気がしますorz
誤字や矛盾の指摘をお願いします。
支援、及び代理投下ありがとうございます。
矢車さんの道具欄が凄いことに……
----
以上、代理投下終了です
一カ所、タイプミスがありましたので投下時に修正しました
(ラッキクローバー→ラッキークローバー)
- 446 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 01:46:46 ID:1ZfXhGfA0
- 投下乙
とりあえず、既に死んだ人間の擬態は出来ない気がするんだが
- 447 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 02:01:43 ID:bUj/wBEx0
- 乙ー
りゅ、リュウガ・・・空気卒業かと思ったら…
でもさ、城戸を取り込んでるんだから城戸の遺体を使えば…って駄目なのか?
擬態はどうなんだろ。意識をコピーする、てのなら無理そうだけど。
あとSTRANGEVENT の効果がやばくね?リモートされたアンデッドだって弱体化激しいのに。
そもそも草加は効果知らないはず…
- 448 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 02:18:34 ID:bUj/wBEx0
- あとナイトのデッキを光太郎に使わせれば解決な様な・・・
- 449 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 02:45:36 ID:SV53s30x0
- 乙です
>>426の真ん中辺り、
「 時を龍騎がトリックベントを〜」は「 時『は』龍騎がトリックベントを〜」でしょうか。
死体の擬態ですが、出来るのかという疑問をさておいても
出来ることにすると死体が残っているすべての参加者を擬態できることになってしまいますから
さすがにやめておいたほうがいいような気がします。
他にも脱出フラグはありますし、無理に擬態させる必要も感じません。
- 450 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 09:06:11 ID:MaCcfoXx0
- お二方ともGJ!
ガライ&睦月vsキング&冴子、リュウガvs草加。どちらも熱いバトルでした。
ガライたちチームは脱出に一歩近づきましたが、冴子らがリベンジマッチを挑んできそうなのでこのまま無事ことを終えることができるのか、楽しみになりました。
氷川が無自覚ですが、彼の首輪が解除できれば脱出可能なのもわくわくする展開です。
リュウガと草加はどちらともらしい最後だったと思います。
最初の頃と今のリュウガの対比が良かったですね。偶然とはいえひよりの兄とされるのも。そして、それがひよりの回復に繋がるというのも素晴らしい展開でした。
草加の龍騎はリュウガと龍騎との決着。昔のリュウガとの決着も同時に果たしていてこれも良かったです。
- 451 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 09:09:40 ID:MaCcfoXx0
- 続いて指摘事項になります。
手の鳴るほうへ
1.ガライが宇宙人ということを知っているのか?
情報を知りえる手段としてはガライが喋って、睦月から経由するしかないが、そんな描写はなかったはずです。ガライも果たしてわざわざ話すでしょうか。
2.キング(アンデッド)はライダーシステムで変身できるのか?
議論向きです。わざわざ伊坂が有資格者を探していたぐらいだから、アンデッドは変身できない気がします。
ジョーカーのシステムを参考にしたという話でしたが、ジョーカーは何にでもなれるということが能力で他のアンデッドは無理なのではないでしょうか。
3.今回の開始時刻3時30分になっていましたが、描写から4時が適当ではないでしょうか。
前も指摘がありましたが時間書くことがやっぱり足ひっぱっていると思います。他の人が時間を書いていたら、この話の構築自体危ういでしょうし。
4.「見ていろ、おれは必ず頂点に立つ。あの世で奴が歯ぎしりするくらいに強くなってやる」
台詞に違和感。小沢にかかるなら歯ぎしりするくらいというのは小沢に当てはまらないし、シャドウにかかるなら前後の文章ではシャドウの名はまったく出てきていないのでわかりづらいです。
あと台詞回し。別の誰かの口癖とかギャグを入れるためにわざわざ台詞を崩すのはどうでしょうか。ギャグ回でもないんだから絞るべきだと思います。
5.首輪解除まで20時間長すぎ。
ライダーロワの進み具合から考えて首輪解除は無理と言っているようなものかと。あと麻生の首輪を分解して爆発しなかったので多く見積もっても6時間以下だと思われます。
愛しい君よ、微笑んで
1.誤字
神崎が神埼になっている箇所がありました。また、ドラグブラッカーがドラグブラッガーになっています。
2.ストレンジベント
前レスでもありましたが、草加が違和感なく使っているのに違和感がありました。
あれはどんなものか説明もないみたいですし、何か使おうと思ったら、変化してという描写の方が適切では。
3.全体的に
ここでの雑談を大分意識されたのか、多少詰め込みすぎな印象がありました。
もうちょっと絞ってもいいかなと。
長文失礼しました。
- 452 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 10:10:57 ID:/YZbTeY00
- >クロックアップとの併用でどの首輪でも解除が出来てしまう
…今更この部分はどうなのだろう。
首輪の抑制でクロックアップの力は
555アクセルと大して変わらない程度まで制限されているんじゃ?
- 453 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 17:55:39 ID:vgh+Yvix0
- 首輪の劣化の影響じゃない?
- 454 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 18:05:15 ID:/YZbTeY00
- だとしても、それが可能なら小沢姐でも出来ただろ。
コーカサスがハイパーゼクター使えるの知ってるし
科学者で容量が良いからクロックアップ使えることくらい理解してるはず。
結城に擬態できた剣だってスコルピオで実行可能だったし
天道だって度肝を抜くようなことを平気でするような人間だからしてたと思う。
- 455 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 18:09:51 ID:vgh+Yvix0
- 感想忘れてた、すまん。。
今読み終わった。両者とも乙です。草加の最後がらしくて良いなと思った。
まさに因果応報。
光太郎の【怒り】というキーワードにまさか・・・と思いつつも次回も期待してます。
- 456 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 18:11:49 ID:/J0QKybkO
- それ以上は毒吐きかしたらば雑談いった方がよくね?
本スレ汚す必要もないだろ。
- 457 : ◆ooH1rChbak :2007/10/10(水) 18:13:47 ID:g2ir3RN+0
- GJ!
リュウガ……ついに逝ったか。
以前、善人化フラグを立てた時から、随分成長したなぁ。
ひよりを直向に護ろうとした天道に重なるところがまた……。
草加を殺したのが、ドラグブラッカーだったのも意外。
リュウガらしく、とても素晴らしい死に様でした。
相川始、上城睦月、ガライ、城茂、氷川誠、オーディン予約します。
でも、首輪の件とかの議論待ちかな。
- 458 : ◆WXWUmT8KJE :2007/10/10(水) 19:28:55 ID:YotTQTvX0
- 修正版を一時投下スレに投下しました。
マップ&進行表更新です。
ttp://ud.gs/40a6h
>>452
信管を切ることで一秒だけタイムラグが出るので、その一秒間、クロックアップを使えばとれると本文中に記載しました。
天道の時点では首輪の解析は終わっておらず、小沢さんはライダーブレスを自由に使える状態でなかったため、問題ないと描写しました。
今回その点は修正時にごっそり切り落としましたが、機会があればまた使ってみるのもいいとおもっている首輪解除案です。
あと、アクセルフォームとクロックアップで、クロックアップが優れていると描写されたこともなければ、描写したこともありません。
公式でもそう明言されていませんので、アクセルでも可能だと思います。
- 459 : ◆s.0z/S/80k :2007/10/10(水) 19:38:16 ID:SV53s30x0
- >>458
実際問題、首輪解除実験時に小沢さんはブレスをジャーク将軍に要求しているのだから
ブレスが自由に使えないのは理由にならないような気がします。
少なくとも、先の解除実験後そのままブレス持ち状態でクロップアップ解除の実験ができたでしょう。
また小沢メモに首輪の構造とタイムラグについて書いてあるなら、
別に結城に擬態したひよりに限らず
メモを理解する能力があってクロックアップできる人なら
誰でも首輪解除できるんじゃないでしょうか。
氷川は世界に冠たる不器用なので除外するとしても
矢車あたりは頭もいいし料理上手=手先も使えるだろうから、十分いける気がします。
ガライは微妙w
アイデアとしては好きなのですが。
>>451
ご指摘ありがとうございます。
1:ごく序盤、「興奮の醒めやらぬまま少し会話をしたものの」という部分で
この情報が渡っていたという認識をしています。
ただしこれだけでは曖昧かもしれませんね。
必要というご意見が多ければもう少し描写を追加しましょう。
2:ぜひ議論していただければ助かります。
剣系システムの使用については既に剣キャラですらない木野ギャレンの前例があるので、
私自身は当ロワ内での基準は本編で明確に示唆されたものより広いと認識していました。
(本編で伊坂が資格者を探していた理由も、自分が変身できないからだとは明言されていませんし)
あの状況でブレイドに変身できるなら、キングがそういう嫌がらせをしないほうが不自然
という判断で今回はあえてブレイドを取りました。
ブレイドが使えなければオルタナに変更することで話の筋に影響なく修正できます。
- 460 : ◆s.0z/S/80k :2007/10/10(水) 19:39:54 ID:SV53s30x0
- 3:ステータス表内の開始時刻は2:30(前作の終了時刻)となっていますのでご確認ください。
時刻表記についてはまとめサイト変身時刻表に準じた30分刻みの「目安」にすぎません。
(本当に細かく時刻管理するなら、最低でも十分単位で管理したいところです)
単に移動・行動などの消費時間が不自然ではないかという点をチェックするためのものですので
邪魔であれば今後は仮稿のチェック用にのみ乗せて本投下では削るようにしましょう。
私自身はいっそ5分刻みぐらいで時間経過が解ったほうが出来ること・出来ないことが明白になって
プロットを組みやすいのですが、そういう方ばかりではないのですね。勉強になります。
4:前後(>>362)をよくお読みください。ガライ自身も誰に向かって言っているのか理解していません。
彼がこの言葉を吐いた相手が誰なのか、それをつきとめるのが彼にとっての次のステップでしょうね。
口調が崩れている、と思われたのは具体的にどの辺ですか?
5:>>394の通り実際にはこれより短いですので、以降の書き手さんが根拠を上げて短くして下されば問題ないと思います。
それとも、小沢メモに全部書いてあったことにしますか?
(ただしその場合も、小沢が麻生の正確な死亡時刻を知っているかは微妙なので、
直前の放送があった18時が算出基準で約8時間の推定になるのではないかと)
今回はガライが即座に把握できる範囲での解除時間=最大限のリミットとして
20時間という数字(みかけの解除時間)を出してあります。
ご指摘の通り、今の状況で20時間は絶望的な長さですから、
正確な時刻が算出されない限り、氷川は無駄な苦労をしなきゃいけないわけです。
ステータス表で「遅くとも」と「最終変身時刻」を併記したのはそのためですが
今からあらかじめ時刻を算出しておいて「実際の機能停止時刻は○時」と付け加えるのが良いのかもしれませんね。
- 461 : ◆s.0z/S/80k :2007/10/10(水) 19:42:21 ID:SV53s30x0
- ところで不躾なのですが、仮稿をご覧になってのご指摘でしたら
本投下前に頂ければあらかじめ修正して投下できるので助かります。
私としてもこういうご指摘が大切と認識しているので、あえて推敲前の仮稿を晒しているわけですし。
本投下後にご指摘頂くのでしたら、できれば本投下の文章もご確認いただけないでしょうか。
ひとつひとつ理由を付けてお答えするのは言い訳がましく見えてしまいますので。
もちろん本投下後はご意見を伺いたくないという意味ではなく、
スレで余計な議論をせずに修正できるものはできるだけ投下前に修正しておきたいのです。
そんなの甘えだ、男なら一発勝負しろとおっしゃるのでしたら何も言えませんが。
- 462 : ◆WXWUmT8KJE :2007/10/10(水) 19:45:29 ID:YotTQTvX0
- ちょっと3について。
実は分刻みで時間を管理したロワがあります。
今は過疎っている原因の一つにもなっているため、時間を細かく決めるのは自殺行為です。
後続としては時間が曖昧な方が書く時に選択肢が増えるので、正直時間を明記するのは困ったり。
- 463 : ◆s.0z/S/80k :2007/10/10(水) 19:47:26 ID:SV53s30x0
- >>462
了解しました。自分の中でのチェック専用にします。
この先、仮稿に乗せている場合も本投下には入れませんのでそれでよろしいでしょうか。
- 464 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 20:01:42 ID:UQWquTTB0
- >>461
関係ない俺が言うのもなんだが、投下前に晒すのは自分で作った俺ルールだよな。
わざわざ指摘しているっていうのに本投下前にしろっていうのは傲慢だろ。
スレで余計な議論をする前にって、どの道指摘するんなら議論にならないか。
- 465 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 20:05:49 ID:YotTQTvX0
- >>464
まあまあ、そう喧嘩腰にならずに。
雑談スレ
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9061/1177088003/
仮面ライダーバトルロワイヤル毒吐きスレ・別館
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/8882/1182007206/
どちらかへどうぞ。
- 466 : ◆s.0z/S/80k :2007/10/10(水) 20:16:56 ID:SV53s30x0
- >>464
本投下前であれば、指摘された部分は最大限反映できますが
(誤解を呼ぶような書き方をした時は書き手のミスですので、直すのが当然と思っています)
投下後だとどうしても直しを最低限にしたいという意識が働く、というのがひとつ。
まとめの方にもお手数をおかけしますし、スレしかご覧にならない読み手の方も困りますし。
もちろん仮稿を見ていただくのはお時間がおありの方の好意だと思いますのでお願いはできません。
ただ今回の「指摘」が、明らかに仮稿に対する指摘なのに(3:30、ガライの発言)本稿に対して投下されているので
あと少し早く出していただければ修正すべきところは修正して出せたのに、
(そして密かに、本投下はご覧になっていただいていないのだな)と感じました。
基本的には本稿だけをご覧になってのご指摘が普通だとおもいますし、
実際今までも、本稿投下後も必要ならば大幅な修正を入れているのはご存知の通りです。
>>645
下のほうは、私は書けないんですよね……w
続けるのでしたら、上でお願いできますか?
- 467 :名無しより愛をこめて:2007/10/10(水) 21:24:34 ID:1TTP4Ocr0
- >>457
新作楽しみにしてます!!久しぶりですね。
>>458
修正投下&マップ更新乙です。
なんかマップ見たらしみじみしちゃったなぁ。
いろんなドラマがありましたね。
>>466
生意気な意見かとは思いますが……
物語は結末だけでなく経過にも、むしろ経過にこそ価値があるのですから。
この言葉は書き手読み手双方の有り方にも当てはまる気がいたしますね。
- 468 :名無しより愛をこめて:2007/10/11(木) 00:57:24 ID:pOy6jSgeO
- >>458
投下に修正&マップ更新乙でした!
草加はやっぱり悲惨な最期…でも奴らしい。。
神崎の切札がケルべロスと聞いてケルべロスU(神崎Ver)を想像して何故か笑いが…ww
でも、ケルべロス単体(T)でも能力的にかなり厄介ですからオーディンに加えライダー達の脅威になること間違いなしですね!
そしてマップですが改めて見ると「終わりも近いんだな」と実感しますね…
>>457
ついに睦月と始が対峙!?オーディンの動きも気になります!
向こうでの議論・修正が終わってからになると思われますが新作、楽しみにしてます。
- 469 :名無しより愛をこめて:2007/10/11(木) 01:21:54 ID:/5vbihpe0
- そういや、睦月と始がなんとか帰還できたとして。
そこには剣崎が生きてるんだよな?
- 470 :名無しより愛をこめて:2007/10/11(木) 01:43:01 ID:yEohtY5RO
- 矢車の世界の天道達どうなるんだろ
この矢車が8話辺りに戻ったらどうなる事やらW
- 471 :名無しより愛をこめて:2007/10/11(木) 03:13:03 ID:g00Otu3Q0
- リュウガはミラーワールドで生まれた存在なんだから、
首輪はずして城戸と分離したら神崎のところいけるんじゃないのか?
- 472 :名無しより愛をこめて:2007/10/11(木) 04:31:46 ID:/O7zIJSb0
- 爆弾付きだし、一応神崎とはミラーワールド世界の住人みたいだが。
- 473 :名無しより愛をこめて:2007/10/11(木) 05:15:12 ID:/O7zIJSb0
- ミラーワールドの前に「異なる」入れ忘れてた…
- 474 :名無しより愛をこめて:2007/10/11(木) 07:14:57 ID:ZTtoro4u0
- 首輪を一気に磨耗させられるようなエネルギーか……
Jスピリットくらいしか思いつかんが、瀬川さん誰も知らない&瀬川さん自体禁止エリア内という罠www
- 475 :名無しより愛をこめて:2007/10/11(木) 14:16:28 ID:XmV6n5xC0
- 思いつく限りでは、
逆ダブルタイフーン、ハイパーマキシマム〜、ロイヤルストレートフラッシュ、
などの要するに超威力の技を使えばいいんでない?
- 476 :名無しより愛をこめて:2007/10/11(木) 17:44:53 ID:/O7zIJSb0
- ハイパーマキシマムは少し違わないか?
あれはパーフェクトゼクター固有の力だと思うんだが。
- 477 :名無しより愛をこめて:2007/10/11(木) 17:53:36 ID:cKR8aEUAO
- 技使うのと、首輪にエネルギー吸い取られるの別の話じゃね
- 478 :名無しより愛をこめて:2007/10/11(木) 18:07:47 ID:0YegQU3bO
- 光太郎の不思議な力が発動したら首輪がキングストーンを抑え切れないと思う
- 479 : ◆s.0z/S/80k :2007/10/11(木) 18:51:43 ID:Yh5DZ8l4P
- 報告が遅れましたが、>>352に修正案を上げてあります。
主に赤字の部分ですが、それ以外も一部手を入れています。
お手透きの方にご確認頂ければ幸いです。
- 480 :名無しより愛をこめて:2007/10/11(木) 18:54:09 ID:8kZ683QC0
- >>476
ハイパーマキシマムは各ゼクターを装着するだろ?
だからまあザビー・ドレイク・サソードのエネルギーを使うかなって思って。
>>477
技使う=エネルギーを放出する じゃね?
- 481 :名無しより愛をこめて:2007/10/11(木) 20:37:51 ID:RfdNqJTFO
- ブレイドKの議論は残ってると思いますが、一言言わせてください。
修正投下乙でした。そしてGJ!
それぞれの心情がよりくっきりとしていると思います。
- 482 :名無しより愛をこめて:2007/10/11(木) 22:19:06 ID:/O7zIJSb0
- 修正版も見たけど、ザビーゼクターがまだ到着していないのは
ちょっと不思議な気もするな。
神崎はリアルタイムで全員の生死を確認できるから
オーディンがリュウガを殺すことを提案していたときはまだ生存していたことになり
リュウガが死亡したのは4時過ぎになるのは確かだろうし。
- 483 :名無しより愛をこめて:2007/10/12(金) 00:00:14 ID:w8h/ziNP0
- >>475
火柱キックとか超電子ウルトラサイクロンとか命を賭けた超大技じゃないとキツいだろう
- 484 : ◆WXWUmT8KJE :2007/10/12(金) 00:11:33 ID:DfVdsJ720
- >>482
リュウガ達の戦闘は矢車さんグループの制限が解ける前、二時前の出来事です。
その時点ではザビーは復活していないので、登場させていません。
本文中にも、リュウガが一度気を失って、再び目を覚ますまでに二時間ほど経っている描写も入れています。
ですのでリュウガの死は、四時付近と言うことになっています。
分かりにくくて申し訳ありません。
ザビー復活と巧復活、ロボライダー登場という美味しいシチュエーションを独り占めするのも、どうかと思いますし。
- 485 :名無しより愛をこめて:2007/10/12(金) 00:26:33 ID:NUTZ19aC0
- 作者さん来てるのか。
ちょっと聞きたいんだけど>>448はどうなんだ?
- 486 : ◆WXWUmT8KJE :2007/10/12(金) 00:29:13 ID:DfVdsJ720
- >>485
蓮にトリックベントを使った時点で、本体を捜索したと明言させています。
- 487 :名無しより愛をこめて:2007/10/12(金) 00:34:59 ID:NUTZ19aC0
- でもその時点じゃ蓮の制限は解けてなかったんだから、変身できないけどデッキは持ったまま捜索に入った、ってこと?
- 488 : ◆WXWUmT8KJE :2007/10/12(金) 00:40:45 ID:DfVdsJ720
- >>487
そういうことです。
捜索は危険が高いとは言え、戦闘は制限解除後に行えばいいですし。
それに、蓮はやすやすと他人にカードデッキを貸せるような奴じゃないですし(ジョーカー戦時は矢車から貸すように言われた上、状況的にしょうがなかった)、
光太郎さんはカードデッキを使って変身しようと考えるよりも、身体が勝手に動く人です。
あの状況で蓮がカードデッキを貸す状況はキャラ的に合いません。
- 489 :名無しより愛をこめて:2007/10/12(金) 00:50:21 ID:NUTZ19aC0
- なる。…でもその矢車なら状況を冷静に判断してまた貸せって言わないか?
- 490 : ◆WXWUmT8KJE :2007/10/12(金) 00:56:28 ID:DfVdsJ720
- >>489
矢車さんが声をかけようとしたら、蓮はすでにいなくなっていたという方向で修正します。
ただ、用事があるため、投下は遅れますが。
結果は変えないので、繋いでもらっても問題ないと思います。
- 491 :名無しより愛をこめて:2007/10/12(金) 09:01:25 ID:ljN5EuJd0
- まとめサイト更新。
とりあえず『手の鳴るほうへ』に関しては本投下分を反映しております。
修正版が投下されたら、改めて反映いたします。
- 492 :名無しより愛をこめて:2007/10/12(金) 13:48:13 ID:0fwJUQOTO
- >>491
まとめ更新乙です。
指摘について考えてみたが、敬語も感想もないで指摘ってどうよ。
しかもまともに読んでいると思えない指摘もあるし。
修正宣言には何も言わんしさ。
そうとう失礼じゃね?
書き手は自動話製造マシーンじゃないんだ。
- 493 :名無しより愛をこめて:2007/10/12(金) 14:42:46 ID:w3QkHJ7C0
- >>491
いつも乙です。
>>492
同意です。
- 494 :名無しより愛をこめて:2007/10/12(金) 15:52:35 ID:x8ETM/Vv0
- >>484
だとしたらやはり全員の状態の時間が早朝でないと話が合わないのですけど。
- 495 :名無しより愛をこめて:2007/10/12(金) 17:01:15 ID:2QsygJW50
- >>494
申し訳ないですが、それだけではわかりずらいので、雑談スレの方で根拠をあげた上でどうぞ。
- 496 : ◆s.0z/S/80k :2007/10/12(金) 17:33:34 ID:dkxvVhdDP
- 結局、キングのブレイド化については使わないほうが無難だが融通が利いてもいいのでは、という
ご意見を1つ頂いたきりですので、
他に差し支えなければ現状の>>352を決定稿としてもよろしいでしょうか。
>>491
乙です。
決定稿も一時投下スレに投下し直したほうが良いですか?
- 497 :名無しより愛をこめて:2007/10/12(金) 19:10:33 ID:rvf0fCv5O
- >>491
まとめ更新乙です。
いつもありがとうございます!
>>496
修正乙です。
キングブレイドの件は自分も許容範囲内だとおもいます。(木野ギャレンもありましたし。)
あと修正Verですが投下スレに投下された方が閲覧しやすいと思います。
- 498 :名無しより愛をこめて:2007/10/12(金) 19:10:49 ID:x8ETM/Vv0
- >>491
状態表の城茂の欄の
>その途中、パーフェクトゼクターを狙うキングと遭遇。
>会話中に乱入した浅倉のせいで、キング、浅倉両名と戦うことに。
>霞のジョーの助っ人により、キングとの戦いに専念。乾巧とあきらの助けを受け、撃退に成功する。
と
>シャドウの遺志を継いだレンゲルと戦い、一応の決着は果たした。
の後の
>気付いてみればジェネラルシャドウとしか戦っていない城茂であった。
矛盾してますよね?
- 499 :名無しより愛をこめて:2007/10/12(金) 22:53:02 ID:cF+CxOWR0
- スペードのカテゴリーキングはカテゴリーエースと酷似しているから
ブレイドだけ変身可能かと思ったんだけど苦しいこじつけかな…?
- 500 : ◆s.0z/S/80k :2007/10/12(金) 22:53:12 ID:dkxvVhdDP
- >>497
投下してきました。
雑談スレでご指摘のあったジャーク将軍の時間帯の直し忘れも直しておきました。
- 501 :名無しより愛をこめて:2007/10/13(土) 03:42:05 ID:i8J1Ys6sO
- 勢いがあるのはいいことなんだが、今はもう書き手が固定化してるんだな。
新規の方はそりゃ無理だろうけど。
DQFF1stみたいに最後は一人が仕上げるってなりそうだ
- 502 :名無しより愛をこめて:2007/10/13(土) 20:08:07 ID:SY9kGJvx0
- >>500
まとめサイトに反映いたしました。
『Quod Erat Demonstrandum』におけるオーディンの発言に関しても修正してます。
具体的には、標的を名指しにせず条件を提示するだけにしました。
>>498
該当する話をごらんいただければ、わかると思いますが(記載してもいますが)、レンゲルはシャドウの遺志を継いでの戦いでしたので、あえてそういう記載にしております。
- 503 :名無しより愛をこめて:2007/10/13(土) 20:27:42 ID:RcS+z3JFO
- まとめ更新、返答乙です。
問題はないと思います。
- 504 :名無しより愛をこめて:2007/10/13(土) 22:53:22 ID:8eD9ZCG40
- >>502
>>498の上の方の件については?
- 505 :名無しより愛をこめて:2007/10/13(土) 23:01:48 ID:TnTKafWv0
- >>502
修正対応乙であります。
>>498は正直不躾で、補足なんてしたくないのですが、キング戦の事を言っているかと思われます。
>>504
まずは敬語を使え。話はそれからだ。
- 506 :名無しより愛をこめて:2007/10/13(土) 23:17:59 ID:HFiabKXl0
- 2chで敬語使えとか、行過ぎじゃないの。
そういうのでやりたいなら、したらばでも借りてやりなよ。
特撮板なんだし、どんな奴が来るか分かんないリスクくらい抱えるのは当然だろうに。
- 507 :名無しより愛をこめて:2007/10/13(土) 23:32:37 ID:oqDBO5Ai0
- 2chの空気>板の空気>スレのローカルルール、だしな
敬語敬語っていっても敬語で失礼なこと言うのは簡単
書き手が困ってそうだと思ったら住人が援護してやればいいだけじゃないか
それこそ敬語でな
- 508 : ◆s.0z/S/80k :2007/10/14(日) 00:12:50 ID:ytuZ5xNRP
- >>502
おつかれさまでした。お手数をおかけしました。
秋山蓮、乾巧、日下部ひより、南光太郎、矢車想を予約します。
- 509 : ◆WXWUmT8KJE :2007/10/14(日) 01:14:57 ID:BU28gqV20
- 一時投下スレに修正版を投下しました。
まとめの方、修正をお願いします。
>>508
新作、楽しみにしています。
- 510 :名無しより愛をこめて:2007/10/14(日) 01:28:18 ID:Nb7BfQJ90
- 途中からなんかたまっちゃったからもうついていけてはないんだけど、
まとめページでざっとキャラのその後を読んだが、結構すごいことになってるんだなってw
- 511 :名無しより愛をこめて:2007/10/14(日) 01:50:32 ID:qp2BAmy6O
- まあ、一言でいうと、
激闘があった。
うん、こんな感じw
- 512 :名無しより愛をこめて:2007/10/14(日) 07:40:08 ID:Az9goH7JO
- >>508
新作がんばってください。
>>509
修正乙でした。
- 513 :名無しより愛をこめて:2007/10/17(水) 00:35:02 ID:wKLjO/ht0
- まとめサイト更新。
>>509の箇所を修正いたしました。
また>>505の該当箇所も修正しております。
ご指摘ありがとうございます。
- 514 :名無しより愛をこめて:2007/10/17(水) 01:35:14 ID:ruzw2c4aO
- >>513
まとめ更新いつも乙です!
- 515 : ◆s.0z/S/80k :2007/10/17(水) 19:43:20 ID:bVI0wsUhP
- 一時投下スレに準備稿を置いてきました。
>>513
いつもおつかれさまです。
- 516 :名無しより愛をこめて:2007/10/17(水) 20:44:29 ID:yPRk4ggH0
- >>513
更新乙です。
>>515
乙です。
感想は本投下のときにします。
指摘としては、カイザへの変身不可は状態表にあるのですが、ザビーとウルフオルフェノクへの制限がなかったことです。
- 517 :名無しより愛をこめて:2007/10/17(水) 20:46:25 ID:yPRk4ggH0
- 忘れていました。
◆ooH1rChbak氏、今日が期限ですが、進行状況はいかがでしょうか?
- 518 : ◆ooH1rChbak :2007/10/17(水) 21:23:25 ID:IoqjJ+/w0
- 経過報告です。
なかなか進んでおりませんorz
期限延長させてもらえませんか?
- 519 :名無しより愛をこめて:2007/10/17(水) 21:42:50 ID:yPRk4ggH0
- >>518
了解です。新しい期限は10/20ですか。
楽しみにしています!
- 520 :名無しより愛をこめて:2007/10/17(水) 21:47:57 ID:ruzw2c4aO
- >>518
新作待ってます!
- 521 :名無しより愛をこめて:2007/10/17(水) 21:57:07 ID:ruzw2c4aO
- >>515
投下乙でした。感想は後日にさせて下さい。
- 522 : ◆s.0z/S/80k :2007/10/18(木) 21:59:54 ID:NfBIi05hP
- ただいまより投下致します。
なお、>>516でご指摘頂いた点などを修正しています。
- 523 :スタンド・バイ・ミー ◆s.0z/S/80k :2007/10/18(木) 22:00:16 ID:NfBIi05hP
- ひび割れた壁ににわか雨が染み通り、黒い傷跡をひときわ醜く描き出している。所々板を打ち付けられ、あるいはコンクリートブロックに封じられた町並みは、居場所なくさまよう巧の心とあまりにもよく似ていた。
奇妙なことに、廃墟独特のすえた臭いはあたりに一切漂っていない。思慮深い人間なら、それがこの世界の異常性を物語っていることに気づいただろう。すなわち、ここには生と言えるものが存在しないことに。
正確には、ここには死を定められた者たちしか存在していない、ということに。
夜があり、朝があって、一日が終わった。その一日のうちに斃れた者は数知れず、その骸が朽ち果ててゆくことが、皮肉にもこの地に降りたささやかな生の証明となっていた。
人より優れたオルフェノクの感覚は、腐った血の匂いを嗅ぎ分ける。死者の匂い、暗く淀んだ闇の匂いを。それに引きよせられるように、巧は重い足を運んだ。
ドレイクゼクターが物問うように彼の回りを舞う。
「消えろ……!」
巧は狼のうなりにも似た声を喉から絞り出した。
青いゼクターは構う様子もなく、彼の前でその羽に風を乗せて軽やかに踊る。ご親切にも彼を導こうというのだろう。
巧は手を伸ばしてその尾を掴み、思い切り振り回した。
「消えろって言ってんだよ!」
乱暴に扱われたゼクターの身が悲鳴のようにきしむ。
さんざん振り回して手を離すと、その勢いで放り出されたゼクターは電柱に衝突する直前きれいなとんぼ返りを見せた。再び巧の側に舞い戻り、躊躇いがちに覗き込むような仕草を繰り返す。その様子は、どこか大切な人を気遣う少女の振る舞いを思わせる。
だがドレイクゼクターが身に帯びた少女達の思いは、草加の亡霊に憑かれた今の巧には届かなかった。
「これ以上俺につきまとうな!俺は……」
俺は、自由になりたいんだ。自分の中に潜む闇から。オルフェノクであるという呪いから。
彼は自分を追うゼクターを振り返り、叫んだ。
「あいつらにでも伝えろよ!俺はもう……二度と戻らないってな!」
ゼクターは幾度か躊躇うように旋回すると、一陣の風とともに飛び去って行った。
- 524 :スタンド・バイ・ミー ◆s.0z/S/80k :2007/10/18(木) 22:00:32 ID:NfBIi05hP
-
***
「乾くんがいなくなった?どういうことですか!」
驚きのあまり詰め寄る光太郎を、蓮は軽く突き放した。「俺に噛み付いても、乾は戻って来ないぞ」
「そんな冷たい言い方はないでしょう!」
言い争い、というよりは光太郎の一方的な糾弾になりそうな気配に、矢車が割って入る。
「秋山は事実を告げただけだ。責めても仕方ない」
言いながらも視線を蓮に向け、続けるように促す。
「乾は自分が人殺しの化け物だと思い込んでいる。どうせ草加にあることないこと吹き込まれたんだろう」
矢車が眉をひそめる。もともと何かが心に影を落としているのは知っていたが、ここまで深刻だったとは。草加に対するある種の信頼もあったのだろうが、いまこの状況にも関わらず言葉一つでライダーを捨て、死に急ぐとはよほどのことだ。
「俺には、乾くんが仲間を殺すような人には見えません」
光太郎の言葉に、矢車も頷く。
「彼は友人を裏切れるような男じゃない。そうだろう、秋山」
「……なぜ俺に振る」
「乾とお前は似た者同士だからだ」
自分の内心を暗に言い表され、蓮がむっつりとして口を噤んだ。重い沈黙をかき分けて、ひよりが小さく呟く。
「きっと、乾は怖いんだ。自分が自分でなくなってしまうのが」
誰とも目を合わせず、自分の手だけを見下ろしながら続ける。
「ぼくにはわかる。自分がワームだって知ったとき、ぼくだって……」
それ以上口に出来ず、ひよりは黙り込んだ。何かを、誰かをではなく、自分自身を失う恐怖感。それは世界のすべてを失うよりも恐ろしい、内に沈んでゆく苦痛だった。
- 525 :スタンド・バイ・ミー ◆s.0z/S/80k :2007/10/18(木) 22:00:55 ID:NfBIi05hP
- 彼女の心を奮い立たせようとでも言うように、光太郎が強く訴える。
「とにかく、これ以上仲間を失うわけにはいきません!早く乾くんを探しださないと」
「問題は、どうやって探し出すかだ」
矢車は答えながら背広を脱いだ。汚れ切ったワイシャツを脱ぎ、巧の荷物から白いシャツを取り出す。包帯のきつく巻かれた身体を晒したまま糊の利いた襟を満足げに指で確かめる彼の様子に、ひよりが思わず顔を背ける。
「失礼」
矢車は急いでシャツに袖を通した。ネクタイは丸めて荷物に押し込む。そのついでに手早く荷物の山を取りまとめ、中身を確認。無駄のないようにすべてを詰め直す。
リュウガの荷物を開けたとき、中から包帯がいくつか転がり出て来た。消毒薬の瓶もある。この量からすると自分のためだけにかき集めたとは思えない。奇妙なところのある男だったが、彼なりに仲間を心配していたと言うことか。
矢車はデイパックの一つに救急箱と包帯の類をまとめて詰め込んだ。
「秋山、この近くに薬局はないか」
「二つ先の通りに調剤薬局があると思ったが」
「それでいい」
「……ここが、俺の知る花鶏なら、だぞ」
「見つからなければ改めて探すさ」
中身を詰め直したデイパックを配ろうと抱え上げた時、何かがガラス窓を叩く音が響く。
「あれは、ドレイクゼクター……」
ひよりが駆け寄り、急いで窓を開ける。吹き込む寒風とともに飛び込んで来たゼクターは、何かを訴えようとでもいうのか居合わせた者の間を行き交う。が、やがてひよりの延ばした手の上にゆっくりと舞い降りた。
「乾を捨てたってわけか?」
蓮の皮肉含みの言葉を、ひよりが即座に否定する。
「いや、行方を教えてくれるって」
ドレイクゼクターはひよりの指に留まり、透き通る羽を休めていた。蓮が眉をひそめて問う。
「解るのか?」
「なんとなく……」
答えるひよりの声はどこか所在なげだ。それをよそに、光太郎が矢車の手からデイパックを奪い取って外に飛び出そうとする。
「行きましょう!」
- 526 :スタンド・バイ・ミー ◆s.0z/S/80k :2007/10/18(木) 22:01:32 ID:NfBIi05hP
- 「待て、氷川達のことはどうする」
問いかける蓮に、矢車がデイパックを投げ渡した。ついで自分のデイパックを開いていくつか道具を引き出し、カウンターに腰を下ろす。
「置き書きとトランシーバーを一つ残しておこう」
「でも、ぼくたちが別行動を取る時は……」
「必要ない」
案ずるひよりの言葉を、矢車はすぐに遮った。手元の紙から目を離さずに続ける。
「この先は常に全員一緒に行動する。今から戦力を分けるのは無駄に危険を増やすだけだ」
生き残った仲間は皆信頼できる兵士であることを、矢車は確信していた。しかし小沢を奪還しジャーク将軍らを倒すにはーーーー果ては神崎を倒し生還するには、完全調和が不可欠だ。
「これ以上仲間が消されるのを黙って見ているわけにはいかない。お前たちは俺が守る」
断言してペンを置く矢車に向かい、光太郎が拳を握りしめて頷く。
「わかりました!一緒にがんばりましょう!」
矢車は頷き返すと、残りのデイパックを取った。最も軽い物をひよりに渡し、二つを両肩に背負う。
「秋山、薬局まで案内してくれ」
答えずに扉を開けた蓮の耳元を、ドレイクゼクターがすり抜ける。その様子に、矢車は思わず目を細めた。
ゼクターは資格者を自らの意志で選ぶ。それはとりもなおさず、ゼクターと資格者の間にはある種の絆が存在することを意味する。時には片思いにも似た絆かも知れない。それでも、二つの心は同じ思いを抱いている。
矢車は失ったままのザビーゼクターに思いを馳せつつも、花鶏を後にした。
- 527 :スタンド・バイ・ミー ◆s.0z/S/80k :2007/10/18(木) 22:01:52 ID:NfBIi05hP
- *
小さな商店街の隅にある調剤薬局のシャッターは、今はしっかりと下ろされていた。ディスカリバーを使って入り口をこじ開けながら、矢車が声をかける。
「秋山、向うにコンビニがあるな」
「腹でも減ったのか」
「瞬間接着剤をいくつか取って来てくれ」
「乾の口でも塞いでやる気か」
皮肉った蓮を遮るように、光太郎が訊ねる。
「縫合キットの代わりですね」
「よく知ってるな」
「ツーリング仲間に聞いたことがあります」
快活に答える光太郎に引き換え、蓮の口調は冷めている。
「接着剤ならなんでもいいんだな」
「それからパンティストッキング、はさみ、ライターもだ。行け」
「……命令するな。俺はお前の部下じゃない」
蓮は文句をつけたものの、その割には素直に歩き出す。その背中に、光太郎が言葉をかけた。
「あ、乾電池もお願いします。マイク用の」
「そんなもの知らん」
蓮は一蹴して立ち去った。
ようやくシャッターの下に隙間が出来ると、矢車はそこに手をかけた。
「南、手伝ってくれ」
促されて傍らに膝をついた光太郎が、僅かに顔を曇らせる。
「ちょっと、悪いことをしてる気になりますね」
「悪いことをしてるんだよ。泥棒だ」
矢車は無造作に答えた。
- 528 :スタンド・バイ・ミー ◆s.0z/S/80k :2007/10/18(木) 22:02:07 ID:NfBIi05hP
- 重く軋む音を響かせてシャッターが上がる。矢車はディスカリバーの柄でガラス戸を割って中に入った。
清潔感だけが取り柄の店内に並んでいる薬品の数は多くない。それでも、必要なものを揃えるのに差し支えはなかった。
「包帯と消毒薬は十分にある。あとは滅菌ガーゼ、薬はタイレノールとデパスがあればとりあえず間に合うだろう」
棚を確認して手際よく薬を引き出す矢車に、ひよりが訝しげな目つきを向ける。
「詳しいんだな」
「怪我人の多い職場でね。回りの人間を見舞っているうちに覚えてしまったんだ」
矢車は二種類の薬のシートを手に取った。少しの間それを眺めていたが、覚悟を決めたように精製水の瓶を開けて一錠ずつ飲み下す。これ以上痛みや不安に踊らされては、仲間を守ることなど出来ない。
鎮痛剤とトランキライザーの名を覚えたのは、任務で心と身体の両方に傷を負った部下達に処方されているのを見たからだった。
それぞれ袋に分けてひよりのデイパックに押し込み、最後に棚に置かれていた除菌用のウエットティッシュを一パック加える。荷物の重さを確かめながら、矢車は外の通りに目をやった。
*
店員のいないコンビニに、灯りだけが煌々とついている。
早足で店内に入った時に傘立てを倒してしまったが、それをいちいち直そうという気遣いは蓮にはなかった。カウンターからビニール袋を取り、陳列棚の間に滑り込む。
矢車が挙げた品々を頭で反芻しながら集めるうちに、蓮は言いようのない苛立ちに襲われてため息をついた。
こうしていられるのもドラスを倒すまでだ。その後は改めて優勝を目指す。
ーーーーそして、自分は独りになる。いまこの瞬間と同様に。
おかしな考えだった。元々は恵理を取り戻すために戦いに乗った。それがいま、仲間を失う不安に自分を見失いそうになっている。仲間達と恵理とを秤にかけ、自分を叱咤することすら迷うようになっている。
いつの間に自分はこうも生温い人間になったのか。迷うことも、他人を信じることも許されないはずだったのに。
リズミカルな雑音が蓮の耳に響く。彼の背後で倒れた傘立てを挟んでしまった自動ドアが、一人遊びのように開閉を繰り返していた。
- 529 :スタンド・バイ・ミー ◆s.0z/S/80k :2007/10/18(木) 22:02:27 ID:NfBIi05hP
-
***
巧は降りたままの踏切を乗り越え、暗闇へと続く線路を望んだ。
ここで待っていても自分を遠くへ運んでくれる電車が来るわけではない。現実よりも現実的なその現実がいよいよ巧を絶望へと追い込む。
時を刻むような警報機の音が痛くなるほどに耳を打つ。規則正しく明滅を繰り返す警告灯が辺りを赤く染め上げる光景は、深い傷から血が溢れ出す様を思わせた。
砂利を踏みしめる感触にも苛立が募る。すべてが終わってくれることだけを乞い願う彼の耳には、すべてが不協和音でしかなかった。
*
ドレイクゼクターが湿った風を縫って飛ぶ。その後を追って走っていたひよりの足が止まり、気づいた矢車は近づいて声をかけた。
「大丈夫か?」
ひよりが無言で頷いて、再び歩き出す。
「君の荷物は俺が持って行こう。少し詰めすぎたかも知れない」
「……わざと軽いものばかり入れてただろう」
「それぞれの体力を考えただけだ」
矢車からすれば気遣っただけの言葉だが、ひよりはひどく気にしたようだった。
「ぼくは、足手まといか?」かすかに俯いて訊ねる。
「誰にも得手不得手はある、ということだ。仲間はそれを補うためにいる」
矢車はなだめるように答えて手を差し伸べたが、ひよりはなおも首を振った。
「おまえはもう二つ荷物を持ってるじゃないか……」
二つ目の荷物は言うまでもなく巧の分だった。自分でそれを引き受けたのは、矢車自身の信念の現れでもある。すなわち、仲間の重荷は共に背負ってみせるという覚悟の。
様子に気づいて戻って来た光太郎が、二人の様子を見比べて訊ねる。
「ひよりさんの荷物、俺が持ちましょうか」
「そうだな、頼む」
光太郎にも言われて納得したのだろう、ひよりはようやく自分の荷物を肩から下ろした。
光太郎がそれを背負っている間に、矢車は前方を仰ぎ見た。百メートルほど先、閉まったままの踏切の手前で、蓮が立ち止まって待っている。その頭上で輪を書くドレイクゼクターの羽が、規則的に明滅する赤い光を浴びてはきらめいた。
- 530 :スタンド・バイ・ミー ◆s.0z/S/80k :2007/10/18(木) 22:03:14 ID:NfBIi05hP
- *
既に警報機の音は遥か彼方に遠ざかり、線路沿いの街灯がうっすらと光を落としている。この線路の終点に死が見つかるーーーーそんな淡い期待にしがみつき、巧は歩を進めていた。夜明け前の風はひときわ冷たく彼に吹き付ける。
と、耳元で何かが軋む音に、巧はびくりとして振り返った。
目の前をドレイクゼクターの細い影が横切る。
「乾さん、こんなところで何をしてるんですか!」
案ずる言葉とともに駈けて来る白いブルゾン姿は薄暗い中でもはっきりと見えた。巧は後ずさりながら、精一杯の声で怒鳴り返した。
「俺に……近づくな!」
「乾さん……?」
立ち止まった光太郎に向かい、巧は大きく腕を振った。蓮がすぐに光太郎に追いつき、少し遅れて矢車とひよりがその場にたどり着く。
「俺のことは放っといてくれ!俺は奴を……ドラスを殺す……そして……」
「俺も死ぬ、か?」
蓮が無感動に吐き捨てる。
「そんな無茶苦茶な!あなたは仮面ライダーのはずです。あなただって……」
いい募ろうとする光太郎を、矢車が制した。おそらく今の巧に、純粋な言葉は刃物でしかない。
蓮がちらりとこちらを見る。矢車は無言で頷いた。
そのやりとりの隙をついて走り去ろうとする巧に、駆け寄った蓮が体当たりを食わせる。思いも寄らぬ攻撃に、巧は頭から砂利のしかれた路面につっこんだ。
「使えない男だな。犬だけに犬死に希望か」
「てめぇ……っ」
「色気づいたばかりのガキじゃあるまいし。心中なんて今時流行らんぞ」
痛みにか寒さにか感情にか、震える巧の声音をよそに、蓮は淡々と言い放つ。
「お前に俺の何が解る!」
「何もわからん。なんにもな。別に知ろうも思わん」
面倒くさそうに巧の尻を蹴りとばす。巧が拳を握りしめると、角張った砂利がその手のひらに食い込んだ。
「俺はオルフェノクだ。そのうち皆殺すようになるんだよ。真理たちも……お前たちも……全員な!」
巧の悲痛な叫びを、蓮は冷たくあしらった。
「そう言ったのは草加だろ」
自分の名を偽って罠に落とそうとした男、自分を殺そうとした男をそこまで信じる理由が、蓮にはかすかに解る。おそらく巧は自分以上に孤独に生きて来た。たとえ自分を憎んでいる相手であっても、草加は巧にとって数少ない仲間のうちの一人だったのだろう。
- 531 :スタンド・バイ・ミー ◆s.0z/S/80k :2007/10/18(木) 22:03:26 ID:NfBIi05hP
- 一方、矢車はまだ仲間に裏切られる痛みを知らない。だが仲間を失う痛みなら知っている。
「そうなんだな?草加に化け物とけなされたから、死にたいと」
矢車は巧にゆっくりと近づき、その傍らに膝をつくとーーーー後ろ髪をぐいと掴んだ。
「死ねば光が得られるとでも思ったか」
言うなり、巧の頭を線路に押し付ける。湿った枕木から漏れるカビの臭いが鼻を突いた。
「どうだ、地べたを這いずりまわる気分は」
不意をつかれて砂利を食らい込んだ巧が、必死にそれを吐き出そうとする。
「顔をそらすな。目を開けてみろ」
「見えねぇよ……何も……」
「見えると思ったのか?」
矢車は今一度、ぐっと巧の頭を路面に押しつけて手を離した。
「光が見えると思ったんだろう?光を見たいと思ったんだろう、お前は」
巧は四つん這いになり、口の中にねじ込まれた小石を吐き出している。鋭い角で口内を切ったのだろう、口元を拭った手の甲に赤いものが残る。
矢車はその前に膝をつき、教え諭すように告げた。
「心のどこかで光を求めている奴は、闇になど落ちてはいないんだよ」
巧がのろのろと顔を上げる。その表情には怒りすらない。悲しみと孤独があるばかりだ。
矢車は巧の方に軽く手を置いた。
「乾、お前……俺の弟になれ」
巧がその手を振り払う。
「兄弟なんて知るかよ」
矢車のかすかなため息が、大気を白く染める。
このままにしておけば、おそらく巧はこれからも逃げ続ける。仲間からも、自分自身からも。現実から目を背けたい者にとって、孤独は最も手軽な薬、死は最も簡単な言い訳だ。
互いに傷つきながらも支え合うことを学ばない限り、絶望と言う病は治らない。
「だったら俺が教えてやろう。仲間とはーーーー兄弟とは、何かを」
矢車は背広を脱ぎ、蓮に投げて寄越した。そのとき、顎の僅かな動きで指示を出す。改めて巧に向き直ると、彼はシャツの袖をまくり、鍛えられた腕を寒風に晒した。
巧の襟首を掴んで立たせ、距離を取るために軽く突き放す。
「かかってこい。全力でな」
背後を振り返った巧は、そこに蓮が腕を組み、冷めた目でこちらを眺めているのを見た。蓮だけではない。光太郎とひよりもそこに立っている。
退路を断たれた手負いの狼は、言葉にならない叫びを上げて矢車に飛びかかった。
- 532 :スタンド・バイ・ミー ◆s.0z/S/80k :2007/10/18(木) 22:05:15 ID:NfBIi05hP
- *
矢車は無秩序な突進を軽いステップでかわし、突き出される拳を正確にガードする。特殊部隊のメンバーとして本格的な訓練を受けた彼にとって、素人同然のその動きを避けることなど容易かった。
勢いはある。キレもある。だが、根本的な勝利への戦略が欠けている。
さもあらん。これは勝利のための戦いではないのだから。
これは魂を救うための戦いだ。矢車にとっては、巧を守るために決してしくじることの出来ない戦いだった。
完全調和は、仲間が互いに手を取り支え合うことに始まる。
押さえきれない怒りがあるなら自分でなく信じてくれる誰かにぶつければいい。抱えきれない不安があるなら立ちすくむ前に助けを呼べばいい。
心の傷は、痛みを分かち合うことでしか癒せない。仲間とは痛みも苦しみも分かち合い、耐え忍ぶためにある。
矢車の心の声を効いたかのように、巧は身を低くしてタックルをかけてきた。受け止めたものの、さすがに勢いを殺しきれず組み合ったまま線路を転げる。凍るようなレールがこめかみを打ち、鈍い痛みが矢車の頭に染み渡った。
目眩を覚えながらもその場で跳ね起き、次の一撃を待つ。
駆け寄りざまに突き出された巧の拳を身を低くして避けると、矢車は正面からのアッパーを叩き込んだ。
「バカだな」
ひよりが呟く。
「ああ、バカだ。とびきりのな」
蓮が相づちを打った。忌々しげな声音だが、僅かに嫉妬の情が隠れて響く。
「でも、少しうらやましい……」
「ひよりさん?」
光太郎が驚いて訊ねる。ひよりは素手で殴り合う二人から目を離そうとしなかった。
「天道と加賀美を見てるみたいだ。ぼくもああして、天道と本気でぶつかってみたかった……」
後悔という一言で片付けるにはあまりに苦いひよりの言葉に、光太郎の胸も痛む。彼は誰を慰めるともなく呟いた。
「本気で戦えることが幸せなんじゃないんです。本気を受け止めても傷つかないほどの信頼があるから幸せなんです」
心を失った信彦との戦いは常に本気だった。だがそれが幸せであったことなどない。互いに傷つくだけの戦いには苦悩だけしか存在しなかった。
兄弟であり、仲間であると言うこと。その重さに、人は失って初めて気づく。そして、これほどの友は二度と得られないという現実に涙するのだ。
- 533 :スタンド・バイ・ミー ◆s.0z/S/80k :2007/10/18(木) 22:05:39 ID:NfBIi05hP
- *
「どうした。その程度か」
軽いジャブの連続からの前蹴りが、巧の身体を軽く吹き飛ばす。見守る者たちにも、蹴った瞬間矢車自身が顔をしかめているのが解った。間違いなく一つ一つが自分の傷にも響くのだ。それでも矢車は巧の怒りを受け止めることをやめない。彼の心の叫びを聞くことをやめない。
「お前の闇を見せてみろ。いつか俺を殺すようになるのが怖いというなら、今ここで俺を殺してみせろ!」
矢車の叱咤に、巧は拳を握りしめて空に叫んだ。その姿が灰色の獣の姿に変わる。自由を求めて疾走する、一匹の狼の姿に。
覚悟して唇を噛み締めた矢車の前を、なにかが横切る。彼は一瞬目を見開いたが、すぐに腕を延ばし、手のひらにそれを受け止めた。
「そうか、そういうことか」確信した表情で右手を握りしめる。
今こそ、完全調和を取り戻す時だ。
「ザビーゼクターが言っている。お前にパーフェクトハーモニーを教えてやれとな」
彼は左腕を掲げ、ブレスにゼクターを装着した。
「変身」
命じる矢車の声は、自分でも驚くほど落ち着いていた。
- 534 :スタンド・バイ・ミー ◆s.0z/S/80k :2007/10/18(木) 22:07:44 ID:NfBIi05hP
- *
ザビーはウルフオルフェノクの力を計るかのように、少しの間守勢を保ってその拳を受け続けた。厚い装甲に身を固めたザビーに対しオルフェノクの動きは迅速かつ力強く、傍目には反撃の暇すらないように見えたかもしれない。
大振りなボディブローを避けてザビーが左右へステップを踏む。誘われるように、ウルフオルフェノクは前のめりにザビーへと突っ込んでゆく。
攻防が変化したのは、ウルフオルフェノクの蹴りをザビーが下がる代わりに高くジャンプしてかわした時だった。
虚空に舞ったザビーの右手がゼクターにかかる。接続部が軋む音に合わせて、矢車は力強く命じた。
「キャストオフ」
電子音声の復唱とともに装甲が弾け飛ぶ。
ウルフの背後に降り立ったライダーは、淡い灯りに細身のシルエットに浮かび上がらせた。
すらりとした長身に張った肩、胸から腰へと絞られたラインはどこか女性的ですらある。だがひとたび地を蹴るや、ザビーはその動きで自らが紛れもなく獰猛なスズメバチの眷属であることを見せつけた。
ウルフの拳を右でガードしつつミドルキックで突き放し、鋭いワンツーのラッシュをかける。無鉄砲なオルフェノクのストレートを正確にたたき落とし、ガードの外れた右側から鋭いフックを叩き込む。
灰色の体躯に鋭い回し蹴りが突き刺さり、ウルフオルフェノクはこらえきれずによろめいた。
蝶のように舞い、蜂のように刺す。使い古された陳腐な言い回しがこれほど似合うライダーはいない。膂力に劣り武器さえ持たないライダーフォームだが、持ち前のスピードと矢車の技術は力不足を補って余りあった。
「俺にこの程度の闇を恐れろと言うのか。笑わせるな」
あえて距離を詰めぬまま、矢車は自らの構えを直した。
「ドラスを倒すだの、仲間を手にかけるだの、大言壮語にもほどがある。スタンドプレーにこだわる限り、お前は負け犬に過ぎないと知れ」
沈着冷静を極める矢車の声は、巧の躊躇を着実に削ぎ落として行く。いまや巧は矢車と戦うことに微塵の罪悪感も感じていなかった。純粋な怒りと苛立ちを雄叫びに変え、まっすぐに突進する。
- 535 :スタンド・バイ・ミー ◆s.0z/S/80k :2007/10/18(木) 22:08:06 ID:NfBIi05hP
- クロックアップを使えば問題なく回避できる動きだったが、矢車はあえて受け止めることを選んだ。
巧が右拳を堅く握りしめる。
「矢車ァ!」
その一撃を、ザビーの両腕は額の手前で辛うじて押しとどめた。
ウルフオルフェノクが次の動きに移るより早く、ザビーの膝が下腹部を襲った。間髪入れず叩き込まれた左からのミドルキックを、オルフェノクは反射的に受け止めた。
直後、ザビーが膝のかかった腕を思い切り引き込む。
バランスを崩したオルフェノクの喉元を、力強い正拳突きが捉えた。
息を詰まらせながらも、ウルフはザビーの腕を掴んで引きずり倒そうとする。ザビーはあえてその動きに乗ると、くるりと身をよじって裏拳を見舞った。腕を振りほどいてオルフェノクを蹴り倒し、間髪入れず左腕のゼクターに手を滑らせる。
「……ライダースティング」
ゼクターがその命令を確認し、タキオン粒子を鋭い針にチャージし始めた。焦って身を起こすオルフェノクの胸ぐらを、片膝をついたザビーの右手が押さえつける。
誰が挙げたとも解らない制止の悲鳴が、暗い線路に突き刺さった。
***
線路に横たわったウルフオルフェノクの鼻先に、プラズマを帯びたザビーの針がある。巧は覚悟を決めて変身を解いた。
矢車がすっと腕を滑らせる。
巧の耳元で轟音が鳴り響き、粉々に打ち砕かれた枕木が砂利とともに辺りに飛び散った。
「誰も独りでは無力だ。わかったか」
ザビーは穏やかに告げてゼクターを外した。皮を剥がすように武装が消え失せた後には、白いシャツを汗に濡らした矢車の姿が残る。
「自分が信じられないなら、仲間を信じればいい。お前のことは、この俺が守ってやる。お前が本当に闇に沈んだ時は、俺がお前を倒す」
「……できるのかよ、あんたに」
「もう一発、殴ってやろうか?」
巧の問いに、温和な声と物騒な言葉が返ってくる。
「けど、俺があんたを殺したら……どうなる」
なおも問われ、矢車は答える代わりに巧の喉輪を掴んで再び線路に押し付けた。
「この程度で迷うお前に俺は殺せない」
- 536 :スタンド・バイ・ミー ◆s.0z/S/80k :2007/10/18(木) 22:08:36 ID:NfBIi05hP
- 言いながら、矢車自身も薄々気づいている。自分が光を信じられるのは、真の挫折を味わったことがないからだ。かつて見た幻は絶望に打ちひしがれた自分なのだろう。地べたを這いずり回り、もはや光を求めなくなった男の姿だ。
俺は、あんな姿にはならない。かならず皆を守り、脱出させてみせる。たとえどのような地獄の淵でも光を見いだしてみせる。
その覚悟を自分自身に言い聞かせるように、矢車は言葉をかみしめた。
「俺を、信じろ」
巧はしばしの間無言で虚空を見つめていた。が、不意に掠れた声で言葉を吐き出す。
「……手ぇ離せ」
矢車は黙って手を引き、立ち上がった。寒風が熱を帯びた身体に染み入るのを感じ、シャツの袖を下ろす。
その傍らでふてくされた表情ながらも身を起こす巧に、矢車はほっと息をついた。
離れて見ていた蓮が、やれやれと言わんばかりに肩をすくめる。矢車は彼らに近づき、背広を受け取った。袖を通して両手で襟を持ち、軽く引っぱって形を直す。
巧はまだ腹が決まらないのか、その場に座り込んだまま動こうとしない。矢車は荷物を取って近づくと、その側に腰を下ろした。
「傷が痛むか」
「……別に」
「そうか。なら謝る必要はないな」
矢車の言葉に、巧はあからさまにむっとする。矢車は荷物の中からウィスキーの小瓶を取り出すと、栓を切って巧の手に押し付けた。
巧は不機嫌な表情のまま、形だけ中身を舐めてそれを返す。矢車は半分ほどを一口で呷り、近づいて来た蓮にそれを渡した。
蓮は小瓶を受け取ったものの扱いに困ってしばし手の中で弄んでいたが、やがて面倒になったのか一息ですべてを空ける。
矢車は蓮の手から空瓶を受け取り、蓋を閉めた。
「義兄弟の杯だ」
それを聞いた蓮が思い切り酒を吹き出す。
「おま……」
「これで一蓮托生だな」
涼しい顔で言い切る矢車を、巧が恨みがましく睨みつけた。
- 537 :スタンド・バイ・ミー ◆s.0z/S/80k :2007/10/18(木) 22:09:05 ID:NfBIi05hP
- 「勝手に決めんなコメツキバッタ。俺は兄弟とか願い下げだかんな」
「全くだ、調和調和言うくせに横暴過ぎるぞ長男。俺は……」
言いよどんだ蓮に、矢車は静かに訊ねた。
「どうした」
……お前たちを殺す。殺さなければならない。
心の中で呟いた蓮に向かい、矢車がふっと笑って立ち上がる。葛藤を見抜かれていると感じて、蓮は顔を背け、吐き捨てた。
「お前と酒を飲むと、ろくなことがない。次からは慰謝料請求するぞ」
「殺す、と言わないのは感心だな」
平然と返されて、蓮は内心ぎくりとする。
迷いのある彼には、矢車の言葉は脅しにしか聞こえなかった。すなわち、仲間を裏切るならばまず俺を殺すことだ、と。
- 538 :スタンド・バイ・ミー ◆s.0z/S/80k :2007/10/18(木) 22:09:20 ID:NfBIi05hP
- *
仲間を手にかけることを恐れる者と、仲間を手にかけられないことを恐れる者。あまりに違いすぎ、それでいてあまりに似ている二人を、矢車はそれなりに理解しているつもりだ。
孤独に冒された彼らの生き様は完全調和とはほど遠いが、決して不協和音ではない。むしろその魂の叫びは、美しい和声を奏でる可能性を秘めている。仲間とともに戦うことを知れば、その力は何倍にもなるだろう。
彼らのために矢車がしてやれることは多くない。彼らを自分自身の影から守ってやること、そしてーーーー必要となれば、自らの手で息を止めること。
蜂は兄弟のため、仲間のためにそのすべてを尽くす。ザビーとしての使命に、矢車想は誇りを持っていた。
時にそれが、手を血で染める醜い行いであったとしても。
心配そうにこちらを伺うひよりに、矢車はしっかりと頷いてみせた。彼女を守るように傍らに立つ光太郎は、なお厳しい表情ではあったが。
「いつまでそこでおすわりしてるつもりだ。ドラスを倒しに行くんだろう」
まだ線路に座り込んでいる巧を、蓮がつま先で軽くつつく。「いっそ、首に縄でもつけて引っ張ってくか」
「いいアイデアだ」
矢車は巧の手元にデイパックを置いた。
「乾、一緒にパーフェクトハーモニーを奏でよう」
俯いたままの青年に手を差し伸べる。
「来い。たとえゴールのない暗闇の中でも、皆で歩いて行けばいいんだ」
その言葉は慰めではなく誘いだった。矢車自身の目指す道には、一人でも多くの仲間が必要だ。
不意に街灯が消え、辺りが闇に沈む。
はっと辺りを見回した彼らの目に、色づき始めた東の空が映った。
- 539 :ステータス表 ◆s.0z/S/80k :2007/10/18(木) 22:09:50 ID:NfBIi05hP
- 【矢車想@仮面ライダーカブト】
【2日目 現時刻:早朝】
【現在地:市街地G-4】
[時間軸]:8話 ザビー資格者
[状態]: 全身に負傷(応急処置済み) 頭部打撲 2時間変身不可(ザビー)
[装備]: ホッパーゼクター&ホッパー用ZECTバックル
ライダーブレス:ザビー
アイロンを掛けた白いシャツ(元・巧の所持品)
[道具]: ゼクトマイザー。 バタル弾。サイ。
トランシーバー(現在地から3エリア分まで相互通信可能)。精密ドライバー。
配給品一式×4(結城(名簿を除く)、明日夢、純子、矢車)
スコッチの小瓶。オルゴール付懐中時計。鬼笛。
ドクターケイトの杖の説明書。首輪(ドクトルG)
鎮痛剤・抗不安薬
[思考・状況]
1:仲間を守り抜き、脱出を目指す。
2:パーフェクトハーモニーの極意を悟り、無我の境地。
3:巧と蓮を完全調和に導く。ただし仲間の障害となってしまった時は自分で始末をつける。
[備考]
※クライシスと神崎士郎が利害の一致で手を組んでいる可能性が高いと考えています。
※ゼクトマイザーは制限により弾数に限りがあります。現在、弾切れです。
※鎮痛剤と抗不安薬を服用中です。なんらかの副作用があるかもしれません。
- 540 :ステータス表 ◆s.0z/S/80k :2007/10/18(木) 22:10:09 ID:NfBIi05hP
- 【乾巧@仮面ライダー555】
【2日目 現時刻:早朝】
【現在地:市街地G-4】
[時間軸]:中盤くらい
[状態]: 全身に打撲、切り傷など、極度の負傷。
2時間変身不可(ウルフオルフェノク)
[装備]: なし
[道具]: カイザドライバー(カイザブレイガン、カイザポインター)。
ファイズドライバー(ファイズポインター、ファイズショット、ファイズアクセル)
ドレイクグリップ
配給品一式×3(キング、睦月、佐伯)
ミネラルウォーター×2(一本は半分消費) カレーの缶詰 乾パンの缶詰
リキュールの小瓶2本
[思考・状況]
1:矢車に対し、強い苛立ちと僅かな信頼。
2:死に場所を求めている。
3:主催者に言いようのない怒り。神崎は絶対ぶっ飛ばす。
4:ドラスを倒す。
- 541 :ステータス表 ◆s.0z/S/80k :2007/10/18(木) 22:10:31 ID:NfBIi05hP
- 【秋山蓮@仮面ライダー龍騎】
【2日目 現時刻:早朝】
【現在地:市街地G-4】
[時間軸]:34話龍騎サバイブ戦闘前後。
[状態]: 中度の負傷。
[装備]: カードデッキ(ナイト+サバイブ)
[道具]: カードデッキ(龍騎+サバイブ烈火)。
配給品一式×4(蓮、草加、北岡、木野)
コニャックの小瓶 ウォッカの小瓶2本 ソムリエナイフ ライター
[思考・状況]
1:いずれ倒すべき相手だとはいえ、仲間の存在に奇妙な脱力感と安心感。
2:兄弟はマジ勘弁、と口にしつつ内心まんざらでもない自分に怒り。
3:自分を仲間扱いする矢車を、心理的にも戦力的にも優勝への最大の障害と認識。
- 542 :ステータス表 ◆s.0z/S/80k :2007/10/18(木) 22:11:17 ID:NfBIi05hP
- 【日下部ひより@仮面ライダーカブト】
【2日目 現時刻:早朝】
【現在地:市街地G-4】
[時間軸]:本編中盤 シシーラワーム覚醒後。
[状態]:右肩に重傷(処置済み)右脇腹に刺し傷(処置済み)打撲。
[装備]:カードデッキ(リュウガブランク+コンファイン)
[道具]: アドベントカード(ギガゼール)。
配給品一式×3(ひより、リュウガ、加賀美) ディスカリバー 救急箱
応急手当用品一式(包帯・ガーゼ・消毒薬・ウエットティッシュ・瞬間接着剤・パンスト・はさみ)
[思考・状況]
1:脱出への戦いをする。
2:脱出をしてみんなで帰る。
[備考]
※記憶を取り戻しました。
- 543 :ステータス表 ◆s.0z/S/80k :2007/10/18(木) 22:11:47 ID:NfBIi05hP
- 【南光太郎@仮面ライダーBLACK RX】
【2日目 現時刻:早朝】
【現在地:市街地G-4】
[時間軸]:第1話、RXへのパワーアップ直後
[状態]:今までに無い深い悲しみ。
[装備]:リボルケイン
[道具]: カラオケマイク(電池補充済) 装甲声刃
配給品一式×3(霞のジョー、岬、シャドームーン)
[思考・状況]
1:殺し合いなどしない。脱出を目指す。
2:リュウガの言う、闇に落ちた人々を救う。
3:シャドームーンの死に深い悲しみ。
4:打倒主催。その後、元の世界に戻ってクライシス帝国を倒す。
[備考]
※1:黒幕はクライシス帝国、神崎はその手の者であると勝手に確信しています。
※2:ドラスをクライシスの怪人だと思っています。
※共通事項
トランシーバー1つと今後の行動方針をまとめた書き置きが、花鶏(市街地F-4)に残されています。
- 544 : ◆s.0z/S/80k :2007/10/18(木) 22:14:42 ID:NfBIi05hP
- 以上です。
引き続き、ご指摘などありましたらお願い致します。
なお、週末まで私的な事情でご指摘への対応が少し遅れてしまうかもしれません。
その点ご容赦頂ければ幸いです。
- 545 :名無しより愛をこめて:2007/10/18(木) 22:49:54 ID:kVjlgwql0
- あ、兄貴〜!!!(GJ!)
- 546 :名無しより愛をこめて:2007/10/18(木) 22:52:04 ID:rOKBnpXC0
- GJです。
男の殴り合いは微笑ましかったです。
テンション高い矢車さんに周り置いてきぼりw
- 547 :名無しより愛をこめて:2007/10/18(木) 23:22:06 ID:qG0pe0hz0
- GJです。
矢車さん、格好良さのレベル上昇中!
しかし、この義兄弟トリオだと、どつぼに嵌ったら、
どこまで行ってしまうやらw
- 548 :名無しより愛をこめて:2007/10/19(金) 08:42:25 ID:VAHtGC1zO
- 心理、情景描写がうまい。
GJでした!
しかし光太郎の奴、まだカラオケマイクの電池をあきらめてなかったか。
美声が聞こえる日も近い?
- 549 :名無しより愛をこめて:2007/10/19(金) 12:37:56 ID:cPyCrtaZ0
- 530の蓮のセリフ。
×「何もわからん。なんにもな。別に知ろうも思わん」
○「何もわからん。なんにもな。別に知ろうとも思わん」
- 550 :名無しより愛をこめて:2007/10/19(金) 15:45:31 ID:K+MeXFgO0
- 矢車さんがかっこいい〜〜〜!!!!
光太郎が乾電池って言ってるのに思わず吹いたw
- 551 : ◆ooH1rChbak :2007/10/20(土) 01:03:11 ID:XUag4YAk0
- すみません、>>457の6人に追加で神崎士郎予約します。ほんの顔みせ程度ですが。
- 552 :名無しより愛をこめて:2007/10/20(土) 01:11:32 ID:mClS5xSo0
- 了解です。
今日の投下、楽しみにしています。
- 553 :名無しより愛をこめて:2007/10/20(土) 12:39:46 ID:7QyaWVBC0
- GJだけど
アセトアミノフェン(タイレノール)+デパス(エチゾラム)より
酒+デパス(エチゾラム)のほうが影響は大きいです。
どちらも中枢神経を抑制するので。
- 554 :名無しより愛をこめて:2007/10/20(土) 22:09:00 ID:mClS5xSo0
- ◆ooH1rChbak氏、期限ですので、進行状況はどうでしょうか?
- 555 : ◆ooH1rChbak :2007/10/21(日) 00:23:44 ID:Y5+LKYnP0
- 長らくお待たせしました。今から投下します。
少し自信がないですが……。
- 556 :名無しより愛をこめて:2007/10/21(日) 00:25:15 ID:PdUVmEyv0
- いよっしゃ!支援!
- 557 :名無しより愛をこめて:2007/10/21(日) 00:26:02 ID:M1Yvel1d0
- 支援
- 558 :名無しより愛をこめて:2007/10/21(日) 00:26:05 ID:PdUVmEyv0
-
- 559 :必要の定義 ◆ooH1rChbak :2007/10/21(日) 00:26:08 ID:Y5+LKYnP0
- 「……お前は、誰だ。」
静寂を破ったのは、相川始のその一言。
「お前とはまだ戦う必要は無い。それより、少し手伝ってもらうことがある。」
目の前に現れたその男は、そう言って始に近づく。
「戦う必要は無い、か……。」
始が相手の言ったことをを繰り返す。
――――それが、開戦の合図になった。
「お前には無くとも、俺にはその必要がある!」
―Change―
懐から出したカードをベルトへと読み込ませ、一瞬で間合いを詰める。
男の前の土に足をつけた瞬間、姿が漆黒の戦士――カリス――へと変わる。
「ハァッ!」
手に持った弓で、黄金の男を素早く斬り付けた。
「……温い。」
が、その刃が男に届くことは無かった。
左手に握られた杖で斬撃は阻まれる。
じりじりと、双方に互いの力が加わる。
「私に刃を向けるとは……それは栗原天音を見捨てるということか?」
その言葉に、カリスの動きが止まった。
「お前……神崎の手の者か。」
「如何にも。私の名は仮面ライダーオーディン。」
オーディンは、その手に持ったゴルトバイザーを翳す。
「もう一度聞こう。私に刃を向けたからには「お前と戦うって事でいいんじゃねえか?」……何!?」
オーディンの言葉を遮り、誰かが声を上げる。
直後に、四つの影が二人の間に割って入った。
そのうちの一人は、始もよく知る人物だった。
「……睦月か。」
睦月と呼ばれた少年が、真っ直ぐな目でカリスを見つめる。
「相川さん……」
「決着をつけましょう。」
- 560 :必要の定義 ◆ooH1rChbak :2007/10/21(日) 00:27:34 ID:Y5+LKYnP0
- ◆
事は二人が対峙した時刻まで遡る。
「……待て。誰かいる。」
ビルの物陰に隠れ、茂は後ろの三人を止まらせた。
「片方は黒い奴、もうかたっぽは……金色の鳥みたいな奴だな。」
前にいる二人の特徴を説明すると、睦月とガライが素早く反応した。
「あれは……相川さん!」
「ん、知り合いか?」
「えぇ……あの人とは、俺が決着をつけなければいけません。」
身を引き締めて答えた睦月の目に、茂は何か大きなものを感じた。
「そうか。じゃ、あの金色の方は俺が何とかするか。」
「いや、あいつは俺と二人で戦った方がいい。」
「どうしてだ?」
聞き返した茂に、ガライが静かに答えた。
「奴が……小沢を壊した。」
その言葉には、明らかに怒りが込められていた。
また――――恐怖も。
「なっ……じゃあ奴が、例のカードの持ち主か?」
茂が素っ頓狂な声を上げると、ガライは無言で頷く。
「氷川、お前はいざという時に備えてここに残って居ろ。」
「どうしてですか!それほど強いのなら、僕も一緒に……」
「忘れたのか、お前は変身してはいけない。」
思わず熱くなる氷川を、静かに宥める。
「大丈夫だって。ま、いざとなったらこれを使えばいい。」
そういい、城が氷川にパーフェクトゼクターを手渡す。
「んじゃ、行くとするか。」
◆
- 561 :名無しより愛をこめて:2007/10/21(日) 00:28:46 ID:PdUVmEyv0
-
- 562 :必要の定義 ◆ooH1rChbak :2007/10/21(日) 00:29:01 ID:Y5+LKYnP0
- 「変身ッ!」
――OPEN UP――
聞きなれた言葉を叫び、睦月の姿がレンゲルへと変わる。
「おい、オーディンといったな。勝負は少しお預けだ。」
言うが早いか、カリスはレンゲルに切りかかる。
「そういう事らしいから、相手してくれよ?」
「小沢の敵……ッ!」
変身したガライとストロンガーが拳を構える。
「フン……。」
――SWORDVENT――
自分目掛けて走ってくる二人に対し、オーディンは刀を降り下ろす事で答えた。
「ハァッ!」
サタンサーベルがカリスアローと触れ合い、火花を散らす。
――STAB――
左手でカードをラウズし、武器諸共カリスを貫こうとする。
だがカリスは逆に、ラウザーの先端に掴まり宙へ浮き、その体制から頭部目掛けて蹴りかかった。
「グァ……ッ!」
予想外の攻撃に、思わずふら付くレンゲル。
「もらったァッ!」
――CHOP――
その隙に、レンゲルに向かって手刀を繰り出す。
- 563 :名無しより愛をこめて:2007/10/21(日) 00:31:30 ID:M1Yvel1d0
-
- 564 :必要の定義 ◆ooH1rChbak :2007/10/21(日) 00:31:54 ID:Y5+LKYnP0
- 「っ……とぉ!」
顔に当たる寸前のところで、何とかレンゲルラウザーで受け止めた。
――SCREW――
再びカードを読み込ませ、腹へと拳を見舞う。
「ガァッ!」
衝撃の強さに、カリスは弾き飛ばされた。
何とか立ち上がるも、腹部の走行はへこみ、接がれかけていた。
「ハァァァァァッ!!」
レンゲルは走り出し、カリスへ二度目の拳を叩き込む。
カリスも負けじと、下から突き上げるように手刀を食らわせる。
暫しの間、武器があることも忘れ二人は拳をぶつけ合っていた。
何発も、何発も。
「グォッ!」
「ウォァ!」
やがて、拳が互いの顔面を捉えた。
ほぼ同時に顔面に入り、ほぼ同時に吹き飛び、ほぼ同時に武器を取る。
そして二人はほぼ同時に二枚のカードを取り出し、ラウズした。
――TORNADO――
――DRILL――
――SPINNING ATTACK――
――BLIZZARD――
――BITE――
――BLIZZARD CRUSH――
- 565 :名無しより愛をこめて:2007/10/21(日) 00:32:50 ID:p1B0F/et0
-
- 566 :必要の定義 ◆ooH1rChbak :2007/10/21(日) 00:32:50 ID:Y5+LKYnP0
- カリスとレンゲル、二つのキックが交差し、互いの腹部に決まる。
火花の散る音がし、辺りを閃光が包む。
以前も、この技で戦ったことがある。
その時は自分の心にまだ迷いがあった。
だが――――今は違う!
誓いと、決意と、そして想いを込めて睦月は叫ぶ。
「ウオォォオオオッッ!!」
咆哮が轟き、カリスの風を押し返す。
やがて光が晴れると、先ず確認できたのは地に伏せている始の姿。
「グ……。」
腕に力をこめて立ち上がろうとするが、首元に何かが当てられる。
見上げると、そこにはサタンサーベルを構えるレンゲルの姿があった。
――――――そうか、俺は負けたのか。
カリスは冷静に、その事実を認識する。
「お前の勝ちだ、睦月。俺を封印しろ。」
観念したように、始が呟く。
「……一つ、聞かせてください。どうして、この戦いに乗ったんですか?」
目線を伏せたまま、レンゲルが問いかける。
「剣崎を優勝させる為……だ。今となっては、もう違うか。」
「そう、ですか。」
この瞬間、睦月は始が「自らの意思で」戦いに乗った事を悟った。
「一つ、頼まれてくれないか?」
始の言葉に、レンゲルはぴくりと反応する。
「……天音ちゃんを頼む。」
それだけ言い、始は目を瞑る。
願いを聞き届けたレンゲルは無言で、右手に持ったサタンサーベルを振りかざし――――
- 567 :名無しより愛をこめて:2007/10/21(日) 00:34:19 ID:M1Yvel1d0
-
- 568 :必要の定義 ◆ooH1rChbak :2007/10/21(日) 00:34:47 ID:Y5+LKYnP0
-
「…………ふざけないでくださいッ!!!」
――――――――怒声と共に地に叩きつけた。
- 569 :必要の定義 ◆ooH1rChbak :2007/10/21(日) 00:35:27 ID:Y5+LKYnP0
- 一瞬何が起こったのかわからず、始は唖然とする。
「貴方はここでどれだけの人を傷つけましたか?どれだけの人を苦しめましたか!?」
変身を解き、始を叱咤する。
「なのに、自分が負けると他人に頼るのですか!?」
始の胸倉を掴み上げ、自分の眼前まで持っていく。
「俺は以前言ったはずです、貴方がジョーカーになることは剣崎さんは望んでいないと!」
「だが……俺はもう戻ることは……」
今にも消え入りそうな返事をした始を、睦月の平手打ちが捕らえる。
「だったら、尚更貴方は生きて、戦って、罪を償うべきですッ!」
一息で自分の想いを吐露し、睦月は大きく息を吐き出した。
――――――――そうだ、自分は何を考えている。
始は、一瞬でも封印されてもいいと思ったことを悔やんだ。
今自分がこうして弱気になっている間にも、天音ちゃんは危機にさらされている。
何時だったか、剣崎とも約束したはずだ。必ず助け出すと。
だったら、こんなところで弱気になっている時間はない。
「相川さん……これを。」
睦月はカードホルダーから数枚のカードを取り出し、始に差し出す。
「行きましょう……それからでも、遅くはありません。」
- 570 :名無しより愛をこめて:2007/10/21(日) 00:36:18 ID:M1Yvel1d0
-
- 571 :Wild Evolution ◆ooH1rChbak :2007/10/21(日) 00:36:37 ID:Y5+LKYnP0
- 一方、ストロンガーとガライは、オーディンと交戦していた。
「クッ……こいつ、馬鹿みたいに強いじゃねぇか!」
「だから言っただろう、」
結論から言えば、二人は苦戦していた。
制限を受けているのもあるが、相手の戦闘センスが半端ではない。
本当に制限を受けているのかと疑いたくなるほどだ。
「クソッ、本当に強ぇ……だけど……」
愚痴を零す茂の脳裏に、亡き宿敵の姿がよぎる。
ここで倒れたら、きっと自分を怒鳴りつけることだろう。
だから、倒れるわけには行かない。
「……あいつの方が、シャドウの方がもっと強いッ!」
怒声と共に、相手の腹部へと拳を叩き込む。
「グォッ!」
一瞬怯んだオーディンが、ベルトから一枚のカードを引き抜く。
それをカードを見て、ガライが動いた。
「あれは!?城、気をつけろ!」
「あぁ!?アレが例の時間を戻すカードか!?」
後ろで叫ぶストロンガーに返事もせず、オーディンへと走る。
(刺し違えてでも……アレを手に入れる!)
ガライがオーディンの数歩前まで迫った、その時。
「な……!?」
突如、横から光弾がオーディンのタイムベントを弾き飛ばした。
その隙に、ガライはすぐさまタイムベントを掴む。
「………。」
光弾の放たれた先には、カリスが無言で佇んでいた。
武器を下げ、ゆっくりと一枚のカードを手に取りベルトへと通す。
――EVOLUTION――
ラウザーが進化を意味する言葉を読み上げ、カリスの姿が一瞬何かに包まれる。
その何かが晴れた時、中から現れたのはカリスではなかった。
紅い体に、緑の複眼。その胸には、蟷螂を意匠化したような紋章が刻まれている。
――――――――その名を、ワイルドカリス。
- 572 :名無しより愛をこめて:2007/10/21(日) 00:37:15 ID:M1Yvel1d0
-
- 573 :Wild Evolution ◆ooH1rChbak :2007/10/21(日) 00:38:15 ID:Y5+LKYnP0
- 「大丈夫ですか!」
地面に倒れ込んだガライに、睦月が手を差し伸べる。
「フン、これしきの事で壊れはしない。」
皮肉をいいながら、ガライはその手を取り立ち上がった。
「ほーぅ、やるじゃねぇか。」
ワイルドカリスに賛美の声を上げ、両手を構える。
「俺も負けてられないな!チャージアップッ!」
胸のS字が回転し、角が銀色に染まる。
ストロンガーは、その体が変わりきる前に電パンチを二発打ち込んだ。
「グァッ……!!」
呻き声を上げる間も無く、続けざまに光弾が二発、オーディンの体を直撃する。
(今だ!)
その隙に、オーディン目掛けて走り出した。
「フンッ!」
――GUARD VENT――
即座にオーディンの手元に盾が現れる。
ガライの武器がシールドに接触するが、オーディンには届かない。
- 574 :名無しより愛をこめて:2007/10/21(日) 00:39:24 ID:M1Yvel1d0
-
- 575 :代理 株価【65】 :2007/10/21(日) 00:43:39 ID:PdUVmEyv0
- 「クッ!」
――HYPER CANNON――
突然、電子音声と共に赤い光線が盾に直撃した。
「グォォ!?」
(氷川……恩に着る!)
心の中で感謝し、ガライは剣に力を込める。
やがてミシミシと嫌な音を立て、オーディンの身を守っている盾が砕け散った。
「今だ!やれ!」
「……何!?」
ガライが叫び、その場から飛び退く。
驚いたオーディンがふりかえると、そこに立っていたのは二つの影。
片方の影は地を蹴り、空へと駆け出した。
「超電、大車輪……キィィィィックッ!!」
空中で吼え、その両足が電気を帯びる。
その名の如く車輪のように回転し、落下していく。
もう片方の影は持っている十三枚のカードを宙に投げ、一枚のカードとして受け止める。
両手の鎌を弓に合体させ、手に持ったカードを読み込ませた。
――WILD――
電子音声がカードの名を読み上げ、弓の先にエネルギーが集っていく。
「「ハァァァァァァッ!!」」
咆哮が重なり、二つの衝撃が同時にオーディンへと向かう。
「……ウォッ!?」
咄嗟に、オーディンはゴルトバイザーで受け止める。
だが、一つだけ見過ごしていた。目の前の相手は何なのか。
片や稲妻を纏った大車輪。片や十三の生物の力を集めた衝撃波。
その二つの力が溶け合い、本来以上の力を発揮する。
――――その様は正に、『仮面ライダー』と呼ぶに相応しかった。
- 576 :代理:2007/10/21(日) 00:44:45 ID:PdUVmEyv0
- 「グォッ!!」
衝撃はゴルトバイザーを破り、直接オーディンへと叩き込まれる。
地面にはクレーターが出来、至る所へと電流が流れた。
砂煙が上がり、中心部に居る三人の姿が見えなくなる。
「クッ……。」
変身を解いたガライは思わず目を瞑る。
「大丈夫ですか!」
睦月が呼びかけるが、返事はない。
砂煙が晴れた時、立っているものはオーディンだけだった。
尤も、その代償としてバイザーは大破しているが。
「……今は体勢を立て直そう。」
呟き、オーディンは踵を返して去ろうとする。
「待て、俺はまだ戦える。」
立ち上がり、オーディンへと武器を向ける。
「一応さっきの答え、聞いておこう。」
「俺は誰の指図も受けない。俺は俺のやり方がある。」
背を向けたまま、顎に手をあて考える。
「……一つ、いい事を教えてやろう。」
オーディンが振り返り、話し始めた。
「栗原天音が幽閉されている部屋は、今とある者が守って居る。」
「何だと?」
オーディンの話に、疑問の声を上げるワイルドカリス。
「だが、それも長くは持つまい。せいぜい正午までだろう。」
話を聞くワイルドカリスには、明らかな焦りの色が浮かんでいた。
「覚えて置け……それがタイムリミットだ。」
そういい残し、オーディンは去っていく。
――SPIRIT――
カードをベルトに通し、人間の姿へと戻る。
始は、ただただそれを見ているしか出来なかった。
- 577 :代理:2007/10/21(日) 00:45:32 ID:PdUVmEyv0
- それから先のことは、意外にもスムーズに行った。
睦月を除く、他の三人は始に自己紹介をした。
だが、当の始はと言うと。
「十二時までだ。それまでに倒せないのなら、俺がお前たちを倒す。」
こんな感じで、そっぽを向いている。
「んじゃ、十二時までに俺たちがあいつらを倒せばいいわけだな?」
口元に含み笑いを浮かべ、茂は横になる。
「お前たちも今の内に寝とけ。特に氷川、お前はさっき寝てないから尚更だ。」
「でも、それじゃあ誰が番をやるんです?」
氷川が怪訝な顔で聞き返す。
「俺がやろう。暫くは、眠る気分になれない。」
ここで、始が声を上げた。
「そんな事言って、寝ている間に壊す気か?」
「そのつもりなら、既にやっている。」
多少物騒な会話が、始とガライの間で交わされる。
「なら、いいがな。」
からかう様に呟き、ガライは寝転がる。
それに続いて、氷川も座ったまま目を閉じた。
「あっ、そうだ。これ……」
何かを思い出したようにベルトへと手を伸ばし、睦月はおずおずとある物を取り出す。
「……!?」
それは、かつて剣崎一真が身に着けていたアクセサリーであった。
その手に握られているブレスレットは、自らと引き換えに世界を護った人間の物。
その手に握られている指輪は、自分の犯した間違いを間違いを正してくれた大切な仲間の物。
その手に握られているペンダントは、殺戮者である事実を知り、それを知った上で自分を認めてくれた掛け替えのない友の物。
始の目には魅力的に、幻想的に――――そして、とても輝いて見えた。
昇りかけている朝日に照らされ、心地よい風が頬を撫でる。
「貴方が持っていたほうが、きっと喜ぶと思います。」
そう言って、睦月はゆっくりと眠りについた。
心の底から、何かが湧き上がって来る。
- 578 :代理:2007/10/21(日) 00:46:45 ID:PdUVmEyv0
- それを感じた時には、既に口が動いていた。
「剣崎……。」
――――声に出した瞬間、始の頬を熱いものが流れた。
- 579 :代理:2007/10/21(日) 00:47:20 ID:PdUVmEyv0
- 【城茂@仮面ライダーストロンガー】
【2日目 現時刻:早朝】
【現在地:海岸G-6】
[時間軸]:デルザー軍団壊滅後
[状態]:全身に負傷大。やや疲労。応急処置済み。睡眠中。真実を知り、守れなかったことによる後悔。 ストロンガーに二時間変身不能。
[装備]:V3ホッパー。
[道具]:支給品一式(茂)。
[思考・状況]
1:ドラスたちの探索。ジェネラルシャドウの仇を討つ。
2:殺し合いを阻止し、主催者を倒す。
3:殺された仲間たち、ひよりの仇討ち。
4:ガライとともに仲間と合流し、ジャークの伝言を光太郎に伝える。
5:オーディンを捕まえ、神崎の居場所を吐かせる。
※チャージアップが使用可能になりました。
※制限により、パーフェクトゼクターは自分で動くことが出来ません。
パーフェクトゼクターはザビー、ドレイク、サソードが変身中には、各ゼクターを呼び出せません。
また、ゼクターの優先順位が変身アイテム>パーフェクトゼクターになっています。
※ひよりが記憶を取り戻したことを知りません。
※首輪の盗聴機能は制限されています。
※栗原親子が神崎側に囚われていることを知りました。
- 580 :名無しより愛をこめて:2007/10/21(日) 00:50:13 ID:9/gE1MKTO
- 支援
- 581 :代理:2007/10/21(日) 00:50:18 ID:PdUVmEyv0
- 【氷川誠@仮面ライダーアギト】
【2日目 現時刻:早朝】
【現在地:海岸G-6】
[時間軸]:最終話近辺
[状態]:中程度の負傷。胸に大火傷。左肩にレーザーによる軽い負傷。睡眠中。
[装備]:拳銃(3発消費)。手錠等の警察装備一式(但し無線は使えず、手錠はF-4のビル内に放置)。
ガタックゼクター&ベルト。GX-05ケルベロス(但し、GX弾、通常弾は全て消費)
[道具]:但し書きが書かれた名簿。デザートイーグル.357Magnum(4/9+1) 。 パーフェクトゼクター。
デイバック 。コーカサスゼクター(資格者ではないので変身はできません)
[思考・状況]
1:小沢の死に深い悲しみとオーディンへの怒り。遺志を継ぎ、怪人達と共闘を試みる。
2:城と睦月と共にドラスたちの探索。ジェネラルシャドウの仇を討つ。
3:もうひよりに悲しい思いをさせたくない。
4:此処から脱出する。そのために、変身を避ける。
[備考]
※ひよりが記憶を取り戻したことを知りません。
※首輪の盗聴機能は制限されています。
※氷川の首輪は、遅くとも2日目22:30に機能停止します。(最終変身:2日目午前2時過ぎ)
※栗原親子が神崎側に囚われていることを知りました。
- 582 :代理:2007/10/21(日) 00:51:58 ID:PdUVmEyv0
- 【上城睦月@仮面ライダー剣】
【2日目 現時刻:早朝】
【現在地:海岸G-6】
[時間軸]:本編後。
[状態]:全身に負傷大。かなりの疲労。二時間変身不可(レンゲル)、一時間変身不可(ギャレン・ブレイド)
[装備]レンゲルバックル+ラウズカード:クラブの全カード(13枚)
ブレイバックル+ラウズカード :スペードのK以外全部(12枚)
ギャレンバックル+ラウズカード:ダイヤの全カード(13枚)
サタンサーベル
[道具]:配給品一式(橘) ラウズアブゾーバー
[思考・状況]
1:ジェネラルシャドウが誇る宿敵、仮面ライダーとして戦う。
2:キングたちを倒して、ジェネラルシャドウの仇を討つ。
3:始や城、氷川等と共にこの戦いを終わらせる。
4:怪人とライダーとは必ず共闘・共存できると確信。
5:いずれガライとサタンサーベルを賭けて一騎打ちをする。
6:小沢澄子の死に深い悲しみ。もっと話をしたかった。
※劇場版の世界を知らないため、死んだ剣崎は自分の世界の過去から連れて来られたと考えています。
※睦月は始のマーダー化を自らの意思だと理解しました。
※首輪の盗聴機能は制限されています。
※睦月の首輪は、遅くとも3日目00:30に機能停止します(最終変身:2日目午前4時過ぎ)
※栗原親子が神崎側に囚われていることを知りました。
- 583 :代理:2007/10/21(日) 00:53:50 ID:PdUVmEyv0
- 【ガライ@仮面ライダーJ】
【2日目 現時刻:早朝】
【現在地:海岸G-6】
[時間軸]:本編開始前。
[状態]: 全身に切り傷、打撲。怪人体に2時間変身不可、サソードに一時間変身不可。 睡眠中。
[装備]:ガライソード、GS-03、サソードヤイバー(怪魔稲妻剣によるダメージ有)。
[道具]:配給品一式(ジャーク)支給品のデータブック(ハイパーゼクターを除く支給品のデータが記載されています)
ネタばれ地図。ライダーブレス(コーカサス)。ハイパーゼクター。ベルト(カブト)。精巧に出来たモデルガン。
変身鬼弦・音錠。ディスクアニマル(ルリオオカミ、リョクオオザル、キハダガニ、ニビイロヘビ)
首輪の解除方法と脱出手段に関する推論を記述したメモ。 タイムベント。
[思考・状況]
1:脱出派と合流する。
2:神崎、オーディン、キング、ドラス、冴子を許しはしない。
3:任務達成の後、ジャーク将軍と合流。
4:睦月との決闘は脱出の後で。
5:小沢の仇を討つ。
[備考]
※:支給品のデータブックには、支給されたアイテムの効果が記載されています。各参加者の初期支給品も記載されています。
※:首輪の盗聴機能は制限されています。
※栗原親子が神崎側に囚われていることを知りました。
- 584 :代理:2007/10/21(日) 00:54:53 ID:PdUVmEyv0
- 【相川 始@仮面ライダー剣】
【2日目 現時刻:早朝】
【現在地:市街地G-6】
[時間軸]:本編後。
[状態]:胸部に傷。右肩を強打。カリス、ワイルドカリスに2時間変身不可。 心に大きな揺らぎ。
[装備]:ラウズカード:ハートの全カード(13枚)。
剣崎の指輪・ペンダント・ブレスレット(単なるアクセサリー)
HONDA XR250(右のサイドミラー破損・ガス欠中)
首輪探知機(レーダー)。
[道具]:なし
[思考・状況]
1:十二時までに天音ちゃんを救う。
2:もしそれが出来そうに無い場合、参加者全員を殺す。
3:今は睦月等と共に居る。
4:自分の進む道に違和感。
5:もう封印される気は無い。
[備考]
※1:相川始は制限に拠り、ハートのA、2、K以外のラウズカードでは変身出来ません。
※2:HONDA XR250は制限により、あらゆる能力で変化することが出来ません
※3:死んだ剣崎が別のブレイド世界(劇場版)から来たという認識はありません。
※4:HONDA XR250はE-6エリアに放置されています。
※5:相川始はハートスートを全て揃えた為、ワイルドカリスへの変身が可能となりました(カリスとは別カウント)。
- 585 :名無しより愛をこめて:2007/10/21(日) 01:03:24 ID:M1Yvel1d0
- 投下乙です!!
始の変身に燃えた。やっぱライダーはこうでなきゃ。
- 586 :一つの戦いに終わりを、次の戦いには始まりを。:2007/10/21(日) 01:05:52 ID:Y5+LKYnP0
- 「おい。」
町の中に男の声が響く。
オーディンが振り返ると、硝子の中に神崎士郎が立っていた。
「一体何故タイムリミットを仕掛けた。今それを知らせる必要はなかったはずだ。」
神崎の声は不機嫌とまでは行かないが、若干ご機嫌斜め気味といった所だった。
「相川始に助力を持ちかけたのですが、拒否をされました。」
「…………。」
暫し、二人の間に沈黙が流れる。
「それ故、時間を早めて戦いを進めざるを得ない状況にと思ったのですが……」
「……まあいい。お前まで、変な気を起こすなよ。」
オーディンの言葉をさえぎり、神崎は姿を消した。
――――現在時刻、五時と少し。この戦いの終焉は、いつになるのか。
【オーディン@仮面ライダー龍騎】
【2日目 現時刻:早朝】
【現在地:海岸G-6】
[時間軸]:神崎士郎と同時間軸
[状態]:全身に疲労大。腹部強打。2時間戦闘不可(オーディン)
[装備]:カードデッキ(オーディン−タイム)、爆破機能のない首輪、ゴルトバイザー(破損)
[道具]:佐野満のディパック
[思考・状況]
1:経験値を上げる。日下部ひよりを優先的に殺す。
2:矢車チーム、及び茂チームの処分。及びタイムベントの奪還。
3:その後で相川始に接触する(戦うかどうかは保留)。
※1:ゴルトバイザーは一回変身をとくか、二時間たてば再生します。
※2:ハイパーゼクターとカブトのベルトはジャーク将軍が持っていると思っています。
- 587 : ◆ooH1rChbak :2007/10/21(日) 01:06:22 ID:Y5+LKYnP0
- 代理投下有難うございます。感想意見誤字脱字等あったらよろしくお願いします。
さて、向こうにも書きましたが。
首輪の制限時間はとりあえずそのままに、議論が纏まったら修正する予定。
続いてワイルドカリスの変身カウント、これは議論行きかと。
あと、自分で間違い見つけました。睦月の状態欄に睡眠中追加です。
- 588 :名無しより愛をこめて:2007/10/21(日) 01:19:05 ID:PdUVmEyv0
- 投下乙!!
まず指摘。
ワイルドカリスは変身カウントを別にすると、他のライダーの強化フォームが別カウントにならないのがおかしいという点です。
別カウントにすると、始がアイテム無しで3回変身可能になるため、明らかな優遇を受けています。
カリスが変身機構が特殊とは言え、今回の話を見る限り別カウントにする必要はないと思います。
そして感想。
睦月と剣崎が重なって見えました。
叱咤激励して、剣勢の因縁に決着がついて、残すところは栗原親子のみ。
今後が楽しみになる、熱い話でした。GJ!!
- 589 : ◆s.0z/S/80k :2007/10/21(日) 09:35:14 ID:jtBpQgyBP
- ワイルドカリスキタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!
上級フォームも出そろって来た感じで、これからのバトルが楽しみです。
大変乙でした。
ワイルドカリスの扱いですが、他の上級フォームと同様、下位フォームとセットでの扱いがいいと思います。
本編でもカリスへの変身なしにワイルドカリスになったことはないはずですし
そもそもワイルド自体はパラドキサ(ハートK)ではなかったような。
(wikipediaではブレイドKと同じ13体融合、とされていますね)
いただいたご指摘への回答が遅くなりまして申し訳ありません。
>>549
ご指摘ありがとうございます。
まとめサイトの管理人様、お手数ですが何かのついでに修正をお願いできますでしょうか。
>>553
矢車さんは結局は患者側で医療関係者ではないので、
薬理ではなく薬効・成分名ではなく商品名で薬を認識しているだろうという前提があります。
その上で、アルコール+トランキライザーが起こしうる相乗効果ぐらいはあいまいに知っているかも知れませんね。
そう考えると、薬は症状に合わせて単品を水で飲むのが自然だと考えてあの飲み方をさせました。
ご了承いただけますでしょうか。
ご指摘通り、エチゾラムもアセトアミノフェンもアルコールとの併用で効果に影響が出る薬ですので
この先思わぬ事故が期待、もとい心配されるかもしれません。
矢車さん自身、今は8話の自信と13話のやる気を合わせたような状態にしてありますが
元々精神的に強い人ではないですしね。
余談ですが、 酔い潰し用カクテルに頻用されるウォッカを最初草加に出したのはわざとです。
すぐに悪用してくれることを期待していた訳ではありませんが
目薬入りスクリュードライバーの被害者がでなくて残念……いえ。
- 590 :名無しより愛をこめて:2007/10/21(日) 10:40:58 ID:BWwiZ5vbO
- 指摘としては始の状態表の現在地が市街地G-6になっています。
GJ!
熱いバトルをありがとう!
- 591 :名無しより愛をこめて:2007/10/21(日) 11:13:18 ID:CmUYCm5J0
- 投下乙!
ワイルドカリスはカリスと同カウントでいいと思いますが
そうすると今回の尺が足りなくなる…?
>>589
表現が誤解を招くようでした。
矢車さんの知識レベルであの飲み方は自然ですが、
相乗効果としてえらいことになる、という『今後の』書き手向けのメッセージのつもりでした。
- 592 : ◆ooH1rChbak :2007/10/21(日) 12:01:07 ID:Y5+LKYnP0
- 了解です、後ほど修正版の状態表をしたらばに投下しておきます。
>>590
スミマセン、間違っているのは始じゃなく他の皆さんですorz
その辺も纏めて修正します。
- 593 :名無しより愛をこめて:2007/10/21(日) 23:00:03 ID:D/yhuSDh0
- 投下乙。
ついに登場、ワイルドカリス。
オーディンとの戦いの凄まじさもあいまって、熱い展開でした。
いくつか指摘事項
カリスはハートの3(CHOP)を持っていません。
あとオーディンは5時と少しではまだ2時間の制限中ではないかと。
- 594 :名無しより愛をこめて:2007/10/21(日) 23:40:56 ID:Q9nw7iqa0
- おつー
タイムベントのないオーディンなんて雑k(ry 他のデッキ餅に渡ったらやばいことに・・・
始合流でブレイドKフォームにも光明見えた?
果てなき希望聞きながらだとテンションあがるぜえええ
- 595 : ◆ooH1rChbak :2007/10/22(月) 06:56:10 ID:yF0Bf4yK0
- >>593
了解です、>>592の分も合わせてしたらばに投下しておきました。
- 596 :名無しより愛をこめて:2007/10/22(月) 10:59:46 ID:bxPc3sIm0
- 修正していただいたのに恐縮ですが、時間は5時30分過ぎではなく、6時前の方が適当かと思います。
オーディンが最初に現れたのは少なくとも3時30分以降なので。
- 597 :名無しより愛をこめて:2007/10/22(月) 17:54:21 ID:Ecz9uAkJO
- 佐野のデイパックの中身ってなんだったの?
- 598 :名無しより愛をこめて:2007/10/22(月) 19:02:53 ID:sKY8nIhPO
- インペラーのデッキ(アドベント無し)
- 599 :名無しより愛をこめて:2007/10/22(月) 19:09:42 ID:fAHUSBLUO
- 修正投下乙!
だがもう少し手直しがいるね。頑張れ!
- 600 : ◆vHOqGgdf1U :2007/10/22(月) 21:04:09 ID:SlkpGpNp0
- まとめサイト更新しました。
更新にあたり、乾と南の配給品表記が前々からなかったようなので、追加表記しております。
と、いうことで
ジャーク将軍、ドラス、キング、影山冴子、神崎士郎、スマートレディを予約いたします。
今回は事前にいくらか書いておりましたので、早ければ明日、遅くとも明後日には投下できるかと思います。
- 601 :名無しより愛をこめて:2007/10/22(月) 21:11:06 ID:HqPn/anp0
- パッと見「悪」ばっかだが将軍は違う…のか?wktkして待つぜ!
睦月が言う「始が傷つけた人」って、蟹レーザーとかぼっちゃまとか草加とか、
どっちかと言えば脱出派の障害になるやつばっかだな・・・
光太郎は生きてるし。ジョーカーの役目果たせてなくね?w
- 602 :名無しより愛をこめて:2007/10/22(月) 21:14:06 ID:fAHUSBLUO
- >>600
待ってました!
新作楽しみにしてます!!!
- 603 :名無しより愛をこめて:2007/10/22(月) 23:04:39 ID:6GU4NK+T0
- >>600
まとめサイト更新、いつもご苦労様です。
新作楽しみですが、このメンバーだとジャーク将軍がどうなるのか、とても気になります…
- 604 : ◆vHOqGgdf1U :2007/10/23(火) 23:53:25 ID:GkTHFAvY0
- ただいまより投下いたします。
- 605 :汝の名は女なり ◆vHOqGgdf1U :2007/10/23(火) 23:54:25 ID:GkTHFAvY0
- 「っぅぅぅ」
右耳を切断された痛みに堪えながら、冴子は自らに応急処置を行う。
支給品の水で傷口を洗い、布をあてがい、それを固定するために頭に包帯を巻いた。
とはいえ、清潔な布や包帯など、手元にはなく、着ていたワイシャツを破いて作った急ごしらえのものだ。
おかげでワイシャツはボロボロ。破れた箇所からは肌の色が覗いている。
純朴な青少年が居れば、色々とダメージを受けそうだが、生憎とこの場には女性の身体に関心を持っている者はいなかった。
隣にいるのは青年の姿をしてはいるが、本性はコーカサスカブトムシの祖であり、人間とはまったく異なる不死の生物。
自分のカテゴリーであるスペードのKから準えて、キングと青年は名乗っていた。
キングは南の方角をじっと見詰めている。偵察に行ってくるといって、再び睦月たちの元へ向かったドラスを待っているのだ。
「心配しなくても大丈夫よ。ドラス君なら、相手が束になって掛かって来ても余裕で返り討ちに出来るわ」
「別に心配なんてしてないよ。君の言うとおり、ドラスは強いからね。君と違って」
キングは蔑んだ目で冴子を見下ろす。
「それどういう意味かしら?」
「そのまんまの意味だよ。ガライだっけ?あんなにあっさり負けるなんて間抜けすぎ。
その前もライダーシステムに吹き飛ばされるし、クラブのアンデッドたちに手も足も出ないし、よくそんなんで今まで生き残れて来れたね」
「……口を慎みなさい、坊やの分際で。大体、あなたがガライに変身アイテムを奪われるようなヘマをしなければこんなことには」
疼く右耳を抑え、負けじと冴子もキングを睨み返した。だが、キングは冴子の言葉を聞くと、急に腹を抱えて、笑い始める。
「あっははは!それ、超サイコー。君、勘違いしてるよ。僕はこれでも君の何千万倍も生きてるんだぜ。見た目で判断するなんて、浅すぎ。
それに僕は奪われてなんていないよ。あれはわざと奪わせたんだ」
「なっ!」
「元々、睦月とはラウズカードと珍しいものをトレードするって約束だったからね。前払いってやつさ」
真実とも、負け惜しみとも取れるキングの言葉。どちらが事実なのかはキングしか知る由はない。
だが、冴子はそれを真実だと解釈した。耳の疼きと相まって、冴子の心に激しい怒りが宿る。
- 606 :汝の名は女なり ◆vHOqGgdf1U :2007/10/23(火) 23:55:03 ID:GkTHFAvY0
- 「あなた、何したかわかってるの!敵に戦力を与えたのよ。ただでさえ厄介な連中だというのに」
「なにか文句ある?ラウズカードはライダーシステムがないと機能しないし、あの剣はヒビも入っている上に変身する奴を選ぶみたいだったし、邪魔なだけだったんだよね。
まあ、あの怪人が変身できたのは流石に予想外だったけど、面白くなりそうだし、いいじゃん。
戦力差がありすぎるゲームはつまらないって。僕には3つの変身があるし、ドラスはひとりで数人分の強さがある。
まだまだ余裕じゃない。……最もあんたはどうか知らないけどね」
「っっっっっ!」
キングは言外に戦力外と言っているのだ。穿った見方をすれば、右耳を切断されたことの揶揄ともとれなくもない。
「おや、やる気?」
冴子の顔に薄く浮かんだオルフェノクの残像に、キングは笑みを浮かべた
「やるなら相手になってあげてもいいけど」
一触即発の空気が場を支配する。その時だった。ふたりの間に一個の球が割ってはいる。
「なにやってるの?キング君、お姉ちゃん」
球は声を上げると、粘土のように自在に形を変えていき、たちまち怪人の姿へと変化した。
究極の生命体を目指して創られた新しき種、ドラスだ。
「別に〜楽しく談笑してただけだよ。ねぇ」
「……ええっ」
同意を求めるキングに冴子はとりあえず頷く。ドラスも深く追求するつもりはないのか「そぉ」とだけ呟いた。
「それでどうだった、睦月たち」
「うん。どうやらジャーク将軍のいる所には向かわないようだよ。なんか東の方に向かって歩いてた」
「東へ?妙ね。彼らもジャーク将軍に用があったんじゃないかしら」
訝しがる冴子。睦月たちは確かに南に向かっていた。それを変更するような何かがあったというのか。
「ねぇ、冴子お姉ちゃん。あのガライってお兄ちゃん、ジャーク将軍と一緒に居たんでしょ。
だったら、睦月君たちにきっと何か伝えたんだよ。睦月君たちが知りたかった情報とかね」
(一理あるけど、今の状況で脱出アイテムより重要な情報ってあるのかしら。しかも、私たちが狙っているってわかっているのに)
- 607 :名無しより愛をこめて:2007/10/23(火) 23:55:14 ID:ypaQ4+h30 ?2BP(1)
- 支援
- 608 :汝の名は女なり ◆vHOqGgdf1U :2007/10/23(火) 23:55:46 ID:GkTHFAvY0
- 疑念を抱く冴子だったが、楽しげに談笑するドラスとキングを見て、話しても無駄だと口をつぐむ。
このふたりには危機感というものがない。確かに純粋な戦闘力では残る参加者の中でも一、二を争うほどだろうが、脱出に関してはまったく当てに出来ない。
つまり、このチームで脱出の鍵を握っているのは自分なのだ。
(キング君。戦闘力ではあなたに敵わないかも知れないけど、役に立つのは私の方。戦闘はドラス君がいれば事足りるわ。
あのジャーク将軍だって、ドラス君がいれば……)
ようやく冴子は冷静さを取り戻した。耳を切断され、キングの挑発に我を忘れかけたが、ドラスへの信頼が冴子の心を落ち着かせた。
そこで、ふと、冴子はあることに思い当たった。
「ドラス君、ちょっといいかしら。あなたここまで飛んで来たようだけど、制限が掛かっていても飛べるの?」
冴子の質問の意図をはかりかねず、ドラスはしばしの沈黙の後、答えを返した。
「飛べないよ。能力が使える状態にならないと、状態も変化できないからね。後、2分ぐらいで制限がかかるんじゃないかな?だけど……」
「なんてことを。ドラス君、あなたが強いのは認めるわ。でも、ジャーク将軍は侮れない。
仮面ライダーたちもそう。あいつらも強くなってる。今度油断したら、いくらドラス君でも」
その言葉は冴子としては純粋に心配から出た言葉であったのだが、ドラスには侮蔑の意味でしかなかった。
「負けるって言うの、お姉ちゃん?」
低く唸ったかと思うと、ドラスの尻尾が瞬時に伸び、冴子の首に巻きつく。
そして、獲物を捕らえた蛇のようにじわじわと絞めつけていく。
「っ……ぁが……ぅ」
「僕のは油断じゃない。余裕っていうんだ。お姉ちゃんならわかってくれていると思ってたんだけどなぁ」
制限がかかっていようといまいと、人の首を絞めるという行為に特別な能力は必要ない。
気道を圧迫されることで阻害された冴子の呼吸は徐々に薄くなっていった。意識も霞みがかっていく。
「ハッハッハッハッ」
笑い声と共に、するりと尻尾が外される。
「同じ失敗は繰り返さない。今度、戦うときは全力で潰しにいくから心配しなくても大丈夫だよ、お姉ちゃん。
だから、安心して。ねっ!」
- 609 : 株価【57】 :2007/10/23(火) 23:55:49 ID:ypaQ4+h30 ?2BP(1) 株優プチ(sfx)
-
- 610 :名無しより愛をこめて:2007/10/23(火) 23:56:21 ID:ypaQ4+h30
-
- 611 :汝の名は女なり ◆vHOqGgdf1U :2007/10/23(火) 23:57:16 ID:GkTHFAvY0
- ドラスの尻尾から解放され、足掻くように新鮮な酸素を肺いっぱいに吸い込む。
荒い呼吸を吐きながら、ようやく冴子は自分がとんでもない化け物といることを認識した。
▽
睦月たちが東に向かったことは気になったが、当初の目的通り、冴子たちはジャーク将軍の下へと向かった。
歩くこと数十分。トラブルもなく、冴子たちは施設へと通じるマンホールへと辿り着いた。
「この下だね」
「そうよ。この下にある研究室で小沢は首輪の解除方法を探っていた。もうあれから時間も大分経ったでしょうし、解っていてもおかしくないわ」
「つまり、場合によっては首輪が解除されたジャーク将軍とかが相手になるわけだ」
その一縷の可能性に冴子は身を硬くするが、ドラスとキングは警戒する素振りすらも見せず、地下への梯子を降りていく。
そして、わずかに通路を進むと、ふたりの存在を感知し、自動的に広間へのドアが開いた。
「ほぉ、おぬしらが先に着いたか」
広間に入ると、そこには悠然と佇むジャークの姿があった。
状況を予期していたのだろう。ジャークに動揺した様子は見られない。
その堂々とした様子に冴子は改めて畏怖の念を抱く。
「久しぶりね、ジャーク将軍。あなた一人かしら?」
冴子は言葉を紡ぎながら、注意深く辺りを確認する。睦月たちはいなくても、他に伏兵が潜んでいないとも限らない。
ドラスが戦える状態なら、多少の無茶は可能だが、今、戦力として数えることが出来るのは自分とキングのみ。どうしても慎重になってしまう。
「心配しなくともよい。ここにいるのは余、一人だけだ。ガライは余の下から去り、小沢は神崎の手の者に殺害された」
「……どういうこと?」
「そちが去った後、小沢は首輪の解析に成功した。だが、それを危険と見た神崎は”オーディン”と名乗る刺客を送り込み、小沢を暗殺しおった。
余は脱出を諦め、優勝を目指すことにしたが、ガライは余に逆らい、袂を分かったというわけだ」
ガライの乱入にはそういう理由があったのかと納得する一方、まだ冴子には釈然としない部分があった。
「随分とあっさり諦めたのね。他にも科学者はいるわ。確か結城丈二君。まだ放送で呼ばれてなかったわよね?」
- 612 :名無しより愛をこめて:2007/10/23(火) 23:57:36 ID:ypaQ4+h30
-
- 613 :汝の名は女なり ◆vHOqGgdf1U :2007/10/23(火) 23:58:12 ID:GkTHFAvY0
- 「解析には成功したと言ったであろう。小沢は死ぬ前に首輪の解除方法はしっかりと伝えおった。その方法というのが問題なのだ」
ジャークは首輪の解除方法の一切を包み隠さず説明した。説明を聞いていく内にどんどん冴子の表情が暗いものになっていく。
それもそのはず。冴子も、キングも、ドラスも、解除できる参加者の条件には当てはまっていない。
「っぅぅぅぅぅ!」
冴子は強く唇を噛む。歯の鋭さにその薄い唇が破れ、血が噴き出してくる。
元々人間ではないキングとドラスと違い、冴子は元人間だ。それが冴子の悔しさに拍車を掛ける。
オルフェノクとして覚醒して以来、人間の心を消し去り、オルフェノクとして生きることに尽くしてきた。
その甲斐あって、人間時もオルフェノクとしての能力をより強力に駆使できるようになり、オルフェノクとして上の上である証であるラッキークローバーに入ることもできた。
オルフェノクであることは冴子にとって、誇りであるといってもいい。退屈で脆弱な人間という殻から抜け出すことが出来たのだから。
しかし、オルフェノクであることが、まさかマイナスに働く日がくるとは。
冴子は恐怖する。優勝争いになった場合、今の自分はあまりにも不利。
デルタとオーガにはしばらく変身は出来ない。今、この場でキングやドラスが牙を剥けば、勝てる気はしない。
「ちぇっ、じゃあ僕は首輪の解除は無理か〜」
ショックを受ける冴子とは対称的に、どこまでも能天気なキング。そして、ドラスは俯いて何かを考えているように見えた。
その三人の様子を見て、ジャークは密かに笑みを浮かべる。
「……実は余にはまだ切り札があってな。首輪は外せなくとも、脱出の可能性は残しておる」
ジャークの言葉に絶望に染まりかけていた冴子が、顔を上げた。
「なんなの、それは?」
「慌てるではない。知っておるか?首輪には盗聴機能があってな。小沢の件もある。しゃべった途端、脱出の目を潰されてはかなわん。
見れば、ドラスよ。首輪を着けてないところを見ると、そちの首輪は内部にあるのではないか?」
ドラスは頷く。ジャークの指摘通り、ドラスの首輪は内部。盗聴を抑制するためには一度、球の状態に変化しなければならないが、能力が制限されている状態では変化することはできない。
- 614 :名無しより愛をこめて:2007/10/23(火) 23:58:42 ID:ypaQ4+h30
-
- 615 :汝の名は女なり ◆vHOqGgdf1U :2007/10/23(火) 23:58:43 ID:GkTHFAvY0
- 「ならば、ここで話す訳にはいかぬ。そこで提案なのだが……キングと冴子。どちらか代表者と隣の部屋で話がしたい。
脱出のための秘策をそこで話そうではないか」
「ハッタリじゃないよね?おじちゃん、それなりに強いんでしょ。シャドウお兄ちゃんの仇でもある僕たちになんでそこまで話そうと思うのかな?」
「ふっ、疑惑はもっともだ。だが、抗おうにもオーディンとの戦いで制限期間に入ってしまってな。今は戦えぬのだ。
シャドウの件は確かに多少悔しくもあるが、所詮はインスタントチーム。仇まで討つ程の義理は持っておらぬ。
内容が信用に値するものかどうかは聞いて判断してもらう他ない。なんなら、小沢の死体でも確認するか?」
「ふーん。まあ辻褄はあってるね」
一応、納得したのか、ドラスはそれ以上、言葉を発しなかった。それを確認し、冴子は声を上げる。
「なら私が聞くわ」
ドラスが今、優勝狙いになることは避けねばならない。
仮にジャークの秘策が嘘だったとしても、その秘策の内容を知るのが自分だけならば、内容の真偽に関わらず、自分の価値は上がる。
ジャークはその後に葬り去ることが出来れば、なおいい。
策謀した冴子は一歩、前へ出ようとする。しかし、キングがそれを遮った。
「ここは僕に任せてよ。いいよね?」
「そんな」
「君に答えは聞いてないよ」
確認の言葉は冴子ではなく、ドラスへ。ドラスは特に迷った様子もなく、
「キング君に任せるよ」
そう呟いた。
▽
ジャーク将軍はキングをガレージへと案内する。
「なんだこれ!?」
部屋に入った瞬間、異様な光景に驚いたキングは思わず声を上げた。
ガレージにある鏡や光を反射するものには、全て紙や布が貼り付けられていた。
ジャークはキングに紙を渡す。紙には『オーディン対策』と記されていた。
- 616 :汝の名は女なり ◆vHOqGgdf1U :2007/10/23(火) 23:59:25 ID:GkTHFAvY0
- ジャークは、自分たちが盗聴を封じて会話していたにも関わらず、絶妙のタイミングでオーディンが現れたことから、オーディンや神崎士郎が盗聴以外の干渉方法を持っていることに気付いていた。
オーディンや神崎は鏡を介して移動できる。小沢襲撃の際には、オーディンは鏡の中でジャークたちの動向を観察していたのだ。
それはゴルトフェニックスが鏡より召喚されたことから考えても明らかだ。
ジャークがその結論に辿り着いたのは彼がクライシス帝国出身だったということも味方した。
普通の人間ならば、鏡を媒介に移動するなど、荒唐無稽と切り捨てるだろうが、ジャークにとってはそれほど非常識なことではない。
クライシス帝国の怪魔妖族には鏡渡りという技が伝わっている。
ジャークはそれと似たような能力なのであろうと、推察し、結論を出したのだ。
ジャークは同じ愚を二度も犯すつもりはない。むしろ、それを利用して、逆に罠に嵌めるつもりでいた。
まずはその一歩。ジャークはキングに2枚目の紙を渡した。紙には『話を合わせろ』と書かれていた。
「残念ながらキングよ。あの場ではああ言ったが秘策などない。だが、そんなことを言えば余の命はなかった。
そこで嘘を吐き、そちと交渉の場を持ったというわけだ。キングよ、頼む。せめて残り5人になるまで、余と組んではもらえぬか?」
「ええっ、マジかよ〜。もう優勝するしか生き残る方法はないっていうのにそれはないだろ」
キングの反応を見て、ジャークは紙に文字を綴り始める。
どうやら口で話しながら、別の話を紙ですることは、キングにとって問題ないようだ。
その証拠に、ジャークが渡そうとしたペンと紙を、キングは断ると、携帯電話を懐より取り出し、文字を打った。
『僕はこれで話すよ』
『わかった』
ふたりの会話は紙と携帯電話を媒介に進んでいく。もちろん口では別の話が継続されている。
やがて話は山場へと差し掛かる。その文面はジャークの狙い通り、会話と同様の一文となった。
「では、影山冴子を抹殺するとしよう」
▽
ジャークとキングを待つ傍ら、ドラスはキングのディパックから怪魔稲妻剣を取り出すと、再び自分の手元に戻った武器の感触を確かめていた。
一方、冴子はというと、真剣な顔つきで考え事をしていた。
「ねぇ、ドラス君」
- 617 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 00:00:10 ID:ypaQ4+h30
-
- 618 :汝の名は女なり ◆vHOqGgdf1U :2007/10/24(水) 00:00:19 ID:P89UEXo+0
- やがて、考えがまとまったのか、冴子はドラスに話しを切り出す。
「なんだい、お姉ちゃん?」
「そろそろキング君を切り離すことを考えるべきじゃないかしら。ドラス君は彼を気に入ってるようだけど、彼は危険だわ。
彼は自分の楽しみのためなら、いつでも私たちを裏切るつもりよ。今、ジャーク将軍と話しているのだって、私たちを裏切る相談をしているのかも知れないわ」
「………」
「………」
「ハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ」
一瞬の間の後、ドラスは盛大に笑いはじめる。
「何がおかしいの?」
「ハッハッハッハッハッハッ、だって、それはキング君に限ったことじゃないじゃないか。キング君を僕に換えても、お姉ちゃんに換えてもその一文は通じる。そうでしょ?」
「な、何を言ってるの。私が裏切るわけないじゃない」
「ハッハッハッハッハッハッ、今のお姉ちゃんならそうかもね。……残念ながら」
冴子が次なる言葉を紡ごうとしたとき、ドアの開く音と共にキングとジャークが現れる。
どうやら話し合いは終了したらしい。
「終わった?」
「ああっ、OK!すげぇー面白そうだよ。ジャークの計画」
「そう、じゃあジャーク将軍とはしばらく一緒なのね」
冴子は内心、不満に思いながらも、感情を押し殺して、言葉を発する。
「よいではないか、冴子よ。我らは共通の目的のための一時的な同盟。利害が一致すれば組み、利害が反すれば分かれる。のぉ?」
「そうだね」
同意するドラス。ドラスが同意しては仕方ないと、冴子もしぶしぶと頷いた。
「よ〜し、同盟成立。じゃあ、僕らのためにお前にはここで脱落してもらおうかな」
そういうやいなや、キングの額から不釣合いな黄金の角が生えたかと思うと、一瞬にしてキングはコーカサスアンデッドの姿へと変わった。
その右腕には大刀、オールオーバーを、左手には盾が握られる。
「あなた、どういうつもり!」
突然変身したキングに不信感を顕にする冴子。
「こういうつもりだよ、冴・子・お・姉・ちゃ・ん」
キングはオールオーバーを握り締めると、冴子に斬りかかった。
「!」
- 619 :汝の名は女なり ◆vHOqGgdf1U :2007/10/24(水) 00:00:59 ID:GkTHFAvY0
- 危険を感じていた冴子は一瞬にしてロブスターオルフェノクの姿に変わると、右手に握った剣で攻撃を受け止める。
「ジャークとの話し合いの結果だよ。僕らの計画には君の命が必要なんだよね」
既にジャークの計画が僕らの計画になっている。内容はわからないが、キングはジャークの計画に乗ったのだ。
冴子にとっては最悪の状況だ。自分が望んでいた立ち位置とキングがいる立ち位置が完璧に逆転している。
(いや、まだ私には頼れる存在がいる)
「ドラス君、助けて!」
ドラスなら、ジャークとキングのふたりを相手にしても負けない戦闘力を持つ。
ドラスなら、自分を理解し、助けてくれる。
ドラスなら、きっとなんとかしてくれる。
そう信じて、冴子はドラスに助けを求めた。
ドラスは動いた。怪魔稲妻剣を握り締め、瞬時に間合いを詰めると、キングを跳ね除ける。
そして、ドラスは守るように、冴子の前に立つ。
「ドラス君」
安堵の声を上げる冴子。ドラスはゆっくりと怪魔稲妻剣を振り上げた。
「!?!?!?!?」
冴子は自分の身に何が起こったのか、一瞬理解できなかった。
「ド、ドラス……くん?」
「残念だよ、お姉ちゃん。僕はね、お姉ちゃんが人間らしくないから好きだったんだ。
騙し、妬み、蔑み、怨み、誰も信じず、皆を絶望へと追い込むお姉ちゃんがね。
でも、もうお姉ちゃんに利用価値はないみたいだね。だから、バイバイ、お姉ちゃん」
振り下ろされた怪魔稲妻剣は冴子の身体を袈裟懸けに切り裂いていた。
その攻撃は紛れもなく致命傷。そのことを証明するかのように、冴子の身体はオルフェノクから、人間の姿へと戻っていた。
「そんな……私が…………こんな……」
力を失い、崩れ落ちる冴子。
冴子は自分の判断が間違っていたことに今更ながら気付いた。
ドラスとジャークを会わせてはいけなかったのだ。ジャークには冴子以上の知恵がある。
ジャークがドラスと組むことになるのなら、知恵も、力もジャークに劣る自分が生き残る術はない。
- 620 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 00:01:43 ID:ypaQ4+h30
-
- 621 :汝の名は女なり ◆vHOqGgdf1U :2007/10/24(水) 00:01:46 ID:GkTHFAvY0
- 「冴子よ、余は忠告したはずだ。余はそちの闇に惚れ込んで、仲間に引き入れた。
しかし、所詮は何の繋がりもないインスタントチーム。障害になるようならGトレーラーのようにするとな。
……だが、喜ぶがよい。そちは最後の最後で余たちの役に立つことができる」
ぐったりする冴子をキングが抱え上げる。
「さ〜て、じゃあ始めるとしますか」
▽
冴子はガレージに移されると、手足を動かせないよう固定され、そこに鎮座するライドロンの上に置かれた。
ジャークとキング、そして、冴子の首輪には盗聴対策は施し済み。対策を施すことが出来ないドラスには、広間でオーディンの乱入を警戒させている。
今、これからこの場で起こることは一切、神崎に感知されることはない。
「……い、一体、何を……するつもり……」
「勿論、スッゲー面白いことだよ」
息も絶え絶えといった様子で問う冴子。
これから行われることが楽しみでしょうがないキングを横目にジャークは冴子の耳元で囁き始めた。
「冴子よ、呪術というのをご存知かな?そちたち人間にとっては非科学的なものは信じられぬのかも知れんが、そう馬鹿にしたものでもない。
怪魔界には呪術と読み換えても相違ない、妖術を使うものもいる。そして、そちたち人間の中にもその呪術を科学に組み込んで、世界征服に乗り出した組織もある」
以前、クライシス帝国の諜報網により調査したところ、ただ設計図通りに造っただけでは動かなかったライドロンは、ゴルゴムの怪人であるクジラ怪人の一族に伝わる聖なる海の洞窟と呼ばれる場所で命を与えられたことにより、動くようになったということがわかった。
ならば、このライドロンも、どんな方法であれ、命を与えれば動くのではないか。ジャークはそう考えていた。
幸運にもここの書庫には、様々な呪術の用法が記載されている本が数多くあった。
その中でも最も適切で、最も簡単な呪術をジャークは選択した。その呪術に必要なものは新鮮な生贄のみ。
「馬鹿馬鹿しいわね……そんなこと、本当に出来ると思って……ぐっ」
「うるさいよ」
嘲る冴子の舌をキングが掴む。
- 622 :汝の名は女なり ◆vHOqGgdf1U :2007/10/24(水) 00:02:17 ID:P89UEXo+0
- 「意外と頭固いね。僕は色々やってみればいいと思うよ。このままだと、神崎の思い通りになっちゃいそうだしさ。
何でも試してみなきゃ。まあ、僕は面白ければなんでもいいけどね!」
「っぐぁ!」
キングはそのまま力に任せ、冴子の舌を引きちぎる。傷口から吹き出る赤い血がたちまち冴子の口内を満たしていった。
「早くやろうよ、ジャーク将軍。このままだと窒息しちゃいそうだしさ」
「ふぅ、やれやれ」
呆れた様子でキングを見ていたジャークの顔が引き締まる。
ジャークはライドロンの前に跪くと、暗記した術法を唱え始めた。
「――ウヤタ……メオチュシ……フェアノロン……ライドロン……ジュスア……スワルギ……ノットセイレイ……シンバック……サエコ……セニュオル……ドボルギ……グォセ――
古代の戦士よ。永遠不滅の悪魔の戦士の精霊よ。ライドロンにその偉大なる力を巡り与えよ。影山冴子の血を注ぎ、生贄へと捧げよう」
ジャークが術法を唱え終わると、キングは指示に従い、冴子の心臓にオールオーバーを突き立てる。
「ぶほっ!」
最後に一度空気を吐き出し、冴子は動きを止めた。
冴子の口内と、胸から大量の血が流れ出し、ライドロンの赤いボディを伝っていく。
冴子の血はライドロンの赤いボディを徐々にどす黒く染めていった。フロントカウルも、リアウィンドも、そして、車体に刻まれたRXのマークさえも。
「………」
「………」
一時の沈黙。やがてライドロンは青白き光を放ったかと思うと――
――ブルルルルル
エンジン音を轟かせ、動き始めた。
「フハハハハハッ、動いた、動いたぞ」
「アハハハハハッ!超サイコー」
エンジン音とふたりの笑い声が共鳴する。それは全参加者にとって、恐るべき兵器が生まれた瞬間であった。
【影山冴子 死亡】
残り13人
- 623 :悪い奴ほどよく笑う ◆vHOqGgdf1U :2007/10/24(水) 00:02:48 ID:GkTHFAvY0
- 冴子の死体をジャークは禁止エリアに放り込む。
途端に鳴り響く首輪の警告音。
一秒、二秒と時を刻む毎にテンポがどんどんと速くなっていく。
そして、一際大きな音が鳴り響くと同時に首輪はボンと大きな音を経て爆発した。
破壊される冴子の首。その爆発は顔の下半分の全てを吹き飛ばす。
赤い肉片に混じって、見える白い欠片は冴子の歯であろうか。
「ふむ、やはりな。首輪は直ぐには爆発せぬ。ふっ、これで全ての準備は整ったわい。
冴子よ、お前は本当に役に立ってくれた。礼を言うぞ。フハハハハハッ!」
ジャークは冴子に別れを告げると、作戦を実行に移すため、ガレージへと戻っていった。
▽
「神崎さ〜ん、そろそろ放送ですよ」
スマートレディの声に、もうそんな時間かと、神崎はオーディンとの会話を打ち切ることにする。
「……まあいい。お前まで、変な気を起こすなよ。」
「あら、お話中でした」
「いや、それよりお前は監視を続けろ」
「は〜い、わかりました」
参加者の監視へと戻ったスマートレディを見送ると、神崎士郎は放送内容を定めるためにペンをとった。
この6時間も殺し合いは順調に進んだ。今回の死亡者は6名。このペースで進めば後1日もあれば目的は達成できるだろう。
多少のアクシデントはあった。
参加者のひとり、小沢澄子が首輪の解析に成功し、解除方法を見つけ出してしまった。
だが、それは結果的に戦いを促進する結果になった。
首輪を外すことができるものは限られる。血の気の多い怪人たちは優勝を目指すしかなくなった。
現にジャーク、ドラス、キングの3人は同盟を結び、鉄壁の布陣を引いた。
何やら途中で盗聴を遮断して話していたようだが……
「何も問題はない」
- 624 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 00:02:50 ID:WqvafVU40
-
- 625 :悪い奴ほどよく笑う ◆vHOqGgdf1U :2007/10/24(水) 00:03:30 ID:GkTHFAvY0
- ジャークたちが何を話そうとも、脱出することはできない。大方、オーディンを倒すための策でも練っていたのだろう。
だが、それも無意味だ。オーディンと戦う前にジャークたちは残る脱出派の連中と戦うことになるだろう。
どちらが勝とうが、無事には済むまい。必ず死人がでる。
それに、今はオーディンのわがままを聞いてはいるが、折を見て、オーディンは手元に戻すつもりだ。
戻した後、最後の一人になるまでオーディンを戦わせるつもりはない。一対一ならば、オーディンに負けはないのだから。
(もうすぐだ、優衣)
神崎士郎はほくそ笑むとメモに5回目の放送内容を記載した。
――ドゴゴゴゴッ!
突如、何かを砕くような轟音が響き、施設全体を揺らす。
「きゃあああっ!」
スマートレディの悲鳴が聞こえる。神崎は何事かと、音がした場所へと向かおうと立ち上がる。
だが、その必要はなかった。
「フハハハハハッ!神崎士郎よ、ついに会えたな」
その音を響かせた主は、笑い声を響かせながら、神崎のいる部屋へと入ってくる。
「その声、ジャークか」
「いかにも。クライシス帝国地球攻撃兵団最高司令官、余の名はジャーク」
威風堂々。その言葉通り、身動ぎひとつせず、堂々と構える様は神崎でさえ、威圧感を感じていた。
「どうやってここへ」
「フフッ、ライドロンよ。ライドロンはあらゆる場所を移動できる。失敗したのぉ、ライドロンをあのようなところに放置しておくとは」
「だが、例えライドロンを動かせたところで脱出など出来ないはずだ。ましてやここに来ることなど」
神崎の疑問の声に、ジャークの露出した口元は笑みを形づくった。
「確かに。ただライドロンがあるだけではな。脱出のためには怪魔界と地球を結ぶゲートを探し出さねばならん。
しかし、余は直ぐにわかったぞ。神崎士郎。そちは意味のない場所を禁止エリアに設定することはない。
その場所にアイテムがあるか、もしくは留まっている誰かをそこから移動させようとするか。
余の支給品である"地図"からもそれは明らかだ。だが、ただひとつ。意味のない場所を指定したときがあった。
それはA1エリア。一番最初に設定した禁止エリアだ。不思議に思ったものよ。なぜ一番端の辺鄙なエリアを禁止エリアにするのか」
- 626 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 00:03:44 ID:ypaQ4+h30
-
- 627 :悪い奴ほどよく笑う ◆vHOqGgdf1U :2007/10/24(水) 00:04:08 ID:GkTHFAvY0
- 杖で左掌をポンポンと叩きながら、ジャークは言葉を紡いでいく。
神崎はその様をじっと睨み続けている。
「答えは簡単。そこにも意味があるのだ。予想通り、A1エリアには怪魔界と地球を結ぶゲートがあった。
例え禁止エリアに守られていようとも、ライドロンのスピードがあれば、首輪が爆発する前に駆け抜けることは容易い。
慎重な性格が災いしたな。空間を越える道具がなければ見つけられても意味がないというのに」
「………」
言葉を失う神崎の様子を見て、自分の推察が正解だということを確信する。同時に自分がいかに優位に立っているかも。
「さて、次はそちが何故ここにいるかわかったかだが……」
「もういい。ここでお前を殺せばそれで終わる」
――キィィィィン
反響するような音が鳴り響くと同時に神崎の姿は一瞬にして消えた。
「鏡の中に逃げたか。フフッ、無駄だというのに」
だが、それもジャークにとっては想定の範囲内に過ぎなかった。
▽
――キィィィィン
「ああっ、神崎さん」
鏡を渡ることによって、神崎は意図した部屋へと移動した。
そこにはスマートレディがおり、演技なのか、本気なのか、パニックに陥っているように見えた。
「大変ですよ。赤い車が突っ込んできて、中から金色のお化けが」
叫ぶスマートレディを無視し、神崎はガラスケースに近寄る。ガラスケースの中には神崎士郎の切り札となるケルベロスのカードが入っていた。
「神崎さん、それ調整中ですよ」
言われなくとも、神崎は理解している。だが、ジャークに対抗するにはたとえ不完全でも使うしかない。
神崎は測定器のスイッチを切ると、ケルベロスのカードへと手を伸ばした。
- 628 :悪い奴ほどよく笑う ◆vHOqGgdf1U :2007/10/24(水) 00:05:03 ID:P89UEXo+0
- 「そうはさせないよ」
―ACCEL VENT―
無機質な女性の声が響いたかと思うと、神崎の手元から、ケルベロスのカードは消えていた。
「神崎さん、あそこ」
スマートレディが指差す先には黒い蟋蟀を模したライダーの姿があった。
その姿には見覚えがある。ミラーワールドを閉じようと、自分の研究を元に創られた擬似ライダー。
「オルタナティブ。キングか」
「そうだよ。で、なにこれ?こんなアンデッドみたことないけど」
「知る必要はない。ガルドサンダー、ガルドストーム」
神崎の呼びかけに応じ、鏡の中からガルドサンダーとガルドストームが現れる。
だが、その姿は皆一様にボロボロだった。所々が焦げており、中には腕や耳など、身体の一部が失われているものもいた。
そして、何より神崎が把握している数より、呼びかけに応じた数はかなり少ない。
「どういうことだ、これは……まさか」
神崎士郎は急ぎ、鏡を見る。その中にはサイコローグとマグナギガの姿が映し出されていた。
「他はぜぇ〜んぶ倒したよ。いやぁ、強いね〜、それともこいつらが弱いのかな!」
キングが手に握ったスラッシュダガーを振ると、スラッシュダガーから青い光を帯びたエネルギー弾が発せられた。
それが一匹のガルドサンダーを葬ったことを皮切りに、キングはガルドサンダーたちに斬りかかっていく。
必死に抵抗するが、既に傷を負い、消耗していたガルドサンダーたちはキングの敵ではない。次々に切り倒され、爆発していく。
ガルドサンダーたちが全滅するのに30秒と掛からなかった。
「フフッ、理解したかな?」
部屋の入り口にはいつの間にやらジャークの姿。
「余たちがそちの居る場所がわかったのはその蟋蟀の怪人のおかげよ。貴様らと同じ存在である者なら、探し出せると思ったが、当たりだったわい」
ジャークがサイコローグを使い、神崎を探し出したのはほとんど偶然だった。
神崎たちがいる空間は地球と怪魔界の間に位置している。怪魔界に干渉できる程近く、かつ、怪魔界からは干渉を受けない程遠い場所はそこしかなかったからだ。
だが、勘だろうが、運だろうが、ジャークがそこを見つけ出したのは事実。完全にその場はジャークたちに支配されていた。
「………」
「まるで歯応えがない。これで詰みかな?」
- 629 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 00:05:17 ID:ypaQ4+h30
-
- 630 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 00:05:58 ID:ypaQ4+h30
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- 631 :悪い奴ほどよく笑う ◆vHOqGgdf1U :2007/10/24(水) 00:05:58 ID:GkTHFAvY0
- ジャークは右手に付けた腕輪を左手で触り、印を切る。すると、その印は炎の鳥となり、生命をもったかのように動き出した。
陰陽環。無数の勾玉が集められているようなその腕輪の使い方は、既にデータブックにより熟知している。
「ほれ」
ジャークの命じるままに炎の鳥は神崎に向けて突っ込んでいき、その身に触れると爆発を引き起こした。
「ぐぁっ」
「神崎さん!」
着ていた服の胸元が焼かれ、煙が立ち昇る。露出した肌は焼け焦げ、その衝撃で骨でも折れたのか、神崎は口元から血反吐を吐き散らした。
「ところでオーディンはどこにおる?余は彼奴に借りを返したいのだがな」
「………」
「なるほど、ここにはおらぬのか。どうやら、怪魔界に居たままのようだな。そちがここまで傷つけられて、出てこぬはずがない」
「なんだつまらない。じゃあ僕の出番はなしだね」
ジャークが抱えるディパックの中から声がしたと思うと、球体が飛び出してくる。
たちまち、その球体は変化し、怪人、ドラスの姿を形づくった。
「おかしい、まだ制限は解けていないはずなのに」
「鋭いのぉ、女。見ての通りだ。ドラスの首輪は相当劣化しているらしい」
「なんか、おかしいなと思ってたんだ。身体の再精製に成功して以来、制限掛かっているはずなのに力が出せそうだったんだ。
最初は首輪の機能のひとつかと思って、警戒していたんだけど、ジャーク将軍の話を聞いて、それが杞憂だってことに気付いた。
たぶんお兄ちゃんを吸収しているからだね。赤くはなれないけど、制限中も力は出せるよ。こんな風に……」
ドラスの右肩が一瞬だけ光る。次の瞬間、神崎の左足は吹き飛んでいた。
「ねっ!」
痛みを堪え、悲鳴を押し殺す神崎に、ジャークは耳元で囁く。
「哀れよの、神崎。どうだ、余たちの首輪を外し、今後、余への忠誠を誓うなら、命だけは助けてやってもよい」
「……お前たちが一度着けた首輪を解除する術はない。小沢の解析通りだ。お前たちに強力するつもりもない」
神崎は強くジャークを睨みつける。対して、ジャークは笑みで応えた。
「そうか。ならば、死んでもらうしかないな。ドラス、一撃で始末せよ。中途半端に生かしておくと碌なことにならんからな」
「うん、わかった」
ドラスの右肩にエネルギーが集中していく。
- 632 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 00:06:49 ID:ypaQ4+h30
-
- 633 :悪い奴ほどよく笑う ◆vHOqGgdf1U :2007/10/24(水) 00:07:02 ID:GkTHFAvY0
- その様を見ながら、神崎士郎は思う。
自分が消滅しても、ライダーバトルは継続される。
神崎士郎が最も忌むべきは自分が消滅ことではなく、この計画が失敗に終わり、優衣が消滅することだ。
この計画が成功すれば優衣は生きることができる。そもそももう自分は死んでいる。消滅することに何の恐怖もない。
(オーディン、後は頼んだぞ。お前が勝ち残れば、優衣は助かる)
「じゃあね」
ドラスの右肩より発せられた青白きレーザーが神崎の身体を包み込む。
「優衣…………優衣ぃぃぃぃぃぃぃ!!」
絶叫を上げ、神崎士郎はこの世に塵ひとつ残すことなく消滅した。
▽
「これでゲームクリアーか。結構楽しかったな」
オルタナティブ・ゼロへの変身を解き、キングは青年の姿へと戻る。
神崎士郎を殺したことにより、全て終わったと思っているのだろう。確かにキングの目的である『戦いを滅茶苦茶にする』は達成されている。
だが、ジャークは憂慮すべき点がまだあることに気付いていた。
「いや、まだだ。オーディンがまだ残っておる」
「オーディン?あっちに居るんなら放っておいてもいいんじゃない?」
「奴は時間を戻すことができる。余の考えすぎかも知れんが、もしオーディンが数時間以上戻すことが出来るのなら、余たちがライドロンに乗る前まで戻す可能性もある。
女、お前はオーディンがどれほどの時間を戻せるか知っておるか?」
突然、杖を突きつけられたスマートレディは慌てて答えた。
「い、いいえ、それについては全然」
「では、今オーディンがどこにいるかは?」
「ええと、それなら」
スマートレディが壁面に設置された機器を操作すると、虚空に立体モニターが浮かぶ。
「G7エリアですね。この光点がオーディンです」
「ほぉ、これで余たちを監視していたというわけか」
「え、ええ」
「どうする今から倒しに行く?」
光る点を見て、ジャークは黙考する。
- 634 :悪い奴ほどよく笑う ◆vHOqGgdf1U :2007/10/24(水) 00:07:41 ID:P89UEXo+0
- 「いや、万全を期すことにしよう。冴子の持っていたSEALのアドベントカードだけでは心もとない。
やはりここは相手のアドベントカードを無効化できるというコンファインベントとやらを手に入れておきたい。
それさえあれば、もしタイムベントを使われたとしても対抗することが可能だ。確か最初の持ち主は望月敏郎と書かれていたはずだが」
その名前にドラスがわずかに反応を見せる。
「ええと、誰がどの支給品を持っているかはわかりません。でも、音声は録ってあるんで、そこから解析していけばわかるかも知れません」
「うむ、ではそこから探るとしよう。おっと、その前に」
ジャーク将軍は懐から紙を取り出すと、スマートレディにそれを渡した。
「これは放送内容を記した紙?」
「神崎の遺品だ。定時放送がなくなると怪しまれるからな。とりあえず今回までは放送を行うがよい。
余計なことは言うではない。怪しまれぬように今までと同じように行うのだ。既に6時を過ぎておる。急げ!」
「は、は〜い」
スマートレディは放送を行うため、部屋を後にした。
程なくして、鐘が鳴り、放送が始まる。告げられる名前を聞き、ジャークはとある人物を思い浮かべる。
(やはり南光太郎の名は告げられぬか)
脱出の経路は確保し、神崎士郎は倒した。あとはオーディンを始末すればこの戦いは終わる。
だが、ジャークに帰る世界は存在しない。ここも、元の世界も、怪魔界の崩壊は決まっている。
(しかし、ここに連れて来られた南光太郎がもし怪魔界が崩壊する前の南光太郎ならば……)
ジャークは半ば確信していた。少なくともここに連れて来られた南光太郎はバイオライダーになる前の南光太郎であると。
RXの能力は把握している。この首輪の性質から考えると、バイオライダーになって液状化すれば、難なく外せるはずだ。
それをしないということは、バイオライダーになれないと考えてよい。
(複数の世界があるというのなら、ここや余がいた元の世界の怪魔界の崩壊は防げなくとも、いずこかの怪魔界の崩壊は防ぐことができる)
ジャークは怪魔界を救うことを改めて決意した。
▽
ドラスとキングは部屋から出ると、話を始める。
- 635 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 00:08:51 ID:WqvafVU40
-
- 636 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 00:09:41 ID:WqvafVU40
-
- 637 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 00:11:40 ID:tjn3Qg5F0
-
- 638 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 00:13:47 ID:JOLw2NhS0
-
- 639 :悪い奴ほどよく笑う ◇vHOqGgdf1U代理:2007/10/24(水) 00:13:51 ID:WqvafVU40 ?2BP(1)
- 「ねぇ、キング君どう思う?ジャーク将軍の言ってること。本当に時を戻すことなんてできるのかな?
僕たちに殺されたくないからって、嘘ついてるんじゃ」
脱出に成功した以上、ドラスはもうジャークに興味はなかった。
時を戻すなど、神にも等しい所業を行える者が果たして存在しているのだろうか。
ドラスには信じられなかった。だが、キングの解答はジャークの言葉を肯定するものだった。
「う〜ん、たぶん出来るんじゃない。僕の部下に指定した空間の時を止めれる奴もいたし、出来てもおかしくないんじゃない。
人間は何かを利用するのが得意だし。独自に今までなかったラウズカードを作るくらいだしさ」
「そうなんだ。だとすると、興味あるなぁ。愚かな人間の科学力でそんなことが出来るなんて」
「なら、オーディンを倒したら、そのカード奪っちゃえばいいんじゃない。たぶん、名前からして、これでも使えるはずだしさ」
キングはドラスにゾルダのカードデッキを見せる。
「僕はもう目的達成しちゃったし、付き合うよ」
「ハッハッハッハッハッ、ありがとうキング君」
三者三様の思惑が錯綜する中、放送の終わりを告げる鐘が鳴り響いた。
さながら新たな戦いの始まりを告げるかのように。
【神崎士郎 死亡】
- 640 :悪い奴ほどよく笑う ◇vHOqGgdf1U代理:2007/10/24(水) 00:14:47 ID:WqvafVU40 ?2BP(1)
- 【キング@仮面ライダー剣】
【2日目 現時刻:午前】
【現在地:エリア外施設】
[時間軸]:キングフォーム登場時ぐらい。
[状態]:全身に負傷中。わき腹に刺し傷。右腕に銃創。二時間変身不可(オルタナティブ・ゼロ)
一時間三十分変身不可(アンデッド)三十分変身不可(ブレイド・ゾルダ)
[装備]:カードデッキ(ゾルダ)。カードデッキ(オルタナティブ・ゼロ)。ラウズカード(ケルベロス)。
[道具]:ファイズブラスター。グランザイラスの破片。携帯電話。3人分のデイパック(風見、北崎、剣崎)。
[思考・状況]
1:ドラスと今の状況を楽しむ。
2:オーディンからタイムベントを奪う。
3:オーディンを確実に殺すため、コンファインベントを手に入れる。
※音撃金棒・烈凍はC-5エリアの森に放置されています。
※携帯電話にはシャドームーンの死骸が写されています。
【ドラス@仮面ライダーZO】
【2日目 現時刻:午前】
【現在地:エリア外施設】
[時間軸]:仮面ライダーZOとの戦闘で敗北し死亡した直後
[状態]:怪人状態。腹部に小口径の銃創。
[装備]:怪魔稲妻剣
[道具]:なし
[思考・状況]
1:望月博士なしで神になる方法を考える。
2:キングと今の状況を楽しむ。
3:タイムベントに興味あり。手に入れる。
4:オーディンを確実に殺すため、コンファインベントを手に入れる。
[備考]
※1:ドラスの首輪は胴体内部のネオ生命体本体に巻かれています。(盗聴機能は生きています)
※2:麻生は首輪が外れたため、死亡扱いになりましたが、ドラスの中で生きています。ただし、ドラスが死ぬと麻生も死にます。
※3:首輪が劣化したため、常に能力を発揮できます。ただし、赤ドラス化は今まで同様の制限を受けます。
- 641 :悪い奴ほどよく笑う ◇vHOqGgdf1U代理:2007/10/24(水) 00:15:28 ID:WqvafVU40 ?2BP(1)
- 【ジャーク将軍@仮面ライダーBLACK RX】
【2日目 現時刻:午前】
【現在地:エリア外施設】
[時間軸]:ジャークミドラに改造後。
[状態]:健康。
[装備]:杖、変身後は大刀。陰陽環。アドベントカード(SEAL)。
[道具]:ライドロン。トランシーバー(現在地から3エリア分まで相互通信可能)。分解済みの首輪x2(麻生勝・園田真理)。
ガードアクセラー。配給品一式×9(ガライ、グランザイラス、城戸真司、シャドウ、ドラス、立花藤兵衛、麻生勝、天道総司、影山冴子)
オーガドライバー(オーガストランザー付属) デルタフォン、デルタドライバー。
[思考・状況]
1:怪魔界を救うため、連れて来られたRXを抹殺する。
2:オーディンの抹殺。
3:オーディンを確実に殺すため、コンファインベントを手に入れる。
4:ガライに強力を求める。
[備考]
※神崎士郎が死亡したため、怪魔界の崩壊の時が早められました。怪魔界内の様々な物質に影響があるかも知れません。
- 642 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 00:50:44 ID:JOLw2NhS0
-
- 643 :悪い奴ほどよく笑う ◇vHOqGgdf1U代理:2007/10/24(水) 00:55:51 ID:WqvafVU40
- 投下終了。
ご支援感謝。
誤字、脱字、矛盾点、ご感想ありましたら、ご指摘お願いいたします。
超展開であることは重々承知しておりますので、覚悟はしております。。。
―――――――――――――
以上で代理投下終了。
- 644 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 00:58:48 ID:WqvafVU40
- そして感想!!
やばいw 主催者が途中で脱落するなんて、考えていなかったw
ドラスとキングの凶悪さに拍車がかかっているww
しかし、シャドウを殺した連中と組む状況に、ジャークは何を考えるか。
まあ、ジャークもやばそうな空気がプンプンしているんだけどw
面白かったです! 超GJ!!!
- 645 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 01:22:49 ID:JOLw2NhS0
- 乙!
ラ…ライドロンが悪魔の手先に……
ロボライダーのハッキング能力で直るかな?
- 646 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 01:30:45 ID:jlv0Mn7B0
- ひとまず…いくらか「協力」が「強力」になっていますよ
- 647 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 01:35:41 ID:UKiCSauw0
- 乙です、ただコーカサスはコーカサスカブトムシではなくてコーカサスオオカブトです
カブトムシマニアなもので・・・そこが気になりました
- 648 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 01:38:53 ID:FYrFJXIaO
- 超GJ!!!
三者三様の悪が光る!
そして、まさしく衝撃の展開ですね。
ドキドキして今日は眠れそうもないよ。
- 649 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 03:02:16 ID:YdXAXSb+0
- 全裸死亡ワロタwwwwww
GJです!!パロロワにおける革新的な話だ!!
- 650 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 05:17:18 ID:j3doq7q20
- これは……これはまさかっ!?
「クライシスの仕業だ!!」
ああああああああ!!あいつがそう言ったらどんな言いがかりでも真実、というジンクスが!!
(正義の系譜でもラスボスは本当にゴルゴム絡みだったからなw)
このままクライシスが黒幕化するのか!?
何はともあれ、超GJじゃあ!!
- 651 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 07:01:42 ID:1GLGg8YR0
- やべぇ、神崎のとこに乗り込んだくだりでフイタw
超GJ!!
- 652 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 08:18:04 ID:fyJ5C95y0
- うわあああああああああああああ
そうきたか!!!!
これは驚いた!
- 653 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 12:12:22 ID:COk8cXPlO
- GJ!!
おもしれぇぇぇぇッ!
- 654 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 12:13:10 ID:6T5D45GO0
- ちょwwwwwwwwwwwwww運営ジャックwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
どうなるんだこれ・・・・? ライダーといえばライダーらしいけど
- 655 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 12:40:13 ID:vq2dwsA30
- まさかの主催交代にリアルで震えが来たwww
もうどうなることやら想像がつかなすぎる……!!
- 656 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 13:53:46 ID:5jJ+kZtcO
- まさか黒幕はクライシス皇帝…?
- 657 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 14:05:44 ID:sb+HuIj70
- みんなテンション高っ!!w
でも本当面白かったです!!!
それはそうと多分誤字だと思うのですが、ジャーク将軍の台詞でひとつ。
「脱出の目を潰されてはかなわん」
「脱出の芽を潰されてはかなわん」
ではないでしょうか?
あるいは「目処」?
- 658 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 14:18:35 ID:PKH2RA2pO
- ライドロンに乗るジャークを想像して吹いてしまったwwww
- 659 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 15:58:14 ID:FfyrkPnS0
- ドラス・キング・冴子対生き残りの流れになったと思った途端にこの流れとはw
しかし、あの神崎士郎が死んだままとは思えないし、分身たるオーディンやボード石も健在。
終盤に入って、逆に先の展開が読めなくなってきた。
- 660 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 17:44:50 ID:VR3ST/+e0
- ケルベロスとかどうするつもりだ
- 661 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 18:45:33 ID:WqvafVU40
- そろそろ禁止エリア決めないか?
個人的に、戦場を狭くするという意味で、
海岸J3エリア、遺跡G3エリア、市街地G7エリアがいいとおもう
- 662 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 20:34:05 ID:bKxDZF6e0
- 主催者変更wライダーズがいつこれに気付くかがまた楽しみだwww
残った生存者は、
【555】乾巧
【カブト】日下部ひより/矢車想
【ブレイド】上条睦月/キング/相川始
【龍騎】秋山蓮/オーディン
【アギト】氷川誠
【RX】南光太郎/ジャーク将軍
【ZO&J】ガライ/ドラス/麻生勝(?)
【ストロンガー】城茂
【V3】【響鬼】 全 滅
かー……本当に減ったなぁ、実質あとオーディン込みで14人
しかしここまで来ると本当に全員一騎当千のつわものがそろってるなw
逆に言うとどこでだれが落ちても不思議じゃない
- 663 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 21:54:52 ID:FYrFJXIaO
- >>661
賛成!
放送が楽しみです。
>>662
いよいよ終盤……
ますます目が放せないですね。
- 664 : ◆WXWUmT8KJE :2007/10/24(水) 23:01:08 ID:WqvafVU40
- ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9061/1177078434/520
ラストの放送案を投下しました。
問題ないようなら、00:00に本投下します。
- 665 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 23:28:26 ID:1ydLmM+U0
- 「脱落をした人たち」って日本語として変じゃね?
「脱落した人たち」でいいと思う
逆に「禁止エリア発表です」は「禁止エリアの発表です」か「禁止エリアを発表します」のほうがよりアナウンスぽい
さらに細かいことを言うと、「続けて」ではなく「続いて」だな
あと、多分ロワ内時間の今日中に終わるだろうからもう「終わりの日」になってる
「終わりの日はもう近い」とか言われると不自然
「終わりの時は」とか「終末は」とかのほうがしっくりくる
- 666 :名無しより愛をこめて:2007/10/24(水) 23:33:42 ID:GjCEC7lg0
- >>657
サイコロとかは「目」って言うから、この場合「目」「芽」どちらでも意味は通るんじゃね?
脱出の機会もしくは脱出の可能性という意味で。
将軍が完全にキング達と結託したとは思えないし、ガライに何を協力させるのかが気になるな。
あと神崎とオーディンって一心同体的なものじゃないのか?
片方死んでももう片方生きてれば生き返るってイメージがあるんだが
- 667 :第五回放送 ◆WXWUmT8KJE :2007/10/25(木) 00:02:41 ID:/vE9Q06G0
- ピ〜ン♪ポ〜ン♪パ〜ン♪ポ〜ン♪
二度目の朝日が怪魔界を照らす。風が舞い、粉塵が巻き上がる。
もはや、主を失った世界は崩壊への一途を辿っていた。
それに気づくものは、果たして何人いるだろうか。
亡くなった空間の支配者の、最期の言葉が女の口を通して、六時を過ぎた街並みに響く。
『み〜な〜さ〜ん!! おっはようございます♪
順調に殺し合いが進んで、神崎さんは大喜びです。
首輪を外せそうな人たちは、神崎さんたちが始末したから喜んで殺し合いを続けてね♪
今回、惜しくも脱落した人たちは、
小沢澄子さん、影山冴子さん、草加雅人さん、ジェネラルシャドウさん、結城丈二さん、リュウガさん。
以上、六人で〜す☆
続いて禁止エリア発表です。
七時に海岸J3エリア。九時に遺跡G3エリア。十一時に市街地G7エリアで〜す。
それでは、皆さん優勝を目指して頑張ってください♪
さよ〜なら〜』
ピ〜ン♪ポ〜ン♪パ〜ン♪ポ〜ン♪
死人の声が終わりを告げて、再び怪魔界に静寂が戻る。
太陽が照らすのは、正義の光か、悪の勝利か。
終わりも近い。
- 668 : ◆WXWUmT8KJE :2007/10/25(木) 00:05:42 ID:/vE9Q06G0
- 放送投下終了。
続けて矢車想、南光太郎、日下部ひより、乾巧、秋山蓮、ドラス、ジャーク将軍、キング、スマートレディを投下したいのですが、容量がorz
すいませんが、新スレを立てるのをお願いします。
スレ立て規制ウボァー
>>665
指摘ありがとうございます。
- 669 : ◆WXWUmT8KJE :2007/10/25(木) 01:22:44 ID:/vE9Q06G0
- 今日はもう寝ます。
上記メンバーで予約。
今日の朝か、夜のどちらかに投下できると思います。
- 670 :名無しより愛をこめて:2007/10/25(木) 02:15:26 ID:WeDtjgFi0
- スレ立てチャレンジしてきます。
- 671 :名無しより愛をこめて:2007/10/25(木) 02:21:31 ID:WeDtjgFi0
- ―――不幸にして幸運なる参加者達をここに記す。
【555】1/5
○乾巧/●草加雅人/●園田真理/●影山冴子/●北崎
【カブト】2/5
●天道総司/●加賀美新/○日下部ひより/○矢車想/●神代剣
【ブレイド】2/5
●剣崎一真/●橘朔也/○上条睦月/○キング/●伊坂
【龍騎】1/5
●城戸真司/○秋山蓮/●北岡秀一/●浅倉威/●佐野満
【アギト】2/5
●津上翔一/○氷川誠/●小沢澄子/●木野薫/●水のエル
【RX】2/5
○南光太郎/●霞のジョー/●シャドームーン/●グランザイラス/○ジャーク将軍
【響鬼】0/5
●日高仁志/●佐伯栄/●財津原蔵王丸/●安達明日夢/●天美あきら
【ZO&J】2?/5
●麻生勝?/●瀬川耕司/●望月博士/○ガライ/○ドラス
【ストロンガー】1/5
○城茂/●岬ユリ子/●立花藤兵衛/●ジェネラルシャドウ/●マシーン大元帥
【V3】0/5
●風見志郎/●結城丈二/●珠純子/●ドクトルG/●ヨロイ元帥
【ジョーカー】
○相川始/●リュウガ
残り―――13名(?)
- 672 : ◆vHOqGgdf1U :2007/10/25(木) 02:39:49 ID:WeDtjgFi0
- こちらに1度誤爆しましたが、スレ立てに成功しました。
新アドレスは以下の通りです。
http://tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1193246330/
>>669
放送投下乙!&早速の新作を楽しみにしております。
まとめサイト更新。
ご指摘いただいた誤字を修正のうえ、第五回放送までアップしました。
- 673 :名無しより愛をこめて:2007/10/25(木) 02:48:21 ID:9gcy7Ia40
- >>672
スレ立て乙です!
ただ、テンプレの【首輪と禁止エリア】と【放送】が抜けてました
新スレにそのまま追加しちゃっていいですかね?
- 674 :名無しより愛をこめて:2007/10/25(木) 08:33:34 ID:HzYc5yI7O
- スレ立て乙!
ここは埋め?
- 675 :名無しより愛をこめて:2007/10/25(木) 08:43:33 ID:87TShfg4O
- 主催追悼埋め
- 676 :名無しより愛をこめて:2007/10/25(木) 08:50:17 ID:87TShfg4O
- >>668
放送投下乙+新作楽しみにしてます!!
>>672
新スレ乙です!
- 677 :名無しより愛をこめて:2007/10/25(木) 13:27:32 ID:/Ys16rVZ0
- >>666
あ、そっか。
そっちの方まで考えてなかった。ご指摘ありがとうございます。
◆vHOqGgdf1Uさん。
もし不快に思ってしまったら申し訳ありません。
- 678 : ◆vHOqGgdf1U :2007/10/25(木) 21:44:47 ID:WeDtjgFi0
- >>677
気にしない、気にしない。
ご指摘いただき、感謝いたします。
- 679 :名無しより愛をこめて:2007/10/26(金) 09:10:37 ID:iS0HOWd2O
- 向こうに新作投下されたし、予約も全パート来たようだからこっちは早めに埋めますか。
- 680 :名無しより愛をこめて:2007/10/26(金) 12:03:32 ID:lPaZaRdeO
- 埋め
- 681 :名無しより愛をこめて:2007/10/26(金) 15:12:32 ID:lPaZaRdeO
- 埋め
- 682 :名無しより愛をこめて:2007/10/26(金) 17:11:52 ID:lPaZaRdeO
- 埋め
- 683 :名無しより愛をこめて:2007/10/26(金) 17:18:35 ID:S9Diq/hQ0
- ネタがないなら無理して埋めないほうが鯖に優しいよ
どうせ書き込みがなければ落ちるんだし、埋めはただの自己満足
- 684 :名無しより愛をこめて:2007/10/26(金) 20:06:34 ID:xNWsV3pY0
- 埋めるよりは塗りこむ方が私もいいと思うのです
。 。 /' .、
(( )) / / | i
ヾ_,‐=‐ /i | i| ノ, |
<, -、_, -、_> | ;i| /,' /
'!≧.-、≦ヲ | i〉 〈 /
_,.へ._ ゙i=^゙='イ’, へ | iY' /
<ニ/ll ̄'''" ゙̄'''''" ̄i'^ニ^> |;|: || :|
<二ニll ,o、_i_,. o _,||ニ二>|;| ‖:|
/:: 〈-i、_ i_ ,.:; i--;;〉ヽ:; ::::y'》、ll丿
((/:::::: /!グー‐く_,;j ヽ::ヽ '(○)
/ヽ;::/ ゙!ミ:::;i:::;;;彡! ゙ー’
- 685 :名無しより愛をこめて:2007/10/26(金) 23:27:11 ID:nAlOWH810
- 、 ,
ヽ /
,ヽ-;‐;-i!.、
, '⌒i!| |/!⌒`'、
/:.:.:.:。|!| |:|!:.:.:.:.:.:ヽ 埋めに生きる道はないと知れ!!
i:.:.:.:.:/|!| |:|'、:.:.:.:.:.:.!
l、_;ノ┘| |└ヽ、_;;ィ
ト'´;:、 -‐- 、`‐-!
ヽ、\. : | /`>::.!
,:=ノ、ヽ _,/-'/ト、
lヾ、:::`::─::::':´::./:::.ヽ
_,. ;-‐'::"´\:ヽ:::::.::::::::::::/;':::::::.``‐-、___
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//:::::::::::\:::::::::::::. :.::::::::::人:::::::::::::::::::::::::::::::::::/、i:::::::::.:::::::. \
//´::::::::::::::::イヽ、__::_;/!±\_____;//\ :::::-='´;:::::.\
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:::::ゞ、ヽ:::::::::/´ ├‐::=─|±±±コ|==─=-‐/, ‐'::´ ̄`ヾ::::::::::::::.}
:::::::::::::ヽ;/ |;::.-=─:!±±±フ;‐==─, -‐、;´.:.:.::::::::::::::::::.\:::::;-'
:::::::::::/ L___ヾ≡/', -‐''::´:ヾ=ィゞ!::::::::::::::::::::::;. -‐'´
/ く二ニ二_r =彡;-‐'; -‐':´_;;::」---‐''" ´
´ | .:.:.:.|! ○`、-;U"´:::. ̄´´!
- 686 :名無しより愛をこめて:2007/10/27(土) 00:16:06 ID:n1n/qXhAO
- 埋め
- 687 :名無しより愛をこめて:2007/10/27(土) 19:01:56 ID:EY3/idtj0
- 生め
- 688 :名無しより愛をこめて:2007/10/28(日) 23:19:37 ID:NqTRnXgQO
- 埋め
- 689 :名無しより愛をこめて:2007/10/29(月) 01:04:14 ID:Sv+GZv/UO
- 埋め
- 690 :名無しより愛をこめて:2007/10/29(月) 09:55:08 ID:9jtEAJVZ0
- 生き埋め
- 691 :名無しより愛をこめて:2007/10/29(月) 12:08:55 ID:Ez8JCgq10
- 埋めがてら
ストロンガー生き残ってるしカブゼクとブレイバックルは残ってるから
上手くいけばカブト虫ライダー揃い踏みにwktkしている俺がいる
しかも主催乗っ取り側のキングもカブト虫系アンデッドだし変な期待がw
- 692 :名無しより愛をこめて:2007/10/29(月) 17:36:39 ID:PMoX7zCO0
- 埋め
- 693 :名無しより愛をこめて:2007/10/29(月) 20:57:08 ID:Sv+GZv/UO
- どきっ☆カブト虫だらけのバトルロワイアル
- 694 :名無しより愛をこめて:2007/10/30(火) 03:41:56 ID:7DTF6st+0
- ポロリもあるよ♪
- 695 :名無しより愛をこめて:2007/10/30(火) 11:33:47 ID:bla1EdqG0
- それじゃあ埋めついでに残り参加者の分析
南光太郎:ロボになったもののイマイチ。バイオになれば首輪が解除できそうなのが鍵か。
死亡フラグは特になさそうなので、後半の逆転に期待。
乾巧:精神的にかなり追い詰められてそう。マーダー化とか発狂とかはなさそうだが、生存は厳しいかも。
城茂:なんかパッとしない。昭和勢は怪人に食われている気が。
相川始:人質がいるが、あまり関係なさそう。でも、サラマンダーを引きずりそうな気も。
上城睦月:覚醒その1。実際の順列はともかく一番強そうではある。剣勢期待の星。
ガライ:覚醒その2。今はライダー側にいるが、ジャークが来た後どちらに転ぶのか。何気に色々とキーパーソン。
ジャーク将軍:この人の動き次第で情勢が一挙に変わる可能性も。誰と組んで、誰と戦う?
ドラス:参加者では間違いなく最強。でも、ケルベロスに最強の座をかっさらわれた。瀬川で何かする?
キング:やる気なし。本編から考えると単独優勝エンドだけはまずない人。
オーディン:唯一残る主催者派。タイムベントがなくとも強いことは強い。それでも、タイムベントがないと、勝ち残る気がしない。
ケルベロス:最悪の乱入者。たぶんドラスより強い。こいつが優勝したらどうなるんだろう。
- 696 :名無しより愛をこめて:2007/10/31(水) 15:43:16 ID:RQA2IQFJ0
- 埋まった?
- 697 :名無しより愛をこめて:2007/10/31(水) 18:00:03 ID:SXIOzl8BO
- ライダー埋め
- 698 :名無しより愛をこめて:2007/10/31(水) 23:58:02 ID:fa34H5lBO
- 僕にできることを…!
- 699 :名無しより愛をこめて:2007/11/01(木) 01:37:00 ID:4LQA+DARO
- 乾が長時間ともにした参加者は光太郎と城以外全員死亡。これは今後薄れてくいくと思われる。
城には、自身が故意にチームから外れると、残ったメンバーが全滅するフラグがある。しかし共に行動、共闘している間は、仲間の死亡率が極めて低い。
一方こちらはまだまだ立つ可能性がある、ある意味危険な存在。
死亡フラグを回避し続ける男、南光太郎。
- 700 :名無しより愛をこめて:2007/11/01(木) 01:38:22 ID:19GunVtxO
- 第二回バトロワ開催
↓
電王キャラ参戦
↓
ゼロノス変身
↓
主催者から忘れられる
- 701 :名無しより愛をこめて:2007/11/03(土) 07:58:00 ID:nMQAa39CO
- 埋め
- 702 :名無しより愛をこめて:2007/11/04(日) 03:58:41 ID:DiSV0oFXO
- 埋め
- 703 :名無しより愛をこめて:2007/11/05(月) 03:06:28 ID:lSxQ+oP4O
- クライマックス埋め
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